第26回リトバス草SS大会(ネタバレ申告必要無) - 主催 - 2009/02/05(Thu) 21:25:32 [No.908] |
└ 死ねない病 - ひみつ@6617 byte まにあったきがする - 2009/02/07(Sat) 21:33:50 [No.925] |
└ しめきりー - 主催 - 2009/02/07(Sat) 00:15:37 [No.923] |
└ 持たぬ者 - ひーみーつ@6144Byte - 2009/02/07(Sat) 00:05:34 [No.922] |
└ [削除] - - 2009/02/07(Sat) 00:00:46 [No.921] |
└ 馬鹿につける薬はない - ひみつ@10133byte - 2009/02/07(Sat) 00:00:25 [No.920] |
└ ガチ魔法少女 マジカル☆みおちん - ひみつ@13165Byte・作者は病気 - 2009/02/06(Fri) 23:58:32 [No.919] |
└ 桃缶はっぴぃ - ひみつ@9202 byte - 2009/02/06(Fri) 22:57:21 [No.918] |
└ 風邪をひいた日に - 秘密 @4507Byte - 2009/02/06(Fri) 22:47:32 [No.917] |
└ 手樫病 - ひみつ@9345 byte - 2009/02/06(Fri) 22:43:28 [No.916] |
└ 世界の卵 - ひみつ@19577byte - 2009/02/06(Fri) 19:16:02 [No.915] |
└ pony症候群 - ひみつ@12934 byte - 2009/02/06(Fri) 18:04:37 [No.914] |
└ 一滴の涙 - ひみつ@14144 byte - 2009/02/06(Fri) 07:36:37 [No.913] |
└ 裏庭での一時 - ひみつ@17018byte(冒頭、若干修正) - 2009/02/06(Fri) 05:09:24 [No.912] |
└ わらしべクドリャフカ - ひみつ@20356 byte - 2009/02/06(Fri) 00:01:36 [No.911] |
└ 父娘の平日〜看病編〜 - ひみつあーんど初 5810byte - 2009/02/05(Thu) 21:46:40 [No.910] |
不覚をとった。久しぶりに家族で一緒に過ごすために土日を利用して実家に帰って来たのだが、葉留佳と一緒にずいぶん遅くまで雪で遊んでいたのが原因で風邪を引いてしまった。 翌日、見事に高熱で床に伏していた。それから日曜はずっと家でベッドで寝ていたが熱は下がらないまま月曜日になり、両親は仕事、葉留佳は学校を休んで私を看病しようとしてきたがそれを必死に止めて…もっとも葉留佳はそれを口実にサボるつもりだったんだろうけれど、とにかく今は一人で寝ている状態。 「だる…」 私は緩慢な動作で額に冷たかったタオルを枕もとの洗面器に戻した。 熱はまだありそうだったが、昨日の夜に比べればずいぶんと体調もよくなったようだ。 寝なおそうと時計を見ると9時過ぎ。葉留佳はちゃんと授業に間に合っただろうか…余計な心配をかけてしまった、と思いながらもそんな関係になれたことに笑みがこぼれる。 ふと、昨日の夜から汗をかいていたが着替えていないことに気付いて胸元に鼻を突っ込んでみる。うん、そんなに匂わない。 ―――でも、やっぱり…気持ち悪いわ… そう思ってのっそり着替えを取りにベッドから起き上がる。 「誰もいないし、とりあえず全部脱いじゃおう…」 上着を脱ぎ、葉留佳よりほんの少しだけ小さい胸を見下ろしてため息。 ―――べ、別にそんなに気にしてるわけじゃないんだからっ、むしろ私のほうがウエストは細くていいのよっ 「はぁ…誰に言ってるのよ私…」 ブラを外してズボンを脱ごうと屈んだそのとき、 バタンッ 「佳奈多! 風邪引いた…って…」 「……」 「…いや、えーっと…」 「…父さん…」 「あ、あーっとだな…ますますアイツに似てきたな」 「でてけええええええぇぇぇぇぇっっっ!!!」 父娘の平日〜看病編〜 「ったく、どうせ娘の裸なんて見たってどうも思いやしねーってのに」 「そういう問題じゃありません」 ピシャリと切って捨てる。ノックもなしに女の子の部屋に入ってくるなんてどういう性格してるんだか… 「とにかく、次入るときはぜっっっったいノックして入ってきてくださいねっ!」 「へいへい」 「返事はハイ!」 「ほらほら、病人が大きな声出すんじゃねえよ」 両肩を押されて無理やりベッドに押し付けられる。文句を言おうとした途端に、くーっと可愛いおなかの鳴く音がして思わず黙り込んでしまう。 「なんだよ、腹が減ってたのか…? 