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all 第51回リトバス草SS大会 - 大谷(主催代理) - 2010/02/24(Wed) 21:29:27 [No.666]
棗恭介(27) - 卑未痛@痴酷8012 byte - 2010/02/27(Sat) 15:32:55 [No.679]
Lはリトルバスターズ バスがばくはつ - ひみつdeちこく@2534byte - 2010/02/27(Sat) 12:36:57 [No.678]
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皆がいるから - 秘密@14309 byte - 2010/02/26(Fri) 19:31:25 [No.672]
恋は盲目 - 禁則事項です   8126byte - 2010/02/26(Fri) 13:07:57 [No.671]
彼が彼女に告白するまで - お前に名乗る名はない!@9362 byte - 2010/02/26(Fri) 12:02:03 [No.670]
コンセント - ひみつ@6837byte - 2010/02/25(Thu) 21:41:12 [No.669]
There is Nobody. - 無名氏 10195 byte - 2010/02/25(Thu) 01:27:57 [No.668]


コンセント (No.666 への返信) - ひみつ@6837byte

 私は暇である。
 仕事はまだない。



 言っておくが、ニートではない。無職と言う回答も却下。充電期間サイコー。元気は一杯だが身体が電池切れ。やる気は、今すぐにでもと言うか実はもう空なんじゃないかってぐらいしか残っていない。のろのろと起き上がってカーテンを開ける。オレンジ色が不法侵入してきた。再びカーテンで面会謝絶。謝らないけど。電気を点けて今度こそはオレンジと同居しつつ、パソコンの電源を入れた。ぽちっとな。似合いもしない擬音を口にして相棒が立ち上がるのを見守った。すぐに飽きてテレビを点けた。ぽちっとな。萌え萌えな女の子が変な棒みたいな物を振り回して大の男を吹き飛ばしていた。岩が砕けていた。何となくそれを五分程眺めた後、台所へと向かう努力をする事にした。のそのそと、漫画やらゲームやらの感触を胸やら腹やらに感じつつ、這うと言うかうねる。高校時代からは想像出来ない行動だった。あんなに若かった私はどこに行ったのだろう。卒業証書と一緒に、燃える日だと思っていたら燃えない日だった、あの日に出してしまったのだろうか。リサイクルされて遠い何処かの美少女の手に渡ってしまったのだろうか。エコ精神こそゴミの日に出して私の元に返って来い。面白くもない、ただただ時間潰しの妄想を垂れ流していたら、アニメがエンディングでキャラが踊っていた。薬缶が悲鳴を上げていた。ファンなんだろうか。火を止めて、ついでに顔とかをさっぱりさせた。シャワーも浴びた。ココアを淹れて、パソコンと向き合う。最近何故かコーヒーが美味しく感じられなくなった。仕方なくココアにした。美味かった。太った。今日の夕飯は何にしようか、表面上は何も変わらない腹の肉をさすりながら考える。ふと、折角パソコンが立ち上がったのだから検索してみようと思った。名案だな、と自分の頭を撫でた。寝癖が凄かった。理想は低カロリーで手軽。しばらくの間、カチカチやったりカタカタしたりして、ようやく発見した。そのページを少し眺め、達成感から来る目の疲れを理由に最小化した。眼鏡を外して後ろに体を傾けて、重力に隷属する。漫画の山にぶつかった。私も漫画山岳も崩れ落ちた。土砂崩れ。痛みと情けなさと未だに身体に纏わりつく眠気で動く気にもなれなくなった私の顔に、漫画が一冊落ちてきた。手に取って内容を確認してみた。シンデレラストーリー的な物だった。炬燵の反対側に投げた。埋もれてしまえ。
「…何か食べるか」
 パソコンを閉じて、ゆっくりと起き上がる。マグカップが揺れて洪水が起きそうになった。慌てて押さえて、少し飲んだ。しばらく使っていない洗濯機の様に回転していない脳みそがココアのホルマリン漬けにされた後の様に甘くなった所で、服を探し始める。ちなみに洗濯していない訳ではない。コインランドリーサイコー。炬燵の中からコンビニに行く時の格好に見える様な服を発掘した。割と綺麗だったのが嬉しい。上下の色が何故か違うスウェットを脱ぎ、統一感のある下着を眺め、半分しか見ることの出来ない姿見の前まで移動した。横に一歩。やはり腹が気になった。それ以外は、上の上。さらに乗。モデルとか出来ないかな、コンビニまで覚えていたら求人でも見るか、と思った。それほどやる気はないけれど。エロい方に回されたりしそうで怖いし。玄関から足を片方出した所で思い出して、一瞬迷って、部屋に戻り眼鏡をかける。鍵を閉めて、階段を駆け下りた。最後の数段は飛び降りて、足を痛めた。今、丁度ご帰宅されたご様子の階下のイケメンがこちらを見ていた。頭頂部を視線で痛めた。そういえば私、スカートだった。もしかして見られたか。横目でイケメンをちら見する。少し恥ずかしそうにしていたので、まず間違いないだろう。ふむ。まあ夕日に免じて許してやろう。今夕日見えないけれど。新築なのに人気がないアパートの敷地から脱出し、人気のない道路を歩く。コンビニまでは徒歩十五分程。遠い。パーカーの腹部についているポケットに手を突っ込み、大股で歩く。適当に結んだポニーテールが背中で踊り、影の私を気持ち悪くする。リボンは、卒業と同時に卒業した。子供らしくて恥ずかしかったのか、髪形を変えてみようとしたのか、どっちだっただろうか。もしかしたら両方だったかもしれない。帰っても覚えていたら、捜してみようと思った。




