![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
![]() ![]() |
目が覚めた。時間は8時。まあ休みだしこんなものか。 妹のはるかは隣でまだ寝ている。幸せそうな寝顔で、見ているとこっちまで幸せな気分になる。 修学旅行が終わり、家の問題も1段落ついて以来、私とはるかは同じ部屋で寝ている。 理由はお互い1秒でも長く一緒にいたいからだ。 まあ、私からは恥ずかしいから言ったことないけど・・・ 「ん・・・朝?」 「おはよう、はるか。いつもより早いわね」 「うん!だって今日はおねえちゃんと初めてのお出かけだもん!」 太陽のような笑顔でそう言う。これも口には出さないが正直かわいい。 明るい子ではあったが、今は確実に心から笑ってる。 この笑顔がずっと続きますように・・・ 「はるか、髪の毛ボサボサよ?」 「ほんとに?・・・うわ、ほんとだ」 「後ろ向いて。梳いてあげるから」 「ありがとお姉ちゃん。あ、柑橘系のにおい大丈夫かな?」 「これくらい平気よ。はるかの香りだもん」 「えへへ、そういってくれるとうれしいなー」 ああ、2人でいるとどうしても気が緩む。普通の私じゃ絶対言わないことを・・・ まあ今がそれだけ幸せということなんだけど。 「終わったわよ」 「じゃあ今度は私がしてあげるね♪」 「お願いするわ」 「お姉ちゃんの髪の毛さらさらでいいなー」 「毎日手入れしてるからそりゃあね」 「そうだ、これから毎日一緒にお風呂入ろ!その時に手入れとかしてくれない?」 「ごめん、それだけは無理。もう少し待って・・・」 傷を自分以外の人間に見られることにはまだなれない。それが妹であったとしても・・・ はるかは察してくれたのか優しく髪を梳いてくれた。 「よし、それじゃあレッツゴー!」 「それで、どこに行くんだっけ?」 「忘れたの?今日はお互いの服を買いに行くの。忘れちゃダメですヨ!」 「・・・それで、ここはどこ?」 「見てわからないの?ぬいぐるみ屋さんだよ?」 「最初どこに行くって言ってたっけ?」 「服屋さん。あ、かわいいのはっけーん!おもちかえりしたい~」 「はあ・・・ちゃんとお金は残しときなさいよー!」 まったく・・・ここらへんは変わってないわね。まあ変わられると困るんだけど。 「あ、これかわいいかも。・・・ん?」 一瞬視線を感じたけど・・・まあいっか。もう少し見て回ろう。 30分たった。そろそろいいわね。あの子はどこかしら? 「お姉ちゃんおまたせー」 「あら、2つも買ったの?残りのお金ある?」 「うん。ではでは、どうぞ!」 そういってその中の1つを私に手渡してくる。えっと、これは・・・ 「やはは、プレゼントですヨ。いつもありがと、お姉ちゃん!」 「そんな・・・私、なにもしてないわよ・・・?」 「仲直りのしるしみたいなもの、かな?」 「ありがと、はるか。ほんとうに・・・」 「大げさだなあ、お姉ちゃんは」 まさかここまでしてくれるとは思わなかった。 昔のはるかからは考えられなかった。 どうしよ、なんか泣きそう・・・ とりあえず何かお礼がしたい。 「はるかは、何かほしいものある?」 「いいの?えっとねー・・・今はいいや。帰ってから」 「帰ってからって・・・どういうこと?」 「えっと、その、あの・・・今でなくてもいいじゃん!」 「別に今度でいいのならそれでいいけど・・・私としては今すぐお礼がしたいの」 「いや、だから・・・あーもう!家に帰ってから話すからこの話し終わり!」 はるかが何を言いたいのかよくわからないけど、とりあえず頷いておいた。 気がつくと昼になっていた。 「はるか、お昼どうする?」 「あの店でいいんじゃないかな?」 そういってはるかが指さしたのはハンバーガーショップ。私も直枝と何度か来たことがある。 「そうね。じゃあいきましょうか」 二人で店に入る。そこには・・・ 「いらっしゃい!おう、二木と三枝か。ゆっくりしてけよ!」 「棗先輩!?なぜここに?」 「バイトだよ、バイト」 「就職活動はいいんですか?」 「俺の性格を忘れたのか?やりたいことをやるのが俺のポリシーだ」 「どうでもいいけどまけてくださいね」 「俺にそんな権限はない」 「えー、いいじゃんまけてくださいよー」 「ほら、同じ仲間もこう言ってるんだし、いいじゃない」 「二木おまえ、性格変わったな」 「あ、やっぱりそう思います?いやー、家ではもう・・・もがっ!」 「黙りなさい。はあ・・・定価でいいわよ」 「それが普通だ。で、注文は?」 「私はレギュラーバーガー。はるかは?」 