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『真っ暗な部屋の中、月明かりだけがわたしたちを照らしていました。月明かりに照らされた、美鳥の体はほんとにきれいでした。 「やっと、素直になったね、お姉ちゃん」 ぴちゃぴちゃと、音を立てて、わたしの胸をなめながら、つぶやく美鳥に、わたしはコクンとうなづきました。数時間前までたしかに嫌がっていた、わたしのカラダは――、今は素直に美鳥の行為のすべてをうけいれていました。私の胸や背中をなめたり、もんだり、強くつまんだり、回すようにもんだり。それらの行為全てを受け入れていました。服の上から胸をもまれる、ただ、それだけの行為でさえ、わたしにとっては耐えがたいことであったはずでしたのに。「わたしたちは女同士でしょう?こんなの……正しくありません」そんなことをいって美鳥の攻めを否定していたのがもう何日も前のようにさえ、思えました。 「でも、勘違いしないで下さい、全ては、あの為ですから」 「ふ〜ん」 そういう美鳥は、まるで信じていないように――いえ、まったく信じていないのでしょう――いたずらっぽい笑みを浮かべ、わたしの大事なところを指差しました。 「じゃ、今から、こっちに指をおもっていたんだけど、やめていいよね?」 「――え?」 ソコに、指を入れる?わたしにはそういう経験はありませんが、知識として、そういうことをするのは知っていました。胸で、これだけ気持ちよかったら、ソコに美鳥の指を入れられたら、どうなってしまうんでしょう? 「だって、こっちは関係ないでしょ?お姉ちゃんの目的には」 考え込んでいる姿のわたしをみてか、さらに笑みを浮かべる美鳥。そんな美鳥にわたしは、こらえきれずに―― 』 「……美鳥、何かいてるのさ」 「り、理樹くん、いつきたのよっ」 美鳥があわてて小説をかいていた紙をしまった。恥ずかしいのか、その顔は真っ赤だった。 「いや、まぁなんていうか偵察?で、美鳥は何してるの、店番、しなくていいの?」 「葉留佳一人でもう十分だから」 そういわれ、店頭の方をみると、葉留佳さんが一人で店番をしていた。どういう経緯があったのかはわからないけど、葉留佳さんもここに来ていたんだ。葉留佳さんは、いつもの騒がしい印象はなりをひそめ、おとなしく店番をしているみたいだった。 とりあえず、今の状況を説明しておこう。 僕と美魚、美鳥の3人は今、同人誌即売会にきていた。美魚はBL、美鳥は百合を主体としたサークルの主催で、今回二人とも同人誌をだしていた。 美魚は恋人である、僕と一緒、美鳥は一人でやっていると思ったんだけど、葉留佳さんと一緒に同人誌を販売していた。美魚の話によると今回も、売り上げ金額が多かったほうが勝ち、という勝負をしているらしい。もっとも今まで美魚の連戦連勝らしいけど。 姉妹で同人誌を製作していて、姉はBL、妹は百合。あらためて考えるとほんとにだめな姉妹だなぁ、と思う。ちなみにこれも美魚に聞いた話だけど、BLと百合、どっちが正しいかという論争をよく繰り広げているらしい。道具をつかわないと一緒になれない、そのもどかしさがあるから百合のほうが正しいだの、道具をつかわなくても一つになれるBLのほうが正しいだの。そんな論争を繰り広げている。 僕としてはもちろん、どっちも間違っている、としかいいようがないんだけど。 「で、美鳥はいったいこんなところで何をかいているのさ」 この場でかくことは別にルール違反じゃないだろうけど、この場にきたからには書いているよりは、他のサークルにまわって同人誌を買いあさったほうがいいだろう。実際、美魚はそうしているし。それなのに、一体どうしてこんな場で、百合な小説を作っているのかが気になった。 「理樹くんには教えてあげない、だって理樹くん、美魚に聞かれたらいっちゃうでしょ?」 「そんなことないよ、美鳥が秘密にしてほしい事なら絶対に言わない」 「でも理樹くん、お姉ちゃんに調教されているじゃない、お姉ちゃんのいいなりでしょ、理樹くん?」 調教って言葉は酷いなぁ、と思うけど、半分事実だったりするから笑えなかったりする。美魚に調教されている――というかいいなりってのはこの数ヶ月に嫌というほど実感していたのだから。 美魚がBL小説を読んだり書いたりするのが好きな女の子だとしって――しかもあろうことか僕らをモデルにすることもあると知って――それまで付き合っていたとはいえ、美魚と別れようと一瞬ほんとにそうおもった。美魚が「これはあくまで妄想で現実とは違うんです」といわれても、どうしても納得できなくて、どうしても拒否してしまう自分がいた。だけど、美魚から離れると、美魚の声を聞きたくて、美魚の顔をみたくて、美魚の体に触れたくて――どうしようもなくなって、結局付き合い続けることになったのだ。 で、それから、いろいろあって、BLについての知識を叩き込まれ、こうして同人誌を一緒に――僕らをモデルにしているものももちろん入っている――販売することになったのだ。で、改めて美魚につきあうようになってから、BLに関して、攻め、受け、誘い受け、バイ、リバとかいろいろな言葉を覚えたり、同人業界についていろいろなことを知ることになった。……こういってはなんだけどだんだん普通の少年にもどれないような気がしてきた。 「もう戻れない気もするけどね」 ひどいなぁ、と苦笑する。 「でも、ほんとに美魚に秘密にしておきたいことだったら、僕は美魚に言わないよ。美鳥にも嫌われたくないし」 「……その言い方は卑怯だよ、理樹くん」 そういうと、やれやれといった感じで、段ボール箱を取り出した。 