俺は君と プロローグ - ゆき - 2009/05/23(Sat) 00:43:39 [No.1192] |
Re: 俺は君と 第一話 - ゆき - 2009/05/23(Sat) 01:55:50 [No.1193] |
Re: 俺は君と 第二話 - ゆき - 2009/06/05(Fri) 23:08:02 [No.1194] |
夏だ。 受験生にとっては、夏は追い込みの季節。 そうはわかっていても、目標が定まらない俺にとっては現状維持が精一杯だった。 「はぁ・・・」 今日も、部屋で一応形だけは勉強しているのだが、いかんせんシャーペンが進まない。 「勉強しなきゃいけないって、わかってはいるんだけどなぁ・・・」 問題が難しいというのもあるが、モチベーションが最低だ。よし、映画でも見に行くか? 「淳平くーん。はかどってるー?」 気分転換をしようと立ち上がった矢先、つかさがジュースを持ってやってきた。 「つかさ・・・。ぜんぜんだけど、何か?」 とりあえず、もういちど勉強机に座りなおす俺。 「今さぁ、どっか行こうとしたでしょ?」 「そんなわけないだろ?」 「どうだか?淳平君はどうしようもなく逃げることが多いから。それより、はい。さしいれだぞー」 ジュースを俺に渡すつかさ。 「サンキュ」 うけとり、一気に半分くらいまで飲んだ。そこで気付いたが、俺はかなりのどが渇いていた。それに、部屋もかなり暑い。 「今、気づいたけど暑いな・・・。たいして集中していたわけじゃないのに」 「聞こえてるぞ。淳平君」 「あ」 つかささんがじつに可愛らしい笑みを浮かべてらっしゃる。でも、目が笑ってねぇ! 「はぁ。淳平君。そんなんじゃ、黄海なんて無理だし、泉坂も難しいよ」 つかさは、溜息をつきながら言った。 「わかってる。でもさ、なんつーか、目標を絞り込めないっていうか、なんっつーか」 「そんなの、淳平君がしたいようにすればいいじゃない。おばさんたちだって、淳平君のすきにしたらいい、って言ってたじゃない」 「そうなんだけどさ」 「だいたい、淳平君が絞り込めないのは、ぶっちゃけ、部活の事でしょ?」 俺は、我を返ったようにつかさを見る。つかさはまじめな顔をしていた。 「淳平君はさ、怖いんだよ」 ドクン。 心臓がはねる。 「どういうことだよ・・・」 「言葉のとうりの意味。淳平君の感じからして、行きたいのは、黄海。でも、黄海には映像部がない」 ドクン。 「だから、映像部のある泉坂に逃げようとした。違う?」 ドクン。ドクン。 「ないなら作ればいいじゃない。映像部。映画研究部でもいいや。作って、黄海で過ごせばいいじゃない。なにを怖がってるの?部活を作るのが怖いの?それとも・・・」 ドクン! 「東城先輩?」 「つかさ、何で?」 何で、東城先輩を知ってる? 「あんな美人の先輩、わからないほうがおかしいよ。それに、よく淳平君話してたし」 「つかさ・・・」 「と、まぁ、淳平君は心は黄海に傾いてるんだよね?」 ここまで、いわれて否定はできない。 「たぶん」 「じゃあさぁ、東城先輩に会いに行っていろいろ聞いてきたら?そしたら、淳平君が抱えてる不安は軽くなるんじゃないかな?」 東城先輩に会いに行く。 考えたこともなかった。東城先輩とは、卒業式以降会っていない。たまに、メールをするくらいで面と向かって話すのは、ご無沙汰だった。 「さ、思い立ったら吉日。さっさと行った、行った」 「ちょ、つかさ!?」 俺は、つかさに締め出されるように外にだされた。 「どうすればいいのさ・・・」 俺は、玄関で立ちつくした。 「ふぅ」 淳平君がいなくなったのを見計らって、私は息をもらした。 「はぁ、なんで背中を押すようなことをしたんだろ」 私は先ほど自分で行ったことについて自己嫌悪していた。 私は、淳平君が好きだ。 だから、他の女の子に進んで会いに行くように仕向けるなんてことは、愚かな行為だ。 だけど、してしまった。 「淳平君がつらそうな顔をしてるから。いけないんだよ」 淳平君が進路について悩んでいたのは知っている。でも、その原因が東城先輩、淳平君の思い人のことだとは予想外だった。さきほどの質問だって、カマかけただけだったのに。 「いらないこと聞いたな・・・」 でも、これで私の進路も決まった。 親の勧めもあったし、ちょうどいい。 「第一志望は黄海学園っと」 志望理由は簡単。 淳平君が行くから。 ね、簡単でしょ? [No.1194] 2009/06/05(Fri) 23:08:02 |