【試験投稿】Gift To...第1話 - ねぎ@管理人  |
「ほら 淳平くんが 廃墟に逃げこんだあたしを追ってドアをバン!って開けるシーン。
あそこであたしに好きだって言ったじゃん?
あそこね… あたしね…
ものすごく胸がドキドキしちゃった!
バカだよね 自分が告られたわけじゃないのに 」
【Gift to・・・】
第一話 「ドキドキ」
真中たちは予定通り今年の夏の合宿を終了し、一週間の合宿から家に帰ってきていた。
『ものすごく胸がドキドキしちゃった!バカだよね 自分が告られたわけじゃないのに…』
真中は自分のベッドの上で天井を見つめながら、さっきからこの言葉をずっーとアタマの中で思い出している。
合宿から帰宅して直ぐに、唯の件があって疲れきっていた体ではあったのだが、寝ようとしてもなかなか寝つけないでいた。
「東城とはこの合宿で一歩も二歩も近づいた気がする。これからどうしたらいいのかはわからないけど、でも距離は確かに縮まったと思うし…
さつきとは今回は何もなかったな〜。まぁしいていうなら風呂場でまたやっちまったくらいか…
西野…、そう西野とはどうなんだろう?今もアタマに浮かんでいる言葉…
それに、あのホタルを見ながらの縁結びの神様へのお祈り…『これからもっと素敵な恋ができますように…』
あの時は西野に誰か好きな人がいるのかと思ったけど、いま思うとあれは俺ともう一度やり直したいって遠まわしな表現!?いや、都合よすぎだな。でも縁結びってそこにいる二人の縁を結ぶって意味だし…」
しばらく同じことを何度も繰り返し考えていた真中ではあったが、そうこうしているうちに眠りに入ってしまった。
翌朝
「ほら、淳平!いつまでも寝てるんじゃないよ!!今日はバイトがあるんでしょ!!早くしないと遅刻するわよ!!」
いきなりの大きな声と共に布団をはがされ、真中は渋々眼を覚ました。
「そうだった、今日はバイトの日だったんだ。唯の家に行ってたから感覚がズレちったな。」
.朝食をすませ、真中はジジイ(館長)へのみやげを持ってテアトル泉坂へ向かった。
「はぁ、今日バイトだったんだよな〜。イメージが残ってるうちにビデオの編集をやっておきたかったんだけどな〜…」
パシャッ!
「あわわ、すまんな、ついボーッとしてて...」
ジジイだ。
「何やってんスか、もーーーっ!!」
「わ、悪い!!いや、しかしその〜なんだ。奥の部屋にタオルがあるからそれで拭いてくれんか。」
「何で奥の部屋なんですか!この部屋にいつも使ってるタオルや予備のシャツがあるじゃないですか!!」
「あっ、あっ、あ〜〜〜っ!!!!」
「何ですか!!」
「そこは豊三郎の秘密の部屋だからダメーーっ!!」
「秘密も何もただの小汚い部屋じゃないですか!ハイ、これおみやげ!!」
「ぬぉ!!こ、これ、ダメじゃというのにーー!!」
真中はジジイにおみやげをたたきつけるとドアを開けた。
ガチャ
ドアを開け中に入ろうとすると白い影がチラッと動いた。真中は眼を凝らしながらゆっくりとその方向へ眼を向けると、そこには…
一人の女の子が…
しかも今まさにシャツを着ようとしているところであった。
「……ど、どーも。失礼…つかまつりました…」
「きゃあああああああっっ!!」
「うゎーーーーーっ!!」
慌てて部屋を飛び出し、ドアを閉める真中。
(い、今のは西野!!??なんでまた西野がここで!?)