「もう一度いうけど、本当に美魚にはいわないでね」 「言わないよ」 そういうと、美鳥は段ボール箱を開けた。そこには美魚の水着姿がプリントされた、大量のおっぱいマウスパッドがあった。 「……どうしたの、これ?」 「科学部部隊がもっていたから、いただいてきたの」 うわぁ。ってかあの科学部部隊はライトセイバーだの、メガバズーカランチャーだの、一体何をつくっているんだろう。 「でも、これ、一つ、問題があって――理樹くん、おかしいの気付かない?」 「……まぁ美魚はこんなに胸、大きくないよね」 美魚の胸はほとんどぺったんこだ。 「話によると、まだ試作段階だったみたい。……だから、こうして美魚の理由が大きくなった話、つくっているの、罰ゲームでおっぱいマウスパッドを作ることになった美魚、自分の胸のあまりの小ささに絶望して、なんとか胸を大きくしたいってストーリーで……」 「……そんな理由で!?」 誰もそこまでこだわらないだろうに、というと、美鳥が神妙な顔をしていった。 「わたしもそう思ったんだけど、さっき隣で、クドリャフカのマウスパッドが売られていたんだけど、通りすがりの人が、『こんな胸が大きいクドなんか認めない!ロリ巨乳なんて邪道!』ってなことを30分ほど延々と語ってて……それでひっこめたってことがあったから理由づけが必要かなぁ、って思って」 うわぁ、そこまでこだわる人がいるんだ。 「ってか、これ売るの!?」 「一回くらいお姉ちゃんに売上でかちたいからね」 そういう美鳥は真剣だった。まぁ気持はわかるけど、やめといたほうがいいよ、と思いながら、マウスパッドの胸をもむ。うん、たしかに美魚の胸より大きい。 「僕は美魚が巨乳でも貧乳でも関係ないけどね」 たとえ美魚が巨乳でもかわらず、美魚を愛するだろう、と思った。 「理樹くん、もう美魚が男だったとしてもそのまま恋人として付き合いそう」 冗談交じりに美鳥がいった。 ちなみにもちろん、美魚は女の子だ。あれやこれやそれやをして、僕は十分にそれを知っている。まぁもし、本当に男だったとしたら、それだとやっぱり恋人としてつきあうことはないだろう。そりゃ、美魚が書いている同人誌だったら、 『「美魚……、脱がすよ?」 「そ、それだけはやめてください、直枝さん」 今、僕の部屋には僕と西園さんの二人しかいなかった。夜、こんな状況で二人きりでいたら、我慢なんてできるはずがない。美魚とつきあいはじめてから早1年。キスをつきあってから3ヶ月目に済ませたのに、それから先に進めなくて、もどかしくって――。美魚のことが欲しくて欲しくてたまらなくて――、美魚を押し倒した。美魚は、もう、耐えられない、といった感じで手で顔を覆う。その姿が僕の気持ちをさらに昂ぶらせた。 「……脱がすよ?」 もう一度、美魚にそういった。たとえここで美魚に拒否されても、僕は同じ行動をとるのに、僕は美魚にそういった。 美魚はもう観念したようで、何も言わなかった。 僕はそれを肯定とうけとって――服を脱がした。 ……はじめ、それがなんだか信じられなかった。 美魚の股の間に、見慣れたモノがついていた。 「ごめん、なさい…」 美魚が、謝る。そうだ、よく考えたら、美魚みたいに日本一、いや世界一可愛い子が女の子のわけがなかった。どうして気付かなかったんだろう。そのことを悔やむ。 でも。 「美魚」 そう一言だけ言って、美魚にキスをした。美魚の目が大きく見開かれる。 「好きだよ」 「直枝、さん……」 男だと思っていてもやっぱり、可愛い。このかわいさは本当に、犯罪だった。 そして僕は、美魚に僕自身を―― 』 ――って、感じになるんだろうけど、実際にはそういうことがおきるはずがない。なんてことを美鳥に話すと、美鳥の目が大きく、見開かれた。 どうしたんだろう? 「あのね、理樹くん、一つ聞きたいんだけど」 「うん」 「今の小説、誰がつくったの?」 「おかしなこときくね。そりゃもちろん、ぼ……」 そこまで言って気づく。今僕とんでもないものを作ったような気がする。さっきまでの妄想を思い出し、僕は頭を抱えた。って自分で考えてなんだけどさっき自分が考えた小説を忘却したい。 「やっぱり理樹くん、もう戻れないね……」 その言葉にもちろん反論したかったけどとても出来なかった。 「二人で何を話しているんですか?」 「み、美魚!?」 「お、お姉ちゃん!?」 いきなりこの場にあらわれた美魚に驚く。美魚と一緒にいるのは僕だけで、二人もいなくなったらブースには誰もいなくなってしまう。 「大丈夫です、某風紀委員ちょ……風紀委員の方が代わりに見せ番をやってくれましたから、それよりも美鳥、これはなんですか?」 美魚はさっきまで美鳥がかいていた小説を指さす。うわぁ…。 そりゃ自分をモデルにした、こんな小説を書かれていたら、いい気分はしないだろう。 「どうして、あなたはいきなり百合に目覚めたところから書くんですか。百合に戸惑う様子をかかないんですか!百合のことはよくわからないけど、はじめ戸惑うところを書くのが当然でしょう!?」 ……そっちに怒っているんだ!? そういや、美魚、現実は現実、妄想は妄想っていっていたから、すみわけがしっかりできているんだな、って思いながら、やっぱり美魚と美鳥は仲いいんだな、と思った。 普通の姉妹とはかけ離れているけど、ね。 ちなみに某風紀委員長と某問題児がこの同人誌即売会で出会い、仲良くなったのはまた別のお話。 [No.120] 2009/05/16(Sat) 22:06:39 |
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