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BEST OF HERO 第10話 (No.141 への返信) - hiro

東城の過去・・・・・

それは屋上で真中と出会うまで東城の人生はけっして良いものとは言えなかった・・・

ただ1人の人物との出会い・・・・

それが東城を小説の道へと変えることとなる。


聖新小学校といえば評判が悪く荒れた学校だった。
特に6年3組といえば職員室の先生達でさえ恐れられているクラスだ。
そして今そのクラスに新しく転校しようとしている人物がいた。
「今回、君の転校するクラスは・・・・少々荒れていて・・・・」
「大丈夫です、先生。ボクの前いたクラスもけっこう荒れていたんで」
「ならいいが・・・・でも充分気をつけてほしい・・・特にイジメがひどくて・・・」
廊下で1人の男子と気の弱そうな男の先生が会話をしながら6年3組の教室へ向かっている。
「それじゃあ私は先に入るから君は廊下で少し待機しといてくれ。
「分かりました」
そういうと先生は教室へ入っていった。
「静かにしろ!今日は大切な話がある!」
担任がそういったがいっこうに静かになる気配がない。
(なるほど・・・そうとう荒れてるな)
廊下から様子を伺っていた少年がつぶやいた。
「今日は我がクラスに転校生が来ました」
担任がそういった途端クラスはいっきに静まり返った。
(なんだかんだ言って転校生は気になるんだな)
「では入ってくれ」
ガラッ
ドアを開けて少年は教室へ踏み込んできた。
それと同時に担任は黒板に
「伊 東 隼 人」
の四文字を書いた。
「えー大阪から引越して来た伊東隼人君だ。それじゃあ伊東君、自己紹介を」
「大阪から引越してきた伊東です。よろしくお願いします」
大抵こういう場合、盛大な拍手が沸きあがるはずである。
しかし
パチ パチ パチ パチ
と拍手しているのは1人だけだった。
(すばらしい歓迎だな。まぁ慣れてるから別にいいけど・・・)
「それじゃあ、あの後ろの席へ座ってくれ」
指名された席はさっき唯一拍手してくれた女の子の隣の席だった。
席へ着くと伊東は隣の娘に
「よろしくな」
と軽く挨拶した。
「こちらこそ」
2人は簡単な挨拶を交わした。
だが
「あの転校生、可哀相だよなー転校早々あの東城の席なんて。」
「ブスでガリ勉は最低だよなー」
などという声がいくつか挙がった。
もちろん伊東にもその声は耳に入ったが。
(おまえらに比べたら百倍マシだな・・・・)
「それじゃあ早速授業に入る。1時間目の授業の用意をしてくれ」
用意をしようと思ったときふいにとなりの女の子がノートを落とした。
しかしそのノートはマジックペンなどでグチャグチャにされていたがかろうじて名前だけは分かった。
「ノート落ちたぜ」
伊東はそのノートを拾ってやった。
「あっ・・ありがとう」
だがその娘はすぐに顔をうつむけてしまった。それはイジメられていることについての恥ずかしさから来るものだった。
しかし伊東は
「東城綾か・・・良い名前じゃないか」
「えっ・・?」
綾はとても驚いた。
「おい・・・はやく受け取れよ。授業始まっちまうぜ?」
「うっ・・うん・・・ありがとう」
しかし二人はそれ以上話すことはなかった。


