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BEST OF HERO 第29話 (No.211 への返信) - hiro





「ただいま〜」


「シィーーッ!」


綾が帰宅するとすぐ母親に静かにするように促された


「お客さん?」


「お父さんの会社の人で・・・・・・天地くんのお父さん・・・・・」


「天地くんのお父さんって確か会社の社長・・・・・・・・だよね」


居間では自分の父親と天地の父親がなにやら深刻に話しているみたいだったが綾はあえて何もいわずに自室へと引き上げた













「なるほど・・・・・・・・・それで我が社に融資がほしい・・・・と」


ソファーに座りながら天地の父親がゆっくりと紅茶を口に運ぶ




「お願いします、このままだと我が社が倒産し社員が路頭に迷うことになりかねないんです、なんとかお願いできないでしょうか・・・・」


深刻な顔つきで綾の父親が頭を下げる


「そうは言われましてもねぇ・・・・・・・・・」


嫌味ったらしく天地の父親が言う


「そこをなんとかお願いできないでしょうか・・・・・・・」


再度綾の父親が頭をさげる



「まぁできないってわけでもないんですが・・・・・・・・・1つだけ条件が・・・・」







「確か娘さんをお持ちですよね・・・・・・・・小説の賞を次々と獲得している」


「はぁ・・・・・・・そうですが・・・・・・」




「私の息子がえらくあなたの娘さんをとても気に入っているんですよ・・・・・・」



「勉強も出来て、顔だっていい、性格も悪くないし小説家としての才能もある・・・・・・・・・それを聞いて私まで気に入ってしまいましてね」


その言葉を聞いて綾の父親はすごく嫌な予感がした。









「もうすぐ息子も卒業でしょう?ゆくゆくは私の会社もついでもらうことになります・・・・・・・・・・・ですから卒業後私の息子とあなたの娘を結婚させていただきたい・・・・・・そうすれば融資をしましょう・・・・・」



