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No.165へ返信

all 第35回リトバス草SS大会 - しゅさい - 2009/06/11(Thu) 23:22:09 [No.154]
そりゃ、煙じゃ腹は膨れねぇが。 - ひみつ@10211byteここからがほんとうの遅刻だ! - 2009/06/13(Sat) 18:28:57 [No.171]
しめきりー - しゅさい(笑) - 2009/06/13(Sat) 00:23:57 [No.167]
どくどく - ひみつ@8596byte - 2009/06/13(Sat) 00:06:48 [No.165]
[削除] - - 2009/06/13(Sat) 00:00:08 [No.164]
駕籠の鳥と毒りんご - ひみつ 8074 byte - 2009/06/12(Fri) 23:56:40 [No.163]
精神解毒薬 - ひみつ@7950byte - 2009/06/12(Fri) 23:53:01 [No.162]
気の毒な姉妹 - ひみつ@1071 byte - 2009/06/12(Fri) 19:10:20 [No.161]
毒は上に積もる - ひみつ 9397 byte - 2009/06/12(Fri) 18:25:23 [No.160]
コルチカム - ひみつ@12180byte - 2009/06/12(Fri) 14:34:55 [No.158]
(No Subject) - ひみつ@12180byte - 2009/06/12(Fri) 14:36:16 [No.159]
修正しといたよ! - すさい - 2009/06/13(Sat) 00:17:30 [No.166]
Sweet Baggy Days - ひみつ@14977 byte - 2009/06/12(Fri) 04:34:51 [No.157]
彼岸花 - ひみつ@7372 byte - 2009/06/12(Fri) 00:21:30 [No.156]
彼岸花 - 橘 - 2009/06/28(Sun) 15:37:45 [No.207]
『彼岸花』修正しました - 橘 - 2009/06/28(Sun) 15:42:27 [No.208]
All I Need Is Kudryavka - ひみつ@18627byte - 2009/06/12(Fri) 00:05:09 [No.155]


どくどく (No.154 への返信) - ひみつ@8596byte

「な、棗鈴! 覚えてらっしゃい!!」
「……おとといきやがれ」
「むきーっ!!」
 ばたばたばた、と取り巻きをたずさえて走りさっていくツーテールの少女。それを見送るポニーテールの少女。
「ん?」
 ツーテールの少女が立っていた場所に、ふくろが落ちていた。拾い上げる。
「んー? どうしようか」
 ポニーテールの少女はしばらくんーんーうなっていたが、やがて「良し」とうなずいて走り出した。
 向かう先はツーテールの少女の部屋。
 ではない。





   「どくどく 〜気の毒・毒電波〜」





 男四人でまったりとババ抜きをしていた夜十時。さっきから姿が見えなかった鈴が僕の部屋に入ってきた。
「理樹。戦利品だ」
「ありがとう……?」
 入ってくるなりなにかを押しつけてきた。
 反射的に受け取ってしまった布のふくろ? を開けてみる。ふわり、といつも使っている洗濯洗剤とは違うにおいがする。文字が見えた。『笹瀬』……。
「って待って待って待って! これ笹瀬川さんのだよね? どうして僕に渡すのさ!?」
「私のよそうでは、たぶん、すばやさが上がるような気がするかもしれないぞ。つかえ」
「どうやって!?」
「まあ良いじゃないか。もらっておけよ」
 事態を見守っていた恭介からの助言。……助言?
「良いか理樹。鈴はバトルに勝った。つまりこいつは正当な報酬だ。それをどう使おうと鈴の自由だ。それに……これは、良いものだ……!!」
「うわぁ」
「変態かよ」
「さすがに今のはないな」
「きょーすけはきしょい」
 幼なじみ四人でかたまって、恭介から一歩遠ざかる。
「なんでみんなしてドン引くんだよ! 泣くぞ! 俺はやましい気持ちで言ったわけじゃねえよ!
 理樹。おまえのバトルランキングはいくつだ?」
「さ、最下位だけど」
「なら、こいつを使って逆転してみせろ。もっと上をめざそうぜ?」
 たしかに、ここ最近の僕は負け続きだ。この辺で挽回したいところだ。
 そのきっかけが、『これ』だと言うのなら。
「そうだね……うん。恭介の言うとおりだ。これを使って、勝ち抜いてみせるよ」
「その意気だ。めざすのはもちろん?」
「優勝だよ」
「上等!」
 恭介は最後に僕の頭をぽむり、となでて部屋を出て行った。謙吾と鈴もそれを追うように自分の部屋へと戻っていった。
「さて……ちょっと早いがオレは先に寝るぞ」
 言うが早いが、真人は床に寝っ転がって、背筋をはじめる。
「ふっ。ふっ。ふっ」
 いつものペースではじめたと思ったら、徐々にペースダウンしていき、動きを止めるころには吐く息が寝息に変わっていた。
「……ふっ。……ふっ。……ぐごー」
「何回見てもすごい寝方だよね……」
 名づけて筋トレ睡眠だぜ! と言っていた真人のまぶしい笑顔が思い出される。
 さてと。
 手には鈴から譲り受けた戦利品がある。バトルに使えと言っていたけど、バトルがはじまったとたんにこれを取り出して使うのはなんだか変な気がする。
「あ。じゃあずっとつけてれば良いじゃない」





