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舌を突き出し、垂れる白い液体を舐め続ける。たっぷりの唾液と液体を絡ませ、体の置くまで染み込むようにゆっくりと飲み込む。甘い魅惑の液体は今もとめどなく垂れ続け、私の指を汚していく。べたつく指を一舐めし、今更気にしても仕方ないと液体を掬い取るために必死に動かす。けれど白い液体を生産している棒は更に液体の量を増やしてくる。私は棒全体を口に含み頭を上下に動かし、液を全て舐めとろうとした。十秒程動かした所で顎と口が疲れてしまい、口を離した。すると、唾液でぬるぬるになっていた棒が重力に従い、ゆっくりと下へと向かい。 床に落ちた。当たりだった。 「重力なんてなくなれば良いんだ!!」 「うるさいし、無駄にエロくしようとしなくても良いわよゆいちゃん」 「そーじしとけよゆいちゃん」 くぴくぴと梅酒を飲んでいる鈴君の胸を、グラスで日本酒をギリギリまで注いで優雅とは言いがたい程がぶ飲みしている下着姿の佳奈多君の太ももをべたつく手で一撫でして、洗面所へと向かった。後ろから「服が汚れた。金払え」だの「もっと…もっと触って!」だの私を誘ってるとしか思えない声が聞こえてくるが涙を飲んで聞こえない振り。後でのお楽しみだと戦慄く両手をなだめ、手を洗いついでに洗濯物を漁ってパンツを見つけ、被り、酒を飲みに戻った。 「ふむ、これは鈴君のではないな、残念」 「ささみんだ。多分忘れ物だ、どうしよう」 「精々長生きして倦怠期になって浮気されろって書いて送れば?」 「そーするか」と手が伸びてきて私の頭からパンツを奪っていった。反論しようとビールから目を上げると、何かが顔に当たった。大げさに仰け反ってから手に取って見ると、赤い紐のパンツだった。ほのかに笹瀬川…いや佐々美女史の物と同じ洗剤の香りがすることから、これは鈴君の物だろう。現に今、鈴君はさっきのパンツを穿こうとしているし。佳奈多君がそれを真正面から撮っているし。「焼き増しと引き伸ばし頼む」と予約してから、手元にある棗鈴脱ぎたて赤紐パンを広げて本人を目の前にして鑑賞会開始。ちなみにこれは一万ぐらいで売っても良いかもしれん。新品同様に価値は無い。それに、何故だろう。色気を微塵も感じなかった。例えるなら中学生カップルが初デートに出陣した時にどちらとも無く手を繋ごうとして手がぶつかってお互い赤面、的な初々しさと微笑ましさを感じた。多分、初体験だったんだろう。紐パン。 酒をいつもよりも少し早いペースで飲めば早く酔わないかな、とか考えていたら佳奈多君がしな垂れかかって来た。下着姿で寒くないのだろうか。一応今秋だし夜になると肌寒くなるから風邪でも引かないか少しだけ心配していた。看病してくれる人なんて居ないだろうから。私はしないぞそんな面倒な真似。そこまで考えてハッと気がついた。もしかして看病したら佳奈多君の弱気なデレが見られるんじゃないかと。もしそれが見られるのなら、看病してやらんことも無い。 「だから思う存分風邪を引け。デレを見届けてやるから」 「貴方相手にデレる事は多分一生来ないわ」 「まだデレ期じゃないのか、面白くない女だな君は」 「面白いのなら、ほら。そこにパンツ穿こうとして転げまわってる二十歳中盤が居るわよ」 指差された方向を見てみると、ごろごろ転がってとテーブルの角に頭をぶつけ、痛さから反対に転がり何故か放置してある掃除機に頭をぶつけ、痛さからまた反対に転がって、という感じでエンドレスに痛さを味わえるマゾヒスト専用装置に苦しんでいる鈴君が居た。面白かったので携帯で録画してアドレス張に登録してある人全員に送ってみた。音楽が部屋の隅と玄関の二箇所から聴こえて、五件帰ってきた。その内二人は今日会った奴らだった。まあどうでもいいかと佳奈多君の胸を揉んでみた。無駄に大きくなっていた。 「んー…何か普通ね、揉み方」 「どんなアクロバティックなのがお好みなのかわからんから仕方ないだろう?」 「もっと強くても良いのに…」 この六畳間はマゾヒストだらけだった。逃げたい気持ちになった。この空間からも、現実からも。ふとこの前買った美少女ゲームがとてつもなく面白くなかったのを思い出した。でもあのキャラ好きだったな、とか思いつつ酒を煽った。口の中で酒を泡立てつつ鈴君の安産型のあれを眺めていたら嫌な事を思い出してしまい、溜め息をついた。何でこんな事を思い出してしまったんだろう。今からでも引っ込まないかと余っていた酒を一気飲みした。無理だった。人間の構造を恨んだ。 「どうしたの? 何かいきなり眉にしわ寄せたけど」 「いや、今日あったことを思い出してな」 「…ああ、ゆいちゃんの所為で私まで思い出しちゃったじゃない。どうしてくれるのよ」 「乾杯でもしようか」 「…そうね、乾杯」 乾杯、とグラスを合わせ四杯目の酒を飲んだ。いい加減不味くなって来たので、水が飲みたかった。氷が入った水を一気飲みしたら、頭が痛くなるだろうな、と想像して笑った。隣で佳奈多君も同じように笑っていた。ハイタッチとかしてみた。