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僕の記憶の中の学園生活でのバトルとは比べ物にならないほどの大喧嘩だった。 僕とお義父さんは二人して、暴れ続けるお義母さんと鈴を止めようとしてした。 「――――!!」 「―――――――!!!」 女性の口からあまり出てはいけない言葉が部屋に響き渡り、女性が見せてはいけないような顔をしていた。 僕もお義父さんもすでに見ざる聞かざるの境地で仲裁にあたっていた。 今日は鈴の実家へと挨拶に来たのだった。もちろん僕は鈴と子供の頃からの仲だから鈴のご両親には面識はあるし、あまり緊張もしなかったけれど、それでも、ベタなドラマにありがちな、お義父さん、娘さんを僕に君にお義父さんと呼ばれる筋合いはない!というシーンを思い返さなかったといえば嘘になる。 それでも愛する鈴のために、僕は意を決して、鈴の実家へと向かったのだった。 ところが、僕を待っていたのは冷たい視線などではなく、暖かいほのぼのとした団欒の場だった。 二人とも、暖かく僕を迎え入れてくれて、結婚のことも、むしろ理樹君でよかったなどと言われるほどで、夕食を食べていこう、という鈴の提案も難なく受け入れることが出来た。家族というものを早くに失くした僕にとってはとても嬉しい一時だったのだ。 そう、あの優しい空間が崩れ去ったのは夕食を食べ終わった後ぐらいだ。 お義母さんと鈴の夕食の後片付けが終わり、四人で晩酌を酌み交わすことになった。 飲んでいる最中に、お義母さんが言った。 「理樹君、鈴をもらってくれて本当にありがとう。恭介も、きっと喜んでいるわ」 恭介の名が出た途端に、場の空気が変わった。お義父さんの顔は沈み、お義母さんの目には涙が溜まっていた。鈴は下を向いて、何も喋らない。僕がなにか言おうとすると、鈴が椅子から立ち上がり、ポツリと言った。 「馬鹿兄貴のことなんかどうでもいい」 それを聞いたお義母さんの様子が変わる。今にも涙がこぼれそうだった眼には怒りの色が表れ、体をわなわなと震わせている。あっけにとられている僕ら二人をよそにお義母さんも椅子から立ち上がり、、鈴の頭を思いっきりはたいた。 鈴はぐらついたが踏みとどまり、お義母さんをにらみつける眼は本気の眼だった。まずい。止めないと。慌てて立ち上がった僕とお義父さんを尻目に、壮絶な親子の大喧嘩が始まった。 結果から言うと、二人とも見事なパンチで、ダブルノックアウトとなった。 お義父さんと二人、それぞれのパートナーを介抱していると、僕の太ももで気絶している鈴を見ながらお義父さんが言った。 「きっとこの子は、恭介がいようといるまいと、ちゃんとやっていけるんだってことを言いたかったんじゃないかな」 「起きたら仲直りしてますよ。きっと」 僕がそう言うと、お義父さんは、僕をしっかりと見据えた後、頭を下げた。そして、真摯な口調で言った。 「鈴を、よろしくお願いします」 燦然とした部屋の中、頭を下げるお義父さんを見て、僕は誓った。 「必ず、鈴を幸せにしてみせます。」 ピクッと、鈴の体が動いたような気がした。 [No.839] 2008/12/31(Wed) 00:25:33 |
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