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all 第2回小大会 - 主催 - 2008/12/28(Sun) 00:17:36 [No.817]
話は下で果てる - ひみつ 遅刻ってレヴェルじゃねーぞ!@3710 byte - 2008/12/31(Wed) 23:45:57 [No.846]
似たもの夫婦 - ひみつ 遅刻@2533byte - 2008/12/31(Wed) 00:25:33 [No.839]
――MVPここまで―― - 主催 - 2008/12/31(Wed) 00:21:11 [No.838]
たなからぼたもち U - ひみつ@1248 byte - 2008/12/31(Wed) 00:13:44 [No.837]
男心と秋の空 - ひみつ@ 8745byte - 2008/12/31(Wed) 00:09:19 [No.836]
郷に入りては郷に従え - ひみつ@10234Byte - 2008/12/31(Wed) 00:07:57 [No.835]
馬子にも衣装 - ひみつ@8331 byte - 2008/12/31(Wed) 00:04:30 [No.834]
空谷の跫音 - ひみつ@6424 byte - 2008/12/31(Wed) 00:04:24 [No.833]
壺中の天地 - ひみつ@5354byte - 2008/12/31(Wed) 00:04:05 [No.832]
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身の毛がよだつ - ひみつ7403 byte - 2008/12/31(Wed) 00:00:37 [No.828]
Лучше горькая правда, чем с... - ひみつ@4414 byte - 2008/12/30(Tue) 23:45:57 [No.827]
一期一会 - ひみつ@3412byte - 2008/12/30(Tue) 22:54:09 [No.826]
猫に小判 - ひ・み・つ。6,915byte - 2008/12/30(Tue) 22:12:05 [No.825]
蓼食う虫も好き好き - ひみつ@10,239 せふせふっ - 2008/12/30(Tue) 19:42:27 [No.824]
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人間万事塞翁が馬 - 秘密 8571byte - 2008/12/30(Tue) 08:58:27 [No.821]
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男心と秋の空 (No.817 への返信) - ひみつ@ 8745byte

 12月24日、クリスマス・イヴ。時刻は午後6時。
 街は、活気にあふれ、クリスマスムード一色だった。何組ものカップルや、子どもずれの家族が笑顔で町を歩いていた。夕方から降り始めた雪が澄んだ空気で町を包み、ネオンサインを、いっそう幻想的雰囲気にひきたてている。
 そんな中、僕は2ヶ月前から付き合い始めた、美魚との待ち合わせ場所に向かっていた。
『美魚が、ちょっと変わった趣味をもっていても、僕は美魚と付き合っていく』
 ――そんな決意を胸に秘めて。
 数日前、僕は美魚の趣味を知ってしまった。たまたま部屋にいったとき、美魚が真人と謙吾が……その……交わっている小説を書いている場面に遭遇してしまって。
 それ以来、何となく、彼女のことを避けるようになってしまった。
 このままではいけない、と思ったけど知ってからの数日は、非常に情けない話だけど、なんとなく美魚とどうつきあっていけばいいのかわからなくなって……そして、ずるずると今日まで来てしまった。
『今日、待ち合わせ場所に来てくれますか?』
 美魚が今日、この言葉をいったときの表情を思い出す。今まで見たこともないくらい不安な表情をしていた。
 そのときになって、僕はやっぱり、美魚のことが好きなんだな、って思った。だって、そんな顔を僕は見たくないって思ったんだから。
 だから、僕は、美魚と付き合っていこうと思う。
 ……こんな決意を胸に思って、しかも、ホモ小説を書く趣味――もとい、BL小説を書く趣味(美魚にホモ小説ではなくてBL小説です、と力強くいわれた)変わった趣味なんて言い方をして、逃げているのはわかっている。
 だけど、やっぱり僕は、美魚と付き合っていきたかった。
 玉に一つくらい傷があってもいいじゃないか。
 そんなことを考えながら待ち合わせ場所に行った僕に、美魚はいった。
「『男心と秋の空』そんな言葉を理樹はご存じでしょうか」
 そんな言葉を。



