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all A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜第1話 - バル - 2005/09/04(Sun) 21:37:29 [No.29]
Re: A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜第2話 - バル - 2005/09/04(Sun) 21:41:34 [No.30]
Re: A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜第3話 - バル - 2006/02/22(Wed) 23:01:13 [No.58]
Re: A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜第4話 - バル - 2006/03/10(Fri) 17:20:42 [No.61]
A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜第5話 - バル - 2008/10/26(Sun) 13:38:36 [No.1160]
Re: A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜第6話 - バル - 2008/10/26(Sun) 13:40:32 [No.1161]
A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜第7話 - バル - 2008/10/26(Sun) 13:43:10 [No.1162]
A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜第8話 - バル - 2008/10/26(Sun) 13:46:01 [No.1163]
A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜第9話 - バル - 2008/10/26(Sun) 13:49:18 [No.1164]
A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜第10話 - バル - 2008/10/26(Sun) 13:54:11 [No.1165]
A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜 あとがき - バル - 2008/10/26(Sun) 13:57:07 [No.1166]


Re: A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜第3話 (No.30 への返信) - バル

「暑い! 暑すぎる!」
一枚だけかかっていたタオルケットを蹴飛ばして布団から逃げ出した。そのまま縁側へ出る障子をスラッと開けて部屋をでる。外はもう真っ暗で月は新月なのか出てはいなかったが、かわりに数多もの星がきれいにまたたいていた。


第3話 「理由」


 この帰省中は梢の家に寝泊りする予定だった。それなら宿代はかからないし、昔何度も泊まった家だから気兼ねもしなくてよい。
「でも、この暑さは予想外だったよなぁ……」
そうなんだ。この田舎の大きな家には、使ってない部屋と布団はやまほどあるくせに、クーラーという必需品がないんだ。当時の自分の家にはちゃんとあったから失念してた。
「ああぁ!」
暑さやら何やらで俺は大きな声を出した。ゴロンとその場に寝転がる。背中に木の廊下のひんやりとしたやさしい感触が伝わってくる。これなら暑さもすこしは和らぐだろう。
「……明日からどうしようかな」
恥ずかしい話、勢いで帰省したものの、1つの目標以外はまったくなんの予定もたてていなかった。しかも、その目標の前で足踏みをしてしまっている今。俺はただの邪魔な客だった。
 どうしよう。いっそこのまま帰ったほうがいいかな……。と思って寝返りをうつと、その先に暗闇の中ボウっとたたずむ人影があった。

「……眠れないの?」
「梢か」
「やっぱり暑かったよね。扇風機持ってこようか?」
「マジで! この家にそんなハイテクマシーンあんの!」
「……淳くん。一体わたしの家を何だと思ってたの?」
一瞬あきれ顔。だけどすぐににっこりと笑い、寝ている俺の頭のそばに腰をおろした。
「きれいな星空だね」
「あぁ。東京じゃ、絶対見れないよ」
「……唯ちゃんもどこかでみてるかな? この星空」
「…………」
「淳くん。わたし、わかってるんだよ」
急にまじめな顔になった。そんな梢に俺も寝転んでいた体を起こし、向かい合って座った。
「わかってるって、何を?」
「淳くんが帰ってきた理由、だよ」
ふいに心の奥でなにかがピクッと音をたてた。
「はっきりさせたいんだよね」
「……唯のことをか?」
「もちろんそれが一番だろうけど、それにつながってる色んなことを解きたいと思ったから、何年も手紙さえ返してくれなかった子がいるところなんかに戻ってきたんでしょう?」
梢の声はかすかだけれど、たしかに震えていた。しかも、太ももの上においてある手はどちらも堅く握りこまれていて、見ているだけで何か弁解しなくてはと思わせた。そして、こころもち声を大きくして言う。
「手紙は毎回ちゃんと読んでたよ!」
「でも、一度だってわたしに返ってきたことはなかったよ?」
「それは……」
興奮して血の気が集まっていた頭から一気に血がひいていく。

 それはなんでなんだろう? 自分でもよくわからない。手紙を読んだなら、返してやればいいじゃないか。それでどれだけ梢が喜ぶかなんて、わかってたはずだろ? じゃあなんで……。

「だ・か・ら、淳くんはここに戻ってきたんだよ」
「え?」
「この帰省で、そんなモヤモヤなんてぜ〜んぶ吹っ飛ばして……」
そう言いながら立ち上がる。
「梢……?」


「ずうっと、ずうっと一緒にいようね!」


それじゃあおやすみ! というとひらりと身を翻してぺたぺたと音をたてて走り去ってしまった。

 その後、残された俺はまたさっきのように廊下に寝そべっていた。
――梢もわかっていたんだな。今回の帰省の理由。こりゃもう後には引けないな。やってやる……絶対に――
梢が座っていて温かくなった廊下の上に寝そべりながら、俺は、たぶんこないだろう扇風機への期待を胸に、誓ったのだった。


[No.58] 2006/02/22(Wed) 23:01:13

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