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【A Broken Love Compass】  第4話 (No.15 への返信) - バレ坊主

さっきまで薄暗かった空は、だんだん真っ暗になっていく。



小降りだった雨も今ではすっかり止んでいる。



そして映研の合宿場(天地家別荘)のドアがゆっくりと開く…






【A Broken Love Compass】   〜第4話〜





「「た…ただいま〜…」」



びしょ濡れの2人が引きつった声で言う。



その声で皆が玄関に駆けつけた。



「やっと帰ってきたか〜。…うわ!なんだお前ら!」



2人の体を見てヒロシが驚きながら言った。



「大丈夫?とりあえず、はやく服着替えたほうがいいと思うよ、2人とも…」



綾が2人を気遣い、タオルをそっと手渡した。



「あ、ありがと。…ブハックシュン!!」



淳平は大きなくしゃみをし、鼻から鼻水をタラ〜…とたらしている。



「大丈夫?真中?寒いんならあたしが温めてあ・げ・る!」



さつきが寒がっている淳平を見て抱きついてきた。



しかしすぐに離れる。



「やだ!冷たっ!はやく着替えなさいよ〜!」



「(じ、自分勝手な奴め…)」



淳平と美鈴は急いで部屋に着替えに行った。






2人は新しい服に着替えたあと、皆と夕食を食べた。



夕食のあと、女子がお風呂に。



男子軍団の小宮山、天地はゲームに夢中になっており、淳平とヒロシがリビングでごろんとしていた。




「なぁ、おまえたちってどこまでロケ地探しに行ってたん?」



ヒロシがソファーに寝転がりながら、淳平に話しかけた。



「あぁ、湖のちかくまで。」



「湖?…それって結構遠くないか?」



「まぁな〜。歩いて30分くらい?」



「ふぅ〜ん…じゃあ、あの場所に行ったかもしれんな…」



ヒロシはニヤッと笑いだした。



「あ、あの場所って?」



「でっかい木があるところ!」



「あぁ!草原にぽつんと立ってるあの木。 行ったよ。」



ヒロシは上半身を起こし、淳平に静かに語りかけた。



「よ〜く聞きたまえ、真中くん!この地方にはある伝説があるのだよ!」



「ある伝説ぅ〜!?」



「そう。俺が今日、ここに住んでる女の子たちに聞いた話なんだが…」



「(こいつ…サボりやがったな…)」



「なんでも昔、若い男女が―――」



「(うさんくさ〜…)」



真中はヒロシの言うことを半信半疑で聞いていた。





昔、この地にある若い男と女がいた。

男はその女に好意をよせていて…

女もまたその男に好意をよせていた。

男は女に自分の気持ちを打ち明けるために、ある日手紙を書いた。

『明日の夜8時、あの場所で待っています。』

あの場所というのは2人がよく会っていた一本木のところだ。

女は幸せだった。

大好きな人とこれからもずっと一緒にいれるのだから…

しかしその幸せはすぐに壊された。

男は事故で死んでしまったのだ。

約束をはたせずに…

女は悲しみ、すぐに立ち直れなかった。


そしてその1年後、女は1年前に約束した同じ日、同じ時間に同じ場所に訪れた。

来るはずはないとわかっているのに…


時計の針が8時をさしたとき、その場所には人影が見えた。

こんな時間に誰だろう?と女はじっとその人影を見つめた。

そして、その女の目から涙がこぼれ落ちた。

1年前になくなったはずの男が目の前にいるのだから。

男は静かに言った。

『長い間、待たせてすみませんでした。』

『あなたのことが大好きでした…』

『待っていてくれてありがとう…』

男は亡くなってからも女のことをずっと思っていたのだ…





「という話。」



ヒロシが自慢げな顔をしている。



「ま、用は縁結びってことさ。そこに男女が訪れると、その女と男みたいにずっと好きになれるんだと。」



「へぇ〜…」



淳平はふと美鈴を思い浮かべた。



「(…ちょっと待てよ。その話でいくと俺と美鈴が恋人になるってこと…?)」



「(ナイナイナイ!しょ、所詮、こういうのは根も葉もない噂だし…それに)」



「(俺が美鈴を好きになることはあったとしても、美鈴が俺をすきになるわけなんか絶対ないし…)」



「(ってか何考えてんだよ、俺!)」



淳平は1人で照れたり、あせったりしていた。






「おっさき〜♪男子もお風呂入ってきなよ!すっごく気持ちよかったよ〜!」



風呂あがりの女子軍団がリビングに入ってくる。



「そりゃ〜そうだろ!僕ん家の別荘だからね!」



天地が自慢げな態度で言う。



「はいはい。そんじゃそのゴーカな風呂にでも入るとしますか。」



ヒロシが腰を上げながら言う。



淳平は美鈴のほうをチラッと見た。



湯あがりで頬が少し赤くなり、いつも以上にかわいく見える。



「(ア、アホか俺!何ドキドキしてんだよ!)」



淳平は前髪をクシャッとかきげながらそそくさと歩いていった。




淳平の心のコンパスは少しずつ狂いだしてきたもよう… 


[No.17] 2005/08/13(Sat) 02:43:39

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