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BEST OF HERO 第16話 (No.173 への返信) - hiro

時代は綾が小学校6年の秋までさかのぼる



隼人の転校後三ヶ月がたったある日の放課後




「あ〜あ、ほんと学校なんてめんどくさいよな」


屋上で寝っ転がりながら隼人が空に向かって言う。



「ほんと伊東くんって千里ちゃんの言ってた通り勉強嫌いなんだね」

東城は三角座りをしながらノートに小説を書いている。


「俺は自慢じゃないけどテストの点数はかなりいいんだぜ?まぁ学年1位の東城様にはかなわねぇけどな」


「・・・・・・でも伊東くんは勉強だけじゃなくスポーツもできるし、あたしなんか・・・・・」

東城がペンを止めうつむく。


「何言ってんだよ、お前には俺にはできないことができるだろ?」




「そんなくだらない心配より早く小説を完成させてほしいね、けっこう進んでるんだろ?」


「うん・・・・でもラストシーンをどうするか・・・・・」


「まぁゆっくりとご検討ください・・・・・」

隼人はあくびをしながら再度横になる。



「じゃあたし今日用事があるから先帰るね・・・・・」

「あぁ、確か塾だろ?妹も今日同じ日だからな」


「うん・・・・」

カバンを手にしながら綾は頷いた。


「じゃまた明日・・・・・」


綾は5時からの塾のため急いで家に帰った


「あら?あいつノート忘れてやがる」

[算数]と書かれたノートが落ちてあった。

「これって小説だよな……」

そのノートを手に取る

「ホントは完成してから読もうと思ってたけど……まぁ少しくらい読んでも大丈夫だよな」

隼人ハパラパラとページを開いた。






「いってきまーす」


綾は身支度をし家を出た。

ちょうど4時50分と塾10分前だった。


綾は自転車に乗ろうとしたが

「よぉ東城・・・・・どこ行くんだ」


男子3人が東城を囲むように塞いでいく。


それは主に東城イジメの主犯格である3人だった。


「暇ならちょっと付き合えよ・・・・・・・」


その中でも特に大きい男子が一歩前に踏み出した。


東城イジメの主犯であり、学校一番の問題児でもある工藤という男だった。


「すみません・・・・・・これから塾なんです・・・・・・・・・」


綾はおずおずと言ったが当然まかり通るわけがなく

「いいから来い!!」


「はっ離して!!」


綾も抵抗したが当然敵うわけがなかった。


強引に手首を掴まれながら東城は連れて行かれた・・・・・・・











午後7時


「いらっしゃいませ〜〜」

隼人は1人家の本屋の店番をしていた。



「・・・・・・・たくっ!こんな時間に客なんか来ないだろ?もう店閉めちまおうぜ!」

隼人が本の整理をしている母親に言う。

「文句言うんじゃない!嫌ならアンタも塾に通う?」

「うっ・・・・・・・分かったよ」


隼人はブツブツと文句をいいながらも店番をする。



「ただいま〜」

妹が帰ってきた。

「ねぇお兄ちゃん、今日東城さん学校来てたよね・・・・・・?」

帰ってきて早々妹が兄に尋ねる。

「来てたけど・・・・・・なんで??」


「今日、塾の帰りいっしょに帰ってこようと思ったんだけど東城さん塾に来てないみたいなのよ・・・・・・」


「へぇ・・・・・・あのマジメそうな東城もサボるときもあるんだな・・・・・・」

「バカ兄貴!なんでそんな風にしか物の捕らえ方できないのよ!!東城さんがサボったりするわけないじゃない!!!」

「冗談、冗談・・・・・・分かってるって」




トルルルルル・・・・・・・トルルルルル・・・・・・・・・・・・


「母さん電話だぜー」

店の奥に居た母親に大声で伝える


「たまには自分も電話にでなさいよ・・・・・」

母親が小言を言いながら電話と取りに行く。


「で・・・・・・なんだって?」


「だから・・・・・東城さんがぁ!!!」

妹がガミガミとことのすべてを一から説明する。




「へぇ・・・・・あのマジメそうな東城でも・・・・・・・」

「だから!!何べん同じ事繰り返すのよ!!!」

妹がまた怒鳴り始める。




「隼人ー!あんたにだって〜」

会話を遮るように母親が言う。

「俺に・・・・・?」


隼人が母親の元へ駆けつける。


「はい・・・もしもし」

隼人が受話器に出る。


「私、東城綾の母親の者ですが・・・・・・・」

「とっ・・・・・東城のお母さん!?」


隼人の声を聞いた千里も兄の元へ近寄る。


「実はうちの綾が家に帰ってきていないんです、塾にも行っていないらしくて・・・・・・そちらに伺っていませんか?」

「いえ・・・・・来ていませんけど・・・・・・・」

「そうですか・・・・・・」

母親が残念がる。


「実をいうと前にも何回かこういうことがあったんです・・・・・・その度に体のどこかがケガしてたり泥だらけになってたりと」

「へぇ・・・・・それはおかしいですね・・・・・」



「分かりました、俺も探してみます・・・・・・はい、それじゃ」

ピッ


「東城を探してくる」

隼人はさっさと外に行く準備をした。

「やっぱり家にもいないの?」

「あぁ・・・・・東城の母さんも10時になって分からなかったら捜索願いを出すらしい」


隼人は自転車に跨った。

「とりあえず周辺を探してくる。連絡が入るかもしれないからお前は家にいろ」

そう言い残すと隼人は暗闇の中へ消えていった。







(冷静に考えてみればあの東城が塾をサボったりしないはずだ・・・・・・・だから何かに巻き込まれた可能性が高い・・・・・)


さっきとはえらい違いの冷静さで状況を分析する。



(確か東城のお母さんは4時50分に家を出たと言っていた、そして塾が始まるのは5時・・・・・・・ということはその10分間の間で何らかのことが起きた・・・・・)


