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約束 第11話「焦る気持ち」 (No.641 への返信) - あーまん

第11話「焦る気持ち」




ある古いアパートの一室。

少し汚れている部屋。

男物ばかりの荷物。

その荷物自体も少ない。

いかにも冴えない男が住んでいるように思えるその部屋に、今は華がある。

その華は二輪ある。

片方は日が差しており咲き誇っている。

しかし日が届いておらずもう片方は閉じている。

ある華は、淳平の部屋に居ること自体が嬉しそうである。

対照的にそんな花を見る片方の片方の華は悲しそうだ。




「しっかし驚いた〜 大草君と会うなんて・・・」

「いや・・・たまたま西野を見かけたからな・・・たまたま・・・」




二輪の華の主・・・・


つかさ


大草


二人は、まさに『華』が当てはまる美少女と美男子。

どこからどう見てもお似合いだ。

しかし、その表情は全くの正反対だが・・・・



(なんでそんなに嬉しそうなんだよ・・・・)

大草は思う。

「ところでさ!!」

そして、たまらず話を切り出した。

「何??」

つかさは首をかしげて聞き返す。

しかし、つかさが聞き返すが、大草はなかなか話せずに居た。

口で何かを言おうとしては、またすぐにその言葉を飲み込む。



しばらくの沈黙・・・・



「あのさぁ〜 言いたい事あるならはっきり言いなよ?」

少しイラっとしたのか、つかさは大草言葉を投げかけた。

ビク!とする大草。

「お・・おぅ・・・」

「じゃあ・・・」

そして大草は覚悟を決める。

「あのさ・・・さっきの男は西野の何なの?」

(やっぱり・・・・)

つかさの予想通りだった。

しかし、つかさはどこかで聞かれたくないと思っていた。

大草に淳平が見られた事で聞かれるのは分かっていた事なのだが・・・

実際に聞かれると、顔が赤くなる自分が居た。

そして、そんなつかさの変化を見逃す大草では無かった。

(西野・・・・やっぱり・・・)

暗い表情が、僅かばかり暗くなる。

(なんて答えればいいんだろ・・・・?)

(淳平くんは私にとって何??)

(それは、好きな人には変わりないけど・・・・)

(恩人でもあるし・・・尊敬も出来る・・・)

つかさは頭の中で思考していた。

そんなつかさをずっと大草は凝視する。




再び沈黙・・・・




「さっきの人は・・・・あたしの好きな人だよ。」

つかさは、しばらく考えた後、大草に言う事にした。

実際、大草とは仲も良かったし、友達として信頼もしていたからだ。

その言葉を聞いた大草は、目を大きく開いた。

「さっきの人・・・・淳平くんはね。」

「あたしの恩人でもあって、尊敬も出来る人・・・」

「あたし・・・たまたま、熱で道に倒れた事があって・・・」

「その時に、見ず知らずのあたしの事を一生懸命介抱してくれてね・・・」

「それから・・・自分一人の力で生きてて・・・妥協しないで・・・自分に甘えなくて・・何事にも一生懸命で・・・」

「何より優しいんだ・・・」

その瞬間、つかさは、淳平が泉坂高校に来たときの事を思い出していた。

「とっても素敵な人だよ・・・」

つかさは言い終わると、自分の頬が熱くなるのを感じた。

(恥ずかしいなぁ・・・もう・・・)

(それにしても遅いな〜 淳平くんは・・・)

一人でそんな事を思っていると・・・・

「俺だって・・・・」

突然大草が声を出した。

「え??」


「俺だって・・・西野が倒れたら一生懸命介抱する・・・・」


「ちょ・・・大草君??」

びっくりしたつかさが思わず聞き返す。

しかし、大草は止まらない。


「俺だって、自分一人の力で生きる自信はある・・・」


「自分に妥協だってしない・・・」


「あいつより、良い人間でいる自信ある!!!」


「ちょっと・・・何言って・・・・」


「あいつより、西野を幸せにする自信がある!!!」

もはや、大草は声を張り上げてしまっていた。

さらにつかさも驚いたようで、目を真ん丸くして大草を見た。

大草も西野のその目を凝視している。

そして大草は、拳を握り締めて立った。

一瞬、周りの空気が強張ったように感じる。

この二人の空間に遮る物は何も無い。



「好きなんだ・・・・・西野のことが・・・

      ずっとずっと前から・・・・」



大草は・・・もう、抑えられなかった。


[No.708] 2007/12/14(Fri) 22:06:57

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