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私、三枝葉留佳は西園美魚のことが好きである。 そりゃもーだいすきで遠くから彼女が本を読んでいる姿や歩いている姿、会話している姿、授業を受けている姿を眺めているだけで幸せで、彼女の写真をみながら毎日寝ている。 見ているだけで飽き足らなくなったら、美魚ちんの近くにいき、「邪魔しないでください」なんていう瞳をみることで美魚ちん分を補給する。 至福の一時で、それだけでごはん3杯はいける(比喩的な意味にあらず) ほんとにたまにだけど「三枝さんはほんとにしょーがないなぁ」という瞳ではるちんを見つめてくることがある。 その時はごはん5杯はいける(食べないけど) でも美魚ちんには彼氏がいる。 名前は直枝理樹。通称理樹くん。 もちろん幸せな二人を引き裂くつもりなんてない。だって美魚ちんを眺めているだけで幸せなのだ。 恋をしているみおちんをみるのは楽しかった。そもそも美魚ちんは恋する前からずっと毎日みるのが楽しかったんですけど、最近その楽しさがとみにあがってきた。完璧さを漂わせているとおもわれてた美魚ちんのよさは、ずっと上がっていっているのですヨ。 さて、その美魚ちんですが最近は何かなやんでいるぽかった。理樹くんの話によると、最近一緒に同人誌即売会にいっていないとのこと。理樹くんいわく、「正直助かったんだけど、けどなんか、寂しくてさ―――――――――――西園さんらしくなくて」むむ、これは美魚ちんの中で何か変化が起きている気がしますネ。むむ、これはひょっとして、はるちんに心揺れ動かされてしまった!? ……なんて、もちろんそんなことないのはわかりきってる。でもそんなことがあったらとてもうれしい(念のために言っておきますケド、美魚ちんが幸せだと判断したら、別にわかれてもいいのですヨ。美魚ちんがそう判断したらそれが正義です) これは一つ、そういう設定で小説をかいてみるしかないですヨ! そんなわけで美魚ちんが書く小説というのを書いてみることにしました(初体験 設定としては、いつの間にかはるちんに心動かされてしまった美魚ちん、私の明るさに惚れこんでしまったはるちんは少しでもはるちんにちかづこーとし、理樹くんとの関係が微妙に変わっていく。そんなシーン、スタート! ☆ ――Riki side―― 最近、西園さんの様子がおかしい。 「直枝さんも、彼氏として少し協力してください」といって、一緒に同人誌即売会にいくこともなくなった。これが、いうなら第一段階だった。西園さんには悪いけど、僕にとっては、あんな本は気持ちの悪いものでしかなかったから、それは歓迎すべきことだった。この時点では気にもとめなかった。 第二段階に以降にしたのはそれからしばらくたってから。 同人誌即売会に最近いかなくなったな、って思ったくらいから、僕と会話していても上の空になることが多くなった。「どうしたの?」と聞いても何も教えてくれない。「何か、妄想していたの?」ときいたら「直枝さん、わたしのことをどう思っているんですか?」と聞いて怒られた。 そんな状況が、しばらく続いていた。 まぁそんなわけで、ほんとに最近の西園さんはおかしかった。なにかあったのか、そう聞こうとおもっていた今日、西園さんは――言うなら、第三段階に移行していた。 西園さんと中庭であったとき、彼女はこう、いったのだ。 「『動』って言う字って、重なる女、って読めません?」 いやいやいや、何をいっているのさ、西園さん!? ☆ つ か み ば つ ぐ ん ! いやいやリアルに40分も悩んだだけあって、いいものができました。才能あるんじゃないですかネ、私? しかし小説かくのって大変ですネ、ちょっと疲れてきましたヨ。 次、喧嘩のシーンかきましょうか。ケンカの理由……どうするのがいいんでしょうか? ☆ 「読めません?」 そう真剣にきいてくる西園さんに僕は面食らいつつも考える。 「動く、って言う字、ねぇ?」 「ほら、ちから、っていう字の跳ねた部分と払う部分がくっついたら」 えーーー、とおもいつつ、考える。 「(21)でロリと読むよりはきつくないと思いますが」 「うーーん、そういわれると、読めないこともない、かな?」 苦笑いしながら――そう、自分でも苦笑いしているとわかりつつ、西園さんにうなづくと、「そうですよね」といって、西園さんは微笑んだ。