 びょるん。
 理樹の体力が80UPした!





 明けて翌日。僕はランキング9位の西園さんにバトルを挑んだ。

   【真人の唯一の友達】直枝理樹
             VS
             【日傘を差した物静かな天然素材】西園美魚

 途中でなんだかよくわからない兵器を使うようになったけれど……。
「負ける気がしない!」
 ガッシボカッ!
 というわけで圧勝。
「今日の理樹は一味違うな」
 ジャッジの恭介も息をのむほどの気迫を出しているらしい。
「じゃあ、西園さんの称号は【柔らかい昆虫】ね」
「……どうコメントしていいかわかりません」
「お、なんだよ、もう終わっちまったのかよ」
 そこに、タイミングよく真人が現われる。真人のランキングは7位だ。
「いや、これからはじまるんだよ。【せくしー!!】真人」
「へへっ。やる気マンマンじゃねぇか、【真人の唯一の友達】理樹!
 ……ん? うおぉぉー!!? オレ、友達少ねーーー!!!!」
 ぐしゃぐしゃぐしゃー、と髪をかきむしりはじめる真人。バトルがはじまる前からダメージ受けてるよ。

   【真人の唯一の友達】直枝理樹
             VS
             【せくしー!!】井ノ原真人

「さっさとはじめるぞ。……Are you ready!」
 恭介の合図で、次々と武器が投げ込まれる。目をつぶって、手を伸ばす。と、胸に当たったなにかを、とっさに抱きかかえて持つ。僕の武器が決まった。
「じゅ、十万石ま○じゅう……どう戦えと?」
「世の中には『まんじゅう投げ』なる慣習があるらしい。投げて良し」
「理樹……悪ぃな。これも勝負だ」
 ひゅんひゅんひゅん、と槍のように振り回される……深谷ネ○。しかも二本。
「格好つけたわりには五十歩百歩だね」
「この深谷ネ○は今までの深谷ネ○じゃねぇ。言うなれば超深谷○ギだ。マジでハンパねぇぜ?」
「バトルスタート!」
「ていっ!」
 先手必勝。スタートと同時に、十万石ま○じゅうを投げつける。
 でも。
「甘ぇ!」
 真人の左の深谷ネ○によって切り払われる。そのまま距離を詰められ、右の深谷ネ○が――。
「うわぁ!?」
 とっさに飛びのいたが、左の肩口に攻撃を受けてしまった。
 飛びのかなかったら、頭にもらっていた。
「さすが真人、強いや」
「もう降参か? 今降参すれば、【真人の友達のひとり】にしてやるよ」
「冗談。勝たせてもらうよ」
「そうこなくっちゃ、な!」
 風を切る深谷ネ○。右から左から、僕を叩きのめさんと荒れ狂う。
 守りに入るしかない。深谷ネ○をよけ、よけきれずにくらい、ときには十万石ま○じゅうで受け止め、隙をうかがう。
「そらそらそらーっ! くらいやがれ、理樹!!」
 一気に決める気だ!
 二本の深谷ネ○を、背中に隠れるくらいに振りかぶる。
 その瞬間。攻撃が止んだ。
「今だ!」
 手に持ったすべての十万石ま○じゅうを、真人の顔に投げつける!
 たまらずひっくり返る真人。が、すぐにジャック・ナイフで立ち上がる。その顔は、苦渋。
「ちぃっ。今日の理樹はしぶといな……」
「まあね。僕には『これ』があるからね」
 ネクタイに手をかけて、一息に引き抜く。そして上着とYシャツを同時に脱ぎ捨てたそこには、
 『 笹 瀬 川 』
 の文字が入ったTシャツ。
「もちろんこっちも」
 ベルトを緩め、ズボンを落とす。小さくて見にくいが、こちらにも
 『 笹 瀬 川 』
 の文字が入ったクォーターパンツ。
「な、なにを着てらっしゃいますのおおおぉぉぉぉ!!??」
 群衆の中から、大声が上がる。見るまでもなく言葉尻だけでわかる。笹瀬川さんだ。
「なにって……体操着だよ」
「そんなの見ればわかりますわ! その体操着は、わた、わたくしの……!」
「そうだね」
「返しなさい!」
 怒りの形相でつかみかかってくる笹瀬川さん。しかし、その進行を恭介が止める。
「おっと、まだバトルの途中だぜ? お嬢さん」
「そんなの関係ありませんわ! いいから通しなさいな!」
「そんなに返してほしいのかい?」
「当然ですわ!」
「なら道はひとつ……バトルだ」
 恭介の言葉に、目を丸くする笹瀬川さん。その顔が徐々に呆れ顔に変わっていく。
「あなたたちがやってらっしゃる『バトルランキング』に参加しろとおっしゃるの? 馬鹿馬鹿しい」
「おや、逃げるのかい?」
「くだらないと言っているのですわ」
「ちなみに、今のバトルランキング暫定王者は、俺の妹だ」
「受けて立ちますわ、棗鈴!」
 簡単に乗せられた!?
「直枝さん、まずはあなたからですわ」
「ちょっと待て! 今はオレとのバトル中なんだよ!」
「こっちのカードのほうが面白そうだからな。いったんおあずけだ」
「ちっくしょーーー!!!」
 野次馬から投げ込まれる武器。
「これだ! って草加せ○べい……」
「うなぎパイと同じだ。それで叩け」
 対する笹瀬川さんは、
「高枝切りバサミ!?」
「おーっほっほっほっほ! これでちょん切って差し上げますわ」
「な、なにを?」
「ナニを」
 頭に血が上りすぎて、さっきから笹瀬川さんらしくない言葉ばかり出てくる。
 ショキン、ショキン。
 空を切るハサミに、お股がひゅんっとなった。

