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BEST OF HERO 第22話 (No.189 への返信) - hiro



美鈴 (この人が・・・・・・・・)


外村 (とっ東城の言っていた・・・・・・・・・・・)


真中 (あの伊東隼人・・・・・…?)



三人は凍りつきながら伊東隼人と称した少年を見つめた


背がスラッと高く、美少年・・・・・・・とまではいかないがそれでも充分カッコイイ人物だと真中は思った


「ん・・・・・・?どうかした?」

その3人の光景を見た隼人は尋ねた


「いえ・・・・・・なんでもありません」


「そっか・・・・・・じゃそろそろ行きましょうか?」

隼人が外村叔父に提案する






北川映画事務所までは車で2時間とそこそこ遠い場所にあった


外村叔父の運転する車の助手席に隼人が、後部座席に美鈴、真中、外村という順番で座った




「・・・・・・なぁ?なんか俺らの思ってたイメージとは違う人だな・・・・?」

真中が小声で隣の外村に話しかける


「まぁ暴力沙汰起こした人間には見えねーけど?」

外村も伊東隼人という人物を観察する


「まぁ真中先輩よりかはかっこいいことだけは確かですけどね・・・・」

美鈴も以外そうに言った




「あっ・・・・そこ左で・・・・・」

隼人が外村叔父に道を教える




(この人が・・・・・・5年前自らが転校してでも東城を守った人・・・・・・?)

そう考えながら隼人の後姿を呆然と見ていた






「・・・・・・・あと20分もしたら着くんでそのつもりで」


隼人が後部座席の三人に声をかける


「あと君が監督の真中くん・・・・・・か?」

「はい・・・・・そうですけど・・・・・」


「確か今日は撮影も兼ねているからゆっくり見学していけばいい・・・・・・・ちなみに俺も君たちの映画見せてもらったけどなかなかの物だったと思うぜ?」



「はぁ・・・・・・ありがとうございます・・・・・・」


笑顔で隼人が真中に言ったが真中本人は本物の映画監督に会うという緊張感で余裕をなくしていた






雪がつもる北海道を真中達を乗せた車がどんどん進んで行く


そして約20分後

少し大きな建物へと到着した

入り口には

     [北川映画事務所]

