SS 蛍の光の中で (No.523 への返信) - あーまん |
「肝試しやろうぜ!!」
高校二年の夏休み。 淳平達の映画作りの合宿中の出来事。
外村が肝試しを提案した。
「今は、もう枯れちゃってないんだけど、昔そこには恋しが池っていう・・・・」
外村が熱心に伝説を語っていた。
「あ、もちろん男女ペアでね♪」
ニヤリと笑う外村。
「えぇ〜!?なんでペアなのよ!!」
即、反論する美鈴。
美鈴にとってはここにいる男達は、正直ちょっとでも良い男とは思ってなかった。
「みなさんも嫌ですよね??」
確認するように女子の顔を見渡す。
(淳平くんとペアになりたい・・・)
(真中くんとペアになれたら・・・)
(真中とペアになって・・・!)
つかさ、綾、さつきは同じ事を思っており、肝試しには賛成だった。
「いいんじゃないかな・・・一応・・・妖怪対策法もあるし・・・」
「うん・・そうだよね・・恋人同士に見せれば怖くないもんね・・・」
「よっしゃー!!やるわよー!!」
「そ・・・そんなぁ〜」
三人が乗り気なので美鈴は落胆してしまった。
さすがに、美鈴もこの三人には逆らえなかった。
外村はニヤリと笑い。
「じゃーくじを回しますのでみなさん引いてくださーい。」
と、言ってみんなにくじを回した。
「あ、わりぃ。俺、ちょっとトイレ行って来るわ!!」
「なにぃ!! じゃあ、お前はくじ余ったやつな!!」
「あぁ、分かった。じゃあ、ちょっといって来る!!」
空気を読めない淳平はそう言うとトイレに行ってしまった。
「まったく〜あいつは・・・」
外村はやれやれといった感じである。
他のみんなも同様の反応だ。
「まぁ、いいや。 とりあえず、くじ回すな〜」
そう言って、外村はみんなにくじを引かせた。
(淳平くんでありますように!)
(真中くん・・・)
(絶対、真中!!)
(綾さん・・・綾さん・・・綾さん・・・)
(つかさちゃんもいいし、綾ちゃんでもいいし、さつきちゃんでも・・・)
(はぁ〜)
それぞれの想い。
みんな一緒になりたい人を願いながらくじを引く。
そして、みんなはくじを引き終わり、後は淳平の帰りを待つだけになっていた。
「あ!!いい忘れたけど・・・」
外村が何かを思い出したように言った。
「恋しが池に着いたカップルはお互いに本当に想いあっていれば蛍がいっぱい出てくるらしいよ。」
「ふぅ〜ん・・・・」
(淳平くん・・・どうなんだろうな・・・)
つかさは一人そう思っていた。
そして、
「わりぃわりぃ・・・待たせたな。」
淳平が帰ってきた。
「ほらよ。お前のくじだよ。」
淳平は受け取ると、
「ん?4番か〜」
と、大声で言った。
その瞬間、
「はい! ちゃんと守ってね♪淳平くん♪」
そう言いながらつかさは4番と書かれた紙を淳平に見せる。
「あぁ・・・・西野かぁ〜!!」
心なしか淳平は嬉しそうだった。
(なんだ・・・真中くんじゃなかったのか・・・)
(はぁ・・・・)
少し残念がる綾とさつきだった。
「それじゃー順番決まったことだしさっそくいくぞー!」
外村が声を張って開始の合図をした。
ペア順は以下のとおりである。
1番 外村・美鈴
美鈴は心底嫌がっていた。
2番 小宮山・さつき
小宮山は非常に嬉しそうにしているもののさつきも心底嫌がっていた。
3番 天地・綾
天地も非常に嬉しがっていたが、綾は複雑だった。
4番 淳平・つかさ
ただ一組だけ二人とも嬉しそうにしていた。
そして、淳平・つかさの番になり、二人は恋しが池に向かっていた。
途中・・・
ガサガサガサ・・・・
「淳平くん!! 何か後ろから物音がするよ!!」
「き・・・気のせいだろ??」
「気のせいじゃないって!!!」
二人は少し怖くなってしまった。
ガサガサガサ・・・・
「キャ!!」
音が大きくなったので思わず淳平に抱きついてしまった。
「ちょ・・・西野・・・?」
淳平は顔が赤くなる。
「あ・・・ごめん・・・」
即座に離れる二人・・・
しばらく無言が続いた。
「ねぇ・・・手繋いでいいかな・・・?」
「え!?」
突然のつかさのお願いにびっくりする淳平。
「その・・・ちょっと怖いから・・・」
「あ・・うん・・いいよ・・手ぐらい・・」
そう言うとつかさは淳平の左手に自分の右手を重ねた。
ビクン!!
淳平の体が少し震える。
「なんか・・・安心する・・・」
「そ・・そう?」
そして、二人はそのまま手を繋ぎながら恋しが池に着いた。
「ここ〜!?」
淳平は驚く。
無理も無い、ただの草が生え茂っているのしかなかったからだ。
「そうみたいだね・・・・」
つかさは少し元気が無くなってしまった。
(蛍・・・出なかった・・・)
そしてそのまましゃがみ、下を向いてしまった。
「西野?? どうしたの?? 具合悪いの?」
そんなつかさが気になったのか淳平は声をかける。
「なんでもないよ。大丈夫・・・」
そうは言うもののつかさは顔を上げられなかった。
「だったら、顔上げようぜ!」
突然淳平が大声を出した。
「こんなにたくさんの蛍が居るんだし・・・」
「え!?」
つかさはビックリして思わず立ち上がる。
そこにはあまりに草が生い茂っている中、無数の蛍が優雅に光を出しながら飛び回っていた。
とても幻想的な世界。
ここに居るのは淳平とつかさのみだった。
「奇麗・・・」
思わず見とれるつかさ。
「そうだな・・・」
淳平も見とれている。
「なんか、俺達が独占してるみたいで優越感あるな。」
淳平が笑顔でそう言う。
(淳平くん・・・蛍が出てきた意味知らないんだ・・・)
(でも、蛍が出てきたって事は・・・淳平くんもあたしのこと・・・)
(期待して・・・いいんだよね・・・)
つかさはひとりずっと考えていた。
そうしているうちに突然、淳平の右手がつかさの左手を握ってきた。
「!?」
思わず、淳平を見るつかさ。
淳平は少し恥ずかしそうに
「このままじゃダメかな・・・?」
と、つかさに聞いてきた。
(淳平くん・・・・)
つかさは思わず嬉しくなる。
「うん・・・」
つかさはそう言うと、淳平の右手をしっかりと握り返した。
(ずっと待ってるからね!!淳平くん!!!)
淳平とつかさ、二人は繋いだ手をしっかりと握り締め、いつまでも蛍が飛び回る幻想的な光景を眺めていた・・・・・・
[No.592] 2007/10/26(Fri) 01:36:37 |