Re: 【試験投稿】Gift To...第4話 (No.3 への返信) - ねぎ@管理人  |
「ねえ、唯ちゃん。淳平どうしたのかしら?部屋にこもったままで。」
「う、うん。こないだの映画のことを考えたいから一人にさせてくれって・・・」
唯にはわかっていた。淳平が、つかさの事を考えていることを。
「そうなの?じゃあ、先にご飯食べちゃいましょう!!今日はカキ鍋よ!!」
「ホント!!やったーーうれしーーー!!!!」
(俺は一体何をやってるんだ・・・
だいたい 俺たちはもう別れてるんだから、関係ないじゃないか。
でも、なんで気になるんだろう・・・
あのクルマの人は誰なんだろう・・・?
俺は・・・嫉妬しているのか・・・
俺は・・・西野のことが好きなのか・・・
東城は・・・?さつきは・・・?)
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【Gift To...】
第四話『ケーキ』
コンコン
「じゅんぺい?入っていい?」
カチャッ
唯が部屋に入ると、部屋は真っ暗で、真中は机に伏せていた。
「じゅんぺい・・・」
「・・・」
「あ、あのさ・・・」
「・・・」
「ねえ・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・・・・」
ブチッ!!
「コラーーー!!じゅんぺーーー!!シャキッとしろーー!!!」
唯は叫ぶと真中のアタマをバコンと叩いた。
「どわっ!なんだ、唯!!いきなり!!」
「なんだじゃない!!いつまでウジウジしてるんだ!!」
「う、ウジウジなんて別に・・」
「してる!さっきつかさ先輩を見てからじゅんぺい変だもん!そんなに気になるんなら、聞けばいいじゃんか!」
「聞けばって、俺と西野はべつに何も・・・」
「ウソだね!きっと、あのクルマの人が気になってるんだ!別に誰だっていいじゃんか!!つかさ先輩だって知り合いがいるだろうし!」
「・・・」
「どうせ明日またバイトで会うんでしょ?だったら、その時に聞けばいいじゃんか!
元気出して行こーー!!」
唯のあまりの勢いに真中は圧倒されながらも、
(そうだ…。昔からコイツは俺が落ち込んだりしてると、いっつも励ましてくれてたな…)
「唯!」
「ん?なんだ?」
「今日のメシはなんだ?」
「!」
唯は、真中が立ち上がると嬉しそうに笑って
「カキ鍋!でも、ウジウジしてるヤツの分は唯が全部食っちゃうんだ〜!」
「!?ちょっと待て!おい!!」
「へへ〜〜んだ!」
唯は真中に舌を出して笑うと部屋を飛び出していった。
「サンキュ・・・」
真中は唯の背中に小さく声をかけた。
テアトル泉坂
「ふぁ〜〜〜・・・」
真中は相変わらず客の少ない客席にもたれかかりながら、ボーッと上映中の映画を見ていた。
バイト代はもらえないが、上映中の映画は見放題というのがバイトの条件だ。
(まいったな〜、どんな顔して西野と会えばいいんだろう?
でも、今日も一緒に帰るとは限らないしな〜・・)
真中は映画の内容なんか全然アタマに入らず、ただつかさの事を考えていた。
ブーーッ
上映が終わり、客が席を立ち始めた。
「おい、コラ!若造!!サッサと掃除を始めないか!!」
真中は突然のカミナリにビクッとしたが、
「はいはい。わかりましたよ〜」
真中がダルそうに掃除を始めると
「なんじゃ、朝から気合が入っとらんのう。んじゃ、ケーキでも食べて一息いれるか?」
「え?(ケ、ケーキ?ってことは、西野がここに来る!?)
