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all 第39回リトバス草SS大会 - 代理代理 - 2009/08/06(Thu) 21:14:33 [No.303]
締め切り - しゅさい - 2009/08/08(Sat) 00:38:33 [No.324]
俺のいもうとがこんなにかわいいわけがないなんてこと... - ひみつ@6094バイト - 2009/08/08(Sat) 00:33:29 [No.323]
[削除] - - 2009/08/08(Sat) 00:41:35 [No.325]
泡沫の - ひみつ@17926 byte - 2009/08/08(Sat) 00:30:33 [No.322]
立ち向かえ、現実に。 - HIMITSU☆6774byte - 2009/08/08(Sat) 00:15:48 [No.321]
大いなる幻影 - ひみつ@20030 byte - 2009/08/08(Sat) 00:11:05 [No.320]
幻日逃避行 - ひみつ@20432byte 逃げ出したいのは現実か虚構か? - 2009/08/08(Sat) 00:01:44 [No.319]
ホラーでうわーで冷やー - ひみつ@11893byte - 2009/08/08(Sat) 00:00:34 [No.318]
DB! Z - 光る雲を突き抜けたひみつ@12021 byte - 2009/08/08(Sat) 00:00:19 [No.317]
マッスルKYOUSUKE〜壮絶な修行はあえて巻きで〜 - ひみつ@1743byte - 2009/08/07(Fri) 23:39:58 [No.316]
[削除] - - 2009/08/07(Fri) 23:27:00 [No.315]
おやすみなさい - 秘密 14565 byte - 2009/08/07(Fri) 23:25:46 [No.314]
「おやすみなさい」補遺  - 秘密(おまけ3129 byte) - 2009/08/08(Sat) 21:09:47 [No.327]
幻性少女@微修正 - 比巳津@20198byte - 2009/08/07(Fri) 23:01:10 [No.313]
井の中の争い - ひみつ@3934byte - 2009/08/07(Fri) 22:42:11 [No.312]
原始の幻視 - ひみつ@3644 byte - 2009/08/07(Fri) 22:18:53 [No.311]
儚き夢を追い続け  - ひみつ@5,093 byte - 2009/08/07(Fri) 21:49:49 [No.310]
ねむりのおと - 秘匿 3,911byte - 2009/08/07(Fri) 20:13:00 [No.309]


DB! Z (No.303 への返信) - 光る雲を突き抜けたひみつ@12021 byte

 《前回までのあらすじ》

 オッス、オラ直枝理樹! 十八歳(エクスタシー的な意味で)!
 いま、恭介発案の『バトルランキング』中なんだ。
 今日の対戦相手はクド。
 武器に恵まれて、いい感じにフルボッコしてたそのとき、木の上から高笑いが!
 その正体は来ヶ谷さんだった。
 キムチをまき散らしながら跳び下りた彼女は、クドに高らかに告げた。
 「クドリャフカ君、こうなったらフュージョンだ!!」
 ……うん。オラ、なんだかアチャーって気分になってきたぞ!
 そんじゃ、いっちょ始めっか!










