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窓を蹴る。風が下から吹き上げてくる。景色と走馬灯のように邂逅する。地面を掴む感触がした。 そんなこんなで俺は今ここにいるわけだが。 「あんな馬鹿な遊び僕でもやらないよ」 そう理樹に一蹴された。夕日が眩しい。 「そう言うな理樹。あの時は…そう、やりたかったんだ」 「だからってなんでそんなことするかなぁ…」 頭を抱える理樹。小動物みたいで何気に可愛い。 みんなに煽られて窓から木に飛び移ろうとジャンプしたら、届かなかった。ウェスタン風にロープを引っ掛けようと頑張った結果、無理だった。ただそれだけの話。 そして着地の衝撃をもろに受けた右足が複雑骨折して、全治四週間、だいたい一か月だった。それだけの話。 あと毎日理樹が病院にお見舞いに来てくれている。ただそれだけの、話。 なのになぜ俺の心はこんなにも嬉しいのか、と最近疑問に思う。 多分風邪でも引いたなと、いそいそとベッドで寝ていると、理樹が来て甲斐甲斐しく世話をしてくれるのだ。 花瓶に水を替えたり、話し相手になってくれたり。 花瓶の水をぶちまけた時の理樹は、やっぱり俺がいないとだめだなと思わせるような目で俺を見上げていた。 来ヶ谷ならこう言うだろうか。「おねーさんの萌えアンテナは今五つだよ」 たまに車いすで屋上に連れて行ってくれたりする。景色が開けて奇麗だ。理樹も「こんな景色ひさしぶりだな」と目をキラキラさせていた。 退院の日が近づいてきた。 「これで就職活動再開できるね」 「俺はもう少し休みたかったけどな」 そんな皮肉を言う。いつもはツッコミを入れてくるはずの理樹も今日は、 「うんもう少しこうでも良かったかもね…」 と、相槌を入れてきた。いつもの理樹らしくない、とその時は思ったがあまり言及するのはやめておいた方がいいと思い、ベッドの横になった。 退院の日になった。荷物をまとめていると理樹が来た。 「退院おめでとう」 とりあえずお祝いが言いたくて、と頭をかきながら言った。それから荷物をまとめて別々に解散した。 病院を抜けると、みんながいた。 口ぐちに「退院おめでとう」と言う。それに一つ一つ茶々を入れて返す。 最後に理樹の番になった。もう既に一回言ったことだが、もう一回言いたいらしい。 「退院…おめでとう」 嬉しさ半分、悔しさ半分といったところだろうか。この顔を見て俺は気づいてしまった。 今日はいい天気だ。よし、やるか。 窓を蹴り、ロープを渡し、十分に可能だったが失敗し、俺は地面へと落ちていった。 [No.369] 2009/08/28(Fri) 22:49:57 |
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