朝飯は食ったのか? っていうか…あいつらなんか用意していけよな…ったく」 「〜〜〜っ」 「ちょっと待ってろ、なんかすぐに食えそうなもん探してくる」 「…うん…」 この家にそんな調理もなしに食べられるものはおいてなかったと思うが、とりあえず父さんの思いやりは素直に受け取っておく。 … …… ……… ちょっと待ってろ、と言われてからもう既に30分以上経っているが、父さんが戻ってくる気配がない。 もしかしたら、どこかに買いにいっているのかもしれない。 「…喉渇いた…」 と、机の上においてあるペットボトルを見ると中身は空。仕方なく起き出して上から猫柄の半纏を着て体を冷やさないようにする。 階段をゆっくり降りていくと台所から妙な騒がしい音が聞こえてくる。 『えーっと、こうか…? うわっ、入れすぎちまった…っておいおい吹き出してんじゃねえかよ! あちーっ!』 訂正、台所は既に戦場になっているようだった。 「父さん、忙しそうね?」 「ん? おお、佳奈多か…わりいな、お前におじやでも作ってやろうかと思ったんだが…まぁ、この有様だ」 母さんが帰って来たら泣くわね…これは… 「いいわ、私も手伝うから…っとと」 そういった途端にふらついて父さんにもたれかかってしまう。 「いいから、休んでろ、な? 後は俺に任せとけ」 「どの口がそんな事言うのかわからないけれど…」 と台所の戦禍を見て呟く。 でも、いつものように頭が回らないところを見るとやっぱりまだ体調が万全でないからだろうか。 「なんとかなる…いや、なんとかするさ」 そういって私を…その…いわゆるお姫様抱っこをして部屋まで連れて行く父さん。 「や、やめてよ…こんな…恥ずかしいってば」 「俺の大事なお姫様だ。ちょっとばかし口が悪いがな」 「父さんに…似たのよ、きっと」 「はは、違いねえ」 クスクス二人で笑いあいながら私の部屋に戻って、ベッドに乗せられて、布団を被せられる。 大人しく寝てろよ、と言って父さんが部屋から出て行く。その背中にありがとうと言って私はもう一度眠ることにした。 … …… ……… 「…ん? 佳奈多、起きたか?」 目が覚めると額に冷たい感触。どうやら濡れタオルが乗っているようだ。 今何時かと聞くと昼を少し過ぎたところだと答えが返ってきた。 「熱、測ってみろ」 「ん…」 しばし沈黙。37.1℃。平熱に近づいてきたみたい。 「飯、食うだろ?」 「うん」 お盆の上に土鍋とレンゲだけ乗っていた。 「ちょっと、小鉢か何かで分けてくれないの?」 「あん? ほら、あーんしろ」 「………」 「そんな可哀想な人を見る目で見るんじゃねえ、ほら」 強引にレンゲにおじやを乗せて口元に持ってくる。おなかが空いてるのは事実だし、つまらない問答で時間を使うのももったいない。 あーん、もぐもぐ、あら、意外とおいしい。ちょっと味付けが濃いけれど、私はこれくらいが好き。 「おやじのおじやの味はどうだ?」 「…寒いわ…」 「そりゃ、風邪引いてるからな」 「最低ね…最低…」 ◆ 夕方を過ぎて熱も下がり、ベッドから起きだして飲み物を取ってこようと戦場に向かう途中、居間で昔懐かしいドラマを見ていた父さんがこちらに気付く。 「ん…佳奈多、どうした。もう寝てなくて良いのか?」 「うん、熱も下がったし、体もだるくないから平気」 んっ、と体を伸ばす。ちょっとだけポキポキと音を鳴らして間接が伸びるのを感じる。 「そういう治りかけが肝心なんだよ、ほら。お茶か? スポーツドリンクのほうがいいか?」 父さんはどうやら私をまだ子ども扱いしているようだ。自分の体くらい、自分で管理できるんだからいつまでも過保護なのはどうかと思うんだけれど。 「もう、父さんは過保護すぎるのよ。いつまでも子ども扱いしないで」 そういうと父さんはこちらを真っ直ぐ見つめて、 「そうか…でもいままで子ども扱いもしてやれなかったからな」 「……」 そうか、過保護なだけじゃなくて、私の事をどう扱っていいのか戸惑っているんだ。 「…そうね…そういえばそうだったかな…」 「こんな病気のときくらいはよ…俺に甘えてきても、良いんだぞ?」 ストン、そんな音を立てて私の心に広がっていく父さんの言葉。 「うん、そうする」 そう、素直に言えた。 「ありがと、父さん」 「礼なら俺じゃなくて、俺たち家族を繋ぎとめたアイツに言えよ」 照れくさそうに私の頭にポンと手を置いてあさっての方向を向く。 「直枝の事?」 ピンポーン 「佳奈多さーん?」 噂をすればなんとやら。 葉留佳に私の事を聞いた直枝が呼び鈴を鳴らす。 きっと、彼の姿を見たらまた熱が上がりそうな予感がする。 だって、私は今… 風邪よりひどい恋の病を患っているんだから。 [No.910] 2009/02/05(Thu) 21:46:40 |
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