伊東が転校してから3日目
「そういえばまだ校舎についてよく知らねーんだよな、ちょっと見学でもするか」
伊東は昼休みを利用し校舎を見学することにした。
「大体見てまわったな・・・・そういえば屋上があるって担任が言ってたけど・・・・ここか?」
伊東は長い階段の前に立ち止まった。
薄気味悪く、伊東は戸惑ったが
「行ってみるか」
そう言って大きなドアを開けた。
その瞬間眩しいくらいの太陽の光が目に入ってきた。
「へぇ〜ここはけっこう穴場かもしれないな」
辺りを見渡しながら言った。
しかし伊東は1人の人影に気付いた。
「先客かよ・・・まぁいいか見学するだけだし」
近づいていくにつれその人物がはっきり分かってきた。
「たしかあいつは東城綾・・・・だよな。何してるんだこんなところで」
紛れもなく東城の姿だった。
「何してるんだ?こんなところで」
伊東は話しかけた。
「キャッ!」
突然のことに驚いた東城は持っていた本を豪快に落とした。
「伊東・・・くん?」
「へぇ〜こんなところで本読んでたのか?」
東城の落とした本を拾いながら伊東は言った。
「何でわざわざこんなところで本読んでんだよ?教室で読めばいいんじゃねぇのか?」
そういいながら東城に本を返した。
「ここなら誰もこないし・・・その・・イジメられることもないし・・・」
「やっぱ・・・イジメられてんのか・・・・」
3日前の授業で拾ったノートを思い出しながら伊東は呟いた。
「実はな・・・俺も前の学校で一時期イジメられていたことがあったんだ・・・・」
東城は無言だった・・・
「東城なんかまだマシなほうだぜ?俺なんかクラスの連中だけじゃなく上級生、先生まで敵だったからな」
「でも・・・解決はしたんでしょ?」
東城は初めて口を開いた。
「ああ。でもあんまり良い方法じゃなかったからな・・・」
キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン
「やべぇ、急がないと授業始まるぜ」
そういいながら伊東は急いで立ち上がった。
「まぁイジメなんて気にすんなよ!そのうちなんとかなるって」
そういいながら伊東は走っていった。
「そうか・・・あんな人でもイジメられてたんだ・・・・ありがとう伊東くん気が楽になったよ・・・」
東城は伊東の後姿を見ながらつぶやいた。

次の日、伊東は山のような本を抱えて現れた。
「どうしたの?そんなにたくさん・・・」
「実は実家が本屋をやってるんでね。失敬してきたのさ」
そういいながら本を並べた。
「東城もほしい本があれば持ってっていいぜ」
「でも・・・・」
「気にすんなよ。本ならたくさんあるからさ」
店から勝手に持ち出してきたことに対して悪びれる様子もなく言った。
「じゃあ・・・これ」
そういいながら一冊の小説を取り上げた。
「けっこうそれ有名な人の作品なんだぜ」
伊東は東城の取り上げた本を見ながら言った。
「東城はいったい何の本を読んでるんだ?」
伊東は東城の手の中にある本を覗き込んだ。
かなり古い本だった。
「かなり年季が入ってるな。結構前に発行されてる」
本を鑑定するように見ながら伊東は言った。
「形見なの・・・祖母の」
「そう・・・か」
改めて伊東はじっくり本を見た。
「じゃあ大切にしねーとな」
本を東城に返した。
「それと今日から俺もここで本読むことにするから」
「でも・・・クラスのみんなと遊んだりしなくていいの?」
「あんな連中とつるむくらいならここで東城と本読んだほうがマシだぜ。それに俺は一応本屋の息子だから話も合うかもしんねーし」
そう言いながら一冊の本を読み出した。

それからというものの、伊東は毎日屋上に現れ本を読むようになった。
そして東城も伊東と接するうちに明るくなり元気を取り戻していった。
そしてある日伊東は唐突に東城に言った。
「なぁ東城。小説読むだけじゃなくて・・・書いてみたらどうだ?」
「えっ?」
あまりにも突然言われたので東城は驚いた。
「そんな・・・・無理だよ」
「ぜったい東城ならいけるって。それにこの前の作文コンクールの作品、東城入賞してたじゃないか」
それは「環境に対する作文」で必ず全員が参加することになっていた。
そしてみごと東城の作品は入賞を果たした。
「もっと自信を持てよ東城、この俺が保障する」
伊東は熱弁した。
「そして将来東城は作家になってその本を俺の店で売る・・・・最高じゃねーか」
東城の意思をまったく無視しながら伊東は勝手に話を進めて言った。
「考えさせてもらってもいい?」
東城がきりだした。
「何を考えることがあるんだよ・・・・まぁいいじっくり考えてくれよ!」
そのような会話が毎日繰り返されていった。


[No.143] 2006/08/08(Tue) 11:23:35

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