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all 明と暗・白と黒  概要とお詫び - シン - 2008/01/21(Mon) 23:33:30 [No.740]
明と暗・白と黒  プロローグ - シン - 2008/01/22(Tue) 23:28:04 [No.741]
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明と暗・白と黒  第2話 - シン - 2008/02/02(Sat) 01:27:14 [No.753]
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明と暗・白と黒  第5話 - シン - 2008/02/09(Sat) 23:17:13 [No.793]
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明と暗・白と黒  第22話 - シン - 2008/05/05(Mon) 23:17:28 [No.993]
明と暗・白と黒  第23話 true - シン - 2008/06/12(Thu) 23:11:02 [No.1034]
明と暗・白と黒  第24話 - シン - 2008/06/15(Sun) 22:26:10 [No.1045]
明と暗・白と黒  第25話 - シン - 2008/07/27(Sun) 17:53:59 [No.1127]


明と暗・白と黒  第23話 true (No.993 への返信) - シン

それは、日曜日朝のニュースだった。

 「昨日午後5時前、泉坂駅前にて泉坂高校に通う女子高校生が同高校の男子高校生を刃物で刺す事件が発生しました」
 「男子生徒を刺した女子生徒はそのまま逃走し、夜7時ごろ泉坂中学校にて発見されました」
 「しかし、自殺を図った容疑者は同中学校の屋上より飛び降り、被害者の男子高校生と共に、現在、意識不明の重態となっております」

「泉坂高校の女子生徒が刺傷事件……って、あたしの学校じゃないの!?」

そのニュースを知った菜々美は絶句した。
同じ学校の生徒が傷害事件を起こし、その生徒と刺された相手が意識不明だというのだ。

「やれやれね……これで推薦もパーってとこかしら?」

この事件により、大学による推薦入試の拒否が起こる事を予想する菜々美。
スポーツ推薦で合格が内定している彼女にとって、これは死活問題であった。

だが、彼女は知らない。
事件を起こしたのが綾であり、自分自身も事件のきっかけとなっている事を。





第23話 true『無』





時を遡り、日曜日早朝

「先生! 真中と東城は!?」

慌しく病院へと駆け込む外村。
その後ろには、不安な表情を見せる美鈴もいる。
顧問である黒川からの一報を受け、大急ぎでここまで来たのだ。

救急部門に集まっていた医師、看護師は、突如として現れた外村兄妹に驚くものの、すぐに2人に案内を始めた。



「現状では、東城綾には目立った外傷は見られないものの、頭部への衝撃が大きく、その影響で現在意識不明」
「しかし、こっちは恐らく大丈夫だろう。致命傷となりえる傷は1つもない」

治療を担当した医師である間が2人に現状を説明する。
一先ず、綾が一命を取り留めたと知って少しばかり安堵する。

だが、間の表情は一向に晴れない。

「問題は真中淳平の方だな。彼は東城綾を庇うような形で救命マットに頭から落下した」
「結果、2人分の衝撃を頭部に受け脳挫傷を起こし、緊急手術は終了したが、予断を許さない状況だな」

「なっ……じゃあ、真中先輩は助かるんですか!?」

予断を許さない状況と知り、美鈴は更に詰め寄る。

「……生存率は55%。社会復帰が出来る確率となると30%だな」

美鈴はそれ以上、何も言えなかった。
そして、兄も美鈴に対して掛ける言葉が見つからない。
何故なら、自身も現実を目の当たりにして呆然としているからだ。





その瞬間は最悪の状況も考えられた。
しかし、あらかじめ準備が進められていた救命マットに落下したために、
2人とも即死するという事態は免れ、結果として綾は一命を取り留めている。

だが、2人はマットの端に落下していた。
そのため、マットが衝撃を完全には吸収できず、淳平の頭部は深刻なダメージを受ける事となった。





集中治療室の前へと向かった2人の前に現れたのはさつきだった。
やはり、彼女もまた一報を受けると共に飛び出したのだ。

「北大路……」

「……うん、あたしも黒川先生から聞いたんだ」
「東城さんも真中も……何で……」

そう言うさつきの目には涙が浮かんでいる。
自分では気付いていないのか、その涙を拭おうともしない。
彼女を支配していたのは、何も出来ないという無力感だけだった。

「本当です……何で……何でこんな事に……」

美鈴もまた、その涙を抑える事ができない。
そして、彼女もまた無力感を感じていた。

「畜生! 何でもっと早く……東城の異変に気付けなかったんだ!」

普段は飄々としている外村も悔しさを顕にする。
今の状況を『どこかおかしい』と感じていただけに、自らの考えの至らなさに無力感を感じていた。



この場にいる3人には共通点がある。
それは、どうしようもない無力感を感じているという事だった。



「ところで、西野はどこにいるんだ?」

時間が過ぎ、少し落ち着いてきた外村がさつきに問う。
普通なら一番近くにいるはずのつかさの姿が見当たらないのだ。

「西野さん……黒川先生もそうだけど、西野さんなら少し眠ってるみたい」
「やっぱりショックがキツイよ……こんな事になっちゃったら」

そう話すさつきの表情は一向に晴れない。
外村兄妹の表情も一向に晴れない。



異変に対して無知であったがための無力。
彼女達は、それを今、まざまざと見せ付けられていた。





続く


[No.1034] 2008/06/12(Thu) 23:11:02

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