「で、ホントにフュージョンしちゃったんだ」
 僕は目の前の少女――来ヶ谷さんのようなクドのような――を指さしてそう言った。










   DRAGON BUSTERS! Z
           幻のフュージョン編










「いやいやいや、ありえないでしょ」
 沙耶さんがツッコんできた。うん、普通はそういう反応になるよね。ありえないもんね。でもね、悲しいけどこれ、本当なのよね。
 いま現在、リトルバスターズのみんなが僕の部屋に集まっている。
 話題と部屋の中心には、もちろん先ほどの少女。
「能美と来ヶ谷か……この場合、能ヶ谷になるのか」
「いや、来リャフカじゃね?」
 早くも適応した謙吾と真人が、名前をつけ始める。
『ふむ……どちらかと言うと来リャフカのほうが好ましいのです』
 来ヶ谷さんのようなクドのような少女――来リャフカ――はお茶を飲みながらのんきに答えている。
『少年、なにかお茶菓子はないのですか?』
「たしかようかんがあったはずだけど……」
 部屋の隅の冷蔵庫にいき、なかを確認する。あった。
 ちゃぶ台がわりのダンボールの前に正座している来リャフカに、ようかんをさしだす。
 それを見た小毬さんが、さらにお菓子をさしだす。
「ついでにチョコパイもどうぞ〜」
『小毬君、ありがとうなのです』
 両方とも一口ずつ食べ、お茶を飲んでほうと一息。
「って神北さんはなにを落ち着いていらっしゃいますの!?」
「そうよ。人がフュージョンしちゃってるのよ? ありえないでしょ? ありえないわよね? 私間違ってないわよね!?」
「……笹瀬川さんも二木さんも、少し静かにしてください」
「美魚は逆に落ち着きすぎだと思うけどなー」
 佐々美さんと佳奈多さんがヒートアップするのを、西園さんと美鳥がたしなめる。
 ……美鳥はどちらかというと状況を面白がっているだけの気がする。
「ひとつ確認したいんだが……本当に、来ヶ谷と能美なんだな?」
「うん。恭介も信じられない?」
「いや、理樹が言うんだから、この女子は来ヶ谷と能美なんだろ。おっと来リャフカだったか」
 そう言って恭介は来リャフカを見る。僕もあらためて来リャフカの姿を見る。身長は僕の肩より少し上ぐらいで、瞳は大きな猫目。胸囲は平均的。声は、来ヶ谷さんとクドが同時にしゃべっているように聞こえる。そして特筆すべきは、腰まである長い髪。生え際から肩口まではクドの亜麻色で、そこから線を引いたかのように毛先までカラスの濡れ羽色――来ヶ谷さんの髪の色になっている。
 要は、本当に来ヶ谷さんとクドの中間の容姿・体型をしているのだ。
 思わずつぶやく。
「なんと言うか成長したクドみたいだね」
「ああ、ちっちゃくなった来ヶ谷だな」
 同時に、恭介もつぶやいた。

 ……………………。

「おいいいぃぃぃぃ?!! なんでお前ら無言で離れるんだよおおおおぉぉぉぉ!!」
「いや、恭介は恭介だな、と思ったまでだ」
「どーいう意味だよっ!?」
「いや、だって……なぁ?」
「わざわざ『ちっちゃい』の方を強調なさるなんて……」
「狙ってるとしか思えませんネ」
「狙ってねえよ!!」
「クドリャフカ、じゃない来リャフカ、こっちへ来なさい」
『そうだな。ここは戦術的撤退といくのです』
「こまりちゃん、あたしのうしろからでるな。きょーすけはへんたいだ」
「ふえぇ!? きょーすけさんって変態さんだったの?」
「そーだよー。小毬みたいな可愛い女の子は、すぐ食べられちゃうんだから」
「変態じゃねえし食べねえし! つうかそんなこと言ったら男はみんな変態だ!!」
「やっぱり(21)だったんだね。僕も気をつけなくちゃ」
「あ、じゃああたしは関係ないわね。よかったー(21)体型じゃなくて」
「朱鷺戸さん、それは私に対する宣戦布告と受け取りました」
「誰か俺の話を聞けよ頼むから!!」
 とうとうその場に崩れ落ちる恭介。
 その肩にぽん、と手を置くドルジ。……ドルジ?
「こら。おまえがくるとせまいだろ。でてけ」
「ぬぅー」
 窓から半身だけ入っていたドルジが、鈴に押されて外にでる。ぴしゃん。閉まる窓。恭介、またひとり。
「……ねーねー理樹くん理樹くん。いまさらかもしれなくてちょっと恥ずかしいかなー、なんて思ってるんだけど……なんと言いますかですね」
「なに?」

