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最近、理樹くんが来ない。 まあそういうこともあるだろう。夜の校舎にわざわざノート取りに行くよりおにゃのことにゃんにゃんしてたほうがずっといいものね。ムカついたので、目の前で毎度のテンプレ台詞を朗読してやがる変態仮面に鉛玉をプレゼント。 ばんばんばんばんばんばんばんばんばんばんばんばんばんばんばんばんばんばんばん。 おおっと、ついつい全弾ぶち込んじまったい。ま、いっか。霧散する時風の姿があまりにもいつも通りすぎて、正直、なんだ。飽きた。もっと青い蝶に分裂して飛んでくとか外部装甲をパージして中から女の子が出てくるとか、そういう芸を凝らしてほしい。プレイヤーを退屈させるようなクソゲーやらせやがってちくしょう。せめてスキップ機能つけろ。 「とりあえず生徒手帳落として〜、っと」 あとは物陰に隠れて理樹くんが手帳を拾うのを待つ。あたしは待つ女なのだ。 しっかしまあ、来ないのよねーこれが。なんか理樹くんに嫌われるようなことしたかしら? いやでも記憶はリセットされるはずだし。まさかもしかして、マイナス方向の記憶だけ残る設定だとか? うわ最悪、時風のヤロウ死ねばいいのに。 その時風の手下どもがぬらぬらと現れた。一人いたら三十人はいる感じね。ゴキブリかっての。ていうか、もう時間かぁ。あーあ、やっぱり理樹くん来なかったな。ま、理樹くんってばちょぉっと頼りないけど、かわいいしかっこいいしやさしいし、周りの女の子が放っとかないわよねー。さっすが理樹くん。ムカついたので、群がる影どもに鉛玉をプレゼント。 すかすかすかすかすかすかすかすかすかすかすかすかすかすかすかすかすかすかすか。 あら? あーそう言えばリロードすんの忘れてたわ。スパイのくせにこんな大事なこと忘れるなんて滑稽よね。滑稽でしょ? あーっはっはっは。ねえちょっと、笑いなさいよあんたたち。 どかっばきっ。 あたしは死んだ。 理樹くん来ねー! ルート入ってるのに主人公にほっぽりだされて空気になってるヒロインなんてお笑いよね。というかむしろ新しくない? 時代の最先端を行ってるわ、あたし。 それにしても理樹くんったら、そんなに女の子とよろしくやってたいのかしら。そうと言ってくれれば、あたしがやりたいだけやらせてあげるのに。 げげごぼうぉえっ。 なぁに考えてんだあたしはっ。それもこれも全部理樹くんが悪いんだ。ウサギって寂しいと死んじゃうらしいけどほんとかしら。淫乱なのは知ってるけど。 あーもう。理樹くん来ないんじゃしょうがないじゃん。テキトーに机動かして死んどこっと。 ずしゃっ。 あたしは死んだ。 よくよく考えてみたらさ。理樹くんのまわりの女の子って都合良く美少女揃いよね。あたし? あたしはほら、優秀なスパイだから。 つまりアレだ。女の子たちのほうが理樹くんを放っておかないんじゃなくて、理樹くんのほうから女に走ってるってことよね。うっわ最悪、あたしというものがありながらっ。 げげごぼうぉえっ。 あーちくしょう。気分転換に地下まで下りてきたはいいけど、何よあれ。天井からロープ垂らしてるとかバカじゃないの? 一人じゃ届くわけないじゃないの。2Pプレイ前提だなんてとんでもないクソゲーね。 別にあたしは理樹くんなんていなくたって、一人でだって平気なんだから。このダンジョンが一人じゃ攻略できないようになってるだけなんだから。 しょうがないからトラップ部屋まで行って死ぬか。 ぶしゅー。 あたしは死んだ。 あのね。いろいろ言ってきたけどね。あたしもやっぱり……女の子、なのよね。ちょっと……ちょーっと仲良くなった男の子がさ、いきなり全然構ってくれなくなったら。やっぱり、その。 って、なんでこんなおセンチな気分に浸ってんのよあたしは。この妙ちくりんなBGMのせいかしら。ピアノ? 音楽はよくわかんないけど、まあ多分そんな感じでしょ。綺麗だけど、なんだか哀しい感じ。あんまり好きじゃない。 それにしてもこれ、生よね。さすがに録音とか放送とかとの違いは聞けばわかるわよ。こんな真夜中に、どこで誰が弾いてるのかしら。ま、理樹くんいないからどうでもいいや。今度こそ来てよね。 ぐしゃっ。 あたしは死んだ。 いい加減バカの一つ覚えやってないで、攻め方を変えてみようと思う。だって来ないんだもの。こっちから行ってやるしかないじゃない。なーんか負けたみたいで悔しいけど。 そういえば、またピアノ流れてる。さっきは思いっきり無視しちゃったけど、もしかしてこれって何か重要な手がかりなんじゃないかしら。まあそんなことは、優秀なスパイであるあたしには最初からわかっていたことだけど? うん、音の出所を探してみよう。 夜が明けた。 ってなんでよっ! 一晩探し回って見つからないとかバカじゃないの? 間違えた。バグじゃないの? おのれ時風め、無駄な時間使わせやがって。デバッグくらいちゃんとやっとけっての。こんなことに時間使うくらいなら、理樹くんの部屋に忍び込むぐらいやっとけばよかったわ。寝顔とか、きっと可愛いんだろうなぁ……。 げげごぼうぉえっ。 ま、まあ、せっかく夜が明けちゃったわけだし。登校中に曲がり角でぶつかるとか、そういうベタなシチュエーションで出会うのもいい気がするわ。 まあ、出会えないんだけど。 死んでやろうと思ったけど、恐かったからやめた。 今日で何日目だろう。 衣替えの時期も過ぎて、あたしは夏服を身に纏っている。そりゃ冬服よりかはマシだけど、それにしたって暑いし、汗で布が肌に貼り付くのがキモチワルイ。ていうかこれ、ブラ思いっきり透けちゃってるわよね。ま、誰もいないからいいけど。そうね、どうせ誰もいないしスカートたくしあげちゃおっか。あー風が涼しいわー。なんかひんやりする。濡れてるのは汗よ、汗。 ふと、ずっと流れ続けていたピアノの音色が聴こえなくなっていることに気付く。 「理樹くんのばか」 あたしは泣いた。 [No.767] 2008/12/12(Fri) 15:30:07 |
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