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おはよう、恭介。あ、それと、明けましておめでとう。 っていうか、結局昨日の夜はみんなこたつで寝ちゃったんだね……。 外もまだ暗いし、寒いね……。さすが元旦だ。あはは、恭介、すごい重ね着だ。 あれ? 真人や謙吾は? ……。 ……もう行っちゃったの? ……。 席をとりに? 別にそこまでしなくても混んだりする様なところでもないと思うんだけど……。 ……。 鈴、ちゃんと寝てるね。 あはは。そうだね、鈴を起こさないようにしないとね。 ……。 あ、でも、鈴をどうやって運ぶの? 恭介がおんぶしてくの? ……。 えぇーっ? 一番肝心なところじゃない……。どうして考えてないのさ……。 困ったな、あんまり時間もないのに。 ……。 えぇーっ。そんなこと……。 ……。 ……もう、相変わらず、無茶ばっかり言うなぁ、恭介は。 初日の出に誓う 夜の学校、やっぱり慣れないなぁ。 ……。 恭介は、平気そうだよね。 ……。 ううん、まだ平気。鈴、全然重くないんだもん。 けど、起きちゃったりしないかな? ……。 そうだね、起きちゃったら驚かす意味ないもんね。 けどさ、鈴を驚かすとか、そういうの関係なしにね、こういうことできるのも、僕は悪くないなぁって思ってるんだよ。 ねぇ、恭介。 ……。 鈴、どんな顔してる? 寒そうにしてない? 鈴の寝顔、よく見えないんだ。 ……。 そっか、よかった。 ……。 ねぇ、恭介。 ……。 覚えてるかな。昔はさ、こういうとき、いつも恭介が鈴をおんぶしてたよね。 ……。 恭介が覚えてなくても、僕は覚えてるよ。 だって、鈴のこと、すごく羨ましかったから。 僕にも、恭介みたいなお兄さんがいたらなって思ってたから。 ……。 けどね、今はもうそんなこと思わないよ。 だって……。 ――。 あ、鈴? あーやっぱり起きちゃったか。やっぱりおんぶじゃ無理があったね。 ――。 うわ、暴れないで、鈴、危ないよっ。 ――。 わかった、今下ろすから。 ……はい。 ――。 えっとね、恭介が言いだしてね。鈴を驚かしてあげようって。目が覚めたら、そこは初日の出の瞬間っていう。 どう? ちょっとドラマチックでしょ? ――。 うわ、せっかく恭介が考えたのに……。 ――。 あはは。そうだね、こんな寒さじゃ起きちゃうよね。 でも、せっかくだから行こうよ、鈴、ね? うん、僕も一緒。だから行こう、鈴。 ――。 よかった、それじゃ、もうあと少しで学校だから。一緒に歩こう。 ……………… ………… …… ほら、鈴、屋上だよ。 真人っ、謙吾っ。 ……。 うん、鈴、途中で起きちゃったんだ。 ……。 え? 空? ……。 ほんとだ、空が白み始めてる。もうすぐだね。 ……。 雲? うーん、確かにちょっと邪魔かもしれないけど、けどほら、雲があったほうが綺麗だよっ。 ほら、鈴、もうすぐ日が昇るよ。空、すごく綺麗になってきた。 ――。 うん、綺麗だよねぇ。 ――。 うん、すごく寒い。じゃあ、手をつなごう。 ――。 うん、鈴の手もあったかい。 ――! うん、雲、綺麗だね。 茜色。 あの雲の向こうに、太陽があるんだね。 ほら、初日の出。 光が伸びてきた。 うわぁ、すごく綺麗。 ――! うん、すごいね。 恭介、デジカメ持ってるでしょ? みんなで撮ろうよ。ほら、真人も謙吾も。 あ、でも、誰がシャッターを押そう? ……。 そっか、さすが恭介だ。 ほら、みんな集まって。みんな固まらないと入らないよっ。鈴もほら。 いいよ、恭介。 せーのっ。 ……。 どう、恭介? みんなちゃんと写ってる? うわぁ、撮れてるね。 じゃあ鈴、最後に初日の出にお参りしよう。一年のお願いごと。 ね? ――。 ほら、手を合わせて。 …………。 ねぇ、恭介、恭介は何をお願いしたの? ……。 あれ? 恭介? ……。 真人? 謙吾? ちょっと、恭介、今度は僕を驚かすの? 鈴、みんなが、みんながいないよ。 ――。 ねぇ、恭介。 恭介ってばっ。 こんなの、僕は驚かないよっ。 こんなことよりっ……、聞いてほしいことが……あるんだよっ。 …………。 あぁ……。 そうか……そうだった。 もう、みんなはいないんだったね。 ――。 鈴、おはよう。 鈴、ごめんね。 寒かったよね、不安にさせたよね。 ――。 夢をね、見てたんだよ。 恭介がいた夢。真人も、謙吾もいた夢。 うん、僕らのリトルバスターズで、そろった夢。 鈴を驚かせようって。それで、みんなで初日の出を見て、それで願い事をしたんだよ。 その願いごとをね、聞いてほしかったんだ、恭介に。 これがね、僕の初夢。 一年の最初に見た、僕の夢。 ――。 鈴、こっちにきて。 手を握って。 ……ほら、これで寒くない。 僕も鈴も、これで寒くない。 僕の願い事はね、ずっとこうして、鈴と一緒にいられますように。守っていけますように。恭介が安心してくれるようになれますように。そう、お願いをしたんだよ。 ――。 けどね、それは願いごとじゃなくて、恭介への誓いだったのかもしないんだ。 僕が強くなって、それでずっと鈴を守っていこうって。 そんな、子供みたいな誓い。 ――。 うん? どうしたの、鈴。 ――。 それは……小毬さんの願い星? ――。 ――。 うん……そうだね……。 鈴も、強くなるんだものね……。 それが鈴の誓いなんだね。 ――。 うん、ずっと一緒。 二人だけの、リトルバスターズになっちゃったけど、僕らがいる限り、終わらないから。 ずっとずっと、続いていくから。 だから、ずっと一緒。 ………………。 …………。 ……。 ねぇ、鈴。 二人で初詣に行こうか。 ――。 だって、去年はずっと通院ばかりだったでしょ。 二人で行こうよ。また、思い出を作っていこう。 それで、僕はもう一度誓いを立てるから。 今度は夢の中じゃなくて、この世界で。 恭介のいない、僕と鈴しかいないこの世界で。 行こう、鈴。 さぁ、もう一度、手をつなごう。 ――。 ……ありがとう、鈴。 おわり [No.616] 2010/01/08(Fri) 00:21:45 |
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