うん、やっぱり最近の彼女はかなり変だ。 「西園さん、どうしたの、最近」 「?何がですか?」 「変だよ、最近、さっきだって、恭介や、真人や、葉留佳さんみたいなことをいうし」 『動』って言う字って、重なる女、って読めません?なんて、普段の彼女なら間違っても言わないことだろう。 そういうと、西園さんの顔が少しくもった。 「変なのは、直枝さんのほうではありませんか?」 「僕?」 僕が変だといわれても心当たりがまったくなかった。 「どうして、いつまでも名前で呼んでくれないんですか?もう付き合い始めて、どれくらいたつと思っているんです!?」 「え?」 いきなりの彼女の言葉に面食らう。 「……もう、いいです」 それだけ言うと、西園さんはさっていった。 ☆ ケンカの理由、これしか思いつきませんでした。しかもちょっと流れが強引な気がしますヨ。でも美魚ちんって案外一度、こう、と思いこんだら融通が利かない人ですから、こういう展開もありかもしれなません。もちろんそこが美魚ちんの魅力の一つなんですケド。 しかしほんとあの二人、何で未だに苗字で呼び合っていますかネ? みおっちとかみおちーとか理樹くんも呼んであげればいいのに。 よし、ここから先が肝心。 シーンとしては、喧嘩した自分を嫌悪する美魚ちん。そしてそこに現れる私。心揺れ動かされた美魚ちんは、勢いあまって告白してしまう。戸惑いながらも受け入れる私。そして二人見つめあってキス。そして―――。 よ、よしここからです、かいてみましょー。 おねーちゃんがもっている小説本の知識フル活用でがんばりますヨ! ☆ ――Mio Side―― はぁ…。 さきほどのわたしの態度を思い出して嫌気が指す。そう、最近のわたしはとてもおかしい。胸が、ある人のことを思い浮かべるとざわめくのだ。 「やっほーみおちん」 その”ある人”の声が聞こえてきた。それだけで彼女のことを抱きしめたくなる。ってか、抱きしめちゃったぜ、みー。 「み、みおちん!?」 「葉留佳さん、好きです」 「うん…私も」 わたしたちふたりはところかまわず服を脱いだ。 ☆ 無理。 無理です、ごめんなさい。 あたしには荷が重すぎました。よく世の中の人はうだうだあーだこーだと書けますね、私には一生無理な世界だとわかりました。ってか美魚ちんのかわいさを表現するだけで、20480バイトは軽くつかうであろうことはよくわかりました。そもそもそれだけ描写しても美魚ちんの可愛さを実際に表現することは不可能でしょうネ。はぁもう今日は帰りましょう、とノートを閉じたその時でした。 「……このノートに書いてある話はなんなのか、説明を求めます」 「!!!!」 振り返るとそこに美魚ちんがいた。な、なんで、さっきもう学園から帰ったはずじゃ!? 「忘れ物を取りに学園にもどってきたのですが、三枝さんが珍しく中庭でノートを広げていたのでなんだろーと思ってきてみたのですが」 そこまでいって美魚ちんはふふふ、と笑う。美魚ちんのそんな顔をみるのは初めてだった。デジカメ持ってくれば良かったな、と本気で考える。 「まさか、こんなものを書いているなんて思いませんでした」 「ま、まって美魚ちん!」 本気で怒っている、これもまた初めての表情だった。怒った顔の美魚ちんをみるのは素敵だけど、近づくこともかなわなくなりそうで、誤解を解きたかった。 って、よく考えたら誤解じゃないですけどネ! 「えーーと、そのですネ、この話はいつも同人誌つくっているみおちんがどんなかんじでつくっているのかなーっておもって、自分でもかいてみよーとおもったんだけど、男の子のアレってみたことないから、おねーちゃんが持っている女の子同士が仲良くする本をさんこーにして話をつくってみたんだけど、だから別に美魚ちんのことが本気で好きとかそんなことなくて!」 たどたどしく言葉を紡ぐ。はるちんの脳みそフルパワーですヨ!必死の思いが伝わったのか、美魚ちんからさっきの雰囲気が消えた。なんていうかいつもの美魚ちんだ。 「そうですか、冗談ですか」 「う、うんそう」 「だとしたら残念です、この小説に書いているとおり、わたしは直枝さんから三枝さんに心変わりしていたのですが」 「え、マジで!?」 「……もちろん冗談です」 美魚ちんにはめられました。 そうです、普段通りの美魚ちんってこんな人でした。