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115…116…117…117…アリ○…アリ○―― 腹筋をする。腕立て伏せをする。スクワットをする。とにかく筋トレをする。他にすることは思いつかねえ。 理樹がいない休みの日はやることが見つからない。勉強なんてする気はない。やっぱり野球の練習すらない日はこれをするしかない。 でも、ちょっと待てよ……勉強を脳の筋トレと言い換えてみると凄く魅力的なものになってくるじゃねえかっ……!そのことに気付いたなら早速、脳の筋トレとやらに挑戦状を叩きつけてやる。 「よっしゃ、いっちょやってやらぁ!」 意気込んで適当な教科書とノートを取り出しては見たのいいものの、次の試験範囲…じゃねえ、脳筋トレーニングの範囲なんて聞いたこともないからどこからやればいいのか分かるはずもなかった。 理樹が戻ってきたらちょっくら聞いてみようと思った。 バタンっ そんな音を立てながらいいタイミングで理樹の奴が帰ってきて、理樹が部屋へと入ってくる。 その頃を見計らってオレは脳筋トレーニング範囲を訊きだすことにする。 「おい理樹」 「何?」 「次の脳筋トレーニングの範囲ってどこだ?」 「言ってる意味が分からないからさ……」 理樹はオレの方をちらっと見た。 「って、真人っ!なんで一人で勉強してるの!?」 くっ、頭が痛くなってきた…。理樹はいつもそうだ。オレの弱点を的確についてきやがる。オレのことをなんでも知ってるかのように。 しかも理樹は、まるでオレを珍獣とかUFOとか、火星人とか、関西人などを見たかのように言う。 「勉強なんてそんな柔なもんじゃねえ……オレは、脳の筋トレをしているんだ」 「真人が勉強するなんて珍しいね」 こいつめ、オレが脳の筋トレって言い張ってるのに聞く耳も持たねえ。 こんなことになるなら、素直に普通の筋トレをしていれば良かったと思った。 「あっ、そうだ真人」 理樹はこれからオレがやろうとしていることを無意識に悟ったのか、なにかを提案しだした。 「これから一緒に買い物行かない?二人で」 なんだか小さい不安を覚えるが、理樹となら一緒に行っても構わない。 しかし、なぜオレなんだ? いつもはこの部屋に来た女子たちに誘われて行ってるみたいだが、今日は理樹が誘ってきた。しかもオレを。 「あぁ!?その筋肉はいつも部屋に引きこもってて可愛そうですね、仕方がないからたまには外に連れ出して鍛えさせてあげましょう、とか言いたげだなぁ!?」 「いやいやいや、とりあえず行こうよ」 まぁ、特に断る理由もなかったのでついていくことにしよう。 校舎外へと出て、暫くしたところでたまに、オレたちが通う商店が立ち並ぶ道路へと出る。 まぁ、近場で買い物するならここしかないけどな。 「そういや何を買うんだ?」 「えっと、必要なものを少し、かな。真人も好きなの買っていいよ」 「だったら、オレは必要ないんじゃないか?」 「いやまあ……たまには二人で、ってのもいいんじゃないかな」 その言葉になんだか無性にうれしくなってくる。だから、小突いてやる。 「へへっ、こいつめっ」 「やっ、やめてよ。ここ道路だから、危ないからね」 なんだか女みたいな小さな悲鳴を出しながらガードをしている。小突いてみて感じたが、少しずつ理樹の身体が筋肉によって硬くなっていた。 これも日々の賜物だな。これからも筋トレをやらせてやろう。 「あっ、そろそろだよ」 理樹は目の前の大きい建物を指差す。 ここにこんなところあったか……?と疑問に思っていると、理樹が自然と答えてくれた。 「そっか、真人はこの百貨店にまだ来た事無かったね。よくみんなに誘われてここに来るけど、結構なんでも揃ってるんだよ」 へぇ、なんでもか。この百貨店にどんな筋肉が眠っているかと思うとわくわくしてきたぜ。 