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その瞬間私は色々理解した。体が動かないとか冷や汗をかくとか足がすくむとか走馬灯とか。そんなのが一気にぐわーってきた。津波雪崩土砂崩れナイアガラみたいに押し寄せてきて、ちょっと待ってよもう飲めませんていやほんとマジで。ついでにはるちん大発見。舌が回らないって言うのもステータスに追加ー。いつもいつでもどこでも「うるさい・喧しい・騒々しい」の三重苦、んなわけあるか! 全く失礼しちゃいますヨ。三拍子がモットーの私でも今は流石に無回転を決めている。さっきの電話ではベーゴマ真っ青のトルネードっぷりだったのに。あれ、トルネードってなんだっけ。台風、じゃなくて嵐、でもなさそうで竜巻っぽい感じがする。だって凄く回転してるイメージがあるし。そういえば携帯さっき落としちゃったけど壊れてないかな。頭が竜巻警報なままで、私は迫り来る包丁をぼーっと見ていた。 普通の包丁ならぐさー! どばー! ばたんきゅー! なんだろうけど目の前のどこかのアニメの犯人みたいに真っ黒な人は、なんだっけ野菜とか切る包丁だった。なんでだろう。先が尖ってないから刺されても平気なんだろうけど、ガッデム黒助は振りかぶってリアルかたじけのうござるをやろうとしていて、このままじゃはるちんが鍋の具とかにされそうだった。避けようと超今更ながらに気がついて、ガタガタ震える足で右にジャンプした。もしかしたらスカートが捲れちゃって今日の気分のコバルトブルーが見えちゃってるかも。きゃーえっちー。すれすれで何とか運良くたまたま避けられたから一目散に逃げ出す。鬼さんこちらー。美少女の手の鳴るほうへー。って嘘ごめんなさい本当に追って来ないで下さいヨ?けれど黒助は私を追いかけてくる。私はサンダルを必死にこき使って、あっちはスニーカーと一心同体になりながら夜のアスファルトを疾走する。ちなみに寮を抜け出して電話で話しつつジュースを買いに行った所で自動販売機の影から飛び出してきたあのお方に襲われました。あーあ。ゴーヤジュースなんて買いに行くんじゃなかったなー。あ、しまった携帯落としたままだ。なんて黒助からも追われてる現実からも逃げ出してみた。あ、今のちょっとはるちん上手くなかった? ざぶとんか何か貰えないかな。着るんだったらオレンジっぽい色の着物が良いなー似合うかなーって着物を着た自分を想像していたら右足のサンダルが私に愛想を尽かしてどこかに行ってしまった。走りづらー! バランスをとるために左足のサンダルに勘当を言い渡した。後ろをちらりと見て両足の百均生まれのサンダルちゃん達の行方を見てみた。黒助に踏まれてそのまま転ばせていた。感動して涙が出そう。勘当してごめんね! そして私はコケた。後ろを見ながら走ってたし、暗かったし、足元に石があるなんてわかりませんヨ! サンダルの罰が当たったのかも知れない。鼻を強く打って、手も擦りむいて。地味に痛い。さっきよりよりも足音が近づいてきていてヤバイ。慌てて立ち上がろうと地面に手をついたら横から腕が出てきて引っ張られた。あご打ちそうになった。誰だーこんな事したのは!若干涙目になりながら顔をあげると一番会いたくない、けど会ったら何故か安心しちゃう人が居た。大丈夫か? って顔してる。姉御だった。あれでも昼間ケンカしたのに。何でここに居るの。たまたま通りかかったんだって。何か嘘っぽい。黒助が私達を探してキョロキョロしていた。うわーこう見るとただの不審者。私は姉御に引っ張られながら寮の中に入った。そのまま姉御の部屋に連れ込まれてシャワー室に放り込まれた。何でかなと思ったら冷静になれーとかそういう事らしい。やっぱり姉御は良い人だ。ケンカしたのにここまでしてくれる。シャワーから出て外に置いてあった男物のシャツを着て姉御の隣に座った。恋人同士みたいに姉御の方に頭を置く。良い匂いがして暖かくて安心した。 「姉御ー」 「うん?」 「今日、ごめんね」 「どうした、葉留佳君にしては殊勝だな」 「怖かった」 「そうか」 「私、明日から黒いニーソにするね」 「一週間に四回ぐらいでいいぞ」 「うん」 そのまま姉御と一緒に寝た。いつの間にかお互い裸になっててはるちんお嫁に行けない感じになってた。このまま苗字が来ヶ谷になって日曜の朝は二人でゆっくりご飯食べながら、たまには外に散歩に行く事になりそう。それでもいいかなーとか思っちゃうぐらいには姉御には感謝してる。でも、あれは誰だったんだろ。もうお姉ちゃんとも仲良くなったし、苛めにしてはやりすぎてるし。まあ、どうでも良いか。まだ眠いしもうちょっとねよー…。 「ちなみに真っ黒な奴は真人少年で、包丁は作り物だ」 だまされた。 [No.620] 2010/01/08(Fri) 23:31:42 |
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