 五百二十円。
 安いコンビニ弁当とペットボトルのお茶を買った。会計の時「ぬお」と変な声を出して財布を忘れた事に対する驚きを表現した。スカートのポケットに皺まみれになった英世が居たのでなんとかなったが。サンキュー英世。残りの小銭をポケットの中で遊ばせつつ小股でゆっくり歩く。ちゃり、ちゃり。とアスファルトに反響して少しうるさかった。そういえば、私にしては珍しく求人の事を覚えていたのでさっき手に取ったのだがモデルは載っていなかった。代わりに塾の講師を見つけた。女教師。夜。補習。二人きり。素晴らしい単語が私の頭を駆け巡った。これしかない、と思わず雑誌を持つ手に力が入りそうになったが買取とかになるとゴミが増えるのが面倒なので我慢した。それに良く見てみると、場所は遠いし、給料も安いし。これは無いな、と思ったのだった。とは言っても、そろそろ生活がきついのは事実だった。何か良い仕事はないか、札束とかそこら辺に落ちてないか、ぼんやり考えつつ夕日に向かって足を動かした。目に染みたりしていないので、泣いてはいない。これはただの食塩水が目から出てきているだけだ。私は自由自在に出せるんだ。別に寂しいとかそんなんじゃない。
「げげごぼうおぇっ」
 何か携帯が急に鳴った。焦った。着信音とか久しぶりに聴いた。まあ初期設定だが。電子音が反響してうるさい。未だに喚いてるこいつを開き、ボタンを押す。何故か卑猥に思えた。メールフォルダが開かれ、題名件名アドレスが表示される。それを見た途端、私は身体が固まった様な気がした。石像ってこんな気分なんだろうか。だとしたら石像偉い。
「人妻好きさんに特別情報です、か…」
 さっきもそうだが、これは食塩水だし。別に悲しくないし。
 
 今日はやけに食塩水が出る日だな、とさっきのメールのアドレスを受信拒否にしつつ歩いていたら、いつの間にか家の目の前だった。今度はイケメンが居ないか確認して、二段飛ばしで駆け上がる。高校時代を思いだした。スカートがリサイクルのキーアイテムだったのか。そう思いスカートをセクハラ親父の様にじろじろ眺めて、眼鏡を外した。水中で目を開いた時の様に視界と物体の輪郭が曖昧になる。まあ、気にしない。気にしたら泥沼にはまる。鍵を開けて部屋へ転がり込む。ごろごろ。電気が点けっぱなしだった。靴を脱いで立ち上がった瞬間、転んだ。ごろごろ。布団にぶつかった。狭い部屋サイコー。知らぬ間にスリープモードとかになっていたパソコンを開き、ちょっと待つ。ココアを捨てた。下に最小化されたウインドウが見えた。覚えが無かった。レシピだった。忘れてた。改めて見てみると、随分と美味しそうに見えた。机に置いておいた幕の内弁当が哀れに見えてくる。お茶だけ飲んで、ボクサーな弁当は冷蔵庫に仕舞う事にして、立ち上がった。すると、携帯がまた鳴った。珍しすぎて目から食塩水。開いてみると、また人妻の魅惑だった。今度はしっかりとそれを読んでから消去した。さっきと違うアドレスだったのに今気がついて眉をひそめた。そして嫌でも目に付く一ヶ月前の日付。文面は遊びの誘い。なんとなく、今から行くと返信してみた。まあリターンは来るはずもないけれど。と思っていたら裏切られた。早い。ご飯用意して待ってるよ、と書いてあって、懐かしい面々が揃った写メも付いてきた。いや、私も誘えよ。思わず携帯を壊しかけた。危ない危ない。服をクローゼットから出し、品定め。色々と脱ぎ散らかし、着たらかし。まあこれでいいかと今の服装で納得した。パーカー意外と可愛いし。萌黄色だし。萌え萌えだし。さて、と。
「コンタクトとリボン、捜すか」見つかる気はしないけど。
 止めようかなとも思った。だって、この有様だし。堕落しすぎ。結局捜す事にした。もしかしたら私と判別出来ないかもしれないし。少し時間がかかりそうだったので、ちょっと遅れるから待っていてくれとメールした。ついでにレシピも写メって添付。
 ぽちっとな。


[No.669] 2010/02/25(Thu) 21:41:12

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