と書かれていた


「それじゃあ行くからついてきてほしい」

隼人に続いて4人は建物の中に入っていった




「よぉ隼人くん!この人たちが今日のお客さんかい?」


隼人の案内で北川映画事務所に入った瞬間一人の男の人が声をかけた


「そうです・・・・・・・あと今監督は?」

「あぁ確か部屋にいるんじゃないかな?」

男が隼人に答える


「えっとこの人がディレクターさん・・・・・」

隼人が3人に紹介する


「はじめまして!今日はご迷惑おかけします」

美鈴が代表して挨拶した



「はい、よろしく。今日は楽しんでいってください」

笑顔でディレクターが言った


「それより隼人くん・・・・・今度の映画にはやっぱ出演しないのかい?」

「ええ。やっぱオレには向いてないんですよ、役者なんて・・・・・」






「・・・・・ねぇ。出演ってどういうことですか?」

美鈴が小声で叔父に尋ねる


「あぁ、実は隼人くんは前の北川監督の映画にも出演しているんだ・・・・・・・まぁ出番の少ない役といえばそうなんだが」


「それってすごいことじゃないんですか?」

真中が驚く

「確か映画の撮影に隼人くんの牧場を撮影場所として提供したんだ。そんな縁で隼人くんも出演することになってね・・・・・・・」




「・・・・・・・それじゃあ監督のところに案内するからついてきて」

隼人のあとに従い3人は北川監督のいる部屋へ案内される


「緊張するなぁ……」


真中が二人に声をかける

「くれぐれも失礼のないようにお願いしますよ!」

美鈴が小声で促す




「監督・・・・・・・みなさんをお連れしました」

「あぁ入ってくれ・・・・・・」


部屋の中からは男の人の声が聞こえた

「失礼します・・・・・・」

一行は部屋の中に入った


部屋では1人の男の人がソファーに座っていた


「はじめまして映研部のみなさん・・・・・・・私が映画監督の北川です」


北川監督がそういいながら立ち上がる


「きっ今日は・・・ご招待していただいて・・ありがとうございます・・・・・監督のまっ真中です!」

真中が緊張気味に挨拶する


「・・・・・助監督の外村美鈴です」

「外村ヒロシです・・・・・」

3人がそれぞれ挨拶していく


「今日はわざわざこんな北海道のところまでご苦労だったね・・・・・・・まぁ座ってください」

北川監督が3人に座るように促した

恐る恐るだが3人はソファーに腰をかける






「・・・・・・・じゃ俺は帰りますわ」

3人が座るのを見届けた隼人は監督にそう告げる

「おぉ隼人!今日はご苦労だったな。・・・・・・・ゆっくりしていかないのか?」


「あいにく牛や馬の世話で精一杯なんですよ・・・・・・・」

隼人がめんどくさそうな顔で言った

「それじゃ!」

隼人はバタンとドアを閉め部屋から出て行った




「さて・・・・・・確か君たちは泉坂高校の映研部・・・・・・だよね?」

「はい、そうです!」

「・・・・・・・・ということは角倉の後輩か」


「えっ?ご存知なんですか?」

美鈴が尋ねた


「ご存知も何も・・・・・アイツをこの世界に誘ったのは私だからな・・・・・」

「誘ったといいますと・・・・?」

「ほんの数年まえまで角倉は北川映画事務所にいたんだ・・・・・・・ところがこの前独立してね・・・・・・・今や私より大物の映画監督だよ・・・・・」

寂しそうな表情で北川監督が言う


「まぁこの世界で若手がどんどん活躍していくことは嬉しい限りなんだけどね・・・・・・」



「そんなことないですよ!俺、北川監督映画すごっくいいと思ってますよ!」

真中がつい大声で言ってしまった

「ハハッ・・・ありがとう・・・・・・そうそう君たちが文化祭で上映しコンクールにも出典した[夏に歌う者]・・・・・・だっけ?隼人から見せてもらったよ・・・・・・」


「そっそれで・・・・・・・・どう思いますか・・・・・・?」

真中が恐る恐る尋ねる


「私個人の意見ではとても良かったと思っている。文化祭で発表するには充分な作品でしょう・…ただ1人の映画監督として言わせてもらえば・・・…まだまだ未熟な点が多いと思うね…・・」


