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all A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜第1話 - バル - 2005/09/04(Sun) 21:37:29 [No.29]
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A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜第7話 - バル - 2008/10/26(Sun) 13:43:10 [No.1162]
A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜第8話 - バル - 2008/10/26(Sun) 13:46:01 [No.1163]
A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜第9話 - バル - 2008/10/26(Sun) 13:49:18 [No.1164]
A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜第10話 - バル - 2008/10/26(Sun) 13:54:11 [No.1165]
A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜 あとがき - バル - 2008/10/26(Sun) 13:57:07 [No.1166]


A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜第9話 (No.1163 への返信) - バル

 それから毎晩。俺は唯と遊んだ。
 唯は今までの遊び足りなかった分を取り戻すようにはしゃぎまわっていた。
 どうやら体力もなにもかも当時のままみたいだ。
 そんな唯を見れば見るほど、当時のことを思い出す。

 そして楽しかった。

 それが素直な気持ちだった。
 やっぱり、唯は俺にとって妹みたいな存在で、いつも俺にくっついていたから、かわいらしかった。
 何年も忘れていたこの感覚。
 あの子が唯だってことは何日もいっしょに遊んでいてわかった。
 さっきも思ったことだけど、昔ずっといっしょにいたから、今いっしょに遊ぶとあの頃の唯のくせみたいなものがちらっちらっとだけど唯の仕草に見える気がした。
 まぁ幽霊が喋ったりするっていうのは今でも違和感はあるんだけど、唯も言っていたが、結局のところどうでも良かった。
 重要なのは、俺が唯と遊んでいることだったから。



TALE 第9話 「届け! 梢の想い」




 今日も梢と梢の家族が起きないようにそっと玄関の引き戸をしめる。
鍵もしっかりと閉め、いつものように神社へと向かおうとした。

「淳くん」

 暗闇のなか、急に名前を呼ばれた。

「っ誰だ?」
 周りを見渡してみても真っ暗でよく見えない。
 今日は月も出ていないから本当の闇だ。
 でも、この声には聞き覚えがある。
「梢なのか?」
 半信半疑で暗闇に呼びかけてみる。
「……そうだよ」
 すこしの沈黙の後、そう答えが返ってきた。
 俺の目もようやく暗さに慣れてきて周りがぼやっと見える。
 すると目の前に梢はいた。

「どうしたんだよ、こんな時間に」
「それはこっちのセリフだよ!」
 少し怒ったような声だ。
「毎晩毎晩。どこに行ってるの?」
「どこって…………」
 
 唯のところに行っているんだ。と本当のことを答えても別に問題はなかったはずなのに、何故か俺は素直にそう口に出すことができなかった。
 もちろん、もう死んでしまっている唯と会っていると言ってそのまま信じてもらえるとは思えなかったから黙っているという考えもあった。
 でも、それよりは梢に唯のことを話してしまったら、もう唯に会えなくなるような気がして言えなかったのが本当のところだ。

「どこなの?」
「……梢には関係ないよ」
「――――」
 言った後、はっとした。
 梢にはこっちに戻ってきてから家に泊めてもらったり、夏祭りにも誘ってらったり、いろんなことで世話になっているのに。なによりも唯と同じ幼馴染なのに「関係ない」なんてそんな突き放したような言い方をしてしまうなんて。

「――ひどいよ、淳くん」
「ご、ごめん」
「……本当は淳くんの口から直接言ってほしかった。でも……」
「え?」
「私、知ってるよ。淳くんが、唯ちゃんに会いに行ってること」
「えぇっ!?」
 なんで、梢が俺と唯のことを知っているのだろう? もしかして、知らないうちに後をつけられていたのだろうか? ……いや、それはないだろう。今までそんな気配を感じたことはなかった。

「ごめんね、淳くん。私、日記を見ちゃったの……」
「日記……」
 そう。俺はずっと日記をつけていた。毎晩唯と遊んでみんなが起きる前には言えに戻ってきてそのまま寝る前に、日記をつけていたのだ。確かに、それを読めば俺が毎晩唯と遊んでいたことはわかる。
「悪気はなかったの。でも、お掃除をしてたらノートを落としちゃって、その拍子にページが開いて、
そしたら……。まさか唯ちゃんと……」
 そう言うと梢は口元に手をやった。まさか、そんなはずはないといった感じだった。
 やっぱり、いくら俺の日記を読んだとは言っても、いきなり死んだはずの人間と夜中遊んでいるなんて言われても信じることができないのだろう。

