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永遠にともに 第8話 (No.734 への返信) - バーツ

「家…戻ろうぜ…」

見たくない、ただそれだけだった。

つかさが榛原と楽しそうに話しているのに耐えられなかった。

外村とか大草とか、アイツらとつかさが話しているのはよく見るし、嫌だとか見たくないとかなんて全然思わない。

つかさが男と話すのは当たり前のことだし、俺だってさつきとか東城とか、女の子とだって話す。

つかさはどうかしらないけど、多分思っていることは俺とたいして変わりはないだろう。

でも、コイツだけは違った。

どうしてだろう。前にも思ったことだけど、つかさがどこか行ってしまうのではないか、そんなことを思ってしまう。

淳平は家の門に手を掛けた。

「ちょっと、淳平!」

唯に引き止められたが、淳平は無視して家の中に入ろうとする。

その時、唯の声につかさは気付いたのか、榛原との話を切り上げて走って淳平の所にやってきた。

「淳平くん!」

淳平の前に立つと笑顔で俺の名前を呼ぶ。

その笑顔すら今の淳平には辛かったのだろう、直接顔を見ることすらできなかった。

「はい!」

ちょっと大きめの箱を淳平の前に差し出してきた。多分中には朝言った通りチョコレートケーキが入っているのだろうか。

「結構自信あるんだ〜!榛原くんにも少し教えてもらったしね!」

淳平の気持ちを何も知らないつかさは楽しそうに話してくる。

淳平は榛原という言葉に敏感に反応した。

(榛原…?教えてもらった…?)

このケーキは榛原絡み。

嬉しい…だけど、素直に喜べない自分がいた。

「…そっか…」

小さな声で呟いた。

「どうしたの?」

元気のない淳平を見て、つかさは不思議そうに聞いてくる。

「えっ?」

「なんかいつもと違うような気がして…」

「そっ…そんなことないよ」

つかさに心配させたくないため、淳平は無理やり笑顔を作ってつかさに向けた。

つかさには分かるだろうか。笑顔の内側に隠されている淳平の気持ちに…

「あっ、そうだ。榛原くん、ちょっと来て!」

つかさに促されて、榛原がこちらにやって来た。

「ちゃんと紹介してなかったよね」

「私の彼氏の真中淳平くん。で、隣が淳平くんの幼なじみの唯ちゃん」

「よろしくな〜!」

「…ども」

「…かっこいい…」

唯は驚いたといった表情だ。

「かっこよくないって〜」

榛原は頭を掻きながら照れているものの、満更でもない様子である。

つかさは唯に榛原を紹介しているようだ。ケーキの話でもしているのか、話が盛り上がっている。

(…はは…まただよ…)

この極度の孤独感。周りから離されているような感じ。そのことに苛立ち唇をギュッと噛み締め、手を強く握り締める。

(どうしてそんなに楽しそうなんだよ)

(なぁ…つかさ…)

「じゃあ…俺行くわ」

「うん!また明日ね!」

榛原は小走りで帰っていった。

「…」

しばしの間静寂が流れる。

それを打ち破ったのは唯だった。

「それじゃあ…唯も帰ろうかな」

「送ってくよ」

「えっ、でも…」

唯はつかさを見る。

「いいからいいから、なっ?」

淳平はそれを無理やり遮るように言った。

「そう?じゃあちょっと待ってて」

唯は自分の住む寮へ帰るため、家の中に荷物を取りに行った。

家の玄関の扉がバタンと閉まった後、つかさが話し出した。

「今日は淳平くんの家に泊まろっかな〜」

「へっ…!?」

泊まるということについつい動揺してしまった。

「あっ、今日ダメだったりする?」

「そういうわけじゃないけど…」

「じゃあ泊まらせてもらうね!少ししたら行くから!」

そう言って、つかさが自分の家に戻ると同時に唯が家の中から出てきた。

「あれ、西野さんは?」

「家に戻った。なんか今日は俺の家に泊まるとか言い出してさ」

「そっかそっか」

すると唯の顔がニヤニヤしだした。

「なんだよその顔は」

「いや〜、今日の夜西野さん大丈夫かなーって思って」

「どういう意味だよ?」

「淳平のことだから絶対エッチなことするだろうからね〜」

「…バカ」

2人並んで夜道を歩く。冷たい風が顔に当たって少し寒いけど気持ちいい。

「…何かあった…?」

唯がそっと呟く。

「え…?」

「西野さんも言ってたけど、さっきの淳平。いつもと雰囲気が違かったよ?」

「なんか…切なそうだった…」

唯には淳平の気持ちが分かっていたのだろうか。心配そうに聞いてきた。

「まぁ…ちょっとな…」

(俺は言っていいのだろうか。唯に言って少しはこのモヤモヤは晴れるのだろうか)

(確かに、話したら多少は気が晴れるかもしれない)

(でも…本当に話したいのは唯じゃなくて…)

「…唯は淳平の味方だからね」

黙っている淳平に唯は優しく声をかけてくる。

少し心が救われた気がした。

何故だか知らないけど、今の淳平にとって唯のこの言葉が凄く嬉しかったのだろう。

「…サンキュ」

寮の前についた。

「それじゃあ…今日の夜は頑張って!」

「だから俺は別に…」

「あはは、顔真っ赤だよ〜?」

唯はからかい気味に言ってくる。

「なっ…!?」

「うっそだよ〜ん!バイバイ、淳平!」

(ったく唯の奴…)

唯と別れ、自分の家へと向かう。

(やっぱり淳平くん変だよ…)

家に戻ったつかさはふぅっと溜め息を一つついた。

「今日淳平くんの家泊まってきてもいい?」

キッチンに入り、料理をしている母の背中越しに聞く。

「淳平くんのご両親はいいって言ってくれたの?」

手を休めることなく母は聞き返してきた。

「淳平くんがいいって言ってくれたから大丈夫じゃない?」

「もうっ、それじゃダメじゃない。いいわ、お母さんが話しておくから」

「はーい」

軽く返事をして二階にある自分の部屋へと向かう。

中に入るなり、つかさはベッドに横になった。

(淳平くん…何か言いたそうだった…)

つかさは知っていた。

さっき会った時の淳平のあの表情。前にも一度見たことがあった。

そう、あれはこの前のデートの時、突然店を出ていった後のこと。

淳平に追いついたつかさは彼の顔を見た。

その表情は、悲しそうな、切なそうな、それでいて何か言いたそうな、そんな顔だった。

そしてついさっきの表情。

一緒だった。全くといっていいほど…

(こういう時、私って昔っから勘がいいんだよな…)

大好きな淳平のこと、余計に深く考えてしまう。

その2つの状況に共通することといえば…

(夕方?それともバイトか何か?…いや違う…)

必死に頭を整理する。

そして一つの答えらしきものに行き着いた。

(…近くに…榛原くんがいた…?)

そんなことで彼があんな表情になるわけがない、つかさは最初はそう思った。

けれど、他に理由が見当たらない。

じゃあ、何でそうなったのか。それすらつかさにはわからなかった。

(あっ…もうこんな時間…)

気が付いたら、部屋に戻ってきてから20分が経っていた。

「行ってくるねー!」

そう言って玄関を出た。

ピンポーン…

家のチャイムが鳴った。

「いらっしゃい!さぁ上がって!」

玄関で母さんが話している。多分つかさが来たのだろう。

コンコン…

少しして、誰かが部屋のドアをノックした。

「はーい?」

「淳平くん?つかさだけど…」

思った通りつかさだ。

「あぁ、入っていいよー」

「失礼しまーす」

ガチャッ…


[No.735] 2008/01/08(Tue) 21:17:20

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