時を越える想い〜プロローグ〜 - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/10/22(Sat) 10:35:49 [No.35] |
Re: 時を越える想い〜第一話〜:オリジナル98%・いちご2... - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/10/22(Sat) 20:28:41 [No.36] |
Re: 時を越える想い〜第二話〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/10/22(Sat) 22:42:18 [No.37] |
Re: 時を越える想い〜第三話〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/10/23(Sun) 08:20:08 [No.38] |
Re: 時を越える想い〜第三話〜:訂正部分 - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/10/23(Sun) 09:55:06 [No.39] |
Re: 時を越える想い〜第四話〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/10/23(Sun) 10:46:50 [No.40] |
Re: 時を越える想い〜第五話〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/10/23(Sun) 19:29:33 [No.41] |
Re: 時を越える想い〜第六話〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/11/22(Tue) 00:28:07 [No.43] |
Re: 時を越える想い〜第七話〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/11/22(Tue) 01:32:26 [No.44] |
Re: 時を越える想い〜エピローグ〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/11/22(Tue) 01:36:57 [No.45] |
Re: 時を越える想い〜あとがき〜: - 最果ての 脈動する 中心核 - 2005/11/22(Tue) 01:43:12 [No.46] |
第七話 秋の淡い夕日が僕を照らす中、大きいアタッシュケースを引きながら僕は校門の前で佇んだ。 「変わったな…山王も…。」 「あれからもう4年になるのか…。」 共学化が成功して以来、山王学園は校舎を本当に最新の設備に立替え、その緑豊かな環境を生かして進学校へと姿を急激に変えた。 あのボロイ旧校舎はもう無く、代わりに5階建てのガラス張りの校舎が森の中に立っている。温水プールや新講堂などの様々な設備も整えられ、あの頃の監獄の様な環境に比べればまさに月とスッポンの様に思える。 「でも…やっぱり森は変わっていない」 そう呟くと僕は森の中へと入って行った。 あの頃と同じ獣道が続く。 この足が向かう先には藻岩大樹…そして未来がある。 僕はその道を、この研究に満ちた4年間になぞらえる様に一歩一歩ゆっくりと歩んで行った。 思えば琴子と別れたその日から僕は、憑かれた様に研究に没頭した。 食事も満足に取らず、着替えもせず、周りから見ればその目には狂気じみた光が宿って居たであろう。 …研究は僕に様々な物をもたらした。 富 名誉 名声 栄誉… 今思えば他人が羨む物を僕は全て持って居たのかも知らない。 だがしかし、僕は逆に羨ましかった。 普通の恋人達が 普通に暮らす夫婦が… ――何時でも逢いたい人に逢える人々が―― 僕は彼女に…琴子に…最愛の恋人に逢いたい、ただそれだけだったのだ。 だたそれだけの思いで此処まできた。 そしてやっと僕の唯一の望みが…叶うのだ。 今日やっと彼女に逢いに行けるのだ。 藻岩大樹は相変わらず緑を鬱蒼と茂らせている。 僕はアタッシュケースからタイムマシンの装置を取り出すと電源を入れた。 あとは全部自動で準備がなされる。 ―準備が整いいよいよ起動する時が来た。 年号を琴子の住む時代へと設定する。 私が起動スイッチを押すと機械から高い音と共に光が照射され光は一転に集められ藻岩大樹へ。 「大丈夫だ…絶対成功する。」 次の瞬間、あの時の様に藻岩大樹がまばゆく光る。 そして扉が開かれた。 僕はその光の中へと身を沈める。 光の中に入ると周りの風景がゆっくりと早くなりだした。 手に持っている外の時間を知らせる特殊な時計も自分の腕時計の数倍の速さで時を刻んでいる。 太陽がもの凄い速さで回り昼と夜が1秒事に繰り返される。 やがて空は淡い青色に変わり太陽は線になった。 