時を越える想い〜プロローグ〜 - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/10/22(Sat) 10:35:49 [No.35] |
Re: 時を越える想い〜第一話〜:オリジナル98%・いちご2... - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/10/22(Sat) 20:28:41 [No.36] |
Re: 時を越える想い〜第二話〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/10/22(Sat) 22:42:18 [No.37] |
Re: 時を越える想い〜第三話〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/10/23(Sun) 08:20:08 [No.38] |
Re: 時を越える想い〜第三話〜:訂正部分 - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/10/23(Sun) 09:55:06 [No.39] |
Re: 時を越える想い〜第四話〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/10/23(Sun) 10:46:50 [No.40] |
Re: 時を越える想い〜第五話〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/10/23(Sun) 19:29:33 [No.41] |
Re: 時を越える想い〜第六話〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/11/22(Tue) 00:28:07 [No.43] |
Re: 時を越える想い〜第七話〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/11/22(Tue) 01:32:26 [No.44] |
Re: 時を越える想い〜エピローグ〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/11/22(Tue) 01:36:57 [No.45] |
Re: 時を越える想い〜あとがき〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/11/22(Tue) 01:43:12 [No.46] |
「一体どうなってるのよ…。」 向井沙希は研究室で胃薬を飲みながら呟いた。 過去に実習生として戻った琴子は私の警告を聞き入れる事なくまたしても伊原達郎に強く干渉をした。 そして、最悪な事に彼もまた琴子を愛してしまっていたのだ。 それだけでは…ない。 彼は調査によると琴子が帰った直後から勉強に没頭し飛び級して大学には行った事になっている。 つまり、琴子が彼の前に現れた事によって彼が大学に飛び級する原因を作ったと言う事になるのだ。 それだけでは、ない。 これだけの歴史干渉をしていたら当然許容範囲を大きく超える"歪み"が発生するはずなのであるが、今回の誤差は私があの時代に行った分の誤差しか発生していないのだ。 そのため、管理局上層部も彼女に一切お咎め無しの状態だ。 「まぁ、琴子は私の親友だから処分が無いにこした事はないんだけれども」 ふと、私の中で一つの事象が浮かび上がった。それは過去一度しか発見されていない、一つの現象…。 と、その時。 「沙希さん局長がお呼びです。」 管理局の職員が私を呼びに来た。 私は研究室を出て局長室に向かう。 「向井君、今回の調査ご苦労だった。」 「はい」 「それでだ…あの時代の扉が開かれた回数を見たのだが…ちょっとおかしな点があってね」 「おかしな点?」 「ああ、君たちがあの時代があの時代から帰ってきてから4年後、またあの扉が開かれるのだよ。」 「…それは・・・・・・どういう事でしょうか?」 「つまり、"あちら側"から誰かが扉を開く、つまり時間移動してくるのだよ」 「そんな…最初の時間移動がされたのはあの時代から数世紀後の事ではないですか」 「ああ、でももしかしたら…」 「今、候補に挙がっているのは3人ヒューバート・D・ガーネット氏とアレックス・M・アンソニー氏と伊原達郎氏の3人だ」 「3名共、歴史上の有名人だ。君も知ってるよな?」 「それでだ、君にそれを調査する為にまた過去へと飛んでもらう。