時を越える想い〜プロローグ〜 - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/10/22(Sat) 10:35:49 [No.35] |
Re: 時を越える想い〜第一話〜:オリジナル98%・いちご2... - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/10/22(Sat) 20:28:41 [No.36] |
Re: 時を越える想い〜第二話〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/10/22(Sat) 22:42:18 [No.37] |
Re: 時を越える想い〜第三話〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/10/23(Sun) 08:20:08 [No.38] |
Re: 時を越える想い〜第三話〜:訂正部分 - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/10/23(Sun) 09:55:06 [No.39] |
Re: 時を越える想い〜第四話〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/10/23(Sun) 10:46:50 [No.40] |
Re: 時を越える想い〜第五話〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/10/23(Sun) 19:29:33 [No.41] |
Re: 時を越える想い〜第六話〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/11/22(Tue) 00:28:07 [No.43] |
Re: 時を越える想い〜第七話〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/11/22(Tue) 01:32:26 [No.44] |
Re: 時を越える想い〜エピローグ〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/11/22(Tue) 01:36:57 [No.45] |
Re: 時を越える想い〜あとがき〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/11/22(Tue) 01:43:12 [No.46] |
第6話 あの樹がある施設から家に戻った私はゆっくりとその花を見つめた。 『これが俺の意思だ。約束だ』 そう言って彼が私に渡した二つの花…。 一つは紫色のチューリップ、そしてもう一つはサネカズラ。 チューリップの花言葉は…不滅の愛 そして、サネカズラの花言葉は… 「再来…」 私は泣いた。私が彼と関わったばかりに…彼は…達郎君は恐らく研究に没頭するだろう…。 私に会う為に…。 「あの時…1年後に逢いに行ってなければ…」 達郎君は諦めてくれたかもしれない…でも…あの時私が逢いに行ったばかりに彼の思いを増幅させてしまった。 「もう、逢えないのに…」 私からは逢いに行く事はもうできない…。 「彼が此処に来る事はできないのに…」 時間移動技術が完成されるのはあの時代から数世紀後の事なのに…。 私はもう逢えないという切なさと彼の人生を駄目にしてしまったという悲しさで打ちひしがれた。 そして、その場に泣き崩れた。 あれから半年、私は自然再生プロジェクトの研究チームに選抜され研究に没頭していた。 あの達郎君と過ごした緑が忘れられなかったから… それに、研究に没頭していればこの悲しい気持ちを紛らわす事ができるから。 そして、今日もいつもの様に研究室に入ると同僚が話しかけてきた。 「あっ、森脇さん。」 「どうしたの?皆集まって」 「過去からの訪問者が昨日この時代に到着したらしいんですよ」 「へぇ」 「知らないんですか?」 「最近研究ばかりでニュース取ってないから」 「琴子、あまり興味なさそうね」 「過去からの訪問者なんて珍しくないじゃない。特に今年は」 この一年は例年に比べてやけに過去からの訪問者が多かった事もあり私は無関心そうにそういった。 初めの内は期待していた。 もしかしたら…と。 しかし、この半年その期待は裏切られ続けていた。 一番時代の若い訪問者でさえ、公式発表では西暦25××年からなのだ。 だから、すでに私は諦めかけていたのだ。 「さ、そんな事言ってないで、実験始めるわよ?」 「はーい」 夕方の研究室…俺とアレックスの二人だけしかこの部屋には居ない。 そっと瓶から液体を注射器に入れる。 「じゃぁ、注射するぞ」 そう言って針をアレックスの腕に近づけた。 「おい、達郎、これ本当に大丈夫なんだろうな」 「理論上は大丈夫だ」 「理論上って」 ―――プスッ 「おいっ!!」 「はい、終了―♪これで未来に行っても窒息死はしないぞ」 「…大丈夫なんだろうな」 「大丈夫だ。だから俺が先に注射しただろうが」 俺は自分の注射跡を見せながら言った 「それで…何時行く事にする?」 アレックスが表情を変えて聞いてくる。 「人の細胞が入れ替わるのが大体1ヶ月だから…1ヵ月後だな」 「一ヶ月か…短い様で長いな」 「あぁ、でもあの時はとても短く感じた」 「山王の時か?」 「あぁ…本当に今思うと一瞬の事の様だった…」 それはみどりと過ごしたあの一ヶ月…。 そして、再びこの時代に来た大人になったみどりとの一ヶ月。 本当に、今思えばほんの一瞬の出来事の様に感じる。 