北川監督が3人を見渡す


「脚本はとても良いんだが・・・・・・やっぱり役者の演技に問題があるだろうね・・・・」

美鈴は静かに監督の話しをメモしている。

「確か主役は真中くん・・・・…君だったね?」

「はい・・・・…そうです」

「例えば、あのシーンでは……」

北川監督は真中に気付いたシーンを一つ一つ丁寧に説明した





「まぁ・・・・…こんな感じかな?高校生にここまで求めるのは少し酷かもしれないけど・・・・…だいぶ違ってくると思うよ…・」


「すみません!わざわざ教えていただいて……」


「まぁ今日は撮影もあるから君達も見学していけばいい。本物の役者の動きも見ていたら参考になると思うよ…・・」


「はいっ!ありがとうございました!!」

3人はそれぞれ礼を言った











真中にとって北海道で過ごした期間はとても充実したものだった


セットや本物の映画の撮影風景・・・・・・すべてが真中にとって新鮮だった

そして時間は飛ぶように過ぎていった・・・・・・




そして二日目の夜

明日の昼、真中たちは飛行機で泉坂に帰ることになっている


「いやぁ良い人だよな。北川監督って・・・・・・・」

二日間みっちり本物の映画の世界を体験した真中は大満足だった


「やっぱりプロは違いますよね・・・・・・・私達でも気付かなかったことを指摘してくれたんだから」

美鈴も同意する


「まぁ感動はおいといて、真中はやるべきことがあるんじゃないのか?」

外村が真中に問い掛ける





「・・・・・・・・もう一度伊東隼人に会うべきじゃないのか?」

無言の真中に外村が話しつづけた

「あぁ・・・・・・・・東城とも約束してるし、このノートを渡してほしいって・・・・…」

真中が東城から預かったノートをとりだす


「・・・・・・・伝えなきゃいけないんだ。東城の病気のことも、東城がどれだけ心配していることも・・・・・・」





「・・・・・・・その割にはあんまり乗り気ではなさそうだな?」





「なぁ、オマエ本当は東城のこと伊東隼人に伝えたくないんだろ?もし伊東隼人が東城の病気のこと知ったらそれこそ泉坂に帰ってくる・・・・・・それが嫌なんだろ?」


外村の問いに真中は表情を曇らせる


「真中・・・・・・・・・そりゃ確かにオマエと伊東隼人とどっちがかっこいいかと聞かれたらオレは伊東隼人を選ぶぜ。普通自分を犠牲にしてまで誰かを守るなんてそうそうできるもんじゃない・・・・・・現にオマエならそこまで出来ないだろう?」


「ちょっとお兄ちゃん!真中先輩の気持ちも考えてやんなよ!!」


美鈴が怒鳴ったが外村は妹の言葉を無視し話しを続ける


「ただな、東城綾は自分にとっての恩人の伊東隼人よりも同じ夢を語れる同志・・・・・・・・・つまり真中淳平を選んだんだ!そして現にオマエは東城綾の恋人としてここに来ている。だからオマエは東城綾の恋人として胸を張らなきゃいけないんじゃないのか?」



真中は何も言わずにただ話しを聞いていた


「仮に今、東城の元に伊東隼人が帰ってきたとしても本当に東城がオマエを裏切るなんて思ってるのか?少なくともオレは東城が真中をのことを想っている気持ちはそんな半端なものじゃないと信じている・・・・・・・」




真中はここまで真剣な外村の姿を見たことがなかった




「だからオマエも信じてやんなきゃいけないんじゃねえのか?東城のこと・・・・・・・・・・・まぁそこまで信用できないんならいっそのこと別れた方がいいかもしんないな・・・・・・」








