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「うーん」 つい先日卒業したばかりの学校の(女子)制服を両手に持って掲げ、理樹は唸っていた。 「どうした、理樹。突発的に女装でもしたくなったのか」 台所で洗いものをしていた鈴が戻ってきて言った。 「いや、違うけど。この制服をどういじったら魔法少女っぽくなるかなって」 「突発的に魔法少女っぽくしたくなったのか」 「うん」 こいつは酷い病気だ、と鈴は思ったが、鈴は成長して少しばかり空気の読める子になっていたので、口にはしなかった。理樹の横顔は真剣そのものであり、鈴は微妙な気分になりながらもついでとばかりに惚れ直しておいた。魔法少女も悪くないんじゃないかと思えてきた。 「まず黒いのがいけないんじゃないのか? なんか白いほうが清純派っぽいだろ。すなわち魔法少女っぽいだろ」 ノリでアドバイスしてみたところ、理樹からは「これだからトーシロは……」とでも言いたげな冷めた視線をプレゼントされた。おまけに溜息までついてきて、あまりの豪華さに鈴は泣いた。お返しにキックをお見舞いしたが、見事にガードされた。理樹は密かに武闘派になっていた。 「いいかい、鈴。確かに白という色には純情だとか清純だとか素直だとか健気だとかってイメージがあるかもしれない。でも人間っていう生き物は不思議なものでね、そういうのを前面に押し出されると、却って逆を疑ってしまうものなのさ」 「つまりどういうことなんだ、理樹」 「つまり小毬さんを思い出してみるんだ、鈴。彼女の白いセーターを。そうすれば自ずと答えは見えてくるはずさ」 「な、なんだってー! 理樹、おまえ天才か」 ふふん、と誇らしげに鼻を鳴らしつつ、それほどでもないよ、と理樹は謙遜してみせた。鈴だったら間違いなく偉ぶっていたところなので、鈴は謙遜なんて高等技術を扱える理樹を羨ましく思った。 「いや、しかし待て理樹。それだとクドはどうなるんだ。白い帽子とマントが……」 「クドはロリだからいいんだ」 「なるほど。天才だな、おまえ」 「いやいやいや、それほどでもないよ。それほどでもないさ」 なんて合理的な解答なんだ、と鈴は思った。だんだんと菌が感染ってきていた。 「ならば理樹、おまえに聞きたい。おまえほどの天才に答えられない問題などあるのか? いや、ない」 「反語だなんて高度なテクニック、いったいどこで覚えてきたんだよ鈴! よぅし、いいとも。なんでも答えてあげるよ」 ふふんと鼻を鳴らして胸を張る理樹に、鈴はどうしても気になっていた質問を投げかけた。 「なんで魔法少女なんだ?」 「え?」 [No.396] 2009/09/11(Fri) 22:35:11 |
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