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見えない明日・見える未来〜第32話〜 (No.112 への返信) - シン

第32話「哀れな人々」






手術が終わってどれくらいの時間が経っただろう……


「う…  う〜ん…………」


「!東城さん!?」


「おっ!目を覚ましたようだな!」


「一馬!黒笹先生を!」


「OK!」










一馬が広男を呼びに向かった後、健治はみんなを起こした。


「先生!早く!」


「一馬、早かったな!」


「おうよ!」





「さて……気分は…どうかね………?」


広男は綾に語りかけた。


「はい…大丈夫です……!」


「そうか……よかった………」


と、ここで綾が異変に気づいた。


「あれ……?真中くんは……?」


「……気づけよ…………真中なら…そこにいるぞ」


健治が半ば呆れながら言った。


「え……?」


「真中くん……どうしてあたしの隣に……?」


「ああ、真中君は途中で寝てしまってのう……」


「じゃからあえてそのままにしておいたのじゃ」


「あ……だから………夢の中で真中くんに会えたんだ………」


「本当に……ずっとあたしのそばにいてくれたんだ……」


「…それにしても真中…起きないわね………」


「ホント、東城先輩が目を覚ましたのに……いつまで寝るつもりなのよ!この人騒がせな先輩は!」


「…美鈴……こんなこと言うのはアレだけど……人騒がせは東城だぜ………」


「あ、そういえば兄貴の言うとおりね」


「ハハハハハハハハハハハ!!!!!」


その言葉で病室に笑いがこだました。












それから数分後……


「…ん……」


「ん?真中も起きたか?」


「…あ!そ、そうだ手術は!?」


「……ってここはどこだ!?」


「おーい……時間がずれてるぞ………」


「あれ?石原先生?」


「って、あれ?なんで隣に東城が………?」


「……分からないのか?」


「え?中間さん、それってどういう………?」






「手術は……成功だよ…………」


「え……?マジで…………!?」


「ああ、マジだ」


「だから今こうしてここにいる」


「ちなみに、君は途中で寝てしまったからあえて二人一緒に寝させたのじゃよ」


「あ………だから東城がここに……………」


「だから……俺…途中で変な夢を…………」


「え?真中くんも見たの?」


「え?じゃあ東城も?」


「うん……」


「何なんだ?その夢って………?」


気になった健治が尋ねた。


「うん……あたしは……真中くんがそばにいてくれる夢を見たんだけど……」


「あ、俺も同じだぜ」


「だけど……途中であたし自身を見たの………」


「ああ、俺も見た」


「だけど、その人は中間さんの心の中で生きる者って名乗ったんだ………」


「中間さんに心当たりはありますか?」


「なるほど………真矢が……会いに来たんだな…………」


「真矢………?」


淳平は首をかしげた。


「あ、それってひょっとして……石原先生が言ってた中間さんの恋人なんじゃ………」


美鈴が直感で言った。


「……何?裕紀が……そんな事言ったのか?」


「ええ、確かにそう言いました」


「………………」


「い、いや…………さすがに黙っておけなくてな……」


「……要らん事を言いやがって…………」






「まあ……真矢が会いに来たのも…無理は無いかもな……」


「あ、そういえばその後……その…真矢さんが…あたしの中に入って来たんだけど、それって?」


「ああ、それは多分………」


「ああ、わしは輸血に真矢ちゃんの血を使った」


「多分……それじゃろうな……………」





「まあ……真矢について詳しい事は今は話せない……」


「時が来れば……俺から話すからな………」


「は、はあ…………」







「あ、言い忘れていたのじゃが……」


「2人のその後の事を考えて綾ちゃんの身体には傷を残さないようにしておいたからのう」


「………黒笹先生………それって……どういう意味ですか?」


「そのまんまの意味じゃ……」


「そうですか……」

















「あ、そういえば……」


「何?西野さん……?」


「忘れないうちに…言っておくね…………」