『男心と秋の空』



 一瞬何をいわれたか、わからなかった。だって、それは、待ち合わせ場所にきた僕を迎える言葉としてはおかしかったから。
「え、えと?」
「『男心と秋の空』そんな言葉を理樹はご存じでしょうか」
 もう一度、美魚がいった。今度は思考がおいついた。
「『女心』、じゃなくて?」
 『女心と秋の空』だったら聞いたことがあるけど。確か意味は、『女性の心は、秋の空のようにかわりやすい』という意味だっけ?
 僕がそういうと、美魚が、言葉をつなげた。
「本来は『男心と秋の空』という言葉がもともとの言葉でした、それが明治に入り、『女心と秋の空』という言葉になったそうです」
 へぇ。
「『男心と秋の空』という言葉は、秋の空模様が変わり易いのと同様に、男の心は変わり易い。男の浮気な心を言った言葉で、男性の言葉をそのまま鵜呑みにしてはいけないとかそういう意味で言われた言葉だそうです」
 なるほどね、初めて聞いたその言葉にはそんな意味があったのか。
「男の浮気な心を言った言葉で、男性の言葉をそのまま鵜呑みにしてはいけないとかそういう意味で言われた言葉だそうです」
 もう一度、美魚はそういった。
 なんで二回いう?
 美魚は無言で、じっと僕のほうをみつめていた。
 ……………………………………………………………………………………………え?
「ひどいですね、理樹は」
「いやいやいやっ」
 全力で否定する。美魚とここ数日、確かに距離をとりがちだったけれど、誰か別の人と付き合おうなんてそんなこと思ったことがなかった。
「ご、誤解だよっ」
「では聞きますが」
 そういう美魚の目がすごくこわかった。
「今朝、私とあったあと、あなたは何をしていましたか」
「寮会の手伝いだけど?」
 あの事故以来なぜか寮会に入らされることになり、寮会の仕事を佳奈多さんとしていた。
「佳奈多さんと、二人楽しそうに話していました」
 そういえば、今日は珍しく会話が弾み、ちょっと楽しかった。
「そして昼は?」
「クドに英語の勉強を教えてたけど?」
 学校から戻るとき、教室から出てきた、クドを発見。英語の追試が明日あることを聞いた僕は、クドの勉強を手伝うことにしたんだっけ。
「途中で来ヶ谷さんが加わりました」
「うん」
 途中から来ヶ谷さんが加わった。僕やクドをからかいながら、勉強したんだっけ。
「来ヶ谷さんにひきよせられ、胸にはさまったとき、嬉しそうでした」
 無理やりうもれさせられたんだけど、たしかに顔がにやけていたかもしれない。 
「それから何をしましたか?」
 それから、ええと、ああ、街をぶらぶら歩いていたら、小毬さんをゲームセンターで発見。
 こんなところにいるなんて、意外だ。
 そんなことを思いながら、二人でプリクラをとったんだっけ。
「ハート柄の背景でした」
 うん、確かに美魚がいうとおり、ハート柄の絵柄だった。この絵柄がかわいいよ〜♪というから、ハート柄の背景を小毬さんは選んで、とったのだ。プリクラに二人がうつっているのをみて、小毬さんはご満悦だった。
「……ここまで言えばわかるでしょう」
「あの、全然わからないんだけど」
 ……いままでのどこに浮気要素があっただろうか。
「……」
 美魚の視線がさらに鋭くなった気がする。
「そんなことだから、理鬼っていわれるんです、理鬼は」
「誰がそんなこと言っているのっ!?」
 そんなことをいう僕に美魚は深い深い溜息をついた。…ってちょっとまって。
「美魚、どうして僕のこと知っているの?」
「何を、ですか?」
「今日の僕の行動」
「……人から聞いたんです」
 うん、たしかに、佳奈多さんと仕事をしているところや、クドと勉強しているところ、クドと勉強している途中に来ヶ谷さんが乱入してきたこと、誰かに見られ、しゃべる可能性もある。
 けど、それも一つくらいなら。
 だけど、普通、今日の僕のこと、全部人から聞くことがあるだろうか。
「ひょっとして……あとつけてた?」
 そういうと、美魚は押し黙って…
「すみませんでした、理樹」
 と告げた。



