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「おい理樹、あれはなんでも言い過ぎじゃねえか?」 「良いんだよ!たまにはちゃんと言ってやんないと」 「しかし、恭介のやつかなり落ち込んでいたが・・・」 「・・・・・・・・・」 「おい、理・・・」 「いいんだってば!!」 「「・・・・・・・・・」」 恋は盲目 斉藤 「きょーすけ・・・」 「・・・・・・」 「おい、きょーすけ。なんとか言え」 「俺は・・・理樹に嫌われちまった・・・」 そう言うバカ兄貴の顔はこれまで見た事もないくらい沈んでいた。 「当たり前だ。だって、理樹は・・・」 あたしの彼氏だ、と言いたかったが恥ずかしくて言えない。 「きょーすけ、理樹はお前の事が好きだ。それは間違いない」 そう言うとバカ兄貴に顔が明るくなった。 「でも、今の理樹にはゆうせんじゅんいがあるんだ。それをわかってやれ」 そう言うと恭介は黙ってしまった。 ホントに、このバカ兄貴はいつまでたっても子供だ・・・。 (まったく恭介ったら・・・ほんといい加減にしてほしいよ) 「なあ、謙吾・・・」 「ん?」 「なんか、今日の理樹怖くねえか?」 「確かに・・・近寄りがたい雰囲気だな」 三人は理樹の部屋に来ていたが理樹だけベッドの上で近寄りがたい雰囲気を出していた。そのせいで真人と謙吾は声をかけられず戸惑っている。 (僕には鈴がいるんだから・・・) 結局その日は二人にはどうする事も出来ず解散となった。 「おはよう、鈴」 「理樹、おはよう」 次の日の朝、僕たちはいつも通り食堂で朝食を食べていた。 ・・・約一名を除いて。 恭介のルームメイトの人に聞くと部屋に籠っているようだった。 「おい理樹、恭介のことほっておいていいのか?」 「謝るなら今のうちだと思うぞ」 「う・・・」 真人と謙吾に言われて僕の気持ちは揺らいだ。 「鈴はどう思う?」 僕は最後の頼みの綱である鈴に救いを求めた。だけど・・・ 「謝れ」 鈴は僕を助けてはくれなかった。 「どうして!?恭介に謝ったらつけあがってくるよ?」 「そんな事にはならない」 根拠は無いんだろうけど鈴ははっきりと言いきった。 「・・・・・・」 「少し、考えさせて」 そう言って僕はみんなより先に席を立った。 「はぁ・・・」 みんなより先に食堂を出た僕は必然的に一人で教室に来ていた。 「理樹く〜ん、どうしたの?」 「あ、小毬さん」 「何か悩み事?」 「うん、ちょっとね」 「う〜ん・・・しゃべっちゃいなよ、ゆー」 「でも・・・」 「コマリマックスだけでは不安ならおねえさんも聞いてやろう」 「来ヶ谷さん・・・」 僕たちの様子を見ていたのだろう。 「ゆいちゃ〜ん、さりげなく酷い事言ってない?」 「だからゆいちゃんはやめろと・・・」 そんな二人の様子を見ているとこの二人になら話してもいいかな、と思えた。 「わかった。だけど今は時間がないから昼休みね」 「それじゃあ屋上に集合にしようか?」 「そうだね、それじゃ昼休みに屋上に行くよ」 「おっけいだよ〜」 そう言うと小毬さんはちょうど教室に入ってきた鈴の所へ走って行った。 「・・・なんでこんな事になってるの?」 昼休みに屋上に行くとリトルバスターズの女子メンバーが全員集合していた。 「理樹君、ごめんね・・・」 「とりあえず、どうしてこんな状況になったのか教えて」 「うん、えっとね・・・」 小毬さんが説明しようとした時、来ヶ谷さんが割って入ってきた。 「まぁまぁ、少年。別にそんな事どうでもいいじゃないか」 「いやね、確かにそうなんだけど・・・」 そこまで言って僕はみんなの方を見た。 ここに鈴さえ居なければ問題は無いんだよ。 「来ヶ谷さん、ちょっと・・・」 僕は来ヶ谷さんをみんなの輪から少し離れて鈴が居るとまずいという事を話した。 「なるほど・・・。で、少年はどうしたいんだ?」 「だから鈴をこの場所から遠ざけたいんだよ」 「それは何故だ?」 何故だか今日の来ヶ谷さんはしつこく・・・というか僕を責めている気がした。 「来ヶ谷さん、何か怒ってる?」 「いや、私は別にいつも通りだよ。ただ・・・」 「ただ?」 「少年が鈴君から逃げているように見えたからな」 「・・・・・・」 僕はその言葉に言い返せなかった。 だって来ヶ谷さんに言われた事、それは事実だ。 僕は今日の朝から鈴と話していない。 それは鈴と話したらまた、「恭介に謝れ」と言われると思ったからだ。 だってもし僕が恭介に謝ったら今の時間、鈴との時間が無くなってしまうかもしれない。 そんなの僕はやだ! 今の僕にとって一番なのは鈴だ! 鈴と一緒の時間が無くなるのはいやだ! 「鈴と・・・」 「ん?」 「僕は鈴と一緒に居たいんだ・・・」 「少年はまだまだ子供だな」 そう言う来ヶ谷さんの顔は笑っていた。 「なんで、笑うのさ」 「いや、すまんな。今の恭介氏と少年がただお互いの意見が合わず駄々をこねている子供にしか思えなくてな。