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私たちの問題が解決してから1ヶ月が経とうとしている頃。相変わらず心の中は葉留佳の事で一杯なんどけど、どこかおかしい。 前よりもあの子の事を気にするようになっている。一緒にいない時間がとても寂しく感じる。どうしたのかしら私…… 静寂が身を包む、辺りに人がいない中庭で一人待つ。葉留佳に8時に来るように言われたのだが、約束の時刻を10分も上回っていた。 まったく、話があるって言うから来ているというのに。これでつまらない内容だったら承知しないんだから。 そう思っているうちに葉留佳が来た。ベンチに座り、隣に来るよう促す。 「ごめん……遅れた?」 「10分遅刻。まあいいわ、予想はしてたし。それで、話って?」 「あ、うん、えっと……」 葉留佳にしては歯切れが悪い。俯きながら言いにくそうにしている。そもそも呼び出して話すという時点で葉留佳のとる行動ではない。 どんな内容かはわからないけど待つしかない、そう思っているとようやく葉留佳は話し出した。 「……最近なんか変なの。お姉ちゃんといるとドキドキして、いないと不安で、いつもお姉ちゃんのことを考えてる」 え、それってまさか…… 「最近やっと気づいたの、自分の気持ちに。私は……お姉ちゃんのことが、好き……」 何を言われたか理解するのに数秒かかった。そして整理する。えっと、今のは告白、でいいのよね…… 見れば月の光に照らされた葉留佳は頬を熟れた苺のように染めて口は堅く閉じられている。今食べればきっと甘い味がすると本能が告げる。 そして先ほどの台詞に、心拍数は急上昇する。だが自分の気持ちを認めてしまえば……もう戻れない。 「……その気持ちは一時の気の迷いよ。女の子同士でそんな感情、有るわけないわ」 「本当に、そう思ってる?」 「どういうこと?」 「私は、お姉ちゃんのこともっと知りたいし、一緒にいたい。いろんなこともしたい。お姉ちゃんはそう思わないの?」 そう聞かれれば何も言えなかった。葉留佳の言ったことはすべて私が望み続けてきたことだから。 「お姉ちゃんは私のこと、好き?」 「……葉留佳が言ってるような意味では、違うわ」 「嘘だよ、それは。お姉ちゃんの心臓、こんなに速く動いてる」 そう言って潤んだ瞳で私を見つめ、胸に手を当ててくる。抑えていた感情が脳内を駆け巡った。 もう自分の気持ちに嘘を吐かなくていい、葉留佳を愛していい、ずっと二人でいたい、その思いだけが加速していく。 「……本当に、私でいいの?」 「お姉ちゃんでないとダメ。他の誰でもない、たった一人のお姉ちゃん」 その一言は、自我を崩壊させるのに十分な一言だった。 葉留佳の華奢な手を取り、自分の手へ、指へ、緩やかに絡める。潤んだ瞳に映るのは自分の顔。 見つめ合う、たったそれだけで心臓の鼓動が早まってしまう。 「ねえ葉留佳、一体いつから私のこと……好きだったの?」 「うーん、気がついたら好きになってた。でもきっかけはたくさんあるよ。一緒に話したり、遊んだり、そんな時間を 過ごしてるうちに意識してたと思う」 「確認の意味で聞くけど、本当に……私でいいの?」 「もう……恥ずかしいこと何回も言わせて楽しむなんてひどいよぅ」 「じゃあ、言葉以外で伝えてみれば?」 少し挑発気味に言ってみる。少し悩む様子を見せた後、ゆっくりと私の唇へと……ってええ!? 「ちょ、ちょっとストップ!」 「なに、どうしたの? まさか緊張してるの?」 「葉留佳は平気なの? そんな、いきなり……」 「お姉ちゃんって意外と純粋だったんだ。大丈夫、私がリードしてあげるから」 「ちょっと待ち、んっ……!」 葉留佳と私の唇が重なり合う。その瞬間理性などはるかに飛んでいった。 そんな私の脳に、電波が届いた。空の下とかいう場所は関係ないだろう。葉留佳への愛でしかないと断言できる。 「……そういえば葉留佳、私より胸大きかったわよね?」 「え? まあ、一応ね。もしかしてうらやましい?」 「胸って揉んでもらうと大きくなるって言うわよね」 「うん、ってまさかお姉ちゃん……」 「そのまさかよ、葉留佳」 「でも上手くできるかどうか……それにいきなりなんて……」 「いつもスキンシップとか言ってくっついて来るのにどうしたの? 私をリードしてくれるって言ったの誰だっけ?」 「そんな事言われるなんて予想外だったし、私にもペースってのが……」 さっきは見る余裕なかったけど、恥らっている葉留佳ってなかなか見れないのよね。なのでしっかりと目に焼き付けておこうと その様子を凝視すると、こちらが恥ずかしくなってくるくらいに顔に赤みが増すのでぎゅっと抱きしめたくなった。 今の私が我慢できるはずもなく、正面からそっと優しく抱きしめた。全身で感じる葉留佳の体温はとても暖かい。 葉留佳は戸惑いながらも抱きしめ返してくれた。気持ちいいけど、顔が見えないのでその感触を堪能した後、そっと身を離す。 「お姉ちゃん、私もう我慢できないよ? ホントにいいの?」 「いいわ、葉留佳。来て……」 そう言い終わった直後、葉留佳のしなやかな指が近づく。鮮やかな蝶のように飛翔するそれは私の制服へと触れ、 距離を妨げる権化を断ち切る。外気に晒された肌に清風が触れ、上がった体温を冷やしてくれる。が、それも一時。 風が過ぎ去った後に残る感覚は、冷たい気体ではなく温かい固体。私の触覚は敏感に反応する。 「んっ……葉留佳、どこまで行くの?」 「行けるとこまで、かな?」 きっと終点まで行くことになるんだろうけど、その覚悟はできてる。葉留佳が途中で止まるはずがない。そして、今の私も。 一度手に入れた幸せを手放すつもりはない。これからいろんなことが待ってるんだろうけど、今はただこの甘い時間を堪能していたい。 おそらく朝日が昇ってもわからないだろう。もう葉留佳しか見えないのだから。 [No.226] 2009/07/10(Fri) 23:32:52 |
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