自転車を漕ぎながら隼人は考える



「・・・・・・とにかく手当たりしだいに探していくしかないな、東城だって案外ゲーセンとかで友達と遊んでるかもしんないし」

隼人は泉坂中を探しまくった。


ゲームセンター、コンビニ、本屋

すべてを探したが東城らしき人物を発見することは出来なかった。


「あとはここの公園だけかぁ・・・・・・」

さすがに夜の公園はけっこう不気味だ


「俺ってけっこうこういう系ダメなんだよな・・・・・」

隼人は少し入り口で立ちすくんでいた

「うん・・・・・?何だあれ?」


草むらの奥のほうに目を凝らしてみる


目が慣れてきて隼人はそれが何なのか分かった


「人・・・・・?」

うずくまっている人のように見えた

「まさか・・・・・・」


隼人は近づいてみる。


隼人の最悪な予感は的中した。


それはボロボロになってうずくまっている東城綾の姿だった。


「とっ・・・・・東城ーー!!」


隼人が駆けつけて綾の体を支える。

「大丈夫か東城!しっかりしろ!!」

「うう・・・・・・・」

良く見ると綾は体が傷だらけで血まで流していた。

「いったいどうしたんだ!誰にやられた!!」

隼人が必死になって尋ねる

「べっ・・・・別になんとも・・・・・・」

「その傷でなんともないわけないだろ!!とっとにかく!!東城のお母さんに連絡を・・・・・・」

「やめて!!」

「えっ?」

「そんなことしたらまたイジメられちゃう・・・・・・」


「工藤だな……・」


隼人の問いに綾はただ首を上下させた。


綾の話では時々こういったことを工藤達にやられていたらしい

ただもしこのことを口外すればもっとひどいことをすると脅されていたためこのことが明るみにでることは無かった。


「とにかく家に帰ろう……立てるか?」

そういって隼人は東城の着ずだらけのからだを起きあがらせた。


「東城……・この仇は必ず取ってやるからな」

隼人はつぶやいたが綾には聞き取ることができなかった。




翌日


綾は1人自分の部屋に閉じこもっていた。


「……・今日、学校お休みするって連絡いれとくね」


後にすべての事情を隼人の口から知った母親はただ何も追及することなくドア越しに声をかけた。



綾は落ち込んでいた。


イジメられるということは正直慣れていた。


しかしイジメられたあとの誰にも見られたくないブザマな姿を隼人に見られてしまったことがとても大きなショックであった。

「もうすぐ1時間目か・・・・・・」

時計を見ながら綾は再度フトンにくるまった








隼人は今日怒りを抑えながら登校した。


綾を昨日家まで送り届けた隼人はその足で工藤達に復讐しようとしたのだが

「誰かに告げ口するとあたし以外の人もひどい目に遭うからこのことは知らなかったことにして・・・・・・・」

綾に涙ながらに言われたので隼人も従わざる得なかった。


ただ、いつものように机の上に座り、バカ笑いしながら過ごしているあいつらを見ると隼人は頭に血が上った