「フュージョンって、なに?」
【え?】

 この場のみんなが、口を『え』の形に固定する。
 フュージョンを知らない……だと……?
「え、え、え? なにこれ? 私聞いちゃいけないことを聞いた?」
「葉留佳、本当にフュージョンを知らないの?」
「お姉ちゃんは知ってるの?!」
「はるかはフュージョンをしらないのか」
「さすがです、三枝さん」
「葉留佳って意外に無知無知ギャルなんだねー♪」
「鈴ちゃんもみおっちもみどちんも、はるちんを馬鹿にしてるのかー! むきーっ!!」
 ばしんばしんばしーん、とまくらに八つ当たりしだし、しまいにはまくらを抱きかかえてうなりだす。……それ、僕のなんですが。
「うーっ、うーっ、うーっ!!」
「まくらをかかえてうなる葉留佳……ハァハァ」
 妹に欲情しないでください佳奈多さん。
 見かねた沙耶さんが、フォローを行う。
「フュージョンって言うのはね、有名な少年マンガにでてくる合体技のことよ」
「……私、そんなにマンガ読んだこと、ないから」
 そうなんだ……以外。
 葉留佳さんは大量にマンガ読んでるイメージがあったんだけど。
「それなら、知らなくてもしかたありませんわね」
『ほら、元気をだしたまえ葉留佳くん。おねーさんは笑ってる葉留佳くんのほうが好きなのです』
「うん……ありがと」
 ふたり(三人?)に励まされても、葉留佳さんの顔は晴れなかった。きっと、自分だけ知らないということが寂しいんだろう。
 僕は謙吾と真人に目配せした。真人は筋肉を見せてきた。違うから。謙吾は力強くうなずいてくれた。頼もしい。
「三枝、フュージョンをするときどう動くかも知らないんだな?」
「……知らない」
「なら見せてやろうじゃないか。……真人、覚えているな?」
「もちろんだ。ガキのころに血豆ができるくらいさんざん練習したからな。オレが忘れてても筋肉が覚えてるぜ」
 ふたりは適度な距離をとり、構えた。そしてはじまる、謙吾によるフュージョンレクチャー!
「フュー……」
「手のひらは伸ばし、両腕で半円を描きながらお互いに近づく。このときのポイントは二つ、がに股であることと三歩で近づくことだ!」
「ジョン!」
「こぶしを握りながら水平に腕を振り、片足を上げる。ポイントは、相手とは反対側の足を上げること!」
「はっ!!」
「人さし指をだし、上げた足を外に伸ばして横に傾き、相手と指を合わせる。ポイントは三つ! 指を曲げない! 上の腕はきれいなアーチを描く! そして……羞恥心を忘れろ!!!!」
 完璧だった。まだ小さかったころ、無駄に暑いなか公園で延々と練習していた、あのころのフュージョンだった。
 つい拍手をしてしまう。つられるようにみんな――葉留佳さんも拍手をする。その顔は笑顔だった。
 やりとげた漢の顔で、ふたりはにやりと笑い。

 その体がまぶしい光を放った。

 とっさに目を閉じ、顔をかばう。
 光は数秒で収まった。まだ少し痛みの残る目をゆっくりと開いた。
 そこには、ひとつになった影が。
「まさか……本当にフュージョンしたと言うの!?」
「ああああありえませんわ! 宮沢様はどこに行かれたの!?」
 影がゆっくり立ち上がる。その存在感に、体が震える。
「もともと強い井ノ原くんと宮沢くんがフュージョン……」
 つぶやいた沙耶の言葉に、戦慄が走る。まず間違いなく、それは最強の……。
「オレが……真吾だ!」「俺が……謙人だ!」
【最強にキモイ!!!!】
 みんなの言葉がフュージョンした。
「ちょ、待てよ! なんでそうなるんだよ!?」「キモイとは聞き捨てならんな」
 僕は机の上から手鏡を取って、目の前の人物――謙人? にわたした。
 謙人は鏡をのぞきこみ、そして絶叫した。
「キメエエエ!?」「俺が半分になってるだとおおおおお!!?」
 そう。左半分が真人で、右半分が謙吾という、ひとことで言うならあしゅら男爵がそこには映っていた。
 しかも、左から真人右から謙吾の声がステレオで聞こえてくる。しかも別々の動きをして別々の言葉を話している。やっぱりキモイ。
「てんめえ、なにか動き間違えたんじゃねぇか?」「真人、筋肉が覚えているのではなかったか?」
「人のせいにすんのかよ!」「人のせいにするんじゃない!」
「なんだやんのかてめえ」「俺は完璧だった。つまり真人が間違っているしかないんだ」
「ふざけんなよ、オレは間違ってねえ!!」「上等だ、やってやる!!」
 右手が左の襟首をつかみ、左手が右の襟首をつかみ、お互いが威圧しようとその場でぐわんぐわんとあばれだす。
 外から見ていると、非常にシュール。これが本当のひとり相撲。
「きもいからそとでやれ!」
 鈴のドロップキックが炸裂し、謙人が窓に吹っ飛ぶ。タイミングよく来リャフカが窓を開け、閉める。
 今日は水玉。
『さて、これで本当にフュージョンできるということが照明できたのですが』
「信じられないけど、」
「信じるしかないようですわね……」
 半信半疑だった佳奈多さんと佐々美さんが、しぶしぶといった感じでうなずく。
 かと思いきや、急に佳奈多さんは鼻息荒く葉留佳さんの肩をつかんだ。
「葉留佳、私とフュージョンしましょう」
「ええ!? いいいいきなりどうしたの?」
「葉留佳、私とフュージョンしなさい」
「命令形!?」
「名前はそうね、葉留佳奈多になるのかしらね」
「長いよ、無駄に長いよ!? そこはせめて佳奈佳とか葉佳多とかじゃないの!?」
「いっそのこと二三木枝葉留佳佳奈多なんてどうかしら?」
「もっと長くなったー!? あれ、ちょっと、お姉ちゃん怖いよ理樹くん助けてーっ!!」
 あばれる葉留佳さんを佳奈多さんが押さえつける。ごめん、僕には見ていることしか出来ないよ……っ!
「……美ー魚っ♪」
「いやです」
「まだなにも言ってないじゃない」
「絶対にいやです。拒否です。ノーです」
「ぶー。少しぐらいいいじゃん」
 こっちはこっちで合体しようとする。名前は鳥魚になるのだろうか。ふたりなのにトリオとはこれいかに。
「なんだか大変なことになってきたわね……」
「馬鹿騒ぎしている点ではいつもどおりだけどね」
「はぁ……直枝さんの冷静さを、少し分けてもらいたいぐらいですわ」
 沙耶さんと佐々美さんと少し離れた場所で、騒ぎを眺める。あ、鈴が小毬さんをさそいだした。
 そうしていると、来リャフカが近づいてきた。
『ところで少年、前々から疑問に思っていたことがあるのです』
「どうしたの」
 そして、さらっと爆弾を投下する。

