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all A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜第1話 - バル - 2005/09/04(Sun) 21:37:29 [No.29]
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A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜第1話 - バル



第1話「帰郷」









――なつ休みになったらさ。どこ行こうか? 山、川、海……どれにしようかまよっちゃうね――

――へへ、淳平のおよめさんになるんだ――

――淳平……。もう会えないの? ……そばにいてくれなきゃ、いやだよぉ――




 けだるそうに開いたバスのドアから出ると、夏独特のまとわり着くような暑さにすぐに捕まった。
乗ってきたバスは俺だけを降ろすと次のバス停へと砂煙を好き放題巻き上げて走っていった。

 見上げれば掴み取って道に投げ捨てたくなるような太陽。セミの声がジージーとやかましい。
「雲がソフトクリームに見える……」
 真中淳平。生まれ故郷に戻ってきての第一声だった。

 学校はあれよあれよと言う間に夏休みへ突入していた。
 外村は長期の休みを利用してHPのネタ探しに沖縄に単身旅行。さつきはバイト。
西野は大草に会いにアメリカへ。小宮山は……ひたすら寝るらしい。

 そして、俺はというと。いまの所に来る前まで住んでいた町に帰郷していた。
こっちの幼馴染にずっと手紙で誘われていたし、西野と大草の騒動で正直すこし疲れていたからだ。
 ……なんていうのは嘘だ。

 本当は、はっきりさせなきゃいけないと、そう思ったから俺はかつて逃げ出したこの町へ帰ってきたんだ。 






* 幼馴染 *


 「いってきまーす」
 勢いよくドアをあける。いつもなら大嫌いな夏の暑さも今日は勘弁してあげよう。
私の心は生まれてこのかたないというほど寛大だった。

 なんでって? そんなの淳くんがこの町に帰ってくるからに決まってるじゃない!
 
 私の家に手紙が届いたのは3日前。ずっと音信普通だったのに不意に思い出したように
届いた。
 そこには、東京での学校生活や、友達、部活とかの話が書いてあって。最後にちょっとだけ、
「夏休みを利用してそっちに帰るから出迎えヨロシク!」
 と淳くんらしいちょっと斜めになった文字で書かれていた。
 その時の私の喜びようといったら。家族に見せびらかすは、一日に何度も読み返すは、
しまいにはずっと傍にあるように紐を通して首からかけた……なんてそこまではさすがにしなかったけど。
 とにかく私は嬉しかった。
 
 だって、淳くんが好きだから。


 家からバス停までは歩いて20分、走って15分程度。待ち合わせの時間に余裕があるのに私は
馬鹿みたいに走った。
 あとこの角を曲がればバス停が見える。胸がドキドキする。呼吸も早くなる。走っているからだけじゃなくて。
 F1のマシンのように華麗にコーナリングを決めると、バス停のすぐ横で暑さにへばって道端にだらしなく座っている
見覚えのある姿が飛び込んできた。
「あはは」
 思わず顔がほころぶ。何年待ったかな? 手紙は何通出しただろう? 電話だって何回かけたかわからない。
それでも何も返してくれなかった淳くん。そんな彼がいま、私を待ってるんだ! そう思うと、なんだか心の中がむずむず
してきて、私は急いでいた足をゆっくりとした歩きに切り替えた。

―― こんなに待ったんだから、少しくらい待ってくれるよね? なんて、私って意地悪だね。でも、許してね。
お願いだから、あとちょっとだけこの気持ちを感じさせて ――

 そんなことを考えながら、私はゆっくりと淳くんのもとへと歩いていった。













[No.29] 2005/09/04(Sun) 21:37:29

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