「ダメだダメだ・・・・・・東城と約束しれるんだしこれ以上この学校で問題起こしたらもうここには居られないんだったな・・・・・」


隼人はこの学校に転校してきた最初の日校長室でのことを思い出す。








「・・・・・・・もし前のような不祥事を起こしたらすぐに転校してもらいます。それでよろしいのなら我が校に転校を許可しましょう」


隼人は前の学校で起こした暴力事件により近畿中の学校から門前払いされていた。

意を決して関東に出てきたもののなかなか受け入れてくれる学校がなかったのだ

そして遂に転校許可をしてくれたのがこの清新小学校だった。


「分かりました、お約束します!」

隼人は力強く答えた。








「・・・・・・っていうことだからなぁ、もうここで問題起こしたら北海道の親戚を頼るしかないんだよ、だから慎重にいかねぇと」


自分に言い聞かせながら席に着く


1時間目の授業は道徳だった。

「今日はイジメの問題について話合いたいと思う。」

(よっしゃ!暴力が使えないのなら俺得意の知力戦に持ち込んでやる!)

隼人は俄然やる気がでてきた。

「イジメという問題はとても深刻なことであり・・・・・・」

担任がイジメについて説明しだした。





「おい!ちょっと待てよ担任!」

工藤が意見した。

「イジメ、イジメってやるってるほうが100%悪いみたいな言い方してっけどイジメられる奴にも問題があるんじゃねぇのか?」

「・・・・・・例えば?」

「そうだなぁ・・・・・・・少し勉強が出来るからって調子に乗ってて黒ブチメガネで顔も性格もブスのような奴・・・・・・・」

笑みを浮かべながら隼人のとなりの空席に目をやる

「あぁ?それは誰のことだ!!」

隼人は思いっきり机を蹴飛ばして立ち上がる


激しい音を立てながら机が倒れた。

「俺は一言も東城なんて言ってないぜ?それともお前も心当たりがあんのかよ?」

工藤が嫌味ったらしい顔をする。

「何言ってやがる!昨日のように東城を公園でイジメてたことも全部知ってるんだぞ!!」

隼人は工藤の前に立った。

「けっ!偽善者ぶりやがって、俺はオマエが前の学校で起こしたこと知ってるんだぜ?」

「なにぃっ!」



「オマエ・・・・・・・前の学校で同級生を殴って大怪我させたんだって?」

工藤の言葉に教室中がざわつく。

「俺の母親はPTAの会長をしているからな・・・・・・なんでも東城のようなイジメられてた自殺した奴の仇を討ったらしいな?確かそいつの名前は西ー・・・・・・」

「それ以上あいつのことを言うな!!」

隼人が工藤の襟を思いっきり掴む

「おっと、俺を殴るのか?」

その言葉に隼人は殴ろうとしたコブシを引っ込めた。

「知ってんだぜ、校長と約束して今度問題起こしたら北海道に飛ばされるんだったなよな」

工藤は隼人の肩にポンと手を置く。だがすでに隼人の怒りは頂点に達していた。

バキッ!!

鈍い音と共に工藤がぶっ飛ぶ

隼人のコブシは遂に工藤の顔面に直撃した

「きゃあああああ!!」

女生徒が悲鳴をあげる


ドカッ! ドカッ!! ドカッ!!!

