KENT〜クリスマスの時間〜 - ニア - 2006/01/30(Mon) 22:37:15 [No.56] |
KENT〜つかさの最期〜 - ニア - 2006/02/17(Fri) 23:39:20 [No.57] |
KENT〜流れ星の夢。〜 - ニア - 2006/03/01(Wed) 11:43:39 [No.60] |
KENT@last story〜Bye My Girlfriends・・・.〜 - ニア - 2006/04/04(Tue) 20:44:28 [No.63] |
「どうして彼女がいないの?」 とよく聞かれる。俺はこう答える。 「女には興味が無いから。」 だが実際は違う。本当のことを今、語ろう。 俺にはもちろん彼女がいた。名は西野つかさと言った。西野とは・・・それほど仲が良かったとは言えない。いつも喧嘩ばかりしていたと言うわけでもなかった。なんとも微妙な関係が続いていたんだ。 だが西野は他の女の子に比べてあまりにも完璧すぎた。髪の毛は適度に長く、しかも綺麗に整えられていて、その口からは綺麗なソプラノが奏でられた。そして、笑顔は素敵だった。 ある日のことだった。高校の卒業式の日だった。俺は体育館裏で学園ドラマでよくある“あれ”をされた。 「私、いつも思うんだけど、」 いつもの西野とは違う、まじめな顔だった。 「何だよ。お前らしくないぞ。」 俺は笑顔で答える。 「淳平くん、私のことが本当に好き?」 「何言ってるんだよ。好きじゃなきゃ、お前の彼女にはなってないさ。」 「そうか、そうだよね。」 西野はいつもの西野らしい笑顔に戻っていた。だが、南の表情はすぐに変わった。 「私ね、パリに行くことになったの。」 「パリ?何で。」 「実はね、お菓子の作る仕事をしたいから、留学をするんだ。」 「・・・そうなんだ・・・。」 「だから、別れる前に写真撮ろうよ。」 「いいよ。」 俺と西野は写真を撮ると、近くのカメラ屋さんに現像しに行った。 「あ、そうだ。それともう一つ。」 西野は制服のポケットからなんかのキーホルダーを取り出した。 「これ、思い出に。」 俺も何かあげなきゃ悪いと思って、ケータイのストラップをあげた。 「お礼にこれ、やるよ。」 そして現像を待っている間、ケータイのカメラでふたりの顔を撮ったりしていた。現像ができたので、西野は 「じゃあね。」 と言うと、去ろうとした。 「家まで送るよ。」 俺が言うと西野はやさしく 「いいよ。」 と笑顔で断った。いや、実際は笑顔ではなかった。俺も西野も完全に泣いていた。俺は涙で完全に視界がぼやけて、何も見えなかった。 西野との想い出はそこで途絶えた。翌日日本を出たパリ行きの便は1時間後に北朝鮮のミサイルによって撃墜され、乗客もろともあっけなく死んでしまったからだ。・・・それ以来俺は人を愛せなくなった。今日も夢で西野が俺に優しく手を振っている。俺の目の前から遠ざかりつつ。 「西野ぉー!」 と叫んだとき、俺は目を覚ました。ふと気がつくと、もう朝であった。小鳥はさえずり、どこかやさしい光が俺を包んでいた。 (・・・あれ?ここどこだろう?) 俺は自動販売機にもたれかかって寝ていた。 (・・・ああ。いつものところか。) いつものところと言うのは、俺が考え事をするときに行く場所であった。ここなら警察も来ないし、安全だからだ。 今日は昼から外村が遊びに来る。部屋を片付けとかなきゃ。俺はのんびり家に向かって歩き出した。 [No.57] 2006/02/17(Fri) 23:39:20 |