い、いいっスよ!そんな、俺、ハラは減ってないし・・」
「ん?なんじゃい。こんな老いぼれのささやかな気持ちなんか受け取れないっていうの?」
ウジウジする豊三郎を横目に
「はいはい、で。館長は何が食べたいんですか?」
「ワシはね〜、やっぱりいちごのショートケーキがえ〜のぅ」
「いちごのショートケーキね〜。じゃあ俺はチーズケーキをお願いします!」
真中がスタスタと歩いていこうとすると
「おいおい、お前が注文するんじゃ!」
「へ?な、何で俺が??しかも買いに行くんじゃないの?」
「だって、ワシはチケットの販売とかあるからのぅ。客の前で電話なんかしちゃ失礼じゃ!」
「客ったって、誰もいないじゃないですか」
「う、うるさい!これから来るんじゃ。今日は満員御礼の予感がするんじゃ!!」
「ったく、閑散静寂の間違いじゃないんですか。」
「いいから早く!ゴホッ、ゴホッ!こ、こんなかよわい年寄りをつかまえて・・・」
「だーー!わかりましたよ!!します!します!!(このジジィ。西野に会いたいだけに決まってる)」
真中は、ドキドキしながら受話器を手に取った。
「そ、そうだよ。何も西野が出るとは限らないし。それに今までだってほとんど店長が出てたもんな!よし!」
真中は受話器に手をかけるとゆっくりとパティスリー鶴屋の番号を押した。
プルルルル・・・
プルルルル・・・
「あれ?出ないな〜」
プルルルル・・・
『ハイッ!大変お待たせしました!パティスリー鶴屋です!!』
「!!(に、西野だ〜〜〜)
あ、あの・・・テアトル泉坂の・・・」
『!淳平くん!?』
「え?よくわかったね。」
『そりゃわかるよ〜!で、どうしたの?アタシに何か用?』
「え?あ、いや、館長にケーキを注文してくれって頼まれて・・・」
『あ、そうなの!てっきりアタシに用事があるのかと思っちゃった!』
「は、はは(なんでそういう意味深な発言をするんだよ〜〜)」
『で、ご注文は?』
真中はつかさに注文するケーキを伝えた。
『ありがとう!でも、ごめんね〜。ちょっと今お店混んでるからさ。時間は大丈夫?』
「あ〜、悪いな、西野。忙しい時に注文しちゃって・・・」
『い〜の、い〜の!ホラ、前話したここの店長さんのお孫さんが帰ってきてて、お客さんが大量に押しかけちゃってるの!』
「そうか〜…西野、悪いから俺、お店まで買いに行くよ!」
『大丈夫、大丈夫!バイトの人も増やしてるし、すぐに落ち着くと思うから!』
「そう?ありがとう!」
『こちらこそ、ご注文、ありがとうございます!!』
真中は受話器を置いた。
普通に、いつもどおりに話せた。真中は、自然と嬉しさがこみ上げてきた。
「なんだ、俺ってばぜんぜん平気じゃん!
そうだよ、気にしすぎなんだよ!」
真中は、今までのモヤモヤから開放されだ。
「唯には心配かけちゃったな。そうだ!西野の店のケーキ!あれ、俺の分をもって帰ってやろう!」
「館長!注文しときました〜♪でも店が混んでるから、ちょっと時間かかるそうです〜♪」
「ふん、なんじゃい!急に元気になりやがってからに」
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「お待たせしました〜〜!!」
「あ、つかさちゅわ〜〜ん!!今日もかわいいね〜〜。今度、死んだばあさんが若いころ着てた浴衣着て一緒に縁日行こ!縁日!!」
「おいこら、じいさん!西野が困ってんだろ!悪いな、西野。」
「ううん、気にしないで!ハイ、コレ!!」
「ありがとう!あれ?重くないか、これ・・・」
「へへへ〜。アタシも休憩もらったから、一緒に食べようと思って!今日はアタシのおごり!」
「え?いいよ、悪いよ!それに今日はじいさんがご馳走してくれることに…」