しかし隼人は倒れた工藤の顔を容赦なく殴り続けていった


「やめろ!伊東!!」

担任が隼人の両腕を掴む。

「離せっ!!コイツだけは・・・・コイツだけはよぉー!!!」

担任の手を振り解きなおも工藤にコブシをいれる。

すでに顔の形が変わるほど殴られていた



「どうしたんだっ!」

他のクラスの先生が止めに入る

そして男の先生3人に隼人は取り押さえられた。

「やめろッ!!離しやがれ!!」

隼人は教室の外へ連れ出されそうにしていた。

「ちっきしょうーっ!!まだ終わってねぇんだよ!!離せ!!あいつだけはあいつだけはよぉ!・・・・・・・」

引きずられながらも隼人は叫び続けた

そしてその声は廊下を過ぎ去っても聞こえる程のものだった・・・・・・


























どれくらいの時間が経っただろうか・・…


綾はふと壁にかけてある時計を見上げる。

時刻は11時を過ぎていたであった。


「・・・・・・・・・・・もう誰にも会いたくない」


だがそんな思いは一瞬で破られる



「姉ちゃん!!大変だ!!!」

弟の正太郎が勢い良くドアを開けて入ってきた


「正太郎…・!?いま学校でしょ!?」


「それより大変なんだすぐに学校に来てくれ!!」

弟は息を乱しながら言う。


「今はどこにも行きたくない……」

綾はベットに潜り込んだ


「そんなこと言ってる場合じゃねーんだ!隼人って人が……・」

「なっ…・・何かあったの??」

ガバッと起き上がる

「教室で大暴れして工藤に大怪我させたらしいんだ!!」


「ほっホントに…・?」

「とにかく姉ちゃんは早く来てくれ!!」


そして綾はメガネもかけずに家を飛び出した。






「聞いたか6年3組の話!!」

「あぁ聞いた聞いた。確か東城をリンチしてた工藤を伊東がボコボコにしたって話だろ?」

「あぁ・・・・・なんでも工藤は頭を4針も縫ったらしいぜ」

「・・・・・・・でもあの工藤がやられたんだろ?何者なんだその伊東ってやつは?」


そんな会話を繰り広げている中を綾と正太郎は走り抜けていく。


「千里ちゃん!!」

綾が隼人の妹を見つける。

「おっ・・・お兄さんは!」


「今・・・・・・校長先生に呼び出されています・・・・・・・」

校長室の前で千里が立ち尽くしている。

「実は兄は条件つきでこの学校に来たんです」

「じっ条件って?」

綾が尋ねる

「少しでも問題起こしたら北海道の学校に転校させられることになってるんです・・・・・・」

千里は前の学校で隼人が起こした事件について説明しだした。








「・・・・・・・・ここに来たときの条件を覚えていますか・・・・・・・?」

隼人は校長と向かい会う形で座っていた。

「はい・・・・・・・覚えています」

しばらく時間が経ったため隼人はだいぶ落ち着きを取り戻した。

「・・・・・何でこんなことをした?約束を覚えていなかったんですか?」

校長も残念そうな顔で聞いた。

「覚悟の上でやりました・・・・・・どうしてもアイツだけは許せなかったんです・・・・・・・」

隼人も俯きながら話す。

「・・・・・・なら分かっているね?」

校長が念を押す。

「行きますよ・・・・・・・北海道に」

隼人は立ち上がりながら答えた。

「一週間期間をあげるからその間までならこの学校に居ても良い・・・・・・・・」

校長はせめてもの情けとして隼人に提案した。

「・・・・・・・せっかくですが1週間なんて充分です、明後日には出て行きますよ」

隼人は校長室のトビラに手をかけた

「後悔してるのか?」

校長が隼人に尋ねる。

しばらく隼人は考えていたが……

「・・・・・・してるわけないでしょ?」

隼人は笑顔を浮かばせながら校長室をあとにした。




ガラッ

隼人が校長室を出るとすぐ近くの廊下で綾と千里と正太郎が待っていた。

「よぉ東城、それに正太郎」

明るい表情で話しかける

対照的に3人はひどく暗い表情だった。

「全部聞いたの・・・・・そのっ前の学校のことも・・・・・・」

綾が遠慮しがちでいう。

綾はよっぽど慌ててきたのかメガネをかけていなかったためとても可愛らしい顔だった。

「じゃ俺が今後どうなるかも知ってるよな・・・・・・?」

「ホっホントに北海道に行っちゃうの・・・・?」

千里が尋ねる。

「まっ約束だからな…・・しょうがねぇや」



しばらく沈黙が流れる


「おかしいじゃねぇか!なんで姉ちゃんかばった隼人くんが転校しなきゃなんねえんだよ!!」

