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「うー、暇だー」 駅前のベンチでぐてーっとしながら溜め息をつく。 遊びに来たはいいものの、一人じゃどうにもつまらない。 「これは誰かを召喚すべきですな」 一人がダメなら誰かを呼べばいいか。 けどさてさて誰を呼ぶべきですかね。 小毬ちゃんと鈴ちゃんは揃ってお出かけだからパス。無粋ですしね。 姉御もどっかにお出かけ。 ささみんは部活。 あやちんもなんか分からないけど用事があるらしい。 「となるとこの二人か。呼び易そうなのはやっぱクド公かな」 そうと決れば早速電話。 携帯を取出しボタンを操作する。 『はい、能美です。葉留佳さんですか』 数コールで電話に出るクド。 相手を待たせないその姿勢いいですな。 「うん、そうですヨ。今大丈夫?」 『あ、はい。えーと、大丈夫ですが』 「あ、じゃあさ、今日暇?暇なら今から買い物行かない?」 『買い物ですか』 「うん、そう。今駅前にいるんだけど一人で暇でさ。もしよかったら一緒に買い物しない?」 私がそう言うとクドは少し躊躇ったあと、電話口で謝ってきた。 『申し訳ありません。お誘いは嬉しいのですが、これから風紀委員の方たちとストレルカたちを連れて一緒に見回りに誘われているんですよ。なのでちょっと無理です。今更約束を反古にはできないですし』 「あー、先約があるのか。それじゃあ仕方ないね」 クド公の性格上、先約を断ることはできないだろう。 まっ、いいか。 『すみません』 「いいっていいって。じゃあお仕事頑張ってね」 『はい、それでは』 「はいはい。じゃまた」 ピッと電話を切る。 仕方ないじゃあ次はみおちんか。 うーん、来てくれるかなあ。いや、弱気になっちゃダメだよね。 気合を込め直し、携帯を操作して電話をかけた。 『はい、もしもし、西園ですが』 クドと違って取るまで結構時間がかかったなあ。 やっぱまだみおちんは携帯に不慣れなんだな。 「あ、もしもーし、葉留佳だけど、今暇?暇だよね。なら遊ぼっ」 ブツッ ……ん?急に向こうの音が聞こえなくなったような。 ああ、通話が切れたのか。 「っておい、みおちんっ!いきなり何するのっ!!」 慌てて電話を掛け直し文句を言う。 するとしれっとした回答が返ってきた。 『すみません。煩かったものですから、つい』 「ついって何さー。みおちんの意地悪〜」 『はあ。で、ご用はなんでしょうか』 全然悪びれてないし。 ううっ、挫けそうデスよ。 「だからあ、遊びに行こうって誘ってるの。具体的には駅前でショッピング」 『ああ、なるほど』 「うん、で来る?来るよね」 期待を込めてみおちんの言葉を待つ。 『いえ、無理です』 しかしその回答は無情だった。 「って、なんでさー」 『いえ、今日は買い込んでいた本を読もうと思っていたので』 「えー、私本以下?」 少しばかり冗談交じりで聞いてみた。 『……そうですね。まあ割りと』 「がーん」 ショックで数歩よろけてみた。 『……嘘ですが』 「ちょ、みおちん。本気でショック受けそうだったですよ」 ホッと一息。 いや、本気で言ってるとは思ってなかったけどね。 ただみおちんの私に対する態度から考えて可能性がないとも言い切れなかったからネタ晴らししてくれるとまでドキドキだったけど。 『ですがどちらにしろ今日は溜まっている本を片付けようと前々から思っていたのでお誘いをお断りするのは本当ですが』 「えー。いいじゃん別に〜」 『いえ、そこは譲れません』 「ぶーぶー」 相変わらずガードが固い。 ちくしょーみおちんめー。 『またお誘いください。その時はお付き合いしますよ』 「了解。きっとだからね」 そう言って私は電話を切った。 はぁー、これでリトルバスターズの面子は全滅か。 あ、男連中(理樹くんは除く)は最初から除外なんで。 「はぁー、理樹くんも寮会で忙しいし誘うのは躊躇しますね。うう、恋人なのに一緒に遊べないなんてなんて不幸なんだろう」 世の無常さをちょっと嘆いてみたり。 最近忙しいらしいからなあ。お昼とか夜中しかイチャイチャできないですよ。 「と、そういえば寮会といえば佳奈多がいたなあ。うーん、そういやあんまそっちとも遊べてないな」 すっかり忘れてたけど双子の姉とも最近とんと遊べてない。 まあバスターズに入らずずっと寮会で仕事しっぱなしだからなぁ。 「うーん、お姉ちゃん誘ってみるか。あーでも忙しいだろうしな」 確か理樹くんが今日も仕事だと言ってたはず。 だとするとちょっと無理かも。 「……いや、お姉ちゃんなら大丈夫か。ちょろっと演技すれば来てくれるはず。……あーでもそれだと理樹くんに負担掛かるかー」 でもなー。やっぱ一人は寂しいしなー。 このまま帰るのもなんか癪だし。 「よしっ。ここは理樹くんに頑張ってもらおう。私のためだもの、いいよね」 内心ごめんねと謝りつつ電話帳を呼び出す。 まあそんなに引き止めるつもりは今のとこないからきっと大丈夫でしょ。 それに責任感強いお姉ちゃんなら戻ったら頑張るはず。 「やー、はるちん悪女ですね。まっ、お姉ちゃんも理樹くんも許してくれるはずだよね」 特にお姉ちゃんは甘いからな。 騙されたと分かった後の処理も間違えなければそんなに怒られる事もないだろう。 「とりあえず泣く準備をしてっと」 一度深呼吸をして泣き真似の準備を完了する。 うんうん、涙の演技に関しちゃプロも顔負けですな。 「さて、じゃあ電話電話」 お姉ちゃんを落とすため、一世一代の演技を始めよう。 私は高らかに携帯の発信ボタンを押すのだった。 [No.249] 2009/07/12(Sun) 00:57:01 |
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