だが、その瞬間、今の状況を一気に理解した。
「おい、ジジイ、またやりやがったな!!」
「堪忍してや、にいちゃん!今日はホンマに偶然やったんじゃ!!」
「今日は?ってことはやっぱりこないだはワザとだったんだな!!」
「え、この声は淳平くん。今のはやっぱり淳平くん!?」
「そ、そんな昔のこと…。つ、つかさちゃんに聞こえちまうじゃろ!」
つかさという名前を聞いて思わず我に帰った真中。
(そうだ、今西野が中にいるんだった。しかも一度ならず二度までも…。俺って一体…。)
ガチャッ
「あ、に、西野…」
「やっぱり淳平くんだったんだ!」
「ご、ごめん。まさか、また西野が着替えてるなんて思わなくって…」
「う、うん…」
二人は少し顔を赤くしながら俯いていた。
真中は(やっべー。これじゃ俺ただのスケベじゃね〜か!あのジジイ!!でも、西野の体、白くてきれいだったな〜)
一方西野は(どうしよう、また見られちゃった…かな?もう、どうしてこう何回も淳平くんにばかり見られちゃうんだろう…)とどんどん顔を赤くしていった。
「か、かあっわい〜〜〜い!!」
ジジイの声でハッっとなった二人。
「つかさちゃんのTシャツ姿、初めて見るけどすっごい かあっわい〜〜い!死んだばーさんの若いころにホントそっくりじゃい!」
「す、すみません。シャツをお借りしちゃって」
「いーの、いーの!どーせそれはコイツがいつも仕事するときに着るシャツで、何枚かココに置いてあるんじゃ!」
「え?じゃぁこのシャツ、淳平くんの…」
そう、今つかさが着ているのは、これから真中が着替えようと思っていた正にそのシャツだったのだ。
「あ、あぁ。に、西野さえよけりゃそれ着てってくれよ。迷惑かけちまったのはこっちだし(っていうかこのジジイだし)…」
そういいながらも真中は自分のシャツを着て目の前に立っているつかさに思わず見とれてしまっていた。
「か、かわ・・・」
「ん、何??淳平くん?。」
思わず『かわいい』って言ってしまいそうになった真中は赤い顔を更に赤くして
「か、かわくといいな、服が!!」
「大丈夫だよ!バイトしてるうちに乾くと思う」
そういうと、いつもの笑顔を真中の方に向けた。
「それより、順平くんのシャツ。これ一枚しかなかったけど、大丈夫?」
いつもは3枚くらいはシャツを代えとして置いておくのだが、今回の合宿が一週間もあったので、一枚だけ残してあとは自宅に持って帰っていたのだ。
「大丈夫!どうせお客が少ねえから仕事もそんなないから汗もかかないだろうし。それにすぐ汚しちゃうからどれを着てても一緒だよ!」
「うん!ありがとう!!」
つかさはそういうと、カバンを手に取り
「じゃあ、あたし バイト行くね!」
そう言うと、パティスリー鶴屋に向かって走り出した。と、突然真中のほうに振り返り
「淳平くん!今日も一緒に帰ろうね!!」
大きく手を振りながら走っていってしまった。
真中も手を振りながら
「今日も…も!?ってことは少しは俺のこと気にしてくれてるのかな?」
夜7:00
「じゃあ お先に失礼しまーす!」
真中は映画館を飛び出すと、急いでつかさのバイト先のケーキ屋まで走っていった。
つかさのバイトが終わるのは7時。別にケーキ屋の前で待ち合わせというわけではないのだが、何故かつかさがお店を出て来た時には外で待っていたかったのだ。
ガチャッ
「お疲れ様でした〜」
つかさが出てきた。
「淳平くん!お待たせ〜!!」
つかさの笑顔に何故かホッとしてしまう真中。
「じゃあ、行こうか」
そういった真中はふとあることに気づいた。
『西野が俺のシャツをまだ着てる!?』
そう、つかさは午前中に真中から借りたシャツを着て出てきたのだ。
(た、たしかバイト中に乾くって言ってたような…)
だが、現実に眼の前にはちょっとだぼついた 自分のシャツを着ているつかさの姿がある。
「ん、どうしたの 淳平くん?」
そういうとつかさは真中の顔を覗き込んだ。
「い、いや。ハハハ。何でもないっす!」
思わずドキドキしてしまう真中。
「もう!淳平くんっていっつもボーッとしてるんだから!」
「はは。」
「きょ、今日はホントごめんな!まさかあそこに西野がいるなんて思わなかったから…」