「朝、理樹と別れたあと、理樹のことが、気になったんです。それで……あと、つけてしまいました、すみません、最近、理樹に私が避けられている気がして……しょうが、ないんですが」
 そういって美魚は顔を下に向ける。
「やっぱり、ああいう趣味をもっている人は嫌でしょう、理樹?」
 そういって、何もかも諦めたような視線を美魚は僕に向けた。
 そんな美魚に、僕はいう。
「あのさ、美魚……」
 両手で、美魚の肩を押さえ、正面から彼女を見据える。
 以前、照れくさいと言われた行動。だけど――美魚は拒まなかった。
「美魚がどんな趣味をもっていても、僕は美魚を、嫌いにならないと思う、美魚が僕のこと嫌いにならない限り」
「……すごく、キザなこといっていますよ、理樹」
 非難するように、美魚はいった。だけど、その顔は、笑顔だった。




「今朝、あったとき、本当は別れよう、とおもっていたんです」
 しばらくして、美魚はぽつり、ぽつりと話し始めた。
「だけど別れるとなったら急に理樹のことがすごくすごく、気になるようになってしまって…」
「それで、今日一日、つけてたってこと」
「はい……お恥ずかしい、話ですが」
 そういってもう一度顔を俯けた。
「はじめ、あったとき、どうしてあんなこといったの?」
「理樹への餞の言葉のつもりでした。理樹に必要な言葉、だと思ったので…でも」
 そこまでいって、美魚は言葉を区切った。
「BL小説を書いていたから、振られた、ってことを認めたくなかったのかもしれません」
「……もう一度言うけど、美魚がホモ小説かいてい…」
「BL小説、です」
 そういう美魚に僕は苦笑する。どうしても譲れない一線らしい。そんな美魚に僕は苦笑する。
「BL小説を書いているからって嫌いにならないから」
「――理樹」
 そういって、美魚がほほ笑む。
「それにしても美魚も案外、嫉妬深いよね、クドと勉強したりするだけで、嫉妬するんだから」
 そういうと、美魚がむくれた。
「……言い訳になりますが、理樹が浮気している、って免罪符を手に入れたかったから過剰に反応してしまっただけですよ?」
「じゃあ、嫉妬しなかった?」
「…ずるいです、理樹」
 むくれながら、そういう美魚はやっぱりかわいい。
「だけど、恋人でもない小毬さんと、ハート柄の背景で、プリクラをとるのはあんまりだと思いますよ?」
「うーん、言われてみればそれはそうかもしれないけど…」
 だけど、そこまで気にすることかなぁ。
 と、そこまで言って気づく。なんで美魚は、プリクラをとったときの背景をしっているんだろう、って。
 プリクラをとったところは完全にカーテンで隠されていたのに。
 そう尋ねると、美魚はいった。
「プリクラを、見てください」
 そういわれ、プリクラをみる。僕と小毬さんしか映っていないはずのそのプリクラに、美魚が僕と小毬さんの間にうつっていた、はっきりと。
















「え、ええええええええええええええええ!?」
 思わず、声をあげてしまう。いやいやいや、あのとき確実にいなかったよね、美魚!?
 それに写した後、プリクラみたけど、美魚は映っていなかったはずだ。と、そこまで考えたときどこからか、「ほわぁぁぁぁぁっ」って声が聞こえてきた。
「な、何、今の声」
「黒小毬が驚いた声ですね」
 何、黒小毬って。……って、それよりもっ。
「み、美魚、このプリクラとったとき、いなかったよね!?」
「いましたよ?」
 いやいやいや、絶対いなかったって!プリクラにもたしかにさっきみるまでは写っていなかったってっ。
「影がうすいどこか、影がない少女でしたから、気配を消すくらい、わけないです」
 そんな非現実的なっ。
 いや、たしかに美魚は、昔、影がなかったけどっ。あ、あれ?幻想世界の中だけだったっけ?
 ふつーはそうだよね、とか考えているうちに、美魚の姿が消えた。
「あ、あれ、美魚?」
 ふと、プリクラをみると、プリクラの中でも美魚の姿が消えていた。
「な、なにこれ!?」
 といったあと、美魚の姿が、あらわれた。……なにこの無駄な特技。
「もし、尾行とかをしたいときがいってくださいね」
 そういって、にっこり、と美魚がほほ笑む。
 そんな美魚の笑顔に対して僕はつくづくこう思った。


























『佳奈多さんと浮気しよう』
 と。
 いや、だって、これは怖すぎる。彼女とはいえ、いつ近くにいるか、わからないなんて。
 ふと、さっきのことわざ、『男心と秋の空』を思い出して、僕は思った。
 ああ、あのことわざってほんとのことなんだな、と。


[No.836] 2008/12/31(Wed) 00:09:19

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