俺は君と プロローグ - ゆき - 2009/05/23(Sat) 00:43:39 [No.1192] |
Re: 俺は君と 第一話 - ゆき - 2009/05/23(Sat) 01:55:50 [No.1193] |
Re: 俺は君と 第二話 - ゆき - 2009/06/05(Fri) 23:08:02 [No.1194] |
「・・て・」 「・き・よ」 「おきて・・」 心地よい眠りを堪能している俺、真中淳平は今、闘っていた。 無論、目の前の敵とだ。 「いい加減にしろ!!」 その敵は、勢いよく俺を心地よい世界からブラックアウトさせた。 「っ痛ぅ・・・」 痛みとともに自覚したのは、俺の現在のポジション。 ベットから落ちて、フローリングの床と熱いキスをかわす一歩手前だった。 「起きた?淳平君?」 「あぁ、起きた。いつも悪いな。つかさ」 目の前にいるのは幼馴染で、両親同士が大親友ということもあって、家族ぐるみの付き合いをしているうちに、家族同然に育った女の子だ。 「いいよ、別に。淳平君を起こすのは、私の仕事だから」 俺の大事な幼馴染、西野つかさは輝くような笑顔を俺に向けていた。 「さ、起きたら、身支度整えて?ご飯できてるよ」 つかさは、俺に制服を渡しながら言った。 俺は制服を受けとって、軽くうなずいた。 現在の俺は、中学三年生。いわゆる受験生というやつだ。 そんな忙しい時に父が、海外に転勤になり母親もついていってしまったため、今はつかさの家に居候しながら生活している。 最初は、一人暮らしを考えていたのだが、どうにも俺には生活能力がないらしく、見かねた両親がつかさの家で生活することを条件に日本に残ることを許してくれた。 しかし、つかさや、つかさの両親には迷惑をかなりかけているので、なんとかしたい。 「オス、真中」 「おはよう、大草」 いつものようにつかさと、登校し、教室の前で別れてすぐ、親友の大草と顔を合わせた。 「相変わらず見せつけてくれるねぇ、真中。さっきも男子が血の涙を流してたぜ?」 「後が怖いな。でも、遠くから見てるだけじゃなくて、声をかけることをすれば、案外攻略フラグが・・・」 「立たないから。明らかにフラグは一人にしか向いてない」 おお、大草の額に怒りマークが浮き出てやがる。誰だろうな、つかさのフラグ泥棒は。 「あ、やっぱそれって、俺か?」 『いや、それは百パーないから』 「しどい!!」 アホなことをしゃべった馬鹿は、俺の悪友の小宮山。こいつは、つかさにベタボレしている男の一人だ。 「大草とつかさが付き合うなら文句はない。誰が見ても納得するからな。だが、小宮山。お前はまずない。なぜならば、つかさはゴリラは好きじゃない」 「俺はゴリラでもアウストラロピテクスでもなーい!」 「じゃあ、ネアンデルタール人あたりで手を打とうか、真中?」 「いい加減、猿人やら、旧人から離れてくれませんかねぇ!」 こんなふうに友人たちと馬鹿をやっているのはすごく楽しい。でも、俺たちには、現実をみなくちゃいけない時間もあるわけで。 「さぁ、今日のロングホームルームは進路について若々しく、青臭く考えていこうじゃないか」 担任がいう進路。 俺は、映像部がある泉坂高校か、最近共学になった桜海学園かで、迷っていた。どちらも、レベルが高く平凡な俺では難しいのだが、頑張り次第ではまだ考えられる位置にいる。 そもそも、俺は、映画に携わる仕事に就きたいと思っていたから、これからの進路的にも泉坂に進学することが、クレバーな選択なのだが、それを迷わせる要素があった。 それは、あの日、屋上で出会った東城先輩のことだ。 東城先輩とは、あれから、あのノートをきっかけに仲良くなった。 東城先輩は被写体、女優といった才能のほかに物語を作る才能があった。 東城先輩の物語を初めて見たとき、俺は心が震えた。壮大なスケールで描かれたその物語は俺に映像化するときのイマジネーションを与えてくれるのだ。 だから、そんな先輩といるためには先輩が通っている桜海学園に入学しなければならない。しかし、桜海学園には映像部がない。自分で部活を立ち上げるしかないのだ。泉坂には部があるため、先輩、もしくは同級生からいろいろと学ぶことができる。将来の進路実現を考えるなら泉坂。東城先輩を追うなら桜海。 俺は、板ばさみになっていた。 結局、一か月たっても俺は進路を絞り込めず、ひたすら悩む毎日が続いた。 [No.1193] 2009/05/23(Sat) 01:55:50 |