「結婚・・・・・・・・ですか・・・・・・」


嫌な予感は完璧に的中した




「しっしかし、私の娘はまだ白血病が完治していません卒業後すぐに結婚というわけには・・・・・・・」


「では婚約という形でも結構です・・・・・・・・・・まぁどっちが会社のため、あなたの社員のためになるか良く考えるんですな」


そう言うと天地の父親は帰って言った



















「あなた・・・・・・・・・」


すべての話を聞いていた母親が心配そうに声をかける



綾の父はしばらく黙り込んでいたが














「綾を・・・・・・・呼んでくれないか・・・・・・」



それだけ言うと深いため息をついた。













































「ん?・・・・・・・アイツどこに行くんだ?」


休み時間に廊下を歩いているとたまたま校長室に入っていく隼人の姿をみかけた


「校長室なんかに・・・・・・・なんで?」


そういいながら扉に耳をあてた











「・・・・・・・・・・・・どうでしたか?北海道は・・・・・・?」


「えぇ・・・・・・充分良い経験ができましたよ。お陰様で」






「しかし驚いたぜ・・・・・・清新小の校長だったあなたがまさかここの校長だったなんて・・・・・・」


「まぁいろいろとあってね・・・・・・・・・・」


「まっそのおかげで泉坂に来れたんですけどね・・・・・・・・まぁあなたのお陰で人間的にも成長できたと思っています」


「そうか・・・・・・・なんでも映像研究部に入ったそうじゃないですか?・・・・・・・・なんで野球をしなかったんだ?私の情報では大阪のリトルリーグでー」


「やめたんです、野球をやると思い出すんですよ・・・・・・・・いろんなことを・・・・・」


隼人は少しうつむきながら言った




「それに映研ならこんな俺でも必要としてくれます・・・・・・・・それにここが俺の居場所なんだと思いますしね」


隼人が笑顔で言った。















「ここが俺の居場所・・・・・・・か」


扉から耳を離した真中はただそうつぶやいた




「そうだな・・・・・・・俺たちの居場所だよ・・・・・・映研は」


そう言うと真中は教室に戻るために廊下を歩いていった




「それよりも東城どうしたんだろうな・・・・・・・・無断欠席なんて・・・・・・」





その瞬間、真中は廊下で天地とすれ違った


ニヤッ


真中は天地とすれ違う瞬間天地がかすかに笑ったかのように見えた







「なんだ・・・・・・・・この胸騒ぎ・・・・・」


通りすぎる天地の姿を見ながら微かに真中は嫌な予感がした・・・・・・


































トルルルルル・・・・・トルルルルルル・・・・・・・・




「・・・・・はい。真中ですが・・・・・・」




「・・・・・・・・・・真中くん?」


声の主は東城だった・・・・・・・・・もっとも、消えそうなほどの小さい声だったのだが




「とっ東城!?どうしたんだよ、いきなり無断欠席なんて!」















「ごめん真中くん・・・・・・・・・・・別れてほしいの・・・・・・・あたしと・・・・・・・・」



「・・・・・わっ別れるって・・・・・・・・・・・どういうことだよ?」




「ごめんなさい・・・・・・・・・・・・・・とにかく別れてほしいの・・・・・・・・・それだけ・・・・・・」



「それだけっておい!説明くらいしろよ!なぁ!!」




ツーツーツー・・・・・・・・




真中は東城から一方的に電話を切られてしまった














「おっ俺って・・・・・・・・・・・・・・振られ・・・・・・・・・たのか・・・・・・・・?」



あまりにも突然訪れたことに真中は一瞬信じられなかった・・・・・・・・






しかし手に持っている受話器がそれが事実だと証明していた。








「・・・・・・・なんでだよ・・・・・・・・・どういうことなんだよ・・・・・・・・・・・」



真中はワケが分からなかった・・・・・・・・







































「いきなりか・・・・・・・・・・・・・それにしては変だよな」


昼休み屋上で真中は昨日のことを外村にすべてを打ち明けた





「俺・・・・・・・・・本当に何が何だかわからなくて・・・・・・・・」



真中は相当落ち込んでいたようだった。




「まぁ仮にだ、オマエが嫌われたとして振られたとしても学校くらいは来るだろ?でも実際は休んでる・・・・・・・・おかしいよなそれって・・・・・・」



外村も頭をひねる














「よぉ・・・・・・・・探したぜ、ここにいたのか?」



パンを片手に隼人がやってきた







「興味深い話を耳にした・・・・・・・・・・・天地のことなんだが」



隼人はドカっと座りながら言った



「悪い・・・・・・今それどころじゃないんだ・・・・・・・・・真中が昨日突然東城に振られたらしいんだよ・・・・・・・」



「・・・・・・・・その東城に関連している」


「えっ!?」


その言葉に真中が過敏に反応してみせた



「東城に・・・・・・・・何かあったのか!」


真中が問い詰めたが隼人は間を空けるかのゴホゴホと咳をした






「天地が”綾さんはもうすぐ僕のものになる”とか言っているのを聞いた」



「天地がぁ・・・・?それはないと思うぜ?東城が真中を振ってまでして天地と付き合う人間だと思うか?」


「俺だって最初は嘘だと思った・・・・・・・だけど現にオマエは振られたんだろ?それに東城が二日も連続で無断欠勤している・・・・・・・・おかしいと思わないか?」





「そういえば・・・・・・・・・」


真中が口を挟んだ


「天地とすれ違った時・・・・・・・・アイツ、俺の顔見て笑ったんだよ・・・・・・・・・そしてその日の夜に東城から振られたんだ・・・・・・・」




「なるほど・・・・・・・・・・どうやら何か裏があるな・・・・・」


外村が考え深げに言った





















ピンポーン



「真中です!東城と話がしたいんです!開けてくれませんか!」


真中と隼人、外村に小宮山、美鈴が東城の家へと集まった







「・・・・・・・・開けるな。今会えば綾が苦しむことになる・・・・・・・」



綾の父親がそう命じた



「どうしてなんだよ!理由があるのなら教えてくれよ!なぁ!」



真中の声は当然部屋の東城にも届いていた











ガチャリ





すると綾の父親が姿を現した






「東城のお父さん!・・・・・・・東城に会わせてください!納得いかないんですこんなー・・・・・・・」






バキッ!