明らかに校長に聞こえるような声で正太郎が怒鳴る

「あのな正太郎・・・・・・どんな理由があろうと暴力は使っちゃいけないんだ。ましてや約束も守れなかった俺が転校するのは当然だよ・・・・・・」

「でも・・・・・」

正太郎は何か言おうとしたが隼人の顔をみると硬く唇を噛んだ

「……・本当にあたしのせいでごめんなさい!!」

綾が突然深く頭を下げた

「あん?何でお前が謝るんだよ?」

「だってあたしが・・・・・・」

「俺は死んだ親友のことを侮辱されたから怒っただけだ・・・・・・だから東城は一切関係ないし気にする必要もない」

泣いている綾にそう言葉をかけた




二日後


空港には隼人の家族と綾の家族が隼人を見送るために集まった。

(ご案内します。北海道行き352便は15番ゲートから定刻通りに出航します。繰り返します北海道行き・・・・・・)

「本当にありがとう隼人くん・・・・・・」

綾の母親が頭を下げる

「やめてくださいよ、たいしたことしてわけじゃないんですし」

少しだが隼人が照れる

「それで北海道の連絡先は?それに電話番号も……」

綾はいそいでメモしようと紙を取り出したが

「悪いな、電話番号も住所も教えられないんだ・・・・・・」

隼人がボソリと言った。

「なっ何で…・・?」

「一応そんくらいケジメはつけようかなぁなんて思ってさ・・・・・・千里や母さんとも連絡とらないつもりだし」

「そう・・・・・・・分かった」

綾は残念そうな顔をしたが隼人なりのケジメと理解し何も言わなかった。

「隼人くん・・・・・・お気をつけて」

正太郎が紙袋を手渡す。中には泉坂まんじゅうが入っていた。

「めずらしいなぁ・・・・・・・正太郎が誰かになつくことなんてめったにないんですよ」

綾の母親が言う。

「正太郎・・・・・・これからオマエが姉ちゃん守ってやるんだぞ!将来の大物小説家になる人なんだからな!」

両肩に手を置きながら隼人が声をかける

「はい!」

それに応え正太郎も力強く返事をした。

(ご案内します。北海道行き352便はまもなく15番ゲートから・・・・・・・・)

「・・・・・・そろそろ行かないとな」

アナウンスを聞いた隼人が言った。

「元気でな、千里・・・・・・」

「お兄ちゃんも・・・・・・」

兄妹が最後の別れをする。

「それじゃ行くから……」

隼人は皆に背を向け一人ゲートまでの長い道を歩いていく



「ありがとうー!」

驚いて振り向くと大きく手を振っている綾の姿だった。

「いつか連絡くださいよー」

正太郎も姉に続く

それは他の乗客の注意を完全に集めた。


「おう!また会おうぜー!!」

隼人も負けないくらいの声で応えた


そしてまた皆に背を向けた







「オマエなら分かってくれるよな・・・・・・・・・・・・西田」

半年前に死んだ幼馴染を思い出しながら隼人はつぶやいた









綾は家に帰ってはじめてこれが現実なものだと感じた。

隼人は綾にとってはじめての友達と呼べるかもしれない

そんな存在だった隼人がいなくなった原因が自分にあると思うとますます綾は罪悪感を感じた。

「綾ー!あなたに手紙が入ってるわよ」

一通の手紙を綾に手渡す。

差出人はなくただ


東城綾へ

と書かれていた

「あとこのノートも郵便受けに」

それは綾の小説のノートだった


恐る恐る手紙の封を丁寧に開ける

中には1枚の紙切れが入っていた。




悪いけど小説読ませてもらった。

あっ!別に盗み見たわけじゃねぇぞ!

オマエが屋上にノート忘れていくからいけないんだぜ!

まぁそれはさておき感想を言わせてもらう

正直驚いた、まさかここまでのものだったとはな

やっぱり俺の目に狂いは無かった

そのことを直接実感できてとても良かったと思っている。

だから充分自分の作品に胸を張ってもいいと思う。

今はつらいかもしれないけどいつか東城の才能を認めてくれる人が現れるから

きっと現れるハズだから

だから何があってもあきらめるんじゃねぇぞ!

あと今度会うときまでにその小説完成させてくれよな

じゃあな


伊 東 隼 人





綾は手紙を読み終わったとき自分がはじめて泣いていることに気付いた

「ありがとう……本当にありがとう……」

何度も何度も

綾は手紙に向かい頭を下げた





[No.182] 2006/09/16(Sat) 10:32:39

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