渦 - ニア - 2006/01/24(Tue) 22:40:56 [No.51] |
渦〜夢の中・・・。〜 - ニア - 2006/01/29(Sun) 14:26:45 [No.53] |
渦〜夢の続き〜 - ニア - 2006/01/29(Sun) 16:29:19 [No.54] |
渦【最終回】〜膨らむ恋心〜 - ニア - 2006/01/29(Sun) 19:27:07 [No.55] |
俺はその日夢を見た。その夢は文化祭の最後の思い出だった。 泉坂で過ごした最後の秋、俺は東城を止めることができなかった。その日のことだった。それは俺に対する青春の終わりを示していた。翌朝は雨が降った。雨が降っていることを知ったのは、家の窓からだった。雨音は聞こえなかったが、下の通りを見下ろすと、傘をさしたおばあさんが犬を連れて歩いていた。 そして俺の家の向かいの大きな家の門の前で石にでもなったかのように、長いあいだ立ち止まっていた。だが雨でも文化祭はやる。俺は学ランに着替えると急いで学校へ走った。 そして、俺の最後の文化祭は大成功だった。しかし、後夜祭での出来事だった。その夜だった。俺は一人で教室から外を眺めていた。まだまだ俺は役立たずな自分というものを受け入れられないみたいだ。外村が血相を変えて入ってきた。 「おい真中!何のんびりているんだよ!」 「どうしたんだよ外村。」 「東城さんが・・・いない・・・。」 「なんだって?」 部屋を見た。荷物がない。俺は走った。東城は校門にいた。 「東城!」 東城は振り返った。 「ま、真中くん?」 「あのアドリブの部分の告白の返事が返ってきていないから、そんなことでお前一人で帰ることは許さない。」 「・・・ごめんね。でも、アドリブの部分、本当のことだから。」 「俺が振ったことで、その思い出を忘れようというのか?」 「うん・・・。」 東城の目から、涙が落ちる。忘れられない事 イコール 1番忘れたい事。それは俺がよくわかっていた。東城は、東城なりの精一杯の笑顔を見せてくれた。 「ありがとう。真中君を・・・好きになれてよかった・・・。じゃあ、もう行くね。」 「またな。」 俺は放心状態のまま、東城を見送っていた。俺は、あいつに何をしてあげればよかったのだろう?俺はとぼとぼと、部室に戻った。外村が開口一番、 「東城は?」 「だめだった。止めようと思ったときにはもう帰っていた。」 「ったくもう!真中、あんたのせいじゃない!」 「いざというときに役にたたねえ奴だな。それでも部長か?」 「小宮山の言うとおりだぜ。さあさ、皆さんとっとと帰りましょうや。こんな役立たずの部長はほっといて。」 みんな、いなくなった。 「上等だよ。そこまでして部長をいじめるか。好きだねえ・・・。そこまでするなら、とことん嫌われ者になるかな。」 そして、みんなとは疎遠になった。 [No.53] 2006/01/29(Sun) 14:26:45 |