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all いちご一会 第1話 - 樹 - 2006/08/27(Sun) 01:59:07 [No.162]
いちご一会 第2話 - 樹 - 2006/09/06(Wed) 20:07:02 [No.170]


いちご一会 第2話 (No.162 への返信) - 樹

いちご一会 第2話






    想い、寄り添う互いの時は

    瞬くほどに、早く切ない。



淳平  「じゃぁ、また明日!」



綾   「…うん、また明日…

     送ってくれて、ありがとう…」



    何か寂しげな表情を浮かべる綾。



淳平  「どうかしたのか東城?」



綾   「…う‥ん

     時間が経つのが…早すぎるから‥

     ちょっと嫌だな…」



淳平  「あははっ 俺もちょっと思ってた」




    頭を掻く淳平に頬を染める綾

    玄関先で話す綾は、離れることを拒むように

    淳平に話しかける。




綾   「あっ、あの真中くん…」



淳平  「‥ん?」



綾   「おっ…お茶‥飲んでいかない…?」



淳平  「あっ悪い…今日は帰ろうかと‥」



    綾は俯いてしまい、黙り込んでしまった。



淳平  「あっ‥あ〜、何でだろう喉が渇いたな

     よっ‥よかったら東城、何か飲ませてくれないかな?」



綾   「はっ、はいっ!」



    なんて単純なんだろうか…

    項垂れた向日葵が、再び太陽を仰ぐように

    淳平に、こぼれるような笑顔を見せた。




淳平  「おじゃましま〜す」



綾   「真中くん、ここが私の部屋だから

     中で待ってて。飲み物入れてくるから」



淳平  「うん」



淳平  (俺、東城の部屋に入るの初めてだ

     あ〜、緊張するな〜…

     でも、こうゆう部屋なんだ〜

     やっぱり女の子だな…小物なんかが可愛いや)




    ガチャ!



綾   「ごめんね、待たせちゃって

     はいっ、どうぞ‥」





    綾はテーブルの上にレモネードを置いた

    肌寒さはあるが、二人の温度にはちょうどいい。




淳平  「ありがとう!」



淳平  「やっぱり女の子の部屋だね

     ‥可愛いね…」



綾   「あっ、あんまり見ないで…

     男の人を部屋に入るの家族以外はじめてなの

     だから…恥ずかしいよ‥」



淳平  「じゃぁ帰っちゃおうか‥な?」



    淳平は目線をドアに向け呟いた…

    もちろん淳平は本気ではなく、東城の反応を

    楽しんでいた。



綾   「ダッ‥ダメッ! …まだ来たばっかりだし…

     あの…その‥ジュース…そうっ! ジュースも

     飲んでない…から……

     小説も真中くんに…読んでもらおうかと…

     思って………」



    しどろもどろになりながらも

    必死で淳平を引き止めようと、話す綾。



綾   「だから…まだ……一緒に‥いたい…」



淳平  「…まだ、帰らないよ……

     帰れって言われても、居座ってやる!」



    淳平は小さな子供のように、無邪気に笑って見せた

    ようやく綾にも淳平が、本気で言ったのではないことが

    理解できたようだ。



綾   「…なにか今日は真中くん……

     イジワルだね…嫌いになっちゃうよ」


淳平  「ちっ‥違うんだ、その‥東城が…

     その…えっと‥」


綾   「私が…? ‥なに?」



淳平  「かっ‥可愛いから!!

     …ちょっとイジワルしちゃって…ごめん…」



    何をやっているのか、端から見ていると

    微笑ましくもあり、苛立ちを感じる光景でもある。



    ・


    ・


    ・


    ・



淳平  「じゃぁ、そろそろ俺帰るよ」



綾   「うん、遅くまで引き止めて…ごめんね真中くん」



淳平  「いいよ気にしないで、じゃまた明日

     おやすみ東城」



綾   「うん、おやすみ真中くん…」





    一時間くらい話しただろうか、二人の淡い時間は余韻を残し

    多少の寂しさと増え続ける想いを与えてくれた。





綾   「今日は私にとって、凄い一日になったな…

     私の想いは一歩ずつ…歩き出したんだ……」



綾   (真中くん‥今どの辺を帰ってるかな)










    淳平の足は自宅へとは、向いていなかった…

    先ほどまでとは打って変わり、笑顔は消え思い詰めた顔つきになっていた。





    (返事は文化祭までにしてくれればいいから…)










    ピンポーン

      ピンポーン







    「はーい…」




    ガチャ!



