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「お金がないです」 「ブルセラ行けば?」 困り顔の西園さんのために光速で応えると、感激して抱きついてきた。 頭を下げられ、脇にはさまれる。左のほっぺたに慎ましやかなふくらみが押しつけられて、心地いい。 視界がぐるんと反転した。上下が逆に見えるカーテンから、朝日がこぼれているのが見えた。 ばどんっ! 「うぎゃっ!?」 背中一面に衝撃ががが。息、できな、視界、黒く。 必死で呼吸を整える。目の端からじんわりと色を取り戻す。そしてこちらを見下ろしている西園さんに一言。 「すー……はー……彼氏に、ブレーンバスターは、ひどいと、思うんだ」 「直枝さんがおかしなことを言うからです」 「お金が、ほしいんでしょ?」 「そういう手段はとりたくありません。……そもそも、彼氏として、彼女の制服なり体操服なりが世に出回っても構わないと?」 「僕が買い占めるから大丈ぷぎゅっ!」 上靴の底が、顔に顔に顔に……。あ。 「はー……はー……はぁはぁ」 「っ! 呼吸が気持ち悪いものに?」 「……水玉ぱんつ」 「きゃあっ!?」 カモシカのような白い足が振り上げられてストンピング! ひらりとスカートが舞い上がってストンピング! 白と水玉の三角形がストンピング! ストンピングストンピングストンピング!! 「はー……はー……はー……。さて。気を取り直して、他の人に相談しに行きましょう」 「そうだね。よし行こう」 「……タフですね」 「西園さんに鍛えられたからね」 えへへ、と照れ隠しに笑う。 液体窒素みたいな目で見られてゾクゾクした。 部屋を出て女子寮の廊下を歩いていると。 「ちょうどいいところに神北さんが」 「なるほど、同じロリキャラに相談するんだね。おーいロリ……じゃなかった小毬さーん!」 「ふぇ? 理樹くんとみおちゃん? おはよう〜」 「おはようございます」 「おはよう、小毬さんに相談があるんだけど、いいかな?」 「おっけー、ですよ〜」 「じゃあさっそくだけど、今日の小毬さんのぱんつはなに色?」 「今日はね、いち……ほわぁっ!?」 「いち、なにかな? なにかな? ほら、言ってごらんよ、ぱんつ色。ぱんつ、ぱんつ、ぱんつっつ! p-a-n-t-s、ぱん2! シルク生まれのHIP育ち、ひらひらしたのは大体友達!!」 「う、うわぁぁぁ〜ん! ぱんつぱんつ言わないで〜!」 右腕を直角に曲げて、一歩目からトップスピードで走ってくる。 ごんっ! 目の前に火花が飛び散る。頭がぐらぐらと揺れて、思わず座りこむ。 「見事なアックスボンバーです。そんなことよりも本当の相談なのですが。お金がないんです。どうしたらいいと思いますか?」 「みおちゃん、もうおこづかいないの?」 「はい。どうしたらいいと思いますか?」 「う〜ん………………あ! 家計簿なんてどう?」 「家計簿ですか?」 「うんっ。毎日、なににいくらつかったのか書いていくの。そうすれば、ムダづかいもなくなりますっ」 「神北さんはつけていますか?」 「うん、もちろん。……あー……でも、お菓子でけっこう使ってるのがわかるんだけど、なかなか減らせなくて……」 「わかります。わたしもどうじ……いえ、本を買うのが止められなくて」 「だよね〜」 「ですよね」 「…………」 「…………」 「……ごめんね、あまり役に立てなかったね」 「お気になさらず。参考にします」 「うん……じゃあね、みおちゃん」 「ありがとうございました」 和やかにあいさつをかわすふたり。 って! 「ぱんつ! ぱんつが行っちゃう! 待って、最後にぱんつの色を、」 「黙ってください」 「っ〜〜〜〜〜!!! チョークスリーパーは……げぶぅ」 あ、世界が、真っ白に――。 「……最初からこうするべきでした」 「美魚君か。私に相談ごとでも?」 「来ヶ谷さん、おっぱいもませてください!!!!」 「……完全に落としたつもりでしたが。ここまでくるともはや執念ですね」 こっそり後ろからつけてみると、西園さんは来ヶ谷さんのところへ向かった。 来ヶ谷さんといったらおっぱい、おっぱいといったら来ヶ谷さんだよね! とうの来ヶ谷さんは、指を三本立ててこちらを見ていた。……3ピース? 手がブレたように見え、 「ぎゃっ!?」 眼球に突き刺さるような痛み。思わず目をつぶる。 と、顔の両脇にしっとり、というかむっちり、というかそんな感触がする。 なんだこれ気持ちいいぞ、と思ったところで、真上に引っこ抜かれるかのような浮遊感。一瞬の停滞。すぐさまぐるんと振り回されて、頭に今日一番の衝撃! 「めぐぅっ!?」 「ウラカン・ラナ……? いえ、フランケンシュタイナーですか」 西園さんのつぶやきが耳に入る。つまり、今頭を抱きかかえるように包んでいるこれは! 「ふおぉぉぉぉ! 来ヶ谷さんのふともももふもふ! クンカクンカもふもふ!!」 「ひゃあっ!」 以外に可愛らしい来ヶ谷さんの悲鳴とともに、しっとりむっちりが離れていった。 「しっとりとしていてむっちり、つまりむっとりなふとももだったよ。ごちそうさま!」 「美魚君美魚君美魚君! あいつ、あいつ殺っちゃっていいか!?」 「どうぞ、と言いたいところですが……あんなでもわたしの彼氏ですので……ごめんなさい」 「はぁ……それで、話があるんじゃなかったか?」 「そうでした。ぶっちゃけお金がありません。どうしたらいいと思いますか?」 「ブルセラに行けばいいじゃないか。安心したまえ、ブツは私が買おう」 「……二度ネタはおもしろくありません」 「その案、僕が言ったよー」 「なっ……!? ばかな……少年と同レベル……だと……? ……欝だ死のう」 「あ、来週末は野球の試合がありますので、それまでは待ってください」 「…………わかった。ああそうだ……駅前のファーストフード店がアルバイトを募集していたな……そこで働いてみてはどうだ?」 「はい、考えておきます」 「……ではな」 「来ヶ谷さん、死ぬ前におっぱおぅっ!?」 あわてて立ち上がった僕の両腕をねじりあげて、僕にまたがるように足で両足をがっちりロック。 こっ、これは! 脱出不可能といわれた伝説のパロ・スペシャ――。 ごきり。 明けて日曜日の朝。 「いらっしゃいませ。マックリアへようこそ」 「はい、はい! スマイル! 逆光のなかちょっとはにかんだようなふんわりとした笑顔をお持ち帰りでお願いします!」 「……直枝さ、いえお客様。そういうのはちょっと……」 「あ、テイクアウトはなし? じゃあこの場で召し上がります」 「店長ーぅ! 店長ーーーぅ!」 「んっふふ。きみ、おイタはダ・メ・よ☆ マッスルマッスル」 「うわぁ! 真人より筋骨隆々のオカマにかつがれた!? 止めて離して掘らないで! そこは西園さんに捧げるんだぁぁぁぁあ!!!!」 今日も西園さんは可愛かった。 [No.467] 2009/10/24(Sat) 01:40:18 |
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