「 …教官? 」
古巣である三橋技研に戻った【PC@:天橋ヤヒロ】を偶然見かけた元教え子、【京(ミヤコ)・アヤ】は冷たく言い放った。
「 今更、何しに来たんですか? 」
「 ―以上の事から、仮称“古東 アナミ”と“サキモリ”の関係性は不明瞭な点が多く、“サキモリ”がアビスガーディアンである可能性も否定できない 」
【橘オウカ】の提言によって、調査解析を依頼された三橋技研の格納庫へと封印される“サキモリ”。
「 つまり、あの機体は危険過ぎる、という事よ 」
舞台は地上へ。ヤヒロの因縁の地、イズモ、鳳市へ。
「 三橋技研は“サキモリ”を知っている。いえ、おそらく、“サキモリ”を造ったのは東亜連邦時代の三橋技研よ 」
ヤヒロの前に現れた【フミスティ・リスリス】は何時もの強気な笑みを浮かべる。
「 調べてみる価値、あると思わない? 」
「 サイバースペースには旧世紀の領域が必ず残っているはずだ。君なら、探せるかも知れない― 」
【デクスター・アルモバドル】と共に【PCA:財津カグラ】は三橋技研のDIVE施設を使用して、旧世紀の調査に乗り出していた。 そして、辿り着いたのはかつてカグラがプレイしていた、ロボットRTSゲーム、“シルバー・ホーケン”のフィールド。
「 私は、元始の海に生じた“漣”のようなもの 」
そこに居たのは、無数の電子奈落獣と―― 第一人類を自称する【サザナミ】という存在。
「 BOT戦も飽きてましたし、PVPでもいかが? 」
「 ―悪いな、元戦友 」
本来の規格外兵装を複数搭載した姿を取り戻した愛機“Reベンジ”に乗った【フレッグナー・カースデン】がカグラへとグラインドソードを構える。
「 いつも通りに避けれるもんなら避けきってみな―! 」
「 ―私の母国、ガリスティア第五帝国は、滅びました。星帝…お父様も… 」
大奈落戦艦サーベラスのコアにされていた“ガリスティアの第三王女”【エリア・D・ウェスペリア】は目覚めるとそう口を開いた。
「 私達の知る奈落とは一線を画した強大な奈落… “バルサイド”によって 」
「 大丈夫だ、ジゼル。何も恐れることなんてないんだ 」
【橘オウカ】が見つめる中、【PCB:ジゼル・アンペール】の機械部分からコードが伸び全身に巻き付き、染み出すように機械が残る生身部分を覆っていく。 周囲を見渡せば、オウカや【香取リュウジ】【早瀬シン】らのルミナスの仲間が全身機械の姿で、機械に侵されるジゼルを微笑んで見ている。
「おめでとう」「おめでとう」「おめでとう」「おめでとう」「おめでとう……――
ルミナス内に鳴り響く警報。爆発。サイボーグ兵士達が高高度爆撃機から射出され、ルミナス本部の叢雲市洋上の人工島へと降り注ぐ。 そして、ルミナスの格納庫内でジゼルを投げ飛ばし、首を掴んで持ち上げる巨躯のサイボーグ。
「 機械の身体は最高だよなァー?! 」
「 よう。 …体調は大丈夫かよ? 」 「 ナナセ、お疲れ様! 放課後どっかいかない? 」
学園に通う日常と、奈落獣との戦いの日々を過ごす【PCC:ナナセ・綾瀬川】に男友達の【ライジ・加賀】がぶっきらぼうに、女友達の【エーコ・蜂須】が明るくナナセに声をかける。 しかし、徐々にナナセの日常はアポカリプス級の…ナナゴウで戦う度に浸食されていく。
「 いいか、今すぐナナゴウに乗るのを止めろ! 今ならまだ引き返せる―!」
学園の地下に隠されたニゴウのコックピットから現れた少女【ニコ】がナナセの胸倉を掴み、詰め寄る。
「 彼女は、ニゴウのパイロットは使命から逃げ出した。でもナナセさんは違います。 …そうですよね? 」
【リーフ】が真っ直ぐな瞳でナナセを見つめる。
「 “バルサイド”が来ます。私達の倒すべき、奈落が。…ステージ2へ進みましょう、ナナセさん 」
少し申し訳なさを含んだ、いつもの微笑みで告げる。
「 ―大丈夫。私を信じてください 」
「 博士。貴殿は出会った筈だ。偉大なる奈落に 」
ガラス張りの拘置所に虚ろに佇む【エルハルト博士】。その前に現れ、両手をかざす【欲界僧正・兜率天外印】。
「 ―“バルサイド”に 」
そして― PC達ガーディアンへと向けられる、奈落に汚染された鳳市フォーチュン支部の兵器軍。
「 鳳市フォーチュン支部からイズモ統括本部へ、緊急通達。鳳市フォーチュン支部は、奈落に制圧されました― 」
STG卓第2回「 カンナンシンク 」
奈落を砕き、世界を救え―。
「 ヤヒロ―! 酒盛りしよー! 」
一升瓶を両手一杯に抱えて入室してきた【チトセ・ウィル・ナスカ】。それを見て、フミがげんなり顔をして呟いた。
「 酒カスが増えた…」
[No.1425] 2023/02/25(Sat) 09:20:14 |