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見えない明日・見える未来〜第33話〜 (No.113 への返信) - シン

第33話「思い出と共に…」





1月14日


今日は綾の誕生日である。


そして、修平と健治の人生が変わった日である………






中屋にて…


健治は墓の前にいた……


「真矢……今日がお前の26歳の誕生日のはずだったんだよな……」


「……俺は………いつになっても真矢の事を忘れたりしない………」


「真矢……行ってくるぜ………」






健治は病院へ向かって歩き出した………










その頃……泉坂総合病院………


綾は手術後当分の間は入院する事になっていた。


なんでも、「NFPの手術はこれが2回目じゃから術後経過を見る必要があるからのう」と、いうことだそうだ。


ちなみに広男は院長に復帰している。


「東城、入っていいか?」


「うん、いいよ」


その声で淳平は扉を開けた。




「おっ!さつきと天地もいたのか!」


淳平は綾のベッドのそばにいる2人に声をかけた。


「真中、今日は早いね〜」


「まあ、恋人の誕生日だから当然だろうね」


「ははは……天地が言うとなんか説得力あるな………」


「それじゃああたしたちはちょっと花を換えてくるね」


「ああ、真中、その花を出してくれ」


「あ、ああ」


淳平は天地に片手に持っていた花を渡した。


さつきは花瓶を持っている。


そして2人は病室を後にした。








「(……気ぃ使ってんのかな…………)」


「あ……そうだ、本題だよ…………東城、誕生日おめでとう」


そう言って淳平は綾に包みを渡した。


「ありがとう……開けてもいい?」


「ああ、見てくれよ」


綾はゆっくりとリボンをほどき包装をはがした。


「真中くん…これって………」


その包みには2枚のDVDが入っていた。


「東城がいつだったかこの映画がいいって言ってただろ?」


「だからその映画のDVDを手に入れてきたのさ」


「考えてみれば2年連続でDVDだけど………」


「ううん、あたし……すごく嬉しい………」


綾の目はもう潤んでいる。


「ところでもう1枚は?」


「ああ、これはちょっと前に正太郎くんから東城のノートを渡されたんだ……」


「え?それって確か石の巨人じゃない方よね?」


「ああ、それで……俺はそのノートの中の小説の内の一つを映像化してきたんだ……」


「え!?ひょ、ひょっとしてアレを!?」


「ああ、もっとも中間さんたちが手伝ってくれたからできたんだけどな……」


「すごいよ……真中くん…………」


「はは………ありがとうな……東城………」







「…真中くん………」


「東城…………」


お互いを見つめ合う………


そして2人は………










「東城さん、入っていいですか〜?」


「わあぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


「きゃあっ!?」


突然修平の声がした。





「は、入っていいよ……」


「それじゃ失礼します……」









「……何やってたんですか?真中さんに東城さん………」


一緒に来た一馬が尋ねた。


「い、いや!なんでもない!!!」


「そ、そうよ!キスなんてしてないよ………………あ!!!」





「……それは失礼…………」


「ちょ、ちょっと修平くん!?」


慌てる綾。


「まあいいや……とにかく東城さん、誕生日おめでとう!」


「俺からもおめでとう!」


「あ、ありがとう………」


「とにかくさっきはごめんね〜、もっと遅く来ればよかった……」


「だ、だから修平くん!」













まあそんなこんなで…


それからしばらくすると映研のメンバーと万事屋メンバー、そしてつかさと唯もそろった…


「いや〜このメンバーでそろうのは久しぶりだな〜」


「中間さんの言う通りですね」





「あ……そうだ……そろそろ俺の昔の話を聞きたいか?」


「え?中間さんの昔の話?」


修平が聞き返す。


「そういえば時が来れば言うって言ってたっけ………」


「それなら……話してくれませんか?」


淳平が言った。





「そうか……なら話そうか………」








そして、健治の話が始まった……


「俺は…小さい頃に交通事故で家族を亡くした……」


「親戚はいなかったから俺は孤児院に入るはずだった……」


「だけどそんな俺を受け入れてくれたのが幼馴染の真矢がいる東堂家だ……」


「……なんか…修平に似てるな………」


「ああ、確かに俺に似ている………」


「真矢とは一緒に過ごすことが多くなった……」


「ちなみにその頃から裕紀や青木といろいろ無茶ばかりしてたな……」


「で……中学になった頃には……俺は真矢と付き合うようになった……」


「あ……だから恋人だって言ってたんだ………」


淳平は裕紀の言葉の意味を理解した。





「ああ、あと健治は間違いなく真矢と×××はしてたぜ」


「おい英雄!それはやってないって言ってるだろ!」


英雄の言葉に反応する健治。


「ふふふ……健治…その気迫もいつまで持つかな?」


「へ!?」


「い、一体何が……?」


疑問を持つ淳平。





「広樹、『アレ』を出せ」


「分かった」


そう言って広樹は1枚のディスクを出した。


「ん?なんだそ…りゃ………!?ま、まさか!?」


「ど、どうしたんですか!?」


綾が健治に尋ねる。


「ひ、広樹……まさかそれは………」


「心当たりがあるようだな」


「て、てめえ!いつの間に部屋に隠しカメラなんか仕掛けてたんだ!?」


「無論、健治の知らない間にな……」


「それにしてもこの内容は……ヤバいぜ………」


「……ヤバい?(ま、まさか!?それは俺が真矢を………!!!)」


「やっと尻尾を出したか」


「…………まあいい……話を続けるぞ……」


「(…………一体何が!?   by.淳平)」


「真矢は小説を書いていた……そして俺は映画を作る人になりたかった……」