「じゃあ行こうか」 理樹はそう言うと中へと入っていく。オレも一緒に入ることにしよう。 …と、中に入ったはいいが、初めてだから構造がよく分からない。適当に理樹について行こう。 だが、この要塞みたいな建物の中で最初から買うものを決めているかのように、理樹の歩く足が速い。 なにかに突き動かされているみてえだった。 まず最初に理樹が向かった先は、本が売られているとこらしい。 理樹の手に持っていた買い物かごの中には筋肉が集まるみたいに本が積まれて行く。その数は…30冊?それだけで理樹は次の場所へと向かう。 本の名前を見ることすら叶わねえ。理樹っちよ、ちょいと速すぎじゃね?と言う事も。 次はペット関係の場所みたいだな……。 犬の、ドッグフードを少し。そして――。 ――い、今起こったことをありのままに話すぜ…。 猫の―――モンペチが雨が降ったかのように何十缶もそのかごの中に流れ込んでいた。 何が起こったのかわからねえが、原因は理樹だと言う事だけは分かった。 そして、この時になってやっとオレはこの買い物の目的が分かってしまう。 女子たちに買え、と言われたのだろう。その一言で従ってしまう理樹もどうかと思った。少しは反論したのか。オレが考えても分からない。 次はお菓子が大量に。見てるだけで甘い。その次はこんぶが。見てるだけで目の前が真っ黒に。筋肉革命スクレボのグッズまでもがかごの中に入る、入る、入る。 オレが何を買おうかと迷う暇もねえ。酷いぜ、理樹。 そして、悪戯グッズとかネーミングが直球なものも。おいおい、いつそんなに持てるようになったんだ。 さらにはキムチともずくが。そんなもんいらねーだろ、と思っていると脳裏に黒髪の女がオレの方を見て笑っていやがる。気味が悪すぎるので筋肉のことを考えてやった。 理樹のことを観察しているとなんだか必死な表情で結構面白い。筋肉さんまでもが笑ってしまう。 「おい理樹」 オレが声をかけてやると我に返ったかのような表情で振り返った。 「あ、真人もなにか買いたい物がある?」 そういや、必要な物を少しと言ってたがこれで少しなのだろうか。と思った。 「すまん、ただ声をかけてみただけだ」 「そっか」 それだけを言うと理樹はレジへと向かっていった。 ◆ ……今のことを簡単に言うと、理樹が買った物の会計に時間がかかっていやがる。 モンペチの数を数えるにしても、その他たくさん。値段がバラバラだから余計に掛かる。 値段のところがどんどん跳ね上がっていきやがる。どこからそんなに理樹の懐から金が出るのか、不思議だった。 暇だから筋トレでもしていようと思った。 ◆ 「あっ、真人。待った?」 「待ったもくそも無いな。楽しくて待ってる暇がなかったぜ」 「それはよかった」 理樹の傍を見てみると、そこには買い物袋が大量。まあ、そりゃあそうだろうなと思った。 「えっと、それじゃあ真人、持って帰ろうか」 「え?オレが持つのか?」 「真人はそのために来たんじゃなかったっけ」 どうやら理樹は最初に言ったことを忘れてるらしい。筋肉で少しお仕置きをしなきゃならねえな。 どう見ても、オレを荷物持ちとしてか見ていなかった。 「いくら理樹の頼みと言っても、オレはこんなことをするために来たんじゃないが……」 「これを全部持って帰れば筋肉がたくさんつくよ」 ……くっ、こんなことを言われたらやるしかねえじゃねえか。オレにとって、その言い方はとても魅力だ。 「やります」 「うん、じゃあよろしくね。帰ったら筋トレもしようか」 くっ、理樹と一緒に筋トレが出来るならするしかねえな。 オレは全ての袋を持ち上げた。 本の袋だけ重かった。 [No.750] 2008/11/29(Sat) 12:55:17 |
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