綾の父親の拳が真中の顔面を深くえぐった




「真中!」


小宮山が倒れた真中の体を受け止める



「どうしてきみは綾を苦しめるんだ!綾が別れたいっていっているからそれでいいじゃないか!!」




右の頬を押さえながら俯いている真中に罵声を浴びせた




「このクソ親父・・・・・・・・・ぶっ飛ばしてやる!」


血の気の多い隼人が綾の父親に飛びかかろうとしたが小宮山、外村が必死でそれを止めた




「もうやめて!!」



全員がその言葉に振り返る



綾だった・・・・・・・



「東城・・・・・・・・・」



「お父さん・・・・・・・・この人たちにも教えなきゃいけないと思ってた・・・・・・」



「でも綾!・・・・・・・・・」


父親は何かを言おうとしたが



「分かった・・・・・・・説明しよう・・・・・・上がってくれ」



全員は綾の家の応接室に案内された



ソファーには綾と父親が


こちら側には真中と外村、美鈴が座っている


小宮山と隼人は立っていたが隼人は腕を組んで綾の父親を睨みつけていた






「・・・・・・・・・私は小さい会社だが社長をしている」


綾の父親は語りだした



「不況続きだったのだがそれでも社員一同力を合わせて頑張ってきた・・・・・・・だがどうしても切り抜けられない状況になってしまったんだ」



「そんなとき天地建設の社長さん、つまり天地くんとお父さんが融資をしてくださると申し出てくださった」



皆は静かに話しを聞いていた




真中がチラッと綾の顔を見る



とても悲しそうな顔だった・・・・・



「こんな小さな会社だ・・・・・・・融資してくれるなんて天からの恵みのようなものだ・・・・・・・・・・・・だが1つだけ条件を突きつけられた」



そういうと父親は綾を横目で見た




「綾を・・・・・・・・・・綾と天地社長の息子を高校卒業後結婚させろと言ってきた・・・・・・・そうすれば融資をすると・・・・・・」





「なるほど・・・・・・・・・政略結婚ってやつですか・・・・・・・・」



外村がそう言った



「・・・・・で?当然断ったんでしょうね?そんな理不尽な話・・・・・・・・・」


隼人が半ば脅すような形で東城の父親に尋ねた



「私だって本意ではない・・・・・・・・しかし社員を路頭に迷わすわけにはいけない・・・・・・・・・・融資さえしてもらえば会社も倒産しなくて済む・・・・・・・・・」



真中はただ黙って話しを聞いていた




「それに天地建設の社長の息子と結婚したら綾も不自由なく暮らしていける・・・・・・・・・・綾にとっても将来のためには悪い話ではないんだ・・・・・・・」




綾の父親が言い訳するかのようにそう言った。









「東城・・・・・・・・・」



真中が不意に東城の名前を呼んだ




「東城は・・・・・・・・・・・これでいいのか・・・・・・?」





その言葉を聞いた綾は






ただ首を上下に動かしただけだった・・・・・・・・・















「けっ!やってられないぜ!」


隼人がおもむろに綾の父親の前に立った



「あんた・・・・・・・・・・自分の娘は大切じゃないのか?そんな政略結婚みたいな真似させやがって・・・・・」



「綾には悪いと思っている、ただ真中くんには悪いが私は天地くんのほうが将来綾が幸せになると思っている」


「・・・・・・確かに、真中と天地をくらべりゃ天地のほうが金持ちだ。だから経済的に豊かになるかもしんない・・・・・でも娘の気持ちを考えてみろ!無理やり結婚させて本当にコイツが幸せにでもなれると思ってんのか!!」



「ただ・・・・・・・・私だけでなく社員の生活もー・・・・・・」


「俺は社長のアンタに聞いてるんじゃない!東城綾の父親としてアンタに聞いているんだ!!」



隼人の怒鳴り声は場が静かなためによりいっそう響いた・・・・・・・













「・・・・・・・・帰ろう」



真中がこう言った。



「真中・・・・・・・・・」


「これ以上何を言っても仕方ないよ・・・・・・・それに東城がそれを望んでいるんなら・・・・・・・・」






真中は東城を安心させるかのようにやさしい口調で言った・・・・・・
























「・・・・・・・・・おい、おまえ本当にこのままでいいのかよ?」


帰り道隼人がおもむろに真中に尋ねた


「しょうがないよ・・・・・・・・・本当に社員の人たちの生活だってあるんだし・・・・・・・」






ガシャン!


隼人は真中の胸倉を掴みおもいっきりフェンスにたたきつけた


小宮山が必死で隼人の体を抑える




「しょうがない・・・・だと?ふざけるな!おまえの東城に対する想いはそんな軽いもんだったのかよ!見損なったぜ!」


「うるさい!!おまえなんかに俺の気持ちが分かるか!!!」


真中が始めて怒鳴った





「偉そうに言いやがって・・・・・・じゃあ聞くけどどうすればいいんだよ!?このことはもう俺たちの入り込める次元の話じゃないんだ!会社や人の生活がかかってるんだぞ!どうすればいいんだよ!!」


真中の言葉に隼人はスルリと胸倉から手を離した




「・・・・・・・・真中の気持ちも察してやってくれ・・・・・・・アイツだってつらいんだ・・・・・・」



外村が隼人の肩に手を置きながらいった



「そうですよ・・・・・・私達がここで争っても意味がないですよ」










「オレ・・・・・・・・・・・・正直言って話しが良く分からない・・・・・・」



小宮山だった







「オレ、頭が悪いから難しい話は分からない・・・・・・・・でも綾ちゃん、とても悲しそうだった・・・・・・・・1番つらいのは綾ちゃん自身なんだと思う・・・・・・・」




「小宮山・・・・・・・・・・・」




小宮山の言葉が全員の核心をついた




「そうだな・・・・・・・・やっぱ1番つらいのは東城本人だよな・・・・・・」


外村が全員の気持ちを代弁するかのごとくつぶやいた



「小宮山・・・・・・・・・見直したよ・・・・・・」


真中も小宮山に声をかける








「・・・・・・・・オレはぜったい許さない・・・・・・・東城の父親もその弱味につけ込む天地も・・・・・・・」





「とりあえず、この理不尽なことをやめさせるしかない!・・・・・・・・ぜったいに・・・・・・」





「でも真中先輩の言うとおり私達にどうにかできるレベルじゃないんでしょ?何か手はあるのお兄ちゃん!」


「う〜ん・・・・・・・・・・」



さすがに外村もそこまでは考えられないみたいだった







「・・・・・・オレ、天地に直接話してみる!・・・・・・・アイツだってこんな形で東城といっしょになったとしても喜ばないはずだ・・・・・・・・」


真中が決意新たにそういった




(・・・・・でも天地のことだからなぁ・・・・・・・・交渉は難しいだろうな・・・・・・)



外村はそう思ったが敢えて口には出さなかった・・・・・・・


[No.212] 2006/10/23(Mon) 21:24:25

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