つかさ 「どちら様で……淳平君!!

     どうしたの? こんな遅くに…」



淳平  「‥やぁ…

     ちょっと話が…あるんだけど‥いいかな?」



つかさ 「う‥うん

     とりあえず上がって、今日お母さん達遅いから」



つかさ 「飲み物持ってくるから適当に座ってて‥」




    こんなに切なく息苦しく押し潰されそうな空間だっただろうか…

    逃げ出したくなる時というのは、こんな時なのだろうか…

    淳平は正座して絨毯の一点だけを見つめていた。




    ガチャ!


つかさ 「おまたせ〜!

     はいっ、どうぞ!」



淳平  「あっ、ありがとう」



つかさ 「寒くなってきたから、ホットにしたんだけど、いいよね?

     このダージリン美味しいんだよ〜、ケーキにもあうしね

     私、好きなんだ〜」



淳平  「あっ‥あのっ…西野‥」



つかさ 「ん? ‥なに淳平君?」



淳平  「…告白の…返事‥今日までにって

     言ってたから……夜遅くに迷惑とは思ったんだけど…」



つかさ 「うん…」






淳平  「…その‥西野…俺…

     西野の気持ちは、凄く嬉しくて有り難いんだけど

     その気持ちには…答えられないんだ、ごめん!」



つかさ 「…東城…さん……?」




    無言で頷く淳平は、つかさにありのままの気持ちを伝えた。




淳平  「…俺にとって失えない夢と同じ存在なんだ…

     今は肩を並べて…なんて実力ないけど、一生懸命努力して頑張って

     守って育てて…一緒に生きていきたい……

     傍にいて同じ時を歩いていきたいんだ」



    つかさは大きな瞳に溢れるほどの涙と想いを溜めている

    今まで聞けなかった、淳平の偽りない言葉…

    つかさはゆっくりと口を開いた。




つかさ 「…ありがとう‥淳平君

     ちゃんと答えてくれて‥一つ聞いていいかな…?」



淳平  「う、うん」



つかさ 「淳平君は私のこと嫌いかな…?」



淳平  「きっ‥嫌いなわけないじゃん!!」



つかさ 「じゃぁ…好き?」



淳平  「う…うん‥

     好きじゃなきゃ、こんなに悩んだりしないよ!

     …あっ…ごめん…」



つかさ 「よかった! それが聞けて!!」



つかさ 「淳平君!!」



淳平  「はっ、はい!」



つかさ 「私はこれからも、ずっと淳平君が…好き!

     この気持ち忘れたり、消したりしない!!」



淳平  「えっ‥いやっ…あの…西野‥

     俺…は…俺は」



つかさ 「わかってる! ちゃんと理解してるよ

     でもね、私そんな簡単に消えるような気持ちで

     恋いなんてしてないもん…

     だから、とことん追いかけるの、淳平君のことを」



淳平  「はっ‥ははっ…

     西野‥逞しいな…」



つかさ 「もちろん!

     それに今は私も夢があるから…

     少しそっちに力を入れてみようかな」



淳平  「頑張れよ西野! …俺応援してるから!」



つかさ 「あらっ?…安心なんてしてたら

     いつでも淳平君を奪いに行っちゃうからね!」



淳平  「あははっ…」



    つかさは涙を流すことはなかった…

    流してしまえば、この想いまでなくしてしまいそうで・・・




    ・



    ・



    ・



    ・



    想う気持ち、想われる気持ち…近くて遠い…遠くて近い…

    路地に響く足音は…落ち葉を渡り消えていく…





淳平  「ただいま〜」



唯   「おっそいぞーー淳平!」



淳平  「なんだ、唯来てたのか?」



唯   「なんだとはなんだ、なんだとは!」



淳平  「悪い…今日は疲れた‥寝る……」



唯   「ほえっ? …なんだよ淳平の奴

     せっかく私が来てやってるのに……

     私も、か〜えろっと」






    深く…深く…今はどこまでも深く眠りに堕ちて…





第2話 終


[No.170] 2006/09/06(Wed) 20:07:02

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