「ん?なんじゃい。ワシは一言もおごるとは言っとらんぞ。じゅんぺいちゃんがご馳走してくれるものだと・・・。」
「何を言ってるんですか!大体、俺、タダで働いてるんですよ!!」
「ふふっ、じゅんぺいくん。ねっ?今日はアタシがご馳走するから!」
「す、すまない、西野…。そうだ、今度俺が何かご馳走するよ!」
「ありがとう!じゃあ、早速食べよ!時間もあまりないしさ!」
「へ〜、じゃあ、そのお孫さんって人、凄い腕の持ち主なんだ〜。」
「そうなの!とにかく今はその人の作ったケーキ目当てのお客さんがいっぱい来てて、やっと順番で休憩を取ることができたの!」
「ほ〜う、あのバカ息子が帰ってきたんかのう」
「え?館長、知ってるんですか?」
「当たり前じゃい。何年間ここで映画館をやってると思っとるんじゃ!あのばあさんとも古い付き合いじゃ…」
「ふ〜ん。そのばあさんとの関係なんかを聞きたいですね〜」
「もう昔のことで忘れちまったわい。」
「「あやしいな〜」」
「なんじゃ、つかさちゃんまで!ワシはな、今は亡きばあさんとその生き写しのつかさちゃんしか眼に入らんのじゃ〜!」
「西野に触るな!このエロジジイ!!」
「あははははっ」
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「あ、もうこんな時間!そろそろ戻らないと。」
「つかさちゃんもう帰っちゃうの〜?」
「館長、持ってきてもらっただけでも感謝しろよ!」
「いいの!淳平くん。」
「ホント、ありがとうな。」
「ううん。アタシも楽しかった!」
「じゃあ、また後で!」
「あ!ごめんなさい!!今日は、いつもよりも終わる時間が遅くなるから…。」
「あ、そうなの?」
「うん、ちょっと・・・ね。ごめんね、淳平くん!」
「いいって、いいって!(本当は残念だけど…)
お店が混んでるから、仕事も増えちゃうよな!
それに比べて、この映画館は…」
「なんじゃい、文句あるんかいバイト!!」
「ありません!」
「それじゃあね!淳平くん!!」
「うん!」
笑顔で手を振りながら走っていくつかさを、真中も笑顔で手を振っていた。
(結局、昨日のこと、聞けなかったな…。でも、もういっか!)
「さて、館長!ちょっと館内を掃除してきます!!」
「当たり前じゃ!朝からロクに掃除しとらんじゃろが!
(全く、若いもんは単純でえ〜のう…
しかし、コイツら。若いころのワシらにそっくりじゃ。
なぁ、ばあさんや・・・)」
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「お疲れ様ですー!」
「おう、明日は休みじゃったな?明後日から、また頼むわい」
真中は家へ帰る途中、つかさが働いてるケーキ屋の前を通った。
「やべっ!そういえば唯に持って帰るケーキ、俺食べちゃった!」
(西野はまだ働いてるのかな〜)
真中が首を伸ばして除いてみると、店はまだ客が入っており、つかさとばあさん、それに新しいバイトらしき人がせわしなく動いていた。
(よし、買いに行こう!これは唯にケーキを買いに行くんだ!西野に会いに行くわけじゃないんだ!)
妙に自分を納得させる真中。
「え〜っと、お金あったかな〜〜…」
ドン!
ちゃりん、ちゃり〜ん
「あ!」
男が真中にぶつかり、小銭が地面に落ちてしまった。
「す、すまん!ちょっと急いでたもんで!」
「い、いえ。俺の方こそ、下見ながら歩いてたんで…」
「ごめんな、すぐに拾うからさ!!」
男は、真中に謝ると小銭を拾い集めてくれた。
「大丈夫か?全部ある??」
男は心配そうに真中の手にある小銭を伺っている
「ハイ、全部あります!ありがとうございます!」
「いや、こっちが悪かったんだ!ごめん!!