幸いな事にこの三人は同じ大学に居るしな」 「わかりました。」 そうして、また私は過去へと行く事になった。 彼女が消えた後、僕はその場にうずくまり泣いた。 「絶対…絶対、逢いに行ってやるからな…」 と、その時 「・・・ん?」 うずくまって泣いているとふと何やらカードらしき物が落ちていた。 「これは…」 そのカードを手に取る。そのカードについているボタンを押してみた。 ――ブゥン・・・ ボタンを押すと琴子の姿をしたホログラムが浮かび上がってきた。 『ミブンショウメイショ、モリワキコトコ、セイネンガッピセイレキ36××ネン9ガツ16ニチ、ケツエキガタABガタ、』 ホログラムの琴子が自分の情報を述べる。 恐らく彼女が落として行った物に間違いはなかった。 僕はそのカードを静かに自分のポケットにしまった。 ・・・あれから3年の年月が経った あれ以来、藻岩大樹が枯れる事は無く…もう写真も送られて来なくなった。 あれから僕は研究に拍車が掛った。 2度も大切な人を手放してしまった悲しみを研究に没頭する事によって紛らわすかの様に。 そう、あの日以来僕はまた研究に没頭した。 彼女が言っていた遺伝子というキーワードを頼りに遺伝子工学を徹底的に研究しつつ、時間移動に関係ある分野はすべて研究していた。 そして僕はその時間移動研究の副産物として在りとあらゆる発見をした。 エイズ特効薬、低温核融合理論、人類進化の解明、一般相対性理論の拡大解釈…数えれば切りが無い。 わずか3年で遺伝子科学・自然科学の頂点を極めた。 ―何時もの様に朝早く研究室に入る為に研究棟に入ろうとした。 そこには1週間前からマスコミが殺到していた。 「伊原教授!」 「…」 「教授!今回最年少でノーベル賞を受賞したご感想は?」 「…」 「企業や各国有名大学からスカウトが殺到しているそうですが、移る気はあるのですか?」 「…」 「ノーベル賞の授賞式には何を着ていくおつもりですか?」 「授賞式には行きませんよ…」 「え?」 「時間が勿体無いので」 「あ、あの教授!教授の開発した、エイズウイルスの特効薬や癌の特効薬で莫大な特許料を得ていますよね?」 「…」 「今回、研究の特許料で世界長者番付の86位にランクインしましたが?感想は?」 「時間が無いのでこれで失礼します」 「あっ!教授」 入り口の外でマスコミに揉みクチャにされた僕を同僚のアレックスが迎える。 「よう、鬼才伊原教授?眼鏡がズレてるぜ」 「あぁ。あー、そうだ。アレックス、あれ研究室の冷蔵庫に買って来てくれたか?」 「ああ、栄養ドリンクだな、買って来たぞ…ってお前少し無理し過ぎだぞ」 「時間が無いんでな」 「お前は何時もそう言うな…でも1週間の内6日液体系食事ってのは辞めろ。死ぬからマジで。あ、後睡眠は1週間に最低14時間以上取れよ」 「わかった。」 「世間じゃ君は今注目の的だぜ。最年少ノーベル賞受賞者にして、世界の億万長者。」 「そんなもんかね」 「羨ましいねー。将来を約束された男は。富、名声、栄誉その全てを手に入れた、欲しい物は全て手に入るだろ?」 「…そうでも無いさ」 「ああ、そうだな研究の結果か?」 「そうだ…だから、俺はまだ何一つとして欲しい物を手に入れてい無い」 「Why?なぜ?研究の結果ならすでに…」 「あれは部品に過ぎない!俺が欲しいのはこんな物じゃない!」 「時間移動何てできるわけないだろ!」 「はいはい、喧嘩はそこまで。伊原教授にアレックス助教授?」 そう言ってヒューバートが止めに入った。 彼はアレックスの従兄弟で此処で講師をしながら僕の研究の一部(主にエネルギー工学)を手伝ってもらっている。 「新しい研究員が来たから課紹介するぞ。」 そう言って横に居る新しい研究員らしき人に合図をする。 「向井沙希です」 「渡辺大介です。久しぶりだね、達郎君?」 「ん?大介じゃんか。お前なんで此処に?」 「留学したんだよ。僕も頑張ったからね。まぁ宜しく。達郎君?」 そうして新しい研究員を迎えてまた研究を始めた。 大介やもう一人の研究員は意外に使いやすく、研究はかなりはかどった。 そして、この頃長年(と言っても4年程だが)研究していた時間移動理論が後一歩で実用化できる段階ま出来ていた。 そして、その過程で僕は一つの発見をしていた。 "遺伝子面からの生物進化の解明と適応遺伝子の環境適応システムの発見" それは時間移動に必要な「特殊な遺伝子を媒体とし時間軸を開く」時に必要な共鳴度数を調べる過程で偶然見つけた物だった。 そして、この技術を応用すれば自分を未来の環境に適応させる事もできる。 