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最後のボールが落ちた。 「よし、今日はここまでだ」 恭介の声が暗く染まったグラウンドに響く。僕を含めてそれを聞いたメンバーは恭介の周りに集まる。 この、10人全員が集まったリトルバスターズでの野球の練習が終わった。 明日は卒業式。もちろん恭介はその卒業式に出る。 今日の練習で最後なんだと思うと、寂しい気持ちが湧き上がる。みんなもきっと同じ事を思っているだろう。 「おいおい、お前らそんな悲しい顔すんなよ。また集まれば出来るだろ?」 恭介はこんな時なのに、笑顔を忘れてなかった。 僕は恭介の言葉に返事をしようと思ったけど出来なかった。 ……声が、出なかった。 「お前らも来年度は頑張れよ。俺だってな、こう見えても頑張ったんだからな」 恭介はいつだって凄かった。僕には超えられない存在なんだと、改めて感じる。僕達には成し遂げられないことも、全て一人だけで成し遂げてしまう。 「そうだね……僕達も、頑張るよ。ね、みんな」 恭介の姿を前にして今日始めてちゃんとした声が出せた。声を出して、言葉にする。この行動は、今の僕には大変に思えた。 「ああ、そうだな。オレから恭介にやる筋肉がなくなった分、これからはお前ら全員に分け与えてやれるな……」 「いらんわぼけぇーーーっ!」 真人のボケに鈴のハイキックが炸裂。そこでみんなが笑い、しんみりとした雰囲気から和んだ空気が流れた。 「ふっ、まぁ貰ってやってもいいんじゃないか?真人の筋肉はいいもんだぞ」 恭介が真人のボケに合わせてくれた冗談に、変わらない日常の一コマがまだこれからもあるのだと僕は感じていた。 「それよりだ……今日はもう遅い」 だけど、その言葉に突然現実に戻された。やっぱり、もう終わりなんだと。 この寮と学園生活の中で、もう数える程しかなかった。 恭介からの言葉も、とても少ない。何かあるのかと思ったが、何もなかった。 「解散だ」 その後には何も続かなかった。 「そうだ。忘れていたが、また四月から野球の練習を始めるからよろしくな。忘れるなよ!」 「えっ?」 「あ?」 「は?」 「ふぇ?」 「うみゃ?」 「へ?」 「わふ?」 「む?」 「はい?」 みんなの声がひとつになった瞬間だった。 [No.934] 2009/02/20(Fri) 22:47:06 |
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