しかし、今でもあの一ヶ月の事は鮮明に思い出せる。 みどりと過ごしたあの一ヶ月の事ならばすべて…。 ―彼女が数世紀かかると言った研究を僕は5年で完成させた。 それは時代の流れから見てみれば瞬きよりも遥かに短いであろう時間…。 しかし、僕はこの5年間は50年にも60年にも感じられた。 だが今はその5年の歳月よりもこれからの一ヶ月の方がずっと長く感じる。 「一ヶ月か…本当に短い様で…長いな」 何時もの様に一通り調査を終えて私が家に帰ろうと研究棟を出た。 と、その時同じ研究員仲間の友達が話しかけてきた。 「琴子〜。」 「何?」 「何って、行かないの?琴子は」 「行かないのって、何処に?」 「知らないの?来るのよ」 「誰が?」 「過去からの訪問者がよ!」 「だって、過去からの訪問者自体はそう珍しい事じゃないじゃない」 「そうなんだけどっ。今回のは違うのよ」 「何が?」 「歴史上の有名な科学者なのよ。」 「誰?アレクサンダー・ハーデゲン?」 「違うわよ!いいボケしてるわね実在の人物でもないし」 「じゃぁ…アインシュタイン?」 「アンタさぁ…ワザとボケてる?」 「むーー」 「全く…研究熱心な琴子なら真っ先に駆けつける人よ」 「え?モリアーティー教授?」 「…アンタ、その人来たら駆けつけるわけ?違うわよ歴史上の自然科学の権威の科学者なのよ?その人は…って何でクイズ形式になってんのかしら?」 「んー。?」 「ファイ教授は先週来たでしょうか!大きなニュースになってたのに知らないの?まったく、違うわよ!」 「じゃぁ、誰?アレックス・M・アンソニー?」 「伊原教授よ伊原達郎!」 「え?伊原…達郎?」 伊原…達郎? 「そうよ!伊原教授!教科書に載ってるでしょ?最年少ノーベル賞受賞者の自然科学の権威!彼の研究室が燃えた直後に失踪してその大量の未発表論文が無くなった人。その論文のかなでも遺伝子の鍵についての論文が今問題になってるのよ」 心臓の鼓動が早くなった。 確かに教科書に載っていた気がする…。 「それでその人がいた年代って…」 「確か21世紀だったと思うわよ」 「・・・・」 「ヒューバートの手記ってあるでしょ。時空移動理論の開祖って言われてる。あの論文は燃えた彼の論文の一部から組み立て直して書いたらしいわよ。確か4:00に到着って聞いたから。あと、10分も無いわ…って琴子!?」 「行こう!速く!車乗って」 私は友人を自分の車に押し込むとその藻岩大樹が収容されている研究所へと車を急発進させた。 「琴子どうしたの?急に」 間違いない。来るのは…達郎君だ! ――マサチューセッツ工科大学第3研究棟 私は久しぶりに彼を酒にでも誘おうと彼の研究室に向かった。 彼が研究の手助けをしてくれた低音核融合理論のおかげで私は教授になる事ができた。 そして、教授になった後忙しくて特に礼もしていないのでその礼も兼ねてだった。 久しぶりにアレックスも誘ってみようと思う。 「…?何か焦げ臭いな」 そう思いながら彼の研究室に向かう。 と、彼の研究室の近くまで来た時。 ――ドン!! 「!!」 すく其処の彼の研究室から爆発音が聞こえた。 私はすぐにその音の元に向かう。其処には… 「こ、これは…!?」 ドアの向こうの彼の研究室が燃えていた。 「伊原!」 僕が部屋に入ろうとした時はすでに手遅れだった。 次の瞬間2度目の大きな爆発が起きて私は廊下の端まで吹き飛ばされた。 慌ててその研究棟から逃げ出す。 ―研究棟は半分近く燃えたところで消し止められた。 火元は当然彼の研究室からだった。 私の隣では研究員の人が呆然とそれを見ていた。 彼らの話によると伊原教授もアレックスも火災の1時間前にフラッと大きいアタッシュケースを何個も抱えながら大学を出て行ったそうだ。 その夜、私は不思議に思い彼の家を訪ねた。 ―ピンポーン 反応が無い ピンポンピンポーン 全く反応が無い。 ふと、ドアノブに手を回してみる。 ガチャ―― ドアには鍵が掛かっていなかった。 不審に思いつつも私は部屋の中に入る。 部屋の中に入ると壊れたCDやシュレッダーに掛けられてご丁寧に水まで掛けられている論文だったらしき物が散乱していた。 パソコンは本体が壊されている。 「泥棒でも入ったのか?」 そう言いつつ部屋を見回す。 すると、机の上に一枚の手紙らしき紙が乗っていた。 “誰かがこの手紙を見つける頃恐らく私はこの時代には居ないだろう。 ――わずか5年の研究で時間の流れの定理について驚くべき発見をした。 しかし残念な事にその発見はあまりにも大きすぎて此処に書く余白が無い。 何時もであれば私は新しく余白を作ってでも書く事であろう。 しかし、この技術を使うには人類はまだ早すぎる。 技術こそ間に合うかもしれないが、人類はまだその“精神年齢”がこれを使うに耐えうる時に達していない。 今だ、「核」ですら使いこなせていない人類がこれを使ったらどうなるか、それは私を想像させるに容易い。 しかし、此処に3つのヒントだけを記載しよう。 それは2分の1の頂点 ・ダイヤモンド ・流れには向かう船 ・淡い光 私は旅立つ、この世界には恐らくもう戻らないだろう。 最後に、この先の人類の未来に幸多からん事を…. 伊原達郎200×年9月15日午後5時38分 彼は教授が何を研究しているのかを知っていた。 始め何をしているのかと思っていた。 ―教授は多岐に渡る分野で様々な功績を挙げていた。 今思えばそれらは全て統一性のある研究だったのだ。 その証拠にもう彼は此処には居ない。 そして、自らの研究が人類に害をなす事を悟り彼は自らあの自分の論文を闇に葬ったのだろう。 私はその手紙をそっと自分のポケットにしまうとその場を後にした。 [No.43] 2005/11/22(Tue) 00:28:07 |