「東城さん……ごめんね……あたし………東城さんのためになると思ってキツイ事を言ったけど……」


「でも………やっぱりそれは東城さんのためには………ならなかったね…………」


「東城さんを……苦しめるばかりで…………」


「だから……ごめんね………ごめんね………ご…め……ん……ね………」


「…いいのよ……西野さん……」


「あたしだって……西野さんを……………思わず殺そうとまで……しちゃった………」


「え!?東城さん!そんな事があったの!?」


「嘘でしょ!?まさか東城先輩に限って!」


「ううん、本当なの…………あたしが……真中くんに無理矢理あたしの想いをぶつけようとして………」


「だから……これはおあいこかな?」


「いや……そんなこと言ったら……俺だって……東城を傷つける事ばっかりして……」


「だから……まただけど……ごめん……………」


「あと……西野も………今日だけは恋人でいてって俺が言ったくせに…………」


「さすがに…状況が状況だったけど………でも、やっぱり………ごめん……………」


「ううん、淳平くんの責任じゃないよ………」


「かといって東城さんの責任でもないけどね」


「いや、でもやっぱりごめん……」


「やっぱり…西野さん……ごめんね………」


「ううん、あたしだって………ごめんね………」


「ごめん」


「ごめんね……」


「あたしも…ごめん……」


「ごめん………」


「ごめんね」


「ごめんね………」







「………何だ……?この三角関係は………………?」


ついていけなくなった修平が思わず口に出した………











「あれ?ところで中間さんと上田刑事は?」


「あれ?一馬の言うとおりね……いないわね………」


いつの間にか健治と上田がいなくなっていた。





「それじゃ……ちょっと探してくるか……」


「おい、裕紀だけ行くなよ!」


「やれやれ……俺も行くか……」


「わしも探しに行くか……」


「あ、それじゃあ私も……」


「私も探しに行こう……」


「礼も言わなければならないしな………」


「それじゃあたしも行こうかな」


裕紀、英雄、広樹、広男、青木、綾の父、中島も病室を出た……






















そのころ……病院の屋上………


「……健治、どうだ?一服吸うか?」


「それじゃもらうか……」


健治は上田からタバコを受け取った。


「さ〜て……それにしても大変だったな………」


「ああ…悪いな……とっつあんにまで無茶させて………」


「ああ?そんなもん一つの命に比べりゃ安いものさ」


「ま……それはそうか…………」


「それはそうと……まさか報道規制までかけたとはな……」


「ああ、どうせ健治も事を大きくしたくなかっただろ?」


「まあな……どう考えてもワイドショーの格好のネタになるからな……」


「東城のこれまでの話に『NFP』、さらに下手すれば小説の事も増えるしな」


「全くだ………」







「まあ、今日は……飲むか?」


「ああ、いいぜ……今日は俺がおごるぜ………」


「そうか………」





「へ〜、健治がおごるのか〜」


「へ!?裕紀!?なんでここに!?」


裕紀たちがそこにいた。


「それじゃ私も〜」


「青木!?」


「そうね、あたしたちもおごってよ!」


「中島と…その部下たち!?」


「わしも久しぶりに飲ませてもらおうかのう……」


「く、黒笹先生!?」


「さて、今日は無礼講で行こうではないか……健治君……」


「ちょ、なんであなたまで!?」


ついには綾の両親もやってきた。






「ちょっと待て!聞いてねーぞ!」


「いいじゃねーか、金なら綾ちゃんの両親からたっぷり搾り取れるんだからな!」


「てめ………っ!上田!俺がそんな胸糞が悪くなる事はしないって知ってて言ってるだろ!」


「第一本人がいるんだぞ!」


「まあまあ、健治君は落ち着いてってば」


「青木……他人事と思って………!」






「えーーーい!!!こうなったら自棄だ!」





「もう今日はとにかく遊びまくるぞーーーーっ!」









「みんなついてこーーーいっ!」


ついに健治は自棄を起こしてしまった。


[No.113] 2006/06/30(Fri) 23:45:45

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