ちょっと急いでたんで・・・」
「あ、もういいですよ!本当に。俺も悪かったし」
「そうか、悪いな!!それじゃあ!!」
男は真中に笑顔で軽く手を振って走っていってしまった。
(いいな〜、ああいう感じの人。背は高いし、ハキハキしてるっていうか…。)
真中は男の走り去る後姿をしばらく見てた。
(でも、どっかで見たことあるような・・・)
「あ、そうだ、ケーキを買わなきゃ!!」
カランカラン
「いらっしゃいませ〜〜!?
淳平くん!」
「やあ。」
「どうしたの?今日はアタシ・・・」
「いや、違うんだよ!唯にここのケーキを食べさせてあげようかと思ってさ」
「そ、そうなの?きっと唯ちゃんもおいしいって言ってくれると思うな!で、どれにするの?」
「う〜ん、種類がいっぱいあるな〜…。しかも名前だけだとなんだかわからないや…」
「見た目で唯ちゃんが、好きそうなのを選んであげたら?」
「そうだな、じゃあ、これとこれ!!」
「2個も買うの?」
「うん、オフクロにも買って帰らないとうるさそうだし」
「あはは、そうだね!淳平くん家のお母さん、面白い人だもんね!」
「食い意地張ってるだけだよ。」
「また、そんなこと言って!」
真中はつかさからケーキの入った箱を受け取った。
「ありがとう!」
「こちらこそ!きっと唯ちゃんもウチのケーキを気に入ってくれると思うな!」
「ああ、それじゃあね!」
真中は店を出た。
昨日の出来事なんか、アタマから完全に消え去っていた真中は、ケーキの入った箱を持って、自宅へと帰っていった。
「たっだいま〜〜っと!」
「あ、お帰りなさい!!」
「いや〜参ったよ。店を勢いよく飛び出したら、そこで男の子にぶつかっちゃってさ!小銭ばらまいちゃって、一緒に拾ってたら、遅くなっちゃって!」
「それで、材料は買えたんですか?」
「閉店ギリギリセーーフ!!」
「まったく、アンタは小さい頃からすぐ飛び出して行っちまうんだから!その男の子に怪我はなかったのかい?」
「ん?たぶん…いや、きっと大丈夫だ!男はそんなに簡単に怪我なんかするかぃ!」
「アンタと一緒にするんじゃないよ!!」
「て、店長、まだお客様がいらっしゃるんですから…」
つかさは慌てて店長をなだめた、。
「フン!ほれ、さっさと注文のケーキを作りな!」
「へいへい」
「ほれ、つかさちゃんも!坊主はもう帰ったんだから、テキパキ働いとくれ!」
「は、はい!!」
つかさは店長に真中の事を言われ、少し赤くなった。
「誰?坊主って??」
「あ、さっき淳平くんが来てたんですよ!」
「淳平くん??あ〜、じいさんの所で働いてるっていう…」
「そうなんです!お家に買って帰るんだって。日暮さん、ちょうど買出しに行ってたから。せっかく紹介できると思ったのに〜〜」
「へ〜〜。そいつは残念だな〜。今度ぜひ会わせてくれよ!」
「ホレ、二人とも!仕事せい!!」
「「へいへい(は〜い!)!」」
閉店後のパティスリー鶴屋
「いや〜わるいね〜。こんなかわいい子に手伝ってもらっちゃって。しかも遅くなっちゃって…」
日暮は、ケーキをオーブンに入れながらさわやかな笑顔で言った。
つかさはその笑顔に思わずドキッとした。
「いいんですよ!それに・・・」
つかさは少し照れながら
「日暮さんのお手伝いなら、アタシも喜んで手伝わせていただきます!こないだのお礼もしたいし…」
日暮はオーブンを閉じると、少年のような満面の笑顔をつかさに向けた。
「いや〜、そう言ってもらえると助かるよ!そのかわり、味見はし放題だからね!!」
「ふふっ、いくら日暮さんのケーキでも、そんなには食べれませんよ〜。」
秋のケーキの新製品の開発。
厨房には、二人の楽しそうな声が遅くまで響いていた。
[No.4] 2005/07/04(Mon) 13:09:32 |