因みにこれは決してバカにしている訳じゃないぞ」 「十分バカにしてるよ」 「すまんな。でも・・・鈴君はどう思っているかは分からないぞ。鈴君がどう思ってるか、まだ聞いてないんじゃないか?」 「うん・・・」 「それじゃ、話はそれからだな」 そう言うと来ヶ谷さんは僕の肩をたたきみんなの所へ戻って行き、 「よし、みんな解散だ!ただし鈴君、君は残って少年と少し話をしたまえ」 その言葉を聞くと鈴は頷いて僕の所に来た。 「理樹、朝は悪かったな」 「いや・・・良いんだよあれは僕が悪かったんだし。ごめん」 「そうか、理樹が悪かったのか」 「そうだよ、僕が悪かったんだ」 鈴とこんな会話をしていると自然と顔が綻んでしまう。 なんだろう、やっぱり鈴は何も変わってない。 僕と付き合う前と変わってないんだな。 「ねぇ、鈴」 「なんだ?」 「鈴はまた、恭介やみんなと遊びたい?」 「・・・・・・ん」 少し考えた後、鈴は小さく頷いた。 「そうか、そうだよね」 「やっぱり、みんなと一緒がいい。その方が面白い。あっ!今のは別に理樹と二人だとつまらないとかそういうのじゃないからな!」 「うん、分かってるよ」 「そうか、なら良かった」 「鈴」 「なんだ?」 「今まで引っ張り回してごめんね・・・」 「気にするな、あたしも楽しかったから」 「ありがとう、それじゃあ・・・」 そう言って僕は立ち上がって、 「恭介の所に行こうか!」 そう、鈴に言った。 「恭介・・・居るんでしょ?入るよ」 そう言って僕は恭介の部屋のドアを開けた。 「恭介?」 部屋の中は電気がついておらず真っ暗だった。 「恭介、電気つけるよ?」 パチ。 壁にあるスイッチを押すと部屋が明るくなってベッドの上に恭介がいた事に気付いた。 「理樹か・・・」 そう言う恭介の顔には覇気が無く、この世の終わりのような顔をしていた。 「なんだこいつ!?くちゃくちゃ顔色悪いぞ」 「恭介、大丈夫?」 「あぁ、大丈夫だ・・・」 そう言うがまったく大丈夫には見えない。 僕の一言で恭介のことをここまで落ち込ませたんだと思うと胸が痛んだ。 「恭介、今日は話があったから来たんだ」 「あぁ・・・」 「恭介・・・ごめん!!」 僕は精一杯の気持ちを込めてそう言った。 言われた方の恭介は何が起こったか分からない、という顔をしている。 「理樹・・・どうしてお前が謝ってるんだ?」 「だって、今回の事は全部僕が悪いんじゃないか!恭介の気持ちも考えないであんな事言っちゃって・・・」 そう、僕は昨日、恭介が「鈴と一緒にいるのよりも俺たちと遊ぼう」と言った時に「今の僕は恭介よりも鈴の方が大事なんだ」と言ったのだ。 その時は何とも思わなかったけど、今思ってみれば今までずっと一緒だった僕にそう言われたのは恭介にとってかなりのショックだったんだろう。 多分、僕が恭介の立場だったらかなりショックだ。 「理樹・・・」 そう言って僕の事を見る恭介の目には涙が浮かんでいた。 「俺だって、俺だって理樹の気持ちも考えないで自分の都合ばかりこれまで押しつけてきたんだ・・・。謝るのは俺の方だ」 「そんな事ないよ。僕はこれまで恭介と遊んできて迷惑だ、なんて思った事一度もないよ」 「理樹、これからも・・・リトルバスターズの一員でいてくれるか?」 「もちろんだよ」 恭介の問いに、僕は笑顔で答えた。 「鈴は?」 恭介が鈴に聞く。 「ん?あたしか?まぁ・・・恭介がいなくなるまではつきあってやるか・・・」 そう言う鈴の顔は後ろを向いていても赤くなっているのが分かった。 「ねえ、鈴」 「ん?」 次の日の昼休み、僕と鈴は屋上に来ていた。 「何であの時「謝れ」って言ったの?」 「あの時?」 「僕と恭介が喧嘩した次の日」 「あぁ・・・だってきょーすけから謝るなんてあり得ないからな」 「それだけ!?」 「それだけだ」 やっぱり鈴は何も考えてない・・・。 「じゃあ、何で恭介がつけ上がらないと思ったの?」 「ん?あぁ・・・、あれは・・・」 そう言うと鈴は空を見上げ、 「あんなのでも兄妹だからな」 そう言った。 「理樹いいいいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 「ちょ!恭介!?」 叫び声のした方を見ると恭介がダッシュで僕に向かってきていた。 「探したぞ理樹!さっそく遊ぼうと思ったのに!」 「やれやれ・・・」 鈴の方を見ると鈴は笑いながら僕たちの方を見ていた。 「イヤッホーーーー!リトルバスターズサイコーーーーーーー!!!」 「やれやれ・・・恋は盲目、と言うが恭介氏は少年の事になると盲目になるな・・・」 屋上の階段からこの様子を見ていた来ヶ谷は頬笑みながらその様子を見ていた。 [No.671] 2010/02/26(Fri) 13:07:57 |
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