「・・・・・・・・すまなかった外村。やっぱオレが間違ってた・・・・・・・」

真中が遂に口を開いた


「オレ・・・本当は怖かったんだ。ひょっとしたら東城が伊東隼人に奪われちまうかもしれないって」




「でも今は違う・・・・・・・胸張って東城のところへ帰ってやってほしい。そう言える」


笑顔で真中が言った




「・・・・・・・分かった。叔父さんからにはオレから伝えとく。だから、胸張っていって来い!」


外村も笑顔で真中に声をかけた










その日の朝一番

真中を乗せた車は隼人のいる牧場へと向かっていた


「真中くん・・・・・・飛行機の時間もあるからそんなに長居はできないよ・・・・・」

車の中で外村さんが確認する

「いいんです・・・・・・少しの時間でいいので・・・・・」

牧場につくと隼人はちょうど馬の手入れをしている最中だった


「あれ?今日帰るんじゃなかったっけ?」


「ちょっと話したいことがあって・・・・・・」

「分かった・・・・・・じゃ少し待っててくれよ。すぐ終わらせるから」

隼人は真中に部屋で待つように伝えた




「・・・・・・・・お待たせ。どうだった北川映画事務所は?なかなか勉強になっただろう?」

10分後隼人は二人分のコーヒーを手にやってきた。


「えぇまぁ。けっこう勉強にはなったよ・・・・・・」

真中は隼人から渡されたコーヒーを一杯口に運ぶ


「それで・・・・・わざわざなんの用だい?」

真中の向かい側に隼人が座る


「・・・・・・・・・覚えてますか?東城綾のこと・・・・・・・?」

意を決して真中が話しかけた


「あぁ確か今回の映画の脚本やってるんだろ?ケースにそう書いてあったぜ?」

隼人があまり表情を変えずに答えた


「まぁ小学校のときいっしょだったんだけどいろいろゴタゴタがあってね・・・・・・・もう5年は会ってないな・・・・・」

隼人が懐かしみながら答えた


「確か東城に小説を勧めたんだよな・・・・・・?」

「あれ、そうだったっけ?・・・・・・・・あぁそう言えばそんなこともあったかな?まぁ大したことでもないんだけど」


隼人が記憶の糸を手繰り寄せる


「・・・・・・・・・聞いちゃったんだ。その・・・君ががここに来なければならなかった理由も・・・・・・」

気を悪くさせるのを覚悟で真中は尋ねたが

「えっマジで!?うっわーアイツそんなことまで言いふらしてやがるのかっ!!」

隼人は以外と気にしていない様子で答えた


「あとこれを渡してほしいって、東城が・・・・・・」

小説のノートを隼人に手渡す

「・・・・・・・懐かしいな。これ小説のノートだ!あいつ完成させてくてたのか・・・・・・・」


パラパラとノートをめくる



「1つ聞いていいか?」

唐突に真中に尋ねた


「・・・・・・・・ひょっとしてオマエと東城付き合ってんの・・・・・・?」



隼人の問いに真中は答えるかどうか迷ったが・・・・・・



「あぁ・・・・・・一応付き合ってる・・・・・」

隼人の顔を伺う感じで真中が恐る恐る答える

だが隼人の顔は笑っていた


「そうか!そうか!あの東城がねぇ・・・・・・」

隼人がコーヒーを飲み干す


「いや〜てっきり東城今も暗い調子で友達なんかいないんじゃないかと心配してたんだけど安心したぜ。彼氏もいるんだったら相当良い生活送ってんだろうな……」

隼人はまるで自分のことのように喜んでいる


その姿を見て真中は少し安心した




「そろそろ帰ってもいいんじゃないかなぁ?東城も喜ぶだろうし・・・・・・」


その問いに隼人の表情が曇る




「・・・・・・・悪いけどそいつは無理だ」


「どうしてだよ??東城だって妹の千里ちゃんだってアンタに会いたがってるのに!」

予想外の隼人の対応に真中がつい熱くなる


「・・・・・・・俺はまだケジメがついたとは思ってない・・・・せめて高校卒業するくらいまでは帰らないって決めているんだ・・・・・・・」


「でも・・・・・・もう5年も経つんだろ?確かにアンタがやったことは決して良かったことではないと思う。けどもう充分だろ?」


「・・・・・・まぁそれもあるけど実はいうとここでの生活もけっこう気に入ってるんだよ・・・・・・・まぁ東城にはもうオマエみたいな恋人だっているんだし俺が帰る必要もないだろ・・・・・・」


「でもっ・・・・・・・」


真中はここで東城の病気について隼人に伝えようとしたが・・・・・


「隼人くん!!そろそろ行かないと飛行機に間に合わないんだ・・・・・雪の影響で渋滞してるらしいから・・・・・・」

外村さんが突然二人のいる部屋に入ってきた


「・・・・・・・だそうだ。行けよ真中・・・・・・・」

「でもっ・・・・・・・」

真中はどうしようもなく突っ立っていたが


「真中くんっ!!急がないと!!」

「・・・・・・・はいっ!分かりました!!」


ついに真中は何も言えずに車へと乗り込んだ


真中は助手席の窓をあける


「・・・・・・・・東城や妹によろしくな・・・・・・」

隼人が真中へと近づいていく

「・・・・・・・オマエとはもう少し前に会いたかったぜ・・・・・・できれば小学校のころにな・・・・・・」


その瞬間真中を乗せた車は発車した




(・・・・・・・やっぱ俺って・・・・・最低だよな・・・・・・)


手を振っている隼人をサイドミラーで見ながら真中は後悔した・・


[No.191] 2006/09/27(Wed) 19:54:47

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