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all 第49回リトバス草SS大会 - 大谷(主催代理) - 2010/01/22(Fri) 00:00:33 [No.633]
じゃっじめんと - 遅刻の秘密@6617byte - 2010/01/23(Sat) 19:02:01 [No.646]
しめきり - 大谷(主催代理) - 2010/01/23(Sat) 00:36:19 [No.642]
はぴねす - ひみつ@13917byte - 2010/01/23(Sat) 00:22:47 [No.641]
チェシャ猫とハローキティ - 秘密@7354byte - 2010/01/23(Sat) 00:02:33 [No.640]
熱血チャーハンホルモン風 - ひみつ@7816 byte - 2010/01/22(Fri) 23:14:57 [No.639]
希望の朝 - 秘密@4366 byte - 2010/01/22(Fri) 22:22:19 [No.638]
Graduation - 秘密@5926 byte - 2010/01/22(Fri) 21:20:20 [No.636]
Re: Graduation - 秘密@5926 byte - 2010/01/22(Fri) 21:27:58 [No.637]
彼女の趣味 - ひみつ@20326 byte - 2010/01/22(Fri) 21:08:11 [No.635]


希望の朝 (No.633 への返信) - 秘密@4366 byte

「あいうぉんちゅー」
 と間延びした声で告白された。しかもお菓子を食べながら。仰向けで。溜息を吐きながら食べかすを床に落としてあげる。ムードとかないのかしらね。昔からいつもそう。初ちゅーとか初同衾とか初リスカとか。そういう大事な私事を適当に言う癖も止めて欲しい。その度に私が東奔西走する羽目になるのだ。ちゅーは授業中でも。同衾は夜中にひっそりと忍び込まれ、忍び返し。リスカは殴って止めた。今だって膝枕してお菓子を口まで運んであげたりしている。いきなり電話してきたと思ったらこうだ。恋人って言うより来い人って感じ。さて、私はどう返事したら良いのかしら。「大好き大好きちゅっちゅっ」とかする訳にもいかないし。だからと言って頬を赤らめつつ「べ、別に好きじゃないんだから! 可愛そうに思っただけなんだから!」とかはもういい加減ワゴンセール並みに飽きられてるし。脳みそを心持ち反対になるまでひねって考えてみる。そういえばこの前テレビで知らない人が「何も言わずに抱き締めてあげましょう」とか言っていたような気がする。まああっちの場合は犬でこっちは人間だけど。けれど、この子猫っぽいし。まあ動物繋がりと言う事で、一つ。抱き締めて「ぼーくらはみんなー」歌ってみる。うざそうな目で見られた。舌打ちまでされた。
「ばーかばーか」
 流石に頭にきたので抱き締めを強くしてうなじにちゅー。「うなぁぁぁぁああ!」もがきだす腕の中の猫。発情期なのか倦怠期なのかわからない。という事で続行。頬にちゅーしてぢゅーっと肌を吸い、堪能する。この子の味とかはしないけど、幸せの味がした。失笑。私より標高の低い胸を遠慮も準備もなしに揉む。もにゅとかむにゅ、よりはみょむって感じ。というか、本当に胸無いわねこの子。私達ぐらいの年になればそれなりにあっても良さそうなものだけれど。男は好きよね、この脂肪の塊。高校の時はあんまり目立たなかったけれど、今だと結構目立つ。走る時邪魔だったわ。大きいって罪だわ。今揉んでいる小さい山もギネスに載る位大きくなれば良いのに。そういえば今日は大人しく揉まれているわね、と思っていたら急にじたばたし始めた。もしかして本当に発情期なのかしら。顔赤いし。あ、違う。声の感じからして恥ずかしすぎてフリーズしてたの?可愛いったらありはしないわ。テンションが上がってきたので、私も一緒にじたばたしてみた。もみくちゃのくちゃくちゃ。くんずほぐれつをして、いつの間にか私は彼女に覆いかぶさっていた…。なんて何処かの漫画じゃあるまいし。あんなに都合良くなる訳ないじゃない。故意よ、恋故の。我ながら寒すぎたわ。実際には机の上の飲みかけのジュースとかコーヒーが落ちてきて服が濡れる程度よ。あと薬がばらばら落ちてきた。暖房の所為で薄着だったから肌が透けて見えている。お互いの青い丸とか赤い線とか三日月っぽい穴とか連なってるでこぼこが見える。あらら、お互い酷いわね。
「これ」右腕の贅肉が気になる所に開いた三日月を指差してくる。
「うん?」
「いつのだ?」
「一昨日よ。夜中に急に暴れだしたから」
「そっか」
 しゅんとうな垂れてしまったので、さっきとは違い優しく抱き締めてあげた。つもり。肩にあごを乗せて、ゆっくりと息を吐く。
「そんな事よりも手首のそれ、いつやったの?」赤い線がひい、ふう…十本ぐらい走っていた。
「ん、一ヶ月ぐらい前だな」
「…全然気がつかなかったわ」
「湿布とかで上手く隠したんだ」胸を張られた。張るほど無いくせに。
「今すぐ自分を殴りたいわ。適度な強さで。」
「あたしが代わりに殴ってやろう」右頬を適度とは程遠い強さで殴られた。「ありがと」
 もう虐待とか虐めとか、そんな物は受けていないのにお互い傷だらけなのは変な気分。もう慣れたけれど。ぬれぬれのすけすけのまま冷蔵庫に向かって、ミネラルウォーターと睡眠薬の奥に仕舞われていたお酒を二つ取り出す。消費期限とか気になったけれど、まあ大丈夫でしょう。というか、これ度数高いわね。はい、と片方を押し付け私はプルタブを開けた。片手で開けられるのは密かな自慢。
「飲むのか?」
「もう飲んでるわよ。…まーずーい」
 お酒を美味しいと思ったことは一度も無い。思ったのは、痛い、まずい、最高。ぐでんぐでんになって。吐くまで飲んで。ふらふらになって。がぶがぶ。どすどす。ばしばし。ぐさぐさ。そして寝る。その過程を一つ位ショートカットしたい気持ちもあるけれど、さぼらないで通っても結局は幸せ。血とか汗とか涙とかと一緒に流れてしまわないか心配になるほどに、幸せ。今回もそうなる事を祈って、またお酒を煽った。




 



 翌朝。真っ赤な右腕になった私はギリギリの所で赤くなっていない左腕で、季節外れのサンタをお風呂場まで引きずる。服を着たままシャワーを浴びて、血とかその他諸々を洗い流す。
「…っ。あーああああーああー」無駄にビブラートとかをして、悲鳴の証拠隠滅を図る。どうにか完全犯罪に出来たみたいで一安心。サンタにもシャワーを浴びせ無理矢理意識の覚醒を促す。心地良い悲鳴が響き、その後に小さくお礼が聞こえた。私は笑って、二人の上にシャンプーやらなんやらを振りかけてもう一度笑う。
「おはよう。今日も新しい朝よ」
 さて、健康のためにラジオ体操でもしましょうか。
 


[No.638] 2010/01/22(Fri) 22:22:19

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