悲しくなった。 「それにしても、佐々美女史は綺麗だったな」 「そうね…あんなに人って変わるのね、高校のときはあんなだったのに」 「高校の時からささみはきれいだったぞ」 「あら起きたの?」 「なんとなくだ」 そう言いながら酒を飲む鈴君が着ているドレスはもう腰の辺りまでずり落ちていて、慎ましやかな胸は布一枚に守られていた。それを見て、私は何かが引っかかった。何だろうと考えてみると案外簡単にわかった。 「そういえばいつの間に佐々美君はあんなに胸が大きくなったんだ?」 「あたしと一緒に住むようになってからだんだんとでかくなった。ムカつく」 「鈴が大きくしたの?」 「セクハラだから答えてやらん」 「でもあんなに大きくなるなんてね…びっくりだわ」 まあ佐々美女史の胸がいくら大きくなろうとも私の足元にも及ばないがな、とか呟いたら二人に蹴られた。何故だか少し気持ちよかった。大学の先輩に「貴方には素質があるわ!」とか力説されたのを思い出した。本当にこの空間にはマゾヒストだけだった。 「という事で私のも揉んでくれ」 「嫌よ疲れるもの」 「しね」 二人とも反応が適当だった。ちょっとだけ傷ついた気がした。なので部屋の隅で静かに泣くことにした。四つん這いになって這って行こうとしたら誰かに上に乗られた。重かった。 「想いが重いって昔いわれた」 「恋慕のダイエットをするべきだな。どいてくれ」 まさかの鈴君に驚きすぎて近くにあった官能小説に手を伸ばしてしまった。女同士が絡み合ってた。まさか今私は襲われているのか。それならそれで悪い気はしないのだが、多分鈴君は佐々美君が他所に行ってしまい寂しくなってるだけだろう。そう思ったので引き剥がして酒を無理矢理飲ませた。口から垂れる酒がやけに艶かしく思えたので舐めてやろうとしたら、佳奈多君に振り向かされ唐突にキスされた。何故だ。 一時間ぐらい静かに酒を飲んでいたら、そういえばしな垂れかかって来た佳奈多君がキスした時から何か静かだなと横を向くと幸せそうな顔で携帯を弄っていた。ムカついたので佳奈多君のグラスに塩と七味唐辛子を入れておいた。結構多めに。どうせ葉留佳君あたりがメールを送ってきたんだろうと画面を覗くと、そこには男の名前が表示されていた。そして内容が今度の日曜日映画でも見ない的な感じだった。早く言えばデートのお誘いだった。 「ってデートだとっ!?」 「うわびっくりした。いきなり何よもう」 「いつの間に男とデートの約束をするようになったんだ!」 「向こうから誘ってきたんです。別に良いじゃないデートぐらい」 「でーとだと? お父さんは許さないぞかなたぁ…」 「はいはい酔ってるんだから静かにしててくださいお父さん」 うみゅう、とか言って折角起き上がったのにまだ寝転がってしまったお父さんは放っておいてとりあえず佳奈多君だ。抜け駆けなんて許さん、というか潰す。嫉妬とかじゃなくて、そうこれは佳奈多君を心配して言ってるんだ。多分。どうやって男の危険度を教えてやろうかやっぱりここは実力行使で行くしかいやでも相手は佳奈多君だし、と作戦を練っていたら佳奈多君が携帯を閉じてこう言った。 「それに私これ断るし」 「…は?」 「断るのよ、お誘い。確かこの日私達約束してるじゃない」 忘れたの?と意地悪そうな顔で覗き込んでくる。可愛かった。何でこの感じで男に接しないのだろうと疑問に思ったけれどまあそんな機会がないんだろうと言うことで納得した。それよりも約束、か。全く覚えていない。どこかに出掛ける約束なのだろうか。それともただ何となく佳奈多君を誘ったのだろうか。もしかして約束なんてしてなかったのかもしれない、とまで考えて思い出した。そういえばこの三人で適当にぶらつこうとか話していたような気がする。でも多分鈴君も覚えていないだろう。今と同じで、酒に酔っていた時に話した気がするから。そんな状態での話だったのにも関わらず覚えていてくれたのは、やはり少し嬉しかった。 「愛情よりも友情をとる佳奈多君に乾杯」 「お父さんは嬉しいぞぉ…かんぱぁい」 「貴方はもう寝てなさいよ…ま、乾杯」 三人の酒をぶつけあい、一気に飲み干した。 そして思い出した。 「辛っ!?」 塩と七味入れておいたんだっけ。 死んだように眠る鈴君と、塩七味酒のダメージで寝てしまった佳奈多君を肴に酒を飲もう。そう思って酒を探したけれどもう残っていなかった。流石にもう飲むのを止める事にした。五時だし。眠気と酔い気を紛らわせるためにコンビニにでも行って無闇に酸っぱいジュースでも買うことにしよう。 そう思い、立ち上がり二人を見下ろした。ドアを開け、不法侵入してきた朝日にクラクラにされた。ちょっとした段差に足をとられた。後ろをちらっと見て見られてないことを確認して、聞こえてないとは思うが、一応伝えていくことにした。 「ちょっとアイス買ってくる。バニラで棒のやつ」 三人分、とは言わなかった。 [No.465] 2009/10/24(Sat) 00:01:23 |
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