季節がまるでコマ送りの様に流れ出す。 やがてその季節もわからなくなってしまった。 そして時計を見ると1秒に数年の時が経つ位の速さになっている。 周りの風景は著しく変化をしている。 そう、この木の周りから森が…木々が消えてゆくのがハッキリと見えた。 緑のラインは少しずつ下がりそのラインの外…つまり藻岩大樹の周囲はまるで干ばつの時の様にひび割れた赤土が広がる。 そして時空時計が27世紀頃を指した時を境に辺りが真っ暗になってしまった。 僕はライトをつけて時空時計に目をやる。 目標の時代が段々と近づいてきた。 目標の時代が近づくにつれ時空時計の数字の進みが遅くなってゆく。 そして木の中に入ってから1時間程経った時強い衝撃と共に再び光に包まれた。 「ちょ、琴子?ちょっと速度出し過ぎでしょう!」 「そうしないと間に合わない!」 「ってぶつかるー!?」 同僚の指摘を無視してそのまま速度を上げる。 すでにそれは確信に変わっている。 達郎君がこの時代に来る。間違いない。 彼は、彼はタイムマシンを作り出したのだ! 最高速度(推定380`)を出していた事もありすぐに研究所が見えてくる。 ――キキーーッ! 研究所の駐車場に派手にスリップしながら入ってゆく、そして入り口の目の前でちょうど止まった。 「むきゅー・・・」 助手席の同僚は完全にダウンしている。 しかし今の私にはそれをかまっている余裕は無い。 「ごめん」 一言言って施設の中には入って行った。 「うぅ、酷いわ…琴子・・・・ガクッ」 廊下を走れるだけの速さで駆け抜ける。 ―達郎君 施設の奥に行く程に、あの木に近づく事に彼との記憶が溢れて来る。 ――事故で一人あの時代へ放り出され現地のお兄さんに匿ってもらった一回目の時間旅行 ―達郎君に逢いに行く為に志願した2回目の時間旅行 ――達郎君への想いを諦められず対酸素抗体の被験者として再び赴いた3回目の時間旅行 それぞれの一ヶ月、全部で3ヶ月の彼との思い出が走馬灯の様に蘇ってくる。 息を切らしながら私は最後のあの木が格納されているエリアのドアにやっと辿り着いた。 ドアを開けるとすでに沢山の報道陣や研究員がその気の周りに集まっていた。 私はその人ごみを掻き分け木のすぐ近くまで行く。 『時空の歪みが観測されました20秒後に扉が開きます。』 放送室からアナウンスが流れた。 その直後木が少しづつ光だした。 「10」 「9」 「8」 「…4」 「2」 「1」 藻岩大樹があの時の様に眩しく光った。 施設を光が覆う。 ―そして、しばらくして光が収まった しかし其処には彼の姿はなく変わりに黒焦げになった大きめの鞄が一個あるだけだった。 衝撃の後何やら何かがこちらに向かって来る様な気配がした。 そして、眩しい光に体が捕まれその光の中から人影らしきものが浮かび上がってきた。 「・・・?」 その姿を凝視する。段々人物の像が見えてくる。 古臭い背広を着ており目の色は青色、片眼鏡をしていた。その容姿から恐らく18〜9世紀の人物のように思えた。 それよりも何故この普通なら在りえない空間に彼が居るのかがわからなかった。 その彼が僕に向かって話し掛けてきた。 「こんにちは、時の旅人」 「彼方は?」 「私は、元…時の管理人…元の名は…確かウェルズ・ハーデゲン…だったかな」 「時の管理人?」 「そう、何時の間にかそうなっていた。どれ位の時を旅したのかすら忘れてしまった。」 彼は続ける。 「私は彼方が羨ましい…」 「え?」 「私は…私も君と同じ様に時を超え愛する人の元に向かおうとした…私は過去に戻って彼女の死を止めようとした口だけどね。しかし時は私と彼女とを引き裂く事を決定していたらしい。何回やろうとも彼女は死んだ。…1000回やったら1000回の死に方をした。私が彼女を救う事は時間の事象に含まれていなかったらしい。時を歪める事も・・・できなかった。含まれているはずが無いのだ…彼女を救えば、私の作ったタイムマシンは誕生しない。」 「まさか…彼方も時を?」 「あぁ、君より数世紀前に…私は時を超える手段を手に入れた。」 「その点君は…初めから踏むまれた事象の中に居る」 「それは・・・どう言う」 「君がタイムマシンを作る事は初めから含まれた事象なんだ」 「!?」 「未来から来た女性と恋をし、彼女を追う為に君はタイムマシンを作る。そして、君が作ったタイムマシンの理論が未来に見つかり未来で使われる様になる。そして未来から彼女があの時代に…訪れる」 「本当に…親殺しの矛盾と全く正反対の事象が…君に起こったんだな」 「そして…私が君を救うという事も事象に含まれていた訳か…」 「?」 「さっきの衝撃…あれはいわゆる衝突事故でな・・・別の時間旅行者の流れにぶつかったんだよ」 「私が君を拾い出さなければ今頃…丸焦げだな君は」 「…」 「さて、長話もこれまでだ・・・」 「彼方はこれから…どうするのですか?」 「元の時代に帰るよ…やっと普通の人に戻れる」 そう言うと彼は次の瞬間には居なかった。 ・・・ふと時計を見る。 時間は…本来辿り着くはずの時間を指している。 辺りを見回すとドーム上の様な所に居るのがわかった。 ――うっ…ひっく… 「ん?」 ―た…ろ・・君…な・・・で 後ろから誰かの声が聞こえてくる その声は聞き覚えのある懐かしい声だった 「…琴子?」 俺はハッとして後ろを振り向いた。 其処にはうずくまって泣きじゃくる琴子が居た。足元には俺が自分の時代から持って来た鞄がまっ黒焦げになっている。 周りに人が居る様子はなく其処に居るのは琴子一人 「琴子!」 叫んだ。そして彼女に駆け寄ろうとする。 しかし、僕が彼女の元に行こうとした時何かが物理的に彼女の元に行くのを拒んだ。 声も聞こえてい無い…。 「達郎君…死んじゃったの…」 「琴子!俺は此処に居る!」 「やっぱり…時を超えるなんて事・・・不可能だったんだ」 「琴子・・・聞こえないのか!?俺は此処に居るんだ!」 俺が幾ら叫ぼうとも愛する人へ届いている様子は無い。 まるで分厚い防音ガラスに挟まれた様な感覚がする 「ん?ガラスに挟まれた?」 ふと、ある事に気づく。 僕は手に持っている時間制御装置を見た ―時間移動速度1,24倍― そのあまりの間抜けさに呆れた。 この制御装置で移動を止めないと木の外へは出られないのだ。 「はは…我ながら良いボケしてるわ」 苦笑して一呼吸置く。 そして制御装置のボタンを押した。 扉が閉まった。 光が収まった後其処にあるのは一つの鞄のみ・・・人の姿は・・無い。 私はその放り出された鞄の元へと向かう…。 職員もただ呆然と放り出された鞄を見ているだけだった。 私は近くにあった冷却機で鞄の鍵の部分を冷やしその鞄を開けた。 中には酸素ボンベと数枚の封筒、そしてこの鞄の持ち主を示すであろう物が入っていた。 その荷物からその荷物の持ち主が達郎君である事がわかった。 恐らく彼は何だかの拍子に時間移動中に投げ出され…そして 私はその場に力なく座り込んだ…。 職員の一人が鞄を室内に持ち去る。 報道陣やその他の人々も興味はすでにその鞄へと移っていた。 その中・・一人の職員が私に声を掛ける。 「…あの…大丈夫?」 沙希だった。彼の夫のアレックスも一緒だ。 「少し・・・一人にして」 私は彼らにそう言った。彼らも私の気持ちを察してその場から立ち去ってくれた。 しばらく放心状態が続く。 頭では何が起こったかわかっている様でも感情として理解するには時間がかかった。 感情がそれを理解すると、まるで何かが壊れた様に一気に感情が私を襲ってきた。 「死んじゃったんだよね・・」 「…何で?」 「達郎君…」 私は信じてもいない神様を恨んだ。どうしてこれまでにも深い悲しみを与えるのかと。 やり場のない悲しみを何処に向ければいいのかわからずにうずくまって嗚咽を漏らす。 うずくまって泣く中目に明かりが差し込むがそれも全く反応する余裕が無かった。 しかし・・・、その感情は次の瞬間驚きへとさらにその次へは歓喜へと変わった。 「…琴子…何で泣いているんだ?」 誰かが私の肩を掴む。そしてそう聞いてきた。 「だって…達郎君」 「俺がどうした?」 「死んじゃったん…で…」 「・・・・・・・・・・・・・え?」 私は違和感を感じ顔を上げる。 「俺は生きているぞ」 其処には今さっき再開を諦めた人 「た…つろう・・・君」 そう 「達郎君なの?」 彼が 「あぁ…やっと逢えたな」 居た。 「ホントに?足付いてるよね?」 私は今の事態を飲み込めず彼に聞く。 「付いてるぞ…ついでに夢でもないぞ…ほら」 そういうと彼は私の頬をつねる 「え?あわ…たふほふんいはいいはい」 「本当に長かったよ…4年かかった。だから・・・お前と同い年なのかな?」 そう言って私に笑いかける、その瞬間私の感情はやっとその今の状況を理解する。 「たっ・・・ろう・・・君」 私は泣きながら彼に思い切り抱きついた。力の限り思い切り。 「おいおい琴子…泣くなよ」 「だって、だってぇ」 ついさっきとは全く違う、喜びで涙が流れた…。 「逢いたかったよぅ」 私は彼の胸に顔をうずくめたまま喋る。 「おう、だから俺頑張って逢いに来たんだぞ…」 「私があの時代から帰ってきてから4年後の達郎君?」 「そうだな…」 「じゃぁ私と同い年になるんだね」 「あぁ」 誰も居ない施設の中…しばらく私はそのままの姿勢で彼に抱きついていた。 ふと彼が私に話しかけてくる。 「琴子」 「なぁに?達郎君」 「あの時渡した二つの花の意味…わかったか?」 「うん…紫色のチューリップとサネカズラだよね?」 「あぁサネカズラの花言葉は再会…」 「達郎君約束守ってこの時代に来てくれたもんね」 「あぁ、そしてもう一つのチューリップの花言葉は」 「…不滅の愛」 「達郎君?」 「琴子…もう絶対離さないからな」 「私もぜっっっったい離さないもん。達郎君がなんと言おうとも」 「これからはずっと…一緒だ」 「うん」 [No.44] 2005/11/22(Tue) 01:32:26 |