だが、今までの経験からその理論は発表しない方が良いと思い、そして大詰の段階でこれ以上論文を発表するのも面倒だったので、世間に公表する事は避ける事にした。 その頃、後一歩で研究が完成しそうな頃から時間に余裕を持てる様になっていた。 ―ちょうど昼時珍しくアレックスが食事に誘ってきた。 「おい、達郎飯食いに行こうぜ」 「ん?ああ、たまには良いかもな」 「というか、お前この大学のカフェ使った事あるか?」 「・…無いな」 「全く、この研究馬鹿は」 「栄養ドリンクで済ますか…」 「いや、今日はちょっと相談毎が在って…」 「相談?」 「ああ、ちょっとね」 カフェに着き、一通り食べ終わった後に彼は切り出した。 「研究員の向井沙希さんって居るだろ?」 「・・・誰?」 「1ヶ月前から居るだろうが!お前も優秀だって言ってただろうが。」 「ああ、それで?」 「どうやら、俺あの人の事好きになったみたいで」 「ほう〜」 「どうしたら良いか、わかんなくって」 「当って砕けろ。じゃぁ、研究室に戻るぞ」 「おい、真面目に聞いてくれよ」 「ああ、悪い悪い」 「わかった、後でそれとなく本人に聞いて観るよ」 「ありがとう。恩に着るよ」 「ああ、そうだ、ちょっと用事頼まれてくれないか?」 「ああわかった。」 彼に用事を頼んで俺は研究室に戻った。 研究室に入るとさっき話していた研究員の沙希さんが深刻な顔でこちらを見つめていた。 「あの、教授。お話が在るのですが」 「何でしょう?」 「教授は…何の研究をしてるのですか?」 「自然科学、遺伝子工学、平面幾何学、哲学、物理学、一般相対性理論、特殊相対性理論と色々だよ?」 「何で、そんな多岐の分野に渡る研究を?」 「部品が必要なんでね。」 「部品?何の部品ですか?」 「…」 「時間移動…理論?」 「…そうだ、よくわかったね」 「…何故、彼方はそこまでして時を越え様とするのです?」 「…言っても信じてくれ無いよ」 「信じます」 「…大切な人をね、待たせてるんだよ。」 「大切な…人」 「そう、琴子って言うんだけどね…ちょうどもう、僕もあの時の琴子に追い着くかな。」 「今の学者の多くは時を越える事は不可能だと言う。でもそれは違う。ハッキリと言えるんだ。」 「君は信じてくれるかどうかわかりませんが、僕はこの目で未来から来た女の子を見た。そして、彼女に恋をした。」 「・・・」 「私は・・・俺は琴子に逢うために研究に没頭した・・・そして、後一歩でその研究も完成する。」 「っと、今の話は忘れてくれ。君に話してもしょうが無い事だしね」 ふと僕はポケットにしまってあるあのカードを見た…。 「教授。」 「まだ何か?」 「その女の子は、きっと待ってますよ」 「そうかな?」 「そうですよ…」 「…処で沙希君」 「何ですか?」 ニヤニヤしながら聞いて観る。 「君、アレックスの事どう思ってる?」 「え゙?」 突然、全く違う事を聞かれ彼女は焦って居る様だ。 「え、えと、それは?え?」 「イキナリ全く違う話題を振られて焦った?」 「いえ。」 「で、どう思ってる?」 「好きですよ?」 開き直ったように彼女は言った。 「そうか、彼も君の事が好きだそうだ。今日さっき相談された。」 「でも、好きになったら、いけないんですよ」 「何故?」 「交わってはいけない2本の平行線だから」 「え?」 それはあの時、琴子が言っていた台詞にそっくりだった。 「それはどういう…」 彼女に聞きかけた時、頼んだ物を持ってきたアレックスが入ってきた。 「達郎、持って来たぞ…あ、沙希さん」 「アレックス助教授?」 「あー、アレックス俺は今日は帰るな…睡眠不足で眠い」 「え゙?お、おい達郎」 「じゃぁ、沙希さん、アレックス後は頼んだ」 俺は気を利かせて研究室を後にした。 自宅に着くと僕はシャワーを浴びてスッキリした後にベットに潜り込んだ。 よく見ると、家の棚には服と食器が少しと、莫大な数のCD以外には何も無い。 それはそうだ、この家に戻る事自体が少ないし…。 お金が幾ら貯まろう共、何も必要以上に使う気にはなれない。研究が今何よりも大切なのだ。一刻も早く彼女に逢いたい。その気持ちだけで僕はこの5年間…周りの何もかもを無視して研究に没頭してきた。 ――ふと、カードを見つめる。 ボタンを押すと琴子のホログラムが現れる。 「琴子・・・もうすぐだ・・・もうすぐ・・・君に逢える」 人は私を鬼才と言った。 人は私が欲しい物を全て手に入れたと言った。 しかしそれは違う。 私は今一つとして…私は望むたった一つの物を手に入れては居ない。 たった一つしか望んでは居ないと言うのにだ。 僕は涙を流しつつ眠りの彼方へと吸い込まれて行った。 [No.40] 2005/10/23(Sun) 10:46:50 |