「私もそれでいいよ」 「あ、それと・・・」 「はいはい、1つはピクルス抜き、トマト抜きケチャップ増量な」 「な!なんで知ってるのよ!」 「理樹が言ってたぜ」 「直枝め、覚えときなさいよ!」 「え、それなんのことですか?」 「それはだな三枝、あいつが二木とここに来た時・・・」 「棗先輩!いいかげんに・・・」 「するのはお前だ。他の客の邪魔だぞ」 「あ・・・」 言われてはじめて気づいた。私としたことが・・・ 「じゃあ三枝、また練習の時にでも」 「わかりましたー!」 「棗先輩!」 はあ、まったく・・・気が休まらないわ。 「なんか疲れてるみたいだけど?」 「あなたが原因なんだけど。ってまたなのこれ」 「どうしたの?」 「毎回のことながらきっちりしてないわこのハンバーガー。ずれてるのよ。組みなおさなきゃ・・・」 「ほんとに私のお姉ちゃんなんですかネ?」 「・・・よし、組み終わり。いただきます」 もぐもぐ。もぐもぐ・・・ 「あ、にケチャップついてるー。とってあげるね♪」 「っ!んー!」 必死に首を横に振って抵抗してみる。が、 「慌ててるお姉ちゃんも可愛いー。ほいっ、ぱくっ」 ってとったケチャップを食べた!? 私は今口にあるものを飲み込んでから、 「ちょっとはるか!なにしてるの!」 「いやー、だってこれお約束デスヨ?」 「そんなのいらないの!ていうかそれカップルがやることでしょ?」 「お姉ちゃんならいい反応してくれるかなーって。実際してくれたし♪」 「あのねえ・・・」 恥ずかしい・・・けど、悪くはない、かな? なんか妹に甘くなってきてないかしら? 「さて、行きますか」 「今度はちゃんと服屋よ?」 「だいじょーぶ!ちゃんと私が選んであげるから!」 「そういう意味じゃなくて・・・あ、私もはるかの選んであげるから」 「ホント?じゃあ選びっこ、かな?」 「そうなるわね」 「よし、それじゃあ早速ゴー!」 「あ、ちょっと!」 よく食後であんなに走れるわね・・・ 何でって聞いたらきっと楽しいからっていうんだろうな・・・ ま、私も楽しみなんだけど・・・ その後ははるかと2人で服屋に入った。 いいのがないか選んでいると、またそこに意外な人物が。 「おお、葉留佳君に二木女史か。こんなところで会うとは奇遇だな」 「あれ?姉御、どうしてここに?」 「バイトだ。恭介氏が最近始めたと聞いたので私もやってみた。まあもっぱら裏方だが」 確かにこの人に接客は難しいわね・・・ 「服屋のバイトってあったんだ・・・てゆーか何の仕事?」 「主に在庫の品を並べていく程度のことだが、面白くないから自主的に試着の手伝いもやっている」 そろそろクビね。 「・・・まあ、頑張ってくださいネ」 「じゃあ行くわよ、はるか」 「相変わらず冷たいな。言ってくれれば即試着させてやるぞ?」 「結構です」 その後は2人でお互いに似合いそうな服を選んだ。 「ねーねー、これお姉ちゃんに似合うと思うんだけど、どうかな?」 「私はこれがはるかに似合うと思う・・・って色違い!?」 「おおー、見事に同じですネ」 どちらもファンシーなデザインだけど、私がはるかに選んだのは赤色で、はるかが私に選んだのは黄色だった。 「もうこのまま買いましょうか」 「そうだね。あ、でもサイズとか大丈夫かな?」 「なら試着室に行きましょう。来ヶ谷さんに見つからないように」 「そうですネ。姉御に見つからないように」 「誰に見つからないようにだって?」 「そりゃ姉御に決まって・・・って姉御ー!?」 「うむ。正直言って君も姉の恥ずかしい姿を見たいとは思わないのか?」 「見たいけど姉御の手にかかると危険な予感がするのでパスで」 「葉留佳君も変わってきたな・・・」 「そうかな?じゃあ姉御、また学校で」 「わかった。じゃあな」 二人とも試着が終わり、試着室から出てきた。 「おおー、お姉ちゃん似合ってる! 「ありがと、はるかも似合ってるわ」 「えへへ、ありがと♪」 服を買って店から出た。 そういえばはるかの願いはなんだったのか。気になるので聞いてみると、 「あー、あれね。夜、外に出ることって出来る?」 「・・・私が元風紀委員長だって知ってていってるの?」 「もう辞めたんだからいいじゃん。私はただ、お姉ちゃんと二人で星空を見たいだけ」 「いいけど、私がプレゼントもらったのに・・・なんか私の方が得してるみたい」 「お姉ちゃんの笑顔が見れれば私は満足なのです。やはは」 「え・・・?」 「じゃあ10時に校門でまってるね!」 すぐに姿が見えなくなった。言った本人も照れくさかったのだろう。 