諸君、我が軍は敗北した!ああ、これできっとはるちんは美魚ちんに近づくこともかなわなくなるのですネ、って思っていたのですが、次に美魚ちんが言った言葉は意外なものでした。 「冗談はさておき、ちょっと協力してもらいましょうか……大したことをやってもらうつもりはありませんから安心してください」 いや、美魚ちんの大したことではないっていってもいまいち不安ですヨ! 心配は杞憂でほんとにたいしたことはなかった。 「では、この本を買ってきてください」 そういいながらリストを渡される。8月17日。時刻は朝の8時。私は今東京ビッグサイトにきてならんでいた。 「1冊でも買い忘れたら……わかっていますね?」 そういって冷たい瞳で私のことを見る。早起きはつらかったけれど、この瞳をみるだけで今日の私はむくわれた。 「はいはい」 そういいながらリストを見る。みおちんのことだから、BL本が主だろう、と思いながら、チェックする。 「あれ?」 リストを見ると、アニメやゲームをもとにした本ばっかりだった。ちょっと調べてみたけど、3日目は、たしか男性向けの本しかうっていなかったはずだ。 書かれたリストすべてがそんな本だった。 な、なんで!? 「では、お願いしますね」 そういって、わたしから視線を外す。 「……そういえば、今日は理樹くんはどうしたんです?」 これくらいのリストだったら、理樹くんにかわせてもいいでしょうに。 「直枝さんは今日は恭介さんとお出かけだそうです」 「恭介さんと?」 「………………………………………………………………………………………………………………………………はい」 なんですか、美魚ちん、今の間は!? 「洗脳、させすぎました……」 ふと、そんな声が聞こえてきた。洗脳?洗脳?っていったい何のですかネ? ふと、理樹くんの一言を思い出す。 『正直助かったんだけど、けどなんか、寂しくてさ―――――――――――西園さんらしくなくて』 「西園さんらしくなくて」っていったときの間ってなんだったんですかネ。 一つの仮説がでてくる。 「理樹くん、まさか恭介さんと!?」 「……っ」 美魚ちんがみたこともない目で私をみる。うわぁ……。 ってことはこの本の使い道も大体わかってきた。きっと理樹くんを再洗脳するための本なんでしょう。 回りくどいやりかたしますネ。まぁ美魚ちんが直接体で理樹くんに迫るって展開はいやですが。 それに、大体……。 恭介さんと理樹くんってそんなに仲良かったでしたっけ?そりゃ、まぁ普通の意味では仲いいですけど、そういう意味で仲いいようにはとても見えませんケドね。美魚ちんの彼氏ということで理樹くんがみおっちを裏切らないか、って目でなんどかみていたことがありましたが、そんなことはないように思いますケド。 『正直助かったんだけど、けどなんか、寂しくてさ―――――――――――西園さんらしくなくて』 このさっきの間だって、BLに目覚めたって誤解されたくなくて、無理やり付け加えただけかもしれない。普通そんなこと考えなくてもいいのに、考えてしまうあたりが理樹くんらしい、ともいえると思います。 ふと、美魚ちんをみる。 「なんですか?」 ものすごい瞳で私のことをにらんで来た。さっきの私の言葉がよっぽど腹が立っているのでしょうネ。 これは嫉妬でしょうか。……嫉妬でしょうね。 昔、ふと、美魚ちんは理樹くんが恭介さんと浮気したら許すなんて、思いましたけど、全然そんなことなかったんですネ。 そしてこんなにも嫉妬深くなって、恭介さんと理樹くんの間を疑うまでになっている。 最近の美魚ちんの悩みってこれだったんですネ。美魚ちんの意外な一面をみた気がしました。 いや、まぁリードしてあげない理樹くんがいちばん悪いんでしょうけどね。でもそれを理樹くんに指摘するのは野暮ってもんでしょう。 それに嫉妬しているみおちんみるのもかわいくていいですし。 私はもちろん理樹くんと美魚ちんの仲を裂くつもりはない。だけど、積極的に応援するつもりもない。 だからどうなるのかわからないけど、美魚ちんと理樹くんの間がどうなるのか、楽しみにみていこうと思います。 [No.291] 2009/07/25(Sat) 06:54:44 |
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