『男性と女性がフュージョンした場合、いったいどうなってしまうのでしょう?』

 凍った。空気が。エターナルフォースブリザード。
「フュージョンすると、お互いの特徴を足して二で割ったような容姿になる……まあ真人と謙吾は馬鹿だから例外な」
 いつのまにやら復活していた恭介。その目が怪しく光る。
「例えば理樹と誰かがフュージョンしたとする。すると…………女の子らしい理樹が出来上がるわけだな」
「理樹」「理樹くん」「理樹くん」「直枝さん」「理樹君」「直枝さん」「直枝」「理樹くん」
【私(あたし)(わたし)(わたくし)とフュージョンして!!!!】
「えええええええーーー!!??」
 恭介が発言したとたん。女子陣の目の色が変わり、詰め寄ってくる!!
 そんなに女の子っぽい僕が見たいの!?
 じりじりと包囲網が狭まる。怖い。特に恭介。目のハイライトが消えている。鼻息荒い。超怖い。じりじりと後ずさる。
 どうやって逃げだそう? ドアは僕の背中にある。振り向いて、ノブをひねって、ドアを押して……ダメだ。どんなに早くしてもその途中で……下手したら振り向いた瞬間につかまってしまう。
 唯一包囲網に加わっていない来リャフカを見る。
『はっはっはっ……です』
 助けてくれそうに無い。
 どんなに考えても、ここから脱出できる気がしない。もしつかまったら……? 無理矢理にでもフュージョンさせられてしまうのだろう。そうして女の子っぽくなった僕に、みんなは……。
 ん? どうするんだろう? 僕がちょっと恥ずかしい思いをするだけで、別に実害は無
「俺、理樹をフュージョンさせたら……ハァハァ……」
 よし逃げよう絶対逃げようとことん逃げよう。
 背筋に液体窒素を流しこまれたような悪寒が走ったよ。
 じりじりと狭まる包囲網。じりじりと後ずさる。じりじりと、じりじりと。じりじりと、じり、
 背中がドアにぶつかった。
 とっさにノブを探す。焦る。見つからない。
 終わった。終わる。もうすぐ。
 近づく手。無数の。
 少しでも離れようと、ドアに体を押しつける。
 手が、体に、
「ふぅ、汗をかくって気持ちいいぜ」「なかなかに有意義な時間だった」
 触れるまえにドアがひとりでに開いた。謙人。よかった、ひとまず仲直りしたみたいだ……じゃなくて!
 倒れそうになる体を無理矢理起こし、その場から走りだす!
「謙人! 好きだよ!!」
「え? おう、ありがとよ」「俺も大好きだぞ、理樹っ」
 ピンチから助けてくれた謙人に声をかけてから、廊下の角を曲がり、そのまま一気に外へ!
 隠れる場所、逃げ切れる場所を探して僕はひた走る。
 そして――僕は、逃げ切れる方法を、見つけた。

「――ドルジ!!!!」
「ぬおっ!!!!」

 先に別のものとフュージョンしてしまえばいい!
「フュー……」
「ぬきゅっ!」
【はっ(ぬおー)!!!!】
 これで恭介……じゃない、変態から逃げ切れる!!










 《次回予告》
 これが、ツンデレおしゃまな男の娘、スーパーねこみみメイド人、ドル枝の誕生の瞬間であった!
 逃げ切れてないぞドル枝! むしろパワーアップしてるぞドル枝! 実はメスだったぞドルジ!
 頑張れ、ドル枝ぇー!!




 まだもうちょっとだけ……続かないゾイ。


[No.317] 2009/08/08(Sat) 00:00:19

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