   【真人の唯一の友達】直枝理樹(内股)
             VS
             【唯我独尊の女王猫】笹瀬川佐々美

「ば、バトルスタート! とりあえず理樹逃げろー!!!」
「言われなくても切られたくないよ!」
「ええいちょこまかと!!」
 ばっつん。
 紙一重でよける。けど、よけきれずに体操着の胸元に切れ目が入る。
 右胸がぽろり。
「さささがわさん!? 体操着、体操着!」
「あとでつくろいますわ。わたくし、和裁洋裁なんでもござれでしてよ」
「意外に家庭的……ぅわひぃ!?」
 ばっつん。
 切れ目ふたつ目。僕のおっぱいが丸出しだ。
「これ、笹瀬川さんがこのまま着たら、大変なことになるね。いや、大層なことになるね」
「……〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!??」
 自分が来た姿を想像したのだろう。笹瀬川さんの顔が真っ赤にゆであがる。
「それっ、そのっ、わたっくし!」
 あうあうあう、とつぶやいたあと、笹瀬川さんはぱったりと倒れてしまった。初心だ。
「言葉責めですか……直枝さんは鬼畜ですね」
「ごめん、笹瀬川さん……僕は負けられないんだよ。どんな手を使っても、ね」
 そうして僕は、気の毒な少女に称号を送る。僕が着ても体操着の胸元がぴったりだった少女に。

   1:バトルランキング暫定王者 棗鈴
   2:真人よりは強いただそれだけ 宮沢謙吾
   3:怒涛のニンジャファイター犬 能美クドリャフカ
   4:今が旬のビジュアル系ボーカリスト 棗恭介
   5:真人コーポレーション女工作員A 神北小毬
   6:セクシー☆ゆいちゃん 来ヶ谷唯湖
   7:せくしー!! 井ノ原真人
   8:セクハラ大将 三枝葉留佳
   9:真人の唯一の友達 直枝理樹
   10:柔らかい昆虫 西園美魚
   11:がっかりおっぱい 笹瀬川佐々美




















「理樹。言いにくいが……手にした武器意外を使ったから、お前の負けだ」
「え?」


[No.165] 2009/06/13(Sat) 00:06:48

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