「淳くん。唯ちゃんと……本当なの?」
「――本当、だよ」
 そう正直に言うしかない。梢にどうとられるとしても、それは今事実なのだから。

「唯ちゃん。死んでるんだよね?」
「本人はそう言ってる。でも、今ちゃんとこの世界にいるんだ。ちゃんと俺としゃべって、
足があって、飛び跳ねて、本当に毎晩楽しそうに笑うんだよ」
「…………」
「梢。わかるよ。普通に考えたら、そんなことありえないもん。でも、本当なんだ。
そして、いま唯は俺のことを求めてる。ずっといなかった遊び相手がやっとこの町に帰ってきて、あいつは今、心の底から楽しそうなんだ。そんな楽しそうな笑顔を消すことなんて俺にはできない。もし、今日遊びに行かなかったら、明日はいないかもしれない。もう、俺は唯が悲しむ
顔をみたくない。一度、俺は唯を助けることができなかったから……。その分も、今返してやりたい
んだ。だから、俺は今日も行く」

 そう言って梢の脇を抜けようとしたが、服の袖をギュッと掴まれた。

「梢……」
「――――」
 梢は俯いて俺の服の袖を掴んでいる。表情は見ることができない。
「わかってくれ、梢。今、唯の傍にいてやれるのは、俺しかいないんだ」
「――――」
「梢……」
 
 梢は何も反応を示さないで、ただ俺の袖を掴んだままだ。
 可哀相かもしれないが、梢の手を解いて、唯のもとへ急ごうと梢の手を触ろうとしたときだった。

「……間違ってるよ」
 最初は聞き間違いかと思うほど小さな声だった。
「間違ってるよ、淳くん」
 二度目はさっきよりも大きく、それでもか細かったがはっきりと言った。
「俺が、間違ってる……?」
「そうだよ」
 梢は掴んでいた俺の袖を勢いよく放し、そして俺の目をしかと見据えて言った。

「淳くんはこの町に何をしに帰ってきたの?」
 
――俺がこの町に何をしに帰ってきたか?

「唯ちゃんに伝えたいことがあったんじゃないの? いろんな繋がってることをはっきりさせたくて帰ってきたんじゃないの? もし、淳くんがさっき言ったように今自分にできることは唯ちゃんの傍にいて、いっしょに遊んで、一時でも長く唯ちゃんを笑顔にしておくことだと思っているなら、それは大きな間違いだよ! だって、どんなに楽しそうに笑っているとしても、はしゃいでいるとしても、唯ちゃんは本当はもうこの世界にはいないんだよ? もう死んでるんだよ? いまの淳くんを見てるの、凄く辛いよ。私が日記を見つけたあとも、毎晩毎晩、唯ちゃんのところへ行っていた。その後ろ姿。私にはとりつかれているようにしか見えなかったよ……」

「とりつかれてるって……」
 なんだか唯のことを悪霊か何かみたいに言われている気がしてつい口を挟む。

「違うの。そうじゃない。淳くんが唯ちゃんにとりつかれているように見えたんじゃないの。そうじゃなくて、淳くんはやっぱりまだ、あの川での事故のことを自分の中で乗り越えられていないんだよ。唯ちゃんにとりつかれているわけじゃない。淳くんはあの事故の責任にとりつかれているだけなんだよ!」

「――梢。俺、唯のとこ、行くよ」
「淳くん!」

 呼び止めて、また俺の服の裾を掴んだ梢の手を今度は優しくどかした。

「大丈夫。今日で唯のところへ行くのは最後にするから。最後にちゃんとお別れは言いたいから――ってあれ?」

 さっきまでいた梢の姿がどこにもない。
「あぁ、そっか、俺、梢のこと触ったから……」
 どうせまたびっくりしてどこかに走っていってしまったんだろう。
「まったく……」
 ちょっとため息を吐いて、俺は最後になるだろう神社への道に足を向けた。 


[No.1164] 2008/10/26(Sun) 13:49:18

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