真中はどうしてまだ俺のシャツを着てるのかが気になってしまい、さりげなく話題を振ってみた。
「ううん、あたしのほうこそ ありがとね!でもこのシャツとっても助かってる。実はまだ服が湿っぽくて。」
本当に服がまだ湿っているかは定かではないが、真中はその言葉を聞いて納得したような残念なような何ともいえない感じになった。
「そ、そう?それはよかった!!」
すると、いきなりつかさは真中に近づき、真中の着ているシャツの匂いを軽くかいだ。
突然の出来事にドキドキする真中。
「え?え?何??俺ってなんか匂う???」
そういいながら自分のシャツの匂いをかいでいると
「アハハ、違う、違う!別に変な意味じゃなくって。ただ今あたしが着ているシャツと同じ匂いがするのかな〜って思ってさ!」
「え?そのシャツ臭う?ごめん!おかしいな〜、ちゃんと洗ってるんだけどな〜」
「そうじゃなくって、これが淳平くんの匂い なんだな〜って」
ペロっと舌を出して笑うつかさに思わずドキッとする真中。
「ところで淳平くん。こないだの合宿の映画。もう編集ってやってるの??」
「ん?あ、あぁ編集ね!」
いきなり別の話題になったので、真中は言葉がどもってしまった。
が、つかさに尋ねられた真中は、唯との出来事を説明し、明日から始めようと思ってることを伝えた。何故、この時、唯との出来事を全て(といっても風呂場の出来事は除いて…)つかさに話をしたのかはわからなかった。
でもつかさには何でも話したい。そんな気持ちになっていたのは事実だった。
「へ〜〜、じゃあ疲れがまだ残ってるんじゃない?大丈夫??」
つかさの優しい言葉に思わず胸を熱くしながら
「大丈夫!!編集っていっても、必要なシーンをつなぎ合わせてまとめるだけだからさ!」
「ふ〜ん…」
つかさは何か考えてるように返事をしたあと
「ねぇ!あたしもその編集を手伝う!!」
「!!!!!」
突然の提案に驚いてしまう真中。
「え?い、いいよ!そんな。一人でもできるし・・・。そ、それに…(それって西野が俺の家に来るってことだよな〜)」
「それに…何?もしかして…お邪魔??」
つかさは寂しそうに言った。
「い、いや。違うんだ!手伝ってくれるのはとっても嬉しいんだ!ただその〜部屋が…」
「部屋が…何…?」
「き、汚い・・・・」
「き、汚い…!? プッ!な〜んだ!そういうことか〜。良かった〜。あたし、本当にお邪魔なのかな〜って思っちゃった。じゃああたしもお掃除手伝うから一緒に片付けようよ!そうすれば早く終わると思うし、それに編集できる時間も増えるでしょ?ね??」
「い、いや。いいよ!じゃ、じゃあ部屋は俺が今日中に掃除しておくからさ!!西野には明日編集を手伝ってもらおうかな〜なんて」
「うん!!」
つかさは満面の笑みを浮かべて真中にうなずいた。
「そういえば、前、ここの公園を通ったよね」
そう。あの映画館で運命的!?(真中が勝手にそう思ってるだけかもしれないが)な再会をしたその日の夜、一緒に帰った時に確かにここの公園を横切ったのだ。ただ、その時はあまりのカップルの多さに思わず無言になってしまったのを真中はまだ覚えている。
「そ、そうだね。あ!あの時にもらったケーキ。ホントおいしかったな〜!」
つかさはつかさで、言ってしまった後、やはりその時の事を思い出してしまっていた。
「え?あ、うん。うちのケーキすごくおいしいでしょ?今あたしもケーキ作りを勉強してるんだけどさ。やっぱ、お店のケーキみたいにうまくいかないんだよね〜」
公園を素通りし、気づけば西野の家の近くまで来ていた。
「あたし、こっちだから。」
「うん、気をつけて!」
「明日、淳平くん家に何時に行けばいいの?」
「う〜ん、できたら一回通して見てみたいから、午前中に来てもらえると助かるな〜」
つかさはその言葉を聞いて少し考えた後、
「うん、わかった!じゃあ10時頃に行くね!また明日!!」
「おやすみ!!」
真中は帰り道、『明日は西野と二人で編集か〜…』と考えながら、
「早く帰って、部屋を片付けないと!!」
急いで自宅のマンションへ走るのであった。
[No.1] 2005/07/04(Mon) 13:04:53 |