「まあ、このあたりは真中と東城に似てるな」


「で、俺たちは考えが同じで映画好きだったからみんなで泉坂高校に進学した……」


「で、俺たちで映像研究部を立ち上げた……」









「真矢には才能があった……そして俺はその才能を伸ばしてやりたかった……」


「そして、俺は真矢を一生守っていきたかった………」


「………中間さん……まさか………」


「ああ、真中の想像通りだ」


「8年前の高3の夏……映画の撮影が終わった後だ……」


「真矢は……倒れた……」


「それは謎の病気だった……」


「これにはその頃この病院の院長をやっていた黒笹先生もお手上げだった…」


「ま、まさか………」


「ああ、8年前の今日………真矢の誕生日でもある日だ………」


「真矢は……死んだ…………後に『NFP』って呼ばれる病気で…………」


「俺はそれからずっと頭の中が真っ白になっていた……」


「俺にとって真矢は俺が映画を作るためにはいなくてはならない人だった……」


「だが……死んだ……」


「そんな時励ましてくれたのが裕紀や広樹、英雄、青木だった……」


「そんなこともあって俺はなんとか立ち直れた……」


「そして、俺はある事を考えた………」


「『俺みたいに苦しんでる人はたくさんいるんじゃないのか?)』」


「『そんな人のために俺に何かできる事は無いのか?』ってな……」


「そして俺たちは小さな事でもいいから何かためになる事をしようってことにして……」


「今の万事屋『東真』を作った……」


「ちなみに名前の由来は真矢の苗字、東堂と真矢の名前をつなぎ合わせたものだ………」


「で…最初はボランティア程度だったけど……」


「何を間違えたのか今じゃ乱闘上等な武装組織化してるからな……」


「…確かに……と、言うよりバズーカはさすがに問題があるでしょ……」


修平が言った。


が………








「「「「気にするな!!!」」」」


4人が口をそろえて言った。


「……………訊いた俺が馬鹿だった…………」


「確かに……やっぱりこういう連中なんだな……」


一馬も呆れていた。






「俺の時間は8年前で止まっている………」


「そうしなきゃ……俺は間違いなく立ってはいられない………」


「悪く言えば引きずっているだけだが……真矢の死は『東真』を作ったきっかけでもある……」


「だから決して俺は真矢を忘れはしない………」


「……それが俺の………やるべき事だ………」


「……そんな事が………」


淳平の目には涙が見えた……


みんな……目に涙を浮かべていた……






「で…………これが真矢の写真だ………」


健治は真矢の写真を見せた。


「…これ……東城だよな………?」


その写真に写る少女は綾にそっくりだった。


「うん、淳平くんの言うとおりよね……」


「ま、東城だと思っても仕方ないか……」


「真矢と東城はあまりにも似すぎている……」


「外見だけじゃない、声も似てたし性格もほとんど同じだ……」


「だから初めて東城に会った時……俺は固まったよ………」


「なんか……分かる気が……」


淳平も健治の気持ちが分かった……


「まあ……真矢と東城は……間違いなく別人だけどな……」


「………」


「ま、血液型も完全に同じだったのはよかったぜ……」


「そうじゃなきゃ面倒な事になってたからな……」


「あ……そういえば東城はRh−か何かって……」


「そう、それだ」


「真矢の時はそれもあってまともに調べられなかった……」


「だが、その真矢の血が……真矢の一部が……今、東城の身体を流れている……」


「あ………そういうこと……なんだよね………」


綾はそれに気づいた。


「ああ………だから……そう辛くはない……」


「真矢はまだ生きているんだからな……」
















「あ、そうだ……これを東城に渡しておく……」


そう言って健治は鞄から数冊のノートを出して綾に渡した。


「これは………?」


「これは……真矢の意志………俺と真矢をつなぐ夢の欠片………」


「どういうことだ!?」


淳平がそのノートを読んだ。






「……これは………!小説…………!」





「しかも……これ………東城の小説もすごいけど……これも負けないくらいすごいや……」


「ちょ、あたしにも見せて!」


美鈴もそのノートを見た。





「す、すごい……東城先輩の時みたいに……才能を感じる………!」


「ひょっとしたら……先輩以上かも…………」


「ええ!?美鈴!あたしにも見せてよ!」


さつきもノートを読み出した………





「でも……なんでこんなものをあたしに……?」


「これって健治さんの大切な物なんじゃ………」


綾が健治に尋ねた。


「……これは俺が持っているより東城が持っているほうがいいからさ………」


「今の俺にはこれを持っている資格は無い………」


「だから……持っていてくれ……」


「まあ、参考になるかも知れないしな………」


「うん……分かった………」


綾はこれを受け取る事にした……
















「……俺も…8年前に……家族を亡くしたんだよな………」


突然修平が言った。


「あ……そういえばさつきが何か言ってたっけ……」


淳平はそれに気づいた。


「……あれには理由があったんだ………」


「え!?それってどういう事!?」


つかさが尋ねる。


「………でも……もう忘れたよ………」


「何か中間さんの話を聞いてたら…………俺の事なんかどうでもよくなったからな………」


「だから、俺はもうこのことは気にしないことにするぜ……」


「ま、いつまでも考えているだけ馬鹿らしくなってきたしな……」


「ま、修平の言う通りかもな」


一馬も同意見だった…………








「ま、しみったれたのは俺の性に合わねぇ!」


「とにかく笑って過ごそうぜ!」


「…………そうだな……修平くんの言うとおりだ………」


健治の表情は……どこか晴れていた………


[No.115] 2006/07/01(Sat) 23:25:33

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