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No.367へ返信

all 人外捜査官 - 籠龍 - 2012/06/02(Sat) 17:19:27 [No.365]
捜査はディナーの後で - 東風 - 2012/06/04(Mon) 21:52:52 [No.366]
ジャック・バレットの堕ちた道 - 東風 - 2012/06/22(Fri) 23:17:01 [No.367]


ジャック・バレットの堕ちた道 (No.366 への返信) - 東風


 ジャック・バレットは小さい頃からテラ大陸のグレイウォール周辺の村に住んでいた。
貧困に悩んではいたが、4人の兄弟姉妹たちに病気がちの母と楽しく過ごしていた。

 しかし、第二次契約戦争時。
 全てが、彼から全てを奪った。
 天羅軍とテラ軍の衝突の真っただ中にあった村は、両軍の私利私欲にことごとく振りまわされていった。
 天羅軍によって母は目の前で殺され、家族を守ろうと立ち向かった兄も、テラ軍の誤射によって蜂の巣とされた。
 姉妹は揃って天羅軍に蹂躙され、弟はテラ軍に連れ去られてしまった。
 ジャックは血反吐を吐きながら逃げ続け、身体が動かなくなってもなお走り続けた。
 一人さまよいながら流れついた街では、彼はボロボロになって路上で倒れていた。
 雨も降り、段々と体温も下がっていく。空腹で、疲労で、絶望で、押しつぶされていた。
 ここで死ぬのかもしれない。それもいいかもしれない。
 死ぬのならまだ家族の顔を覚えているうちがいい。このまま廃人となって死にゆくのは嫌だ。

 そう思った時、彼女が現れた。
 突然雨が止んだことに驚き顔を上げると、一本の傘をさした女性が立っていた。
 ブロンドの髪を押えながら、ジャックを珍しいものでも見るようにその碧眼をまるくしている。
「…そんなところで倒れていたら、風邪をひいてしまいますよ?」
 彼女は何の躊躇いもなくジャックの身体に手を置くと、彼の外傷やその重たい身体に気付き、周囲の者に運ばせた。
 後で知ることになるが、彼女――ドロシー・H・シルドレアンこそこの街一番の大富豪シルドレアン家の一人娘だった。
 彼女はジャックの手当てをし、身なりを整えさせた。
 ジャックは自暴自棄で絶望していた。
 生きる力も、願いも、希望もない。
 幸せな生活はぐちゃぐちゃにひっかきまわされ、ひっくり返されたのだ。
 彼はドロシーの屋敷にて三日間、食事をとらなかった。
 しかし、ドロシーはジャックに対して毎日顔を合わせ、一杯の紅茶を差し出していった。彼女は放心状態のジャックにさまざまなことを聞いた。
 生まれはどこなのか、どんな生活をしていたのか、何があったのか。
 四日目にして、彼は初めてドロシーに対して口を開いた。
 自分の幸せな生活。母と、兄弟姉妹と過ごしていた日々。攻めよせる天羅軍。それに応じるテラ軍。燃える村。つぶれる家。刀を突き立てられた母。銃弾を浴びた兄。家畜以下の扱いを受けた姉。悲鳴を上げながら泣き叫ぶ妹。全てを拒絶しながら怒りに吠え猛る弟。
 そして、それら全てを守り切れなかった自分。
 全てを話し終えた後、ドロシーは大粒の涙を流し、ジャックをやさしく抱きしめた。
「私が、あなたを守ります。だから、あなたはいつまででもここにいて下さっていいんです。だから、あなたは生きて下さい」

 彼は思った。
 自分を守ると言った、この女性を守る。生涯をかけて、この女性の側に仕えよう。人が生きることには限度はあれど、どんな姿になっても彼女の側に仕える。
 死が魂を分かつ時が来ようとも彼は必ず守る。その意思ただひとつにのみ全身全霊を費やそう。

 その日から、彼は彼女付きの執事となった。とはいっても、辺境の村に住んでいた田舎者ではほとんどできることはなかったし、同年代の女性の世話をするほど野暮でもなかった。
 しかし、ドロシーはジャックに執事見習いの地位を与え、自分の側に置いた。
 それは、世話や雑用などではなく、一緒にお茶を入れたり、街へ出かけるときにお供としての執事だった。ジャックは再び幸せの頂点へと達していた。
 彼の、人生の中での一番輝いていた時だったかもしれない。

 しかし、突然彼らの頭上に光が降り注いだ。
 突然現れた「ソレ」らは、無作為に「人」を襲う。襲われた人は、まるで変質とでも言うほどに別のものへと昇華されていく。
 天使――そう呼ばれたモノたちは、全ての人間を焼き尽くし、その街を包んでいった。
 燃え盛る街の中で、しかしドロシーは街の人間を守ろうとしていた。町民の避難のために呼び掛けをし、小さい子の手を引いていく。ジャックも傍に立ち、同じく声を張り上げていた。
 しかし、天使が無情にも全てを貫いた。
 ジャックは彼女をかばったが、彼の身体ごとドロシーをえぐっていった。
 ジャックは最期の力で彼女の顔を見つめ、一言、「守れなくてごめん」とつぶやいた。
 そうすると、ドロシーは優しく彼を抱きしめ、微笑みながらこう言った。
「私は死にます。でも不幸ではありませんでした。死ぬその時まで、あなたが身を盾にして守ってくださったから。だから今度は、その手で皆を救ってください。私にしてくださったように」
 ゆっくりと頬を撫でながら、大粒の涙を流す。
「大丈夫です。私は、いつまでもあなたを守ります。だからあなたは、生きて下さい」
 その瞬間、周囲の天使は一瞬にして黒い灰へと変化した。
 もはや光をなくしたドロシーを抱えながら、瀕死のジャックは顔を上げると、そこには黒衣の男が1人立っていた。
「生きたいか?ジャック・バレット。もし貴様に願いが、想いがあるのならば、″これ″はそれに反応するだろう」
 そうして黒衣の男は一粒の種をジャック・バレットに与える。
 彼らは数秒後ゆっくりと立ち上がった。
「私の名を呼ぶならば、こう呼んでもらいましょうか。どこともしれぬ貴族のお方」
 彼はそう言うと、いつの日かドロシーがさしていた傘をさし、傍らにドロシー「だったもの」を従え、こう呟いた。
「ドロシー・ヘカトンケイル・シルドレアン嬢専属の執事、ジャックバレット・ヘカトンケイル」


 奇妙な運命のもと、彼はダークへと生まれ変わった。
 彼はその最強クラスの防御力を武器に、戦場で暴れまわり、天使やテラ軍・天羅軍をばったばったと打ち払っていた。
 しかし、とある町にてとある捜査官と対面した時に、彼は敗北しましたとさ。(この辺りは他PCとの兼ね合いもあるから割愛)


こんな感じ。
なんか設定がむくむく湧いてきたから載せてみた。
後悔はない。反省もしない。
ただ謝ります。すんません。


[No.367] 2012/06/22(Fri) 23:17:01

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