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見えない明日・見える未来〜第28話〜 (No.105 への返信) - シン

第28話「見えない明日・見える未来」





綾が一瞬ひるんだ次の瞬間、綾の心にわずかに光が差した。





綾は恐る恐る振り向いた。





「東城!!!!」


淳平がそこにいた。







「ま……な…か………くん………?」


全員の視線が淳平に集中する。










「よかった…間に合って……」




「やっと……東城に…会えた…………」










「………今更……何なのよ…………」


だが、綾の心はまだ絶望に包まれたままだ。


一瞬差した光もすぐに消えていた。







「東城……俺…いくつも言わなきゃならない事があるんだ………」





「まず………ごめん………あの時東城の気持ちに答えられなくて…」





「それから……何も考えずにひどい事言って……」


「東城がどんな気持ちなのか全く考えずにいて………」


「それも………ごめん……………」


「こんな事言うだけで許してもらおうとする方もする方だけど…」












「ホントだよ……今更………そんな事……遅いよ……………」





「そんな事言われたら……変に希望を持っちゃうじゃない!」





「だけど……そんな希望は………すぐに消えるのに………」










「…東……城…………」










「……あは……本当にあたしって嫌な女だね……」





「真中くんが…あたしの事を思って言ってくれてるのに……」





「それを分かってるのに…………あたし…それを拒んでる………」










「……あたし……こんなあたしが……大嫌い…………」










「だから……もう……死なせ……


「そんな事言うなよ!!!」


淳平が綾の言葉を遮った。


「何で東城はいつもそんな風に考えるんだよ!!!」







「俺……東城がいなくなりそうになってやっと気づいた……」


「俺にとって東城は………………


絶対にそばにいてくれなくちゃ困る人なんだって…」


「今更だけど気づいたんだ!」


「今、東城が居なくなったら……多分もう俺の夢は叶わない……」


「東城にはずっとそばに居て欲しいんだ!」


「………え………?」


綾の心に光が間違いなく差し込んだ。








だが、まだ綾には気がかりな事があった。


「だめだよ……真中くんは西野さんのそばについていてあげて……」


綾はつかさの事を口にした。







「いや……西野(呼び方が戻っている)とは……もう別れたよ…」


「西野が…言ったんだ………俺は東城のそばに居るべきだって…」








「……え……?西野さんが……そんな事を…………?」


「ああ、『あの頃の気持ちが残っているなら東城さんのところへ


行ってあげて』……ってな………」


「あの頃の……気持ち…………?」









「ああ……俺は……最初に屋上で会った時から………今もずっと…」










「俺は…………東城の事が好きなんだ!!!!!」


それはとても強い想いだった。


その想いは綾の絶望を消し去っていく。













だが、最後に残った絶望はとてつもなく大きい……


「………やっぱり…ダメ……」


「あたしにはもう明日も分からない………」


「あたしは…………もう永くは生きられないのよ!」


「真中くんの気持ちは嬉しいけど……でもそれじゃあたしが


死んだ時に真中くんは…………!」













確かに綾の言う事は正しかった。


だが……淳平は焦らなかった。


「東城、確かに今は治せないかもしれない……」


「明日は見えないかもしれない…………」







「けど……希望を捨てなければ………明るい未来が見えていれば…」


「東城は生きていける!絶対に……死なない!!!」


「俺には見えるぜ!東城と一緒に夢を叶えている姿が!」










「だから………俺と2人で一緒に……生きていこう!!!」


それは淳平の飾ってなどいない本心だった。


その想いは綾の絶望を完全に消し去った………







「………あたしにも……真中くんと一緒に夢を叶えてるのが……


見えた……!」


「あたし……やっぱり………生きたい!!!」


「生きて……真中くんともっと楽しい時間を過ごしたい!」


綾の目から涙がこぼれる。


綾の心にもう迷いは無い。


だが消えたのは、生きる事への迷いだった…







「綾ちゃん!じゃああたしの手を握って、命綱を付けて!」


いつの間にか中島が綾の隣まで来ていた。


どうやら中島は高所恐怖症とは無縁らしい。


(余談だが、広樹と上田は高所恐怖症らしい)


(ちなみに、広樹にこの事でいたずらをしようものなら


後日凄まじい『反撃』を喰らうとか)


「は、はい!」


綾は力強く中島の手を取り、命綱をしっかりと結びつけた。














そして、柵を越えて綾が戻ってきたとき辺りは歓喜に包まれた。


「みんな……迷惑かけて…ごめんなさい…………」


「いや……謝るのは…私だ………」


「綾の苦しみに…気づけなかったからな……」


「そうね……私も同じよ…綾…」


両親もまた綾に謝っていた。


「ねーちゃん…よかった………やっと……ねーちゃんの想いが…


実ったんだよな………」


正太郎は……泣いていた……


「先輩……これで…幸せに……なれますね……」


「そうだな……美鈴……」


「綾ちゃんがたすかってよかった〜!」


「綾ちゃん…やっと……想いが…実ったんだね…」


みんな…喜びと共に………泣いていた……………







「坊主……やるな………」


上田だった。


「……俺は……何もやってないですよ………」


「ただ……本心を伝えただけですから……」


「……そうか (…まだ…アレは言うべきでは無いな…)」


「(それにしても……健治のやつ……遅いな……)」


と、そんな時……


「真中くーん!」


「おわっ!?と、東城!?」


綾が(いつもならありえない事だが)淳平に抱きついた。


「と……東城!?」


「あたし……ずっと真中くんのそばに……いてもいいんだよね!?」


綾は目に涙を浮かべながら言った。


「……ああ……もちろんだよ……」


「今まで傷つけた分まで……全部受け止めてやるから………」


「あ…り……が……とう…………」


綾の目からさらに涙がこぼれる。


淳平を抱く力がさらに強くなる。


そんな綾を淳平は優しく、かつ力強く抱きしめた。














「ああやって見るとやっぱり真中の隣には東城さんが居るべきよね」


「本当だ……やっぱり僕の判断は…正しかったという事か……」


「綾さんのあんな顔……始めて見た気がする…」

















「それにしても、まさか西野が真中をあっさりと諦めるなんてな…」


外村がつかさに話しかける。


「やっぱり……パリに行ったときにさびしいのは…やだもん…」


「それに、外村くんの言うとおり、やっぱりあの時の淳平くんは


あたしの知ってる淳平くんじゃなかったのもあるしね」


「そうか…」









そんな事を言っている間に、淳平と綾は完全に自分たちの世界に


入り込んでいた。


もう、周りの目は気にしない………











そして、2人の唇が近づいていき……………






































と、そこへ突然ヘリのローターの音が聞こえた。







「わあぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


「きゃっ!?」


淳平と綾はいきなり現実に引き戻された。


[No.106] 2006/06/19(Mon) 18:59:33

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