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all A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜第1話 - バル - 2005/09/04(Sun) 21:37:29 [No.29]
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Re: A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜第3話 - バル - 2006/02/22(Wed) 23:01:13 [No.58]
Re: A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜第4話 - バル - 2006/03/10(Fri) 17:20:42 [No.61]
A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜第5話 - バル - 2008/10/26(Sun) 13:38:36 [No.1160]
Re: A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜第6話 - バル - 2008/10/26(Sun) 13:40:32 [No.1161]
A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜第7話 - バル - 2008/10/26(Sun) 13:43:10 [No.1162]
A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜第8話 - バル - 2008/10/26(Sun) 13:46:01 [No.1163]
A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜第9話 - バル - 2008/10/26(Sun) 13:49:18 [No.1164]
A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜第10話 - バル - 2008/10/26(Sun) 13:54:11 [No.1165]
A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜 あとがき - バル - 2008/10/26(Sun) 13:57:07 [No.1166]


Re: A.s.s.I.d.y第2幕〜TALE〜第4話 (No.58 への返信) - バル

 
 第4話 「始まり」


  
 
 ピーヒャラドンドン、スチャラカドンドン
聞いているだけで陽気な気分になるお囃子が鳴り響く。
「賑やかだなぁ」
「うん、でも去年はもうちょっと多く屋台出てたんだけど……」
「いや、これだけ出てれば十分じゃね?」
 俺たちはこのまち唯一の祭りに来ていた。山の高台にある神社で行われるのだ。普段は閑散としきった神社の境内も、今日は多くの屋台と人で埋め尽くされている。
「あっ、淳くんこっち! こっちに金魚すくいがあるよ!」
「きゃあっ! こっちには綿あめだ!」
「あああっ、射的までぇ!」
正直うるさい。
屋台に興奮しまくる梢もだが、今日は町全体が熱気で満ちていた。
「ひょわわあわわわっ!」
「今度は何だ! そんな地球外生命体みたいな声出して! あれか、ついにETが本性をあらわして地球攻略のために軍隊をひきつれて侵略しに来たのか!」
俺の華麗なツッコミをあっさり無視して、
「幻と言われていた、ドネルケバブがあるぅ!」
そう言うやいなや梢はものすごいスピードで屋台小屋が乱列する通りに吸い込まれていった。
「ありがとう。そしてさようなら、梢。君の事は一生忘れない……」
ぽつんとその場に残される。
「はぁ」
ため息が出た。
 久しぶりの町の祭りは昔とがらりと変わっていた。昔はもっとすべてが大きい気がした。いや、もしかしたら、自分が成長したことで、慣れずに違和感を感じているだけなのかもしれない。
「すこし歩いてみるか……」
それでも変わらないのは祭りを楽しみにしていた子供の顔で、その子達の笑顔をみているといやおうなく唯や梢と遊んでいた幼いころの記憶が蘇ってきた。
 

――唯。それは俺にとって特別な名前だった。とても幼い頃に朝から晩までいっしょに遊んだ幼馴染、たかがおやつの量でもめて一週間も口を利かなかった頑固者、まるで空気のように隣にいることが当たり前だった存在、俺の初恋の相手、そして……もう二度と会えない俺の最高の友達。

 
 カサッ。
 履いていた草履から、草を踏んだ感触が伝わってきた。でも、屋台が並んでいる道は砂交じりの道だったはず。ふと顔を上げてみると目の前には漆黒の闇の中に鬱蒼と茂っている森の入り口が、ぽっかりと口をあけて待っていた。振り返ると遠くに提灯の明かりがぼやけて見える。考え事をしながら歩いていたら、こんなところまできてしまったようだった。
「やばい、俺ちょっと病んでるな……」
またため息をつく。そして、前に広がる森を見据えた。
 
 夜の森は異様な雰囲気で俺を待っていた。まるでそれは、この世の暗さを集約しきったような本当の暗闇で、じっと見ているとその雰囲気に身震いした。
 そのとき、視線の先で何かが動いたような気がした。
 ジッと目をこらす。
 ガサガガサガサガサ。
 いる。暗くて見えないが確実に何かがいる。俺は好奇心を掻き立てられその正体を知るために森の奥に入っていった。

 森の中は入り口で中をのぞきこんだよりもさらに真っ暗だった。頭上の木から化け物でも飛び降りてきそうなほどの恐怖が俺を襲う。同時に激しい後悔の念が心によぎった。
「だめだ。帰ろう……」
踵を返す。
「……え?」
思わず声をあげる。そこには明るい屋台の提灯の明かりなんてちらりとも見えなかった。ただ闇のなか、俺に覆いかぶさるように多くの木があった。
「……嘘だろ? 俺そんなに奥まできてないはずだったのに……」
人は光を失うとこんなにも絶望するものだったのか。いっきに足の力がぬけ、地べたにひざをつきそうになるのを必死に堪える。
 
やばい。
 
そう思った。こんな森に、しかも祭りの日に近づくやつなんているわけがない。
 俺の人生もここまでか……。そう思ったときだった。
 
トントン。
 
背中をたたかれる。
「……邪魔しないでくれ。いま絶望に打ちひしがれているんだ」
ちょっと間を空けてまた背中をたたかれる。

トントン。

「えぇいうるさい! 俺はいまこんな人にも会えそうにない森をどうやって脱出するかを真剣に考えているんだ。邪魔するな!」
 
 ……ん?

 肩をたたかれる? 
やっと気づく。人がいたんじゃないか!
 くるりと振り向く。
 しかし、その先には闇に飲み込まれている森しかなかった。
 気のせいだったか?
 肩を落として前に向き直る。

「どうわっ!」
おもわず大きな声をだす。
 目の前にとても小さな、小学校3年生くらいの女の子が俺のことを覗き込むようにして立っていた。
「さっきから背中を叩いてたのはお前か……?」
「…………」
質問しているのに女の子は何もしゃべらない上に、暗くて顔も見えないので俺は途方にくれてしまった。
 残念ながらこの子といても森を脱出することはできなそうだった。
「はぁ」
今日三度目のため息をつく。
 そんな俺を、その女の子はまるで品定めをするようにまだジッと見ていた。
 なんだろう? 俺の顔に何かついているのだろうか? そう聞こうとおもって口を開きかけたとき、今まで雲に隠れていたのか、暗かった森に、月の光が差し込んだ。
 その顔を見た瞬間、俺の心臓は大きく跳ねた。夢を見ているのかと疑う。呼吸もはげしくなる。唇がものすごい勢いで乾いていく。そんな口をかすかに開け、俺はつぶやいた。
「……唯?」
女の子(唯)は月明かりを受けながら、にかっと、昔のままの笑顔を俺に向けた。

 


[No.61] 2006/03/10(Fri) 17:20:42

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