私は唯一の妹の愛を感じながら夜を待つのだった。 「いったのはあの子なのに、まだ来ないわね・・・」 「おまたせー!ゴメン、まった?」 「1分遅刻。まったく・・・」 「そんなに怒らなくても・・・どれだけまってたの?」 楽しみで30分前から待ってたなんて絶対言えない・・・ 「もしかしてずっと前から待っててくれた?」 「別に。さっさといくわよ」 「誰かが9時30分に寮から出てきて中庭に行った気がするんだけどなー」 「っ!見てたの!?」 「へ?当たり?適当に言ってみただけなのにー」 「くっ・・・」 私ははるかのからかいの声をうけながら学校の屋上を目指した。 そして窓の前まで来た。どうやらここから上るらしい。 「お姉ちゃん、先に行って。早く見てほしいし」 「わかったわ。・・・って何してるの?」 はるかがライトでこっちを照らしていた。私は今ちょうど上っているところ。まさか・・・ 「いやー、見えにくいかなって思ってー」 「見えるからさっさとスイッチ切りなさい!」 「まずは上ればいいと思うんだけど、もしかして見られたいの?」 「あーもう!違うっ!」 そう言ってから一気に上る。まったくはるかは・・・ 「それにしてもきれいな水色ストライプだったなー」 「~っ!」 上ってみるとそこにはきれいな星空が瞬いていた。 見ていると吸い込まれそうなくらいにきれいだ。 「えっとさ・・・さっきはゴメンね?」 「いいわよ別に。それくらいで謝ってくるなんて珍しいわね」 「あ、怒ってなかったんだ。よかった~」 「どっちかというと、恥ずかしかったかな?」 「ふーん?」 「な、なによ?」 「お姉ちゃんってさ、私と二人っきりの時ってとても優しくてかわいいなーと思って」 「・・・はるかも」 「ん?」 「はるかも、私といる時はとっても輝いてるわ」 「え、そう?そう見えるの?だったら、嬉しいな!」 二人寄り添って星空を見上げる。いくつもの星が空で輝いてる。 「きれいだねー」 「きれいねー」 流れる時間とかけがえのない隣の存在を感じながら今を過ごす。 そうしていると頭上には 「お姉ちゃん、あれってオリオン座?」 「そうね。明るいから目立って見つけやすかったわ」 「あの真ん中の3つの星ってさ、すごく近くに見えるじゃん? でもあれって実際ものすごく遠い距離なんだよねー」 「たしかにそうね。他の星座でもそうなんだけどオリオン座の場合特にそう感じるわね」 「まるで昔の私たちみたいだよね?」 その瞬間体がびくっとした。まさか今はるかがそんなこと考えてたなんて・・・ 「もしかして、まだ怒ってる?」 「ううん、そんなんじゃない。ただそう思っただけ」 「そう・・・」 「でも、少し怖い。また仲が悪くなることなんて、ないよね?」 はるかは恐れていた。また奪われることを。でもそれはない。 「大丈夫。もしそうなりそうなら、私が全力ではるかを守るから」 「お姉ちゃん・・・ありがと。あのさ、今夜だけ、甘えていい?」 「・・・いいわよ」 いつも甘えてるじゃない、と言おうとしたが止める。 今だけは、いや、今からは心から安らげるように。 「じゃあ、膝枕して?」 そう言ってはるかは私のひざの上に頭を乗せてきた。 「ロマンティックー♪いちどしてもらいたかったんだよねー」 「ふふ、私もこうしてると心が落ち着いてきたかも」 はるかの頭をなでる。続いて髪を梳く。 「ん・・・♪」 とっても気持ちよさそうな声を上げる。表情も完全に緩みきっている。きっと私もだろう。素直な気持ちをぶつけるなら、今しかない。 「ねえ、私は今はるかといれて本当にうれしいの。ずっとこんな日が来るのを夢見てた」 「私もね、今がとても楽しいよ。それで、これからはもっと楽しくしたい!」 「そうね。これからは、今まで失った時間を取り戻しましょう」 「じゃあさ、朝までずっとここにいる?」 「なんでそうなるのよ・・・でも、それもいいかもね」 「ホント?・・・あ!流れ星!」 「え、どこ?」 「あー・・・もう見えないや・・・」 「願い事は言えた?」 「言えるわけないじゃん。見えたと思ったら見えないんだもん」 「ま、そんなもんよね」 「でもいいや。私の願いは自分でかなえる」 「私も同じよ。でもはるかの願い事ってなにかしら?」 「そこはお姉ちゃんからどうぞ」 「じゃあ同時に言ってみない?」 「いいよ。せーの!」 「「この幸せな時間がいつまでも続きますように!」」 [No.83] 2009/05/01(Fri) 22:14:20 |
この記事への返